<憑依>私が強盗Ⅱ② ~楽園(エデン)~(完)

おいおい…洒落にならないぞ この状況。

女子高生の制服を着た杏奈ちゃん。
そして、だらしなく笑みを浮かべる俺。

それを大河原本部長に見られてしまった。

これって…
人生詰み…ってやつか…?

どうする、俺??

------------------------------–

「おおわがらさぁあああああああん!」
俺は絶叫した。

まさか、、、
よりによって、今日、本部長が視察に来るなんて。

おいおいやべぇよ。
俺のフランクはできあがっちゃってるし、
杏奈ちゃんは女子高生姿だしーーー

と、いうかコイツら強盗だし…。

「---あ、、、あの、、あのですね」
俺が言うと、大河原本部長は失笑した。

「女子高生を、深夜に働かせているのか?」

大河原本部長の睨むような視線に、
俺はぶるった。

俺はビビりではない。
スポーツ万能だ。

大河原本部長だって、ぶん殴ろうと思えばぶん殴れる。
気に入らないヤツはぶん殴ることができる。
だがー。

「い、、、いえ、、これは休憩中のお戯れでして…
 杏奈ちゃんは女子大生ですよ」

俺は言う。

杏奈ちゃんは不気味にほほ笑んでいる。

「じゃあ、張本。お前が
 その子と休憩中に淫らな行為をしていた。
 
 そういうことでいいのか?」

大河原本部長が言う。

「--いえ、、ちがっ…
 彼女、女子高生マニアでして…
 勝手に服を着だしたというか、うん、はい、そうです、ハイ」

俺はテンパって訳の分からない事を口にした。

「・・・・」
大河原本部長は無言で俺を睨んでいる。

その時だった。

「じゃあ、これはなぁに?」
杏奈ちゃんが、俺のズボンを突然降ろした。

「-ーーーあ、杏奈ちゃん や、、やめ…」

杏奈ちゃんが俺の立派に育ちきってしまった
元気の良いフランクフルトを突然その綺麗な手で
なで始めた。

やめろぉぉぉぉぉぉ!

俺は心の中で叫んだ。

大河原本部長が睨んでるじゃないか!
やめろって…

やめろ!やめろ!

「---わたしが、気持ちよくしてあげる♡」

イヤらしく、優しく俺のソレを撫でる杏奈ちゃん。

駄目だ…
大砲が発射されてしまう…

もう俺は・・・

「----何をしている!」

大河原本部長が怒鳴っている。

だが、もうダメだ…

「ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!
 あんなちゃあああああああああ~~」

俺は奇声をあげながら
ハリモト・マグナムを発射した。

もの凄い勢いで発射されたマグナムは、
大河原本部長の顔面に直撃した。

「---うふふっ!すっご~い♡」

杏奈ちゃんが大人しい顔立ちで
大はしゃぎしている。

「貴様…」
俺のマグナムを喰らった大河原本部長が俺を睨んだ。

ダメだ…
もう終わりだ。。。

つーかズボンはかなきゃ!

「---ねぇ」

ふと気づくと杏奈ちゃんが再びチャイナドレスに着替えていた。

「--あなたも、私と、楽しまない?」
杏奈ちゃんが本部長に微笑みかけた。

「---貴様…ここをどこだと思っている?」
大河原本部長が言う。

だが、その視線はチャイナドレスからはみ出している
太ももをチラ見している気がする。

俺は確信したー

大河原本部長も俺と同じシマウマだと。

「本部長!
 どうです!?
 本部長も1杯いきませんか?」

俺は調子に乗ってニヤニヤしながら言った。

「大丈夫ですよ!
 誰も気づきゃしませんし、杏奈ちゃんは、
 今なら何でもヤラセてくれますから!」

俺がそういうと本部長は

「張本ぉ!」
と俺を睨んでいる。

だが、俺は続けた。

「ホラ、大河原さん!
 心の壁を取り払うときは今ですよ!

 ベルリンの壁だって取り払われたんです!

 ここで心の壁を取り払わなくてどうするんですか!?」

意味の分からない説得を続ける俺。
と、いうか何やってんだ俺は?

まぁ、いいか。

「---心を解放するんですよ本部長!
 理性を脱ぎ捨てるんですよ!」

俺は熱弁をふるった。

するとーーー

「ふざけるなぁぁぁ!」
大河原本部長が叫んだ。

そしてーー

「理性だけじゃなく、服も脱ぎ捨ててやるわぁ!」

大河原本部長が本性を現し、
杏奈ちゃんの太ももにとびかかり、
杏奈ちゃんを押し倒した

「えへへ…エッチなおじさん♡」

杏奈ちゃんは胸や太ももを大河原さんに
揉みつくされながら不気味にほほ笑んだ。

「ひゃう!話が分かりますねぇ本部長!
 でも、服まで脱いじまうなんて、
 俺よりダメダメですね!」

俺は本部長を茶化した。
これで同罪。

俺はおとがめなしだ!

「-ひゃ、、本部長さん、そこは、、だめっ、、だめぇ♡」

本部長に弄ばれながら喘いでいる杏奈ちゃん。

真面目な顔立ちの杏奈ちゃんが
チャイナドレスを身にまとい、
顔を真っ赤にして、そしてイヤらしい笑みを浮かべながら
喘ぎ声をあげている。

俺はその事実に興奮を覚えた。

「これがーーー楽園(エデン)か。」

俺はそう呟いた。

俺は今まで、天国なんてないと思っていた。
だが、あった。

ここは天国だ。エデンだ。楽園だ。

コロンブスが大陸を発見した時のような感動を味わった俺は、
杏奈ちゃんの体に飛びついた。

二人の獣と化した男にやりたい放題される杏奈ちゃん。

しかし、そんな杏奈ちゃんはとても嬉しそうだった。

「あぁん、あぁっ、、、
 杏奈、、壊れちゃう♡

 ひっ、、、あっ、、あぁん、、、ダメっ、、だめぇ♡♡」

否定の言葉を口にしながらも嬉しそうな杏奈ちゃん。

そうだ。
俺はこの幸せを味わう為に生まれてきたんだ。

「ハリモト号、発進ー!」
俺はそう叫び、杏奈ちゃんの胸の谷間に顔を思いっきり突っ込んだ。

ふへぁ…・!

感想はそれだった。
もはや理性など無くなっていた。

「うふふっ、、張本くんったら、、、そんなに  あっ、、、
 私の胸が気になるのぉ?」

大河原本部長も叫んだ。

「ぬおおおおっ!本部長アタッーーーク!」

堅物の本部長も理性を失い、馬鹿なことを口走り、
杏奈ちゃんの太ももに顔面を押し付けて
狂ったようにニオイを嗅いでいる。

「うふふふっ!二人とも 超ヘンタイ!最低!
 
 でも今日はサービス!

 わたし、女の大安売りしちゃうね!えへっ♡」

乱れ狂う3人ー。

俺にはもう理性など無かった。

ただ、このエデンを味わい尽くしたい。

杏奈ちゃんの髪の毛を思いっきり嗅ぎまくり、
激しいキスをかわし、
全てをしゃぶりつくした。

大河原本部長もそうだった。

「はぁ…はぁ…」

時間は4時。
そろそろヤバい時間だ。

人も次第に増えてくるかもしれない。

「---ふふっ…じゃあ、本業させてもらおうかな」
動きやすさを重視してだろうか。
ジーパン姿になった杏奈ちゃんが言う。

ちょうどぴったりと体のラインを強調しているジーパンは
また、美しいモノだった。

「ほ、、、本業…?」
大河原本部長が言う。

俺は、全ての事態を説明した。

「と、いうことなので、お金は頂きますね♪」
杏奈ちゃんが嬉しそうに言う。

眼鏡にヒビが入っているが、今の杏奈ちゃんは
そんなことも気にしない。

瑞月さんがお金を手に取り、外へと運んでいく。

「---憑依能力…そんなものが」
大河原本部長は放心状態で呟いている。

「俺と、大河原さんはもう一蓮托生ですよ。
 俺への処分は、、無しですよね?」

俺が言うと、大河原本部長はうなずいた。

お金を袋に詰め終わった
杏奈ちゃんが振り向いて笑う。

「---わたしが、仲間にお金を届けた後自首するか、
 それとも、あなたが私を助けるために、
 わたしの罪を被るか―?

 どっちがいい?」

ーーー前と同じだ。
いつもこの強盗は、、、いや、兄貴は選ばせてくれる。

優しい兄貴だ。

俺は答えた。

そう、答えは一つしかないからーーーー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あのあと、杏奈ちゃんと瑞月さんは逮捕された。

そして、俺はまた新しい女の子を採用した。
いつかまた、兄貴が来る日のためにー。

そして俺はあの日依頼、
大河原本部長と仲良くなった。

今では休みの日を利用して、夜の街に二人で遊びにいくぐらいだ。

・・・・。

杏奈ちゃんたちには可哀想な事をした。
けれどーーー。仕方ないよな。

シマウマだってたまにはチキンステーキを食べることもあるのだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1年後。

「---見つけた…」

路地を歩いていると、
俺は背後から呼びかけられて振り向いた。

そこにはーーー
1年前に強盗に憑依されてクビになった杏奈ちゃんの姿があった。

「---お久しぶりです 店長」
杏奈ちゃんが笑う。

「あ、、あぁ、お久しぶり」

そう言えば、憑依されている間の記憶が本人に残るって、
前に強盗が言ってた。

怒ってるだろうな…

「楽しかったですか?店長。
 わたしの体をあんな風に弄んで。
 
 わたしを酷い目に遭わせて」

冷静な口調で言う杏奈ちゃん。
俺は少しだけ微笑んだ

「うん、とっても楽しかった。ありがとう」

俺は”いれもの”に使われた体に
最大限の敬意を表して敬礼した。

「-ーーわたし…
 警察に捕まりましたよ」

杏奈ちゃんが言う。先週、ようやく出てこれたのだとか。

「大学は退学になりました。

 企業の就職もできなくなりました。

 彼氏にも捨てられました。」

淡々と言う杏奈ちゃん。

「親からは絶縁されました」

「友達からは見放されました」

「………何もかも…何もかも」

杏奈ちゃんが目から大粒の涙をこぼす。

「----あ、杏奈ちゃん」
俺の心に初めて”罪悪感”が生まれた。

「--ご、、ごめん…
 あんまりにも杏奈ちゃんが可愛かったから…つい」

俺はお詫びした。

「---だから、泣かないでくれー。」

俺は優しい言葉をかけた。

元バイトの悩みを聞いてあげるなんて!
優しすぎるぜ、俺!

やべっ!
あの日の杏奈ちゃんを思い出したら興奮してきたゾ?

「あ、もうそろそろ時間だから。
 コンビニ行かないと」

俺は笑みを浮かべると、
杏奈ちゃんも少しだけ笑った。

俺は今一度
神聖なる憑依に使われた体、杏奈ちゃんに向かって
敬礼した。

そして、
俺は踵を返して、裏路地の出口へと向かった。

背中に衝撃が走った。

「-----!?」

「私は、、、アンタを許さない!!!
 私の人生!!!返して!!返してよ!!!!!」

杏奈ちゃんが泣き叫んだ。

「-------え?」
俺は、、、、自分の背中から…
トマトジュースが噴き出しているのに気が付いた。。

そして杏奈ちゃんの手にはナイフが…。

「---え…??え…??? えぇ・・?」

なんだこれ・・・?

なんなんだ…???

よくわからない…。

トマト…???
トマト…・・・

違うこれは…?

血…俺の…血…!!

急速に体から力が抜けていく。

「なんじゃこりゃあ!」

俺は叫んだー。

そして・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「張本くん、久しぶり」

俺は目を覚ました。

ーーーーうん…

「---はぁ…助かったのか」

俺はほっと胸をなでおろした。

まさか、杏奈ちゃんがあそこまで思い詰めていたとは。
最近の子は良く分からない!

「---ねぇ、張本くん、あっちにすっごく綺麗な
 花が咲いていたの!」

俺は思う。

ここどこだ? と。

植物公園か何かだろうか。

そして、俺は自分を呼ぶ女の子を見て、
懐かしさのあまり叫んだ

「ね…根岸さん!」

根岸 香苗(ねぎし かなえ)さん。

数年前、コンビニバイト時代に、一緒のバイト仲間だった子で、
俺の初恋の相手。

そして、強盗が初めて憑依した相手でもある。

あのあと、1回だけ根岸さんと会ったが
それ以降は疎遠になっていた。

共通の知り合いが「最近、根岸さんと連絡がつかない」などと言ってたが
元気だったようだ。

「---張本くん!こっちこっち!綺麗なお花が咲いてるよ!」

根岸さんが手招きする。

小さな橋を渡れば、根岸さんのところに行ける。

「--すげぇぜ!久々のネギタイムか!」
俺は叫んだ。

一面の綺麗な花々。

そして、根岸さん。

さらに、向こうにはさらに綺麗な花が咲いているのだという。

そうか。ここが本当の楽園(エデン)か。

「根岸さん!今行くよ!」
俺は叫んだ。

根岸さんがほほ笑むーーー。

俺はこの時気づけなかったー。

根岸さんが”不気味”に微笑んだことを。

そして俺はーーーーー
根岸さんに”連れて”いかれたーー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

最後のは…どういう意味かご想像にお任せします。

根岸さんとは「私が強盗1」で憑依された子です。
彼女も人生滅茶苦茶にされた、と嘆いていましたが、

こうして、張本くんの前に姿を現したということは…??

あれこれ想像してみるのも楽しいかもしれませんよ(笑)

あえて明言しないでおきますね。
ありがとうございました!

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憑依<私が強盗>

コメント

  1. 匿名 より:

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    これで張本くんにも憑依能力が(ポジティブ)

  2. 無名 より:

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    > これで張本くんにも憑依能力が(ポジティブ)

    彼が憑依能力を手に入れてしまったら
    それこそ悲劇が起きそうですね…

  3. 柊菜緒 より:

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    これは地獄に突き落とされそう( ˘ω˘ )
    (文字通り)

  4. 無名 より:

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    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > これは地獄に突き落とされそう( ˘ω˘ )
    > (文字通り)

    エデンには行けないでしょうね~笑
    そもそも死んだのかどうか…?