憑依空間が25万アクセスを達成しました!
ありがとうございます^^
30万アクセスまで半分になりました!
これからも頑張ります!
…今回の記念短編は随分前の作品「優等生の転落」の後日談です。
話は出来ていたのですが、お蔵入りにしていたものを
せっかくなので書いてみました。
優等生の転落はこちら。
※初期の作品なので、1話あたり短いです。
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いじめられがちだった高校生の高野 守は、
クラスメイトの生徒会副会長 城咲 香織によくかばってもらっていた。
高校2年で初めてクラスが一緒になった程度の間柄なのに、
香織は必死に、守をかばってくれた。
いじめっ子の井浦と浦野ー。
そのうちの一人、井浦が憑依薬で香織に憑依し、
香織は豹変した。
嬉々として守をいじめるようになってしまったのだ・・・
そして、悲劇はそれだけではなかった。
憑依薬の副作用で、香織と井浦の意識が混同してしまい、
2人はグチャグチャに混ざり合い、
“別の人格”へと変異してしまった。
誰にも心を開かずー、
ただ人に嫌がらせを繰り返すだけの、悪魔にー。
香織はもう、いない。
井浦ももう、いない。
2つの人格が混ざり、変質してしまった彼女は、
全くの別人に変わり果てていた…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
昼休みー。
一人の女子生徒が教室でスマホをいじりながら、
一人、自分の机を叩いて大笑いしている。
「…うける!うける!うける!うふふふふふふ!」
表情をゆがめ、ひたすらに笑い続ける香織。
香織は、いじめっ子の井浦に憑依されてしまった。
最初は、井浦が香織を完全に支配していた。
だけれどもー
“異変”は起きた。
浦野が手に入れた憑依薬は
“粗悪品”だった。
憑依しているうちに、井浦の意識は香織の意識に
飲み込まれ、
異なる2つの意識がぶつかりあった結果、
香織の意識は”全くの別物”に変異してしまった。
もはや、今の香織は、
元々の香織ではない。
そして、井浦でもない。
2つの意識が交じり合った結果、生み出された、
いびつで不安定な人格。
「---くふふふふふ…」
だらしない格好で、
弁当箱を開きながら、それを手でわしづかみに
して汚らしく食べ始める香織。
もはや、香織の行動は常軌を逸脱してしまっていた。
「---城咲さん…」
高野が悲しそうにその様子を遠目から見つめる。
「---くそっ…」
憑依した井浦と一緒に、高野をいじめていた生徒、浦野。
彼は、あの後、
”お互いに大切なものを失ったもの同士”
なんとなく一緒に過ごすことが多くなった。
悪いのは自分だ。
浦野には分かっている。
元々、高野を少し脅かしてやったら
香織のことも解放してやるつもりだった。
ほんの、悪戯のつもりだったのだ。
それがー
こんな結果を生み出すとは…。
既に香織は学校中から気味悪い存在として認識されてしまっており、
先生達からも、”優等生”として認識されていたはずが、
今ではすっかり”厄介者”として扱われている。
友人たちやクラスメイトも、
いまや香織には誰も関わろうとしない。
「はぁ~~~のど乾いた」
香織が他の人の机にある水筒を勝手に手に取る。
「ちょっと!やめてよ!」
女子生徒が香織の行動を見て怒る。
だが、香織はニヤリとして、勝手に水筒を飲み干した。
彼女はーー
”我慢”することや”遠慮”することを全て失ってしまっているように思える。
自分の思うがままに行動し、
本能のままに行動するーー
2つの意識が混ざり合った結果、
あらゆる大切なものが欠けてしまったー
そんな感じだった。
「はい!水筒からっぽ~きゃはははははっ!」
香織が笑いながら足をじたばたさせて、その水筒を床に放り投げた。
放り投げられた女子生徒は水筒を拾いながら叫ぶ
「アンタふざけないでよ!
最低!」
だが、香織はそんなこと気にも留めず、
自分の座席に戻る。
弁当を素手で食べたからか、手が汚れていて、
香織は自分の手を舌でペロペロと舐めている。
「---・・・見てらんねぇな」
浦野が呟いた。
そして、ポケットから容器を取り出す。
「それは…」
高野が驚いて尋ねる。
浦野の手には”憑依薬”が握られていた。
「--俺、彼女の中には井浦のやつが居るって
信じてるんだ。
上手く抜け出せねぇで、苦しんでいるに違いねぇ。
俺がこの憑依薬を使って、城咲さんに憑依して、
上手く2人の心を分離させることができれば、、
井浦も戻ってきて、
城咲さんも元に戻るかもしれねぇ」
浦野はそう言った。
「え…そんなこと、できるの?」
憑依薬についてよく知らない高野は不安そうに尋ねた。
「・・・やるしかねぇだろうが。
…放課後、、、俺は城咲さんに憑依する。。
そして、井浦のやつをぶん殴ってで城咲さんの
心の中から引っ張り出して、井浦を取り戻して、
城咲さんも元に戻す!」
自分の舌で手を舐める香織を見ながら、浦野はそう呟いた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後。
「---城咲さん」
高野が香織を呼び止めた。
「あん?何~??
きゃはははははっ!」
呼び止められただけで、狂ったように笑いだす香織。
「---」
高野の背後から、浦野が姿を現し、憑依薬を飲み干した。
「城咲さん、井浦ー
俺が今、助けてやるー」
そう言うと、浦野は倒れた。
霊体となり、香織に憑依するー。
香織も「うっ!」と声をあげて、その場に倒れる。
「----って、、やばいよ、この状態!」
高野は慌てて空き教室に
倒れた浦野と香織を引きずりこんだ。
2人の生徒が意識を失って居る状態。
事情を知らない、
先生にでも見つかったら大変だ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
浦野は香織の脳内にやってきていた。
「井浦・・・いるのか?」
人の脳内…
不気味な空間だった。
本当に、2人を助け出せるのか。
香織の中では、今、何が起きているのか。
浦野は、脳内を歩んでいき、目を見開く。
そこにはーーー
ねり消しゴムのように、ぐちゃぐちゃに練りつぶされた、
井浦と香織の姿があった。
二人の体がぐちゃぐちゃに混ざり合っている。
「俺は…井浦…・・・わたしは・・・香織・・・
うふふふ くくくく きもちいい・・・」
スライムのように混ざり合った2人の体。
顔や手、胴体などまでぐちゃぐちゃにくっついていて、
キメラのようなバケモノになっていた。
「---ひっ」
浦野があまりの気持ち悪い光景に悲鳴をあげる。
「うへっへへへへ・・・
ふたり・・・まざっちゃった・・・・・・
なにが、なんだか、もうわからなぁいーー
いたい・・・
苦しい・・・助けて・・・
あははははははっ!」
香織の脳内ではーー
井浦と香織の意識が、混ざり合っていたー。
二人の記憶は絡み合い、
人格や思想の違いがぶつかり合い、
”歪みきった人格”が出来上がってしまっていたー。
「---」
もう、救えないー。
浦野はそう思った。
香織の脳内が具現化した、
2人の現在のイメージ。
もう、引き剥がすとかそういう次元じゃない。
二人の意識が完全に混ざり合い、
完全に”狂気”に染まっていた。
ゲームのプログラミングに
別のゲームのプログラミングを混ぜたような状態。
当然、2つのプログラミングが混ざれば
ゲームは正常に動作しない。
香織もーー
2人の人格が混ざり合い、
正常に思考できなくなってしまったのだろうー。
「---くそっ」
浦野は香織の脳内から離脱しようとした。
そのときだったー
触手のようなものが、浦野の脱出を拒んだ。
「---!?」
浦野が驚き、目を見開く。
そしてー
井浦と香織が混ざりあったグロテスクな物体に、
浦野も引き込まれていった…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「くひひひひひひひ…」
香織が目を覚ます。
不気味な笑い声をあげながら…
「浦野・・・くん?」
様子を見守っていた高野が心配そうに様子を伺う。
だが…
立ち上がった香織はー
今まで以上に”狂った笑み”を浮かべていた。
「あははははははははっ!
いひひひひひひひひ!
あは、あは、あははははははははは!」
香織は自分の胸をわしづかみにし、
体を抱きしめながら、
自分の服を突然脱ぎ始めた。
「ちょ、、し、、城咲・・・さん?」
浦野は倒れたまま目を覚まさない。
井浦の下心ー
浦野の下心ー
香織の真面目な心ー
3つが混ざり合い、
香織は完全に壊れた。
脱いだ制服を自分の口に押し付け、
顔を真っ赤にしながら、
不気味なメロディを大声で歌い始める。
「-----し、、、、城・・・咲さん」
あまりの異様な光景に言葉を失う高野。
そして香織はそのままの格好で、
大笑いしながらスキップして、
そのまま教室を飛び出していってしまったー。
すぐに廊下は騒ぎとなりーー
後日、彼女は退学となり、精神病院に入院することになった。
浦野と井浦は未だに意識を取り戻さない。
そして香織は、入院後も奇行を繰り返し続けた。
もうーー
戻れない。
彼女は元の優しい彼女には戻れないー。
永遠に。。。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
25万アクセスありがとうございます!
1つ1つのアクセスが私の力の源です!
これからもよろしくお願いします^^
コメント
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本人の意図と違って混ざっちゃう感じの憑依すき
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> 本人の意図と違って混ざっちゃう感じの憑依すき
ありがとうございます!
混ざってしまう系は今後も用意してあります!
(いつ書くかは未定です!)
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上記を逸脱して
↓
常軌を逸して
ミイラ取りがミイラに(ry
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> 上記を逸脱して
> ↓
> 常軌を逸して
>
> ミイラ取りがミイラに(ry
もう城咲さんは助かりません・・・