一人のオタク男が始めた、憑依による身勝手な復讐ー。
多くの人間の人生を壊し、
多くの人間を絶望に追いやった。
そして、オタク男の復讐が最後に行きつく先はー。
彼に待ち受ける”罰”はー。
暴走憑依男、完全完結です!
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いつからだっただろう…。
私が人前で本心をさらけ出すことが出来なくなったのはーー。
自分を偽り、”優等生”のイメージを作り、
心の中では、いつも自分のことばかりー。
そんな風になってしまったのは、いつからだったのだろう。
そんな私にとって、
市川さくらー、市川先輩は鏡のような存在だった。
憧れだった。
明るく、いつでも心からの笑顔で笑う彼女―。
でも、私はそうはなれなかったー
あの日…
木藤先輩と市川先輩を助ける方法もあったかもしれない。
でも…
自分の人生を一刻も早く取り戻したかった私はー
あの家に火をつけて、、梓沙の体を奪い、
木藤先輩と市川先輩を見殺しにした。
それが私の生き方ー。
「明美ーーー、
俺は、、お前が好きだから」
・・・・・・・・
もう、、戻れない…。
あの時にはーーー。
わたしのせいでーー
”彼”は死んでしまったのだからーーー。
私が弱かったからー。
私が、、未熟だったからーーー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
憑依中和剤を打ち込まれた明美はーー
そう思いながらーーー消滅した。
倒れた梓沙を見つめて、風香は笑う。
「バカな女・・・」
風香は冷たく笑う。
山西明美ー。
本心をさらけ出すことなく、
偽りの自分を演じて、周囲には”優等生”として
思われていた哀れな女―。
最後の最後で、自分の計算におぼれて、彼女は
消え去った。
「---日野さん…」
風香は、おどおどした様子を演じながら
クラスメイトの日野 梓沙を起こした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日。
梓沙は、精神的に不安定なため、しばらく入院することになった。
1か月以上も憑依されていれば、、当然のことだ。
「---くふふっ…」
風香は自分のスカートの感触に笑みを浮かべながら登校した。
いつも、以上にご機嫌だ。
風香の人生を全て奪ってやった。
憑依薬と出会えて、本当に最高だった。
キモいオタクとして蔑まれてきた、自分の人生は一変した。
全てを手にした。
スカートを整えて座る風香。
この感覚にも、もうすっかりと慣れた。
「----ふふふっ…女の子って最高♪」
風香は静かに呟いた。
「---梓沙ちゃん…どうしちゃったんだろう」
梓沙の親友で、メガネをかけた大人しい女子生徒、菜乃が言う。
「--うーん・・・どうしたんだろうね…私も心配」
風香が言うと、菜乃は少しだけ微笑んだ。
明美は消えたー
”最後の障害”が消えた。
もう、風香の人生は自分のものだ。
まずは彼氏でも作るか。
風香の体で誘惑すればすぐだろう。
メイドカフェでバイトをするのもいい。
だが、AVはやめておこうと思う。
今度は、自分の人生なのだからーー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後。
綺麗な夕日が廊下に差し込んでいるー。
市川さくらはー
山西明美は、、
木藤孝雄はーー、
消えて行ったあいつらは、何て思ってたのだろう。
”笑ったこと”を後悔しただろうか。
それとも、オタク男への憎しみを募らせて死んだのだろうか。
さくらのエロい体…
明美の少し細身でスタイル抜群の体…
どの体も捨てがたかった。
だがー
もう復讐は終わった。
「---ふふっ…
もう、終わり。
私は、白崎風香なの…ふふふ!」
風香は下校するため、机の中に手を入れる。
するとーーー
そこにはーー、
「----!?」
手紙が入っていた。
そして、USBメモリーも。
風香は顔をしかめて、手紙を見つめる。
”あなたの秘密を知っている。
今日の20;00 指定の場所に来ないと、
あなたの秘密・・・そのUSBに入っている動画を
ネット上にアップする”
そう書かれていた。
「----えっ…」
教室に西日が差しこむなか、
風香は体が冷え込むような思いをした。
そして、慌てて自宅に帰り、
USBを再生したーーー
そこにはーー。
かってオタク男が”調教した風香”に
自撮させたエロ動画が入っていたーー
それもー何本も…。
「---くそっ!」
風香は乱暴な口調で、キーボードをたたいた。
これが公開されれば、
風香の人生は終わる。
さくらや明美と同じように-
「一体…誰が…」
風香は、制服から、
胸元を強調したブラウスと、ミニスカートに着替えた。
「---誰……」
明美は消えた。
さくらも、木藤ももう居ない。
風香は自分が憑依しているー。
あのゲーム店の店長は、
しもべになったさくらに誘惑されて破滅したしー、
男バイトの我妻は、さくらの罠で事故に遭い、
植物状態のはずーー
「----」
風香は必死に考える。
だがーー、答えが見つからない。
「----私の邪魔はさせない」
風香が殺気のこもった目で壁を見つめた。
”せっかく、少女の人生を奪ったんだーー
こんなところで、邪魔されるわけにはいかない”
風香は”護身用”に料理用の刃物を
ポケットにしまい、家から出た。
”万が一の場合は、これで消すー。
風香の年齢なら、警察からそのうち出てこれるー”
なんとしてでもーーー
秘密を知るものを消してしまわねばーーー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
風香は指定された場所にやってきた。
港に近い倉庫ー。
その場所を見て、風香は自虐的にほほ笑む。
「----アイツとーー、トランプで対決した場所か…」
風香は呟いた。
バイト男の木藤孝雄とーー
三人の少女ーー、さくら、明美、風香を賭けて
トランプゲームをやった倉庫…
その場所に風香は呼び出されていた。
風香は、空を見上げた。
ーーー満月ーーー。
これからあと何回、満月を見つめることができるだろうかー。
風香はそんなことを考えながら、その倉庫へと
入って行ったーーー
”もう、、、月を見ることは永遠にないとも知らずにー”
「---……来たわよ」
風香が言う。
”自分の正体”を知っているかどうかも分からない。
誰の仕業かもわからない。
とりあえず、風香を装わなくてはならない。
「----」
しかし、返事はない。
悪戯…???
いや、あの”調教”の映像を持っている人間だ。
確実に、、関係者だ。
「---誰なの!?」
風香が叫ぶ。
「---隠れてないで、出てきなさいよ!」
だが、風香の声が虚しく倉庫内に響き渡る。
だんだんと、風香の心の中が恐怖で満たされていく。
明日は、アニメのコスプレイベントに出るのにー。
早く、帰りたいのにーー
「---いい加減出てきなさいよ!」
風香はひたすら叫ぶ。
「--っ…うっぜぇな!出てこいってんだよ!」
風香が本性を隠そうともせず、イライラした様子で叫んだ。
”どこまでも、、自分勝手…”
背後から声がした。
「----!?」
風香が振り向くとそこにはーー
クラスメイトの倉持 菜乃ー。
明美が憑依していた梓沙の親友が居た。
そして、菜乃は乱暴にバットで風香を殴りつけた。
「----きゃあ!」
風香はなすすべもなく、吹き飛ばされる。
「---な、、なに…なんなの…」
風香が地面に這いつくばりながら
目に涙を浮かべる。
菜乃がその様子を見て笑う。
「どう?怖いー?
こわいでしょ??」
菜乃が殺意に満ちた目で風香を見下す。
「みんな、みんな怖かったの。
アンタに人生を滅茶苦茶にされたみんな…」
菜乃の言葉に
風香がおびえた表情で言う。
「だ…誰なの…」
風香が言うと、菜乃は微笑んだ。
「--ーーふふ、、、
私を消したと思ってたでしょ?」
菜乃の言葉に風香は思うーー
”コイツはーー明美だとーーー”
「--私ね…アンタを地獄に落とすために
あらゆる闇のルートを使って、あらゆるものを集めた。
その一つが憑依している魂を消すことのできる
”憑依中和薬”
風香(オタク男)が梓沙に打ち込み、明美を消滅させた薬だ。
「そしてーーもう一つが、、
”分裂憑依薬”」
菜乃がピンク色の液体の入った注射器を持って笑う。
「--私の魂を分離させて、複数の人間に一気に憑依できるように
する薬…。
昨日、アンタに遭いに来る前に、この薬で、梓沙の友達の
菜乃にも憑依しておいたの」
菜乃が笑う。
「ーーーアンタはどこまで腐ってるから、保険として…ね」
風香は菜乃を見ながら思う。
自分が昨日、消したのはーー
明美の一部…。
「---」
風香はポケットからナイフを取り出そうとした。
ーーーが、
菜乃がその手を力強く踏みつけた。
「いっ…いやあああああ!」
風香の悲鳴が倉庫に響き渡る。
菜乃が刃物を取り上げ、乱暴に遠くに刃物を投げつけた。
「---…わ、、、私をどうする気なの」
風香がおびえながら言う。
菜乃は失笑した。
そして、水晶玉のようなものを取り出した。
「---この水晶玉もネットで手に入れたものなんだけど…
ヒトの魂を封印することができる水晶玉なんだって」
菜乃の言葉に、風香は”恐怖”を感じた。
「--ま、、まさか…私の魂を…
い、、、いや僕の魂を!」
オタク男はたまらず、自分本来の口調で話しはじめた。
「フフフ…
違うわよ」
菜乃の言葉に風香が首をかしげる。
「あんたの魂をこの水晶玉に封じ込めて、
これを粉々に砕くーー。
アンタの魂を消し去るのよー」
菜乃の言葉に、風香は叫んだ。
「---そ、、そんな道具、どこで手に入れたんだ!
僕がお前らに復讐するときにネットで探したときは
そんなものなかったぞ!」
風香が可愛らしい声で叫んだ。
「--アンタは”遊び”半分、、、
私はー”命を賭けて”憑依薬を探したー
その差よ」
菜乃のーーー
恐ろしいまでに冷たい視線を見て風香は恐怖した。
”明美はーーー
どんな手段を使って、これらを手に入れたのか――
そこまで自分を憎んでいるのかーー” と。
「---ご、、、ごめんなさい!」
風香がその場に土下座した。
乱れたスカートを気にすることもなく。
倉庫付近の湾内を照らす色とりどりの光が、
倉庫の窓から差し込んできているー
菜乃と風香の二人を照らすーーーー
「--そうやって謝って…
また隙あらば私を消そうとする。。でしょ?」
菜乃が冷たく言うと、
風香は涙を流しながら続けた
「違う!違う!お願い!助けて!
僕は…消えたくない!消えたくない!」
風香が土下座を続ける。
「---市川先輩も、、他のみんなも、
そうやって助けて欲しいって思ってた…。
でもアンタは、皆の人生を滅茶苦茶にした」
菜乃が見下すように言う。
「---許して!ごめん!
僕は…死にたくない!死にたくない!
明日…明日アイドルコスプレのイベントがぁ!」
風香が叫ぶのを見て、菜乃は言った。
「黙って。このオタク!」
その言葉に風香は歯ぎしりした。
「---お…お前だってボクと同じじゃないか!
自分のために!梓沙や、、その女の人生を奪ってる!!
それに木藤とさくらが居た建物に火をつけたのはおまえだろ!」
風香が敵意をむき出しにして言う。
確かにそう―。
先輩二人の家の火をつけたのは、
近場の高校生を拉致して、新しい体を手に入れる、という自分の行動が
目立たないようにするためー。
梓沙と菜乃の体を利用しているのもー自分のため。
「---お前は僕と同じだ!!
自分のことしか考えていない!」
風香が気持ち悪い笑みを浮かべる。
「---そうね」
菜乃は手短に答えた。
「---私も、そんな自分が嫌で嫌で仕方がなかった。
だからーー私が”全てに始末をつける”
私はーーアンタとは違う」
そう言って、決意のまなざしで風香を見た。
風香は直感的に感じた。
”もう、逃げられない”とーー。
「いっ・・・いやだあああああああああああ!」
風香は泣きながら菜乃に突進した。
しかし、それは交わされ、
倉庫の地面に這いつくばった。
ーーーオレンジ色の光が倉庫の中を照らす。
「さようならー永遠に」
菜乃がそう言い、水晶玉をかざす。
「いやだ!僕は死にたくない!
いやだ、いやだ、いやだ!いやだ!
何でもするよぉ!いやだ!いやだ!
しにたくないぃ!」
風香はボタボタと涙を流している。
しかしーーー
「---死になさい」
菜乃が無情に言い放った。
そしてーーー
水晶玉が光る。
「いっ・・・いやああああああああああああ!」
風香が頭を抱えながら、
悲鳴をあげるーーー
そしてーーー
風香の体から光が放たれ、水晶玉に吸い込まれた。
風香はその場に倒れる。
「------」
菜乃が冷たい目でその水晶玉を見つめるー。
何人もの人生が壊されたーーー
自分のことしか考えていないこの男にー。
市川先輩も、木藤先輩も、白崎さんも、
店長も、我妻先輩も。。
ーーー
菜乃は目をつぶり思う。
ーーーーー
私は…人に誇れる人生を生きてきただろうか。
カタチは違えど、
結局はこの男と一緒ではないだろうか。
自分のために、他者を傷つけて、
自分のことしか考えていない。
”少し道が違えば、自分もオタク男のように
なっていたのではないだろうか”
「ーーーーーでも…
私はあなたとは違う」
菜乃は目を開き、
水晶玉を思いっきり床に投げつけた。
水晶玉がーーー
オタク男の封じられた水晶玉が床に
音を立ててぶつかるーーー
そしてーーー
大きな音を立てて、粉々に砕け散った
「----ぎぃいああああああああああああーーーーー」
水晶玉の砕ける音とーー
オタク男の醜い悲鳴が重なったーーー。
「ーーーー」
菜乃は寂しそうにその光景を見届けたー。
オタク男ことーーー
渋谷 紀雄(しぶや のりお)は…この世から”消え去ったー”
・・・
菜乃は倒れたままの風香を見つめて微笑んだ。
「---白崎さん…
良かったね」
優しく微笑む菜乃ー。
彼女は自分のような汚れた存在とは違う。
風香を優しく抱きかかえて、
菜乃は倉庫の外まで風香を運ぶ。
その途中、風香が少しだけ目を覚ました。
「----あ、、、、れ、、わたし…」
数か月もオタク男に憑依されていた。
風香の意識はもうろうとしている。
「---ふふ…もう大丈夫だから…
安心して今は眠ってて大丈夫よ…」
菜乃が静かに、
優しく囁くと、
「---うん、、、ありがとう」
と風香は微笑んで、そのまま再び眠りについた。
風香はこれから色々な現実を知り、苦しむかもしれない。
さくらのように、精神が崩壊してしまうかもしれない。
けれどーーー
彼女ならきっと強く生きていける。
菜乃は、風香を倉庫前の地面に寝かせて、
自分の上着を一枚脱ぎ、
風香にかけてあげた。
「----頑張って…生きてね」
菜乃は静かに呟いた。
「----さようなら」
菜乃の目から涙がこぼれる。
そして菜乃は、港の方へと歩いて行った。
穏やかな水面が、音を立てている。
「----アンタのおかげよ…」
菜乃はーーいや、明美は呟いた。
オタク男を思いだしながら言う。
「アンタみたいな最低な男が居たからーー
私は最低な女にならずに済んだー」
明美も、今まで自分の利益の為に
人を切り捨ててきた。
時には、傷つけることもあった。
カタチは違えど
”自分のために人を傷つける”
そういう意味では、
あのオタクが言っていた通り、
自分も同じ仲間なのかもしれないー。
梓沙の体で生きていくつもりだったー。
けど、風香の人生を我が物顔で
満喫しているオタク男を見ていて思ったー。
”人の人生を、勝手に奪って何様なのかー”と。
明美は、
梓沙として、憑依された風香を見ているうちに、
”優しさ”を取り戻していたー。
そしてーー自分は消える決意をした。
でも、その前にーーあのオタクだけは葬っておきたかったー。
”同じ思いをする人間”を出さないために。
「---あの子の人生はあの子のものー。
そしてーー菜乃の人生もーー菜乃のもの」
明美は、
満月を見上げた。
「---これが最後の満月…ね」
明美は少しだけ笑った。
思えばいつからだっただろう。
自分を偽り、人を利用するようになってしまったのは…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
小さい頃、明美は苛められていたーー。
ある遠足のとき、明美は、いじめっ子グループから
祖父の形見であるキーホルダーを山中に投げ捨てられてしまった。
ーー誰にも打ち明けられなかった。
けれどーー
明美には、いつも明美を心配してくれる幼馴染が居た。
ある日ー
幼馴染がキーホルダーがランドセルに無い事に気づいた。
「お前ーー、おじいさんの形見のあれ、どうしたんだよ?」
幼馴染は言った。
明美はーーー
目から涙をボロボロこぼしながら
”本心”を打ち明けたー。
いじめられていることー。
そして、キーホルダーを遠足の日に投げ捨てられたことー
小さい頃から、家庭環境もあまり良くなく、
素直になれない明美がーー
始めて”本当の心”を開いた瞬間だった。
そしてーー
幼馴染が言った。
「今度の土曜日ー
探してきてやるよ」 とー。
とても、眩しい笑顔で。
「明美ーーー、
俺は、、お前が好きだから」
そう、言ったー。
けどーーー
彼は帰ってこなかったーー
土曜日、塾から帰ってきた明美に知らされたのは、
山で足を滑らせて、事故に遭い、幼馴染が死んだという知らせだった。
明美はその時、思ったー
自分があんな風に”本心”を打ち明けなければ良かったーーと。
その日から、明美は変わったー。
次第にイジメはなくなり、
優等生イメージが定着し、クラスメイトを平気で利用するようyになったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
あの時から、自分は歪んでしまったのかもしれないー。
「ーーーーーー」
明美は、過去を振り返り終えると、ポケットから写真を撮りだした。
そこには
木藤、さくら、明美、風香、我妻、店長の6人が仲良く写っていたーーー
目に涙を浮かべて微笑むーー
「みんな、本当に優しくて…
本当に…」
明美の涙が写真に零れ落ちる。
「----本当に…本当に
心から楽しかった………」
明美はそう言うと、写真を水の中へと放り投げた。
6人の笑顔がー
水で歪み、色あせていくーーー。
「ーーーーー私は…あなたとは違う」
明美は今一度呟いた。
”オタク男”に向けてーー。
そして、ポケットから注射器を取り出した。
”憑依中和薬”
憑依している魂を消し去る薬ー。
自分は誇れる人生を送ることができたのかー。
決して、誇れる人生では無かったと思うー。
本当はまだ生きていたい。
でも、自分の体の人生は壊された。
ネット上に動画は上がり、もう、再起はできないー
だから、自分の体は捨てたー。
けれどーー
人の人生を奪う資格が自分にあるのかーーー。
それをすれば、自分もオタク男と同じではないかー。
明美は微笑んだ。
ーー誇れる人生では無かったけれどーー。
最後にちょっとだけ…誇れるかもしれない、、、と。
そして一思いに自分の腕…
菜乃の体の腕に注射器を射し、
菜乃はその場に倒れた。
薄れゆく意識の中、明美は、、、
光に包まれたーーー
光の向こうには、
さくらや木藤たちが居たーーー
「----山西さん」
木藤が笑う。
「-----頑張ったね。。お疲れ様」
さくらが優しく微笑んだーーー
店長や我妻の姿もあるーー。
風香は居ないー。
彼女にはまだ未来があるからーーーー。
明美は目に涙を浮かべて答えた
「----はい」 と。
そして、明美はーー
光の中へと歩を進めて行ったーーーー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
1か月後。
高校の教室で、
梓沙、菜乃、風香の3人が楽しそうに談笑していた。
梓沙と菜乃は無事に立ち直り、元気に過ごしている。
風香も自分の境遇の違いにパニックを起こしながらも
それを受け入れて、立ち直るだけの強さを持っていた。
そしてー先週から学校に登校している。
「--何か、私たち3人とも、意識飛んでるなんて変だよね!」
梓沙が笑う
「うん…そうだね」
菜乃も笑う。
「---ーーー」
風香は微笑みながら窓の外を見つめた
あの日ーーーー
朦朧とする意識の中で、誰かが自分を助けてくれた気がするー。
あの優しい声はーーー
「----ありがとう」
風香は窓の外を見つめながら、そう呟いて微笑んだ…。
その言葉に呼応するかのように、
教室の窓の外で、風が優しく吹いていたー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
いよいよ完全完結です!
憑依空間初期の小説がこうして無事に終えることが
できて嬉しいです!
最後はまとめるために
H的なシーンは少なくなりましたが、
暴走憑依男の物語はこれで終了です!
もう続きもありません。
長い間ありがとうございました^^
あ、暴走以外の更新はこれからも毎日します!
コメント
SECRET: 0
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完結乙です。すっきりしたいい終わり方だと思います
SECRET: 0
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> 完結乙です。すっきりしたいい終わり方だと思います
ありがとうございます!
いつものように「何かを残す終わり方」ではなく、
ちゃんと綺麗に片づけました!
SECRET: 0
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ハッピーではないけどベターなエンディングでホッとしました。
SECRET: 0
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> ハッピーではないけどベターなエンディングでホッとしました。
最後の完結で、ドロドロしたのは、
後味が良くないと思ったのでこの結末になりました!
傷跡は残ったけれども、ひとまずすっきり…みたいな感じですね^^
SECRET: 1
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実は憑依に対する手段は無いかとまあ面白半分でだけど考えたりしてます。
で、その一つが、相手以上の闇を持つこと、だと思いました。
今回はまさにそれでしたね。オタク男は復讐だけだったが、明美はまさに命懸けで全てを賭けたから打ち勝てたと。
流石にハッピーエンドでは無いけれど、決着を付けた点では良かったと思ってます。
こう言うのも面白いので、改めて読み直してみようと思います。