<憑依>お別れ屋③ おわかれ (完)

憑依能力を駆使して、男女の仲を裂くビジネスを始めた
謎の男”お別れ屋”

しかしー
彼のもとに、捜査の手が迫っていた。

-------------------------–

お別れ屋は、
女子大生からの依頼を終え、一息ついた。

鏡で自分の顔を見る。

一見すると、普通の可愛らしい女子高生。
制服を身にまとい、ほほ笑んでいる姿はまさに、、
女子高生そのものだった。

ーー赤岩 歩美(あかいわ ふみ)
この子が中学3年の時にお別れ屋は帰宅中のこの子を
拉致した。

そしてー
そのまま体を乗っ取ったのだ。

”最後の顔”が忘れられない。
恐怖に顔をゆがめー、
泣きじゃくっていた歩美ー。

それを、全て奪ってやったー。

今では歩美は女子高生へと成長し…
妖艶に笑みを浮かべているー。

そう、彼女の人生も、体も、声も、思考も、
何もかも奪ってやったのだ。

「---でも、私は幸せ」
歩美はそう呟いたー。

歩美は高校には通っていない。

コスプレグッズをネットで注文して、それを着ているだけだ。

「---ん?」
お別れ屋…歩美は、ふと監視カメラに目をやる。

つい先日解決させたはずの”お別れ依頼”の依頼人である
女子大生がカメラに写っていた。

「---何のようかな?」
歩美が笑みを浮かべながら、監視カメラごしに話しかけた。

「--この前のお客様ですよね?
 どうかなさいましたか?」

自称・女子大生の彼女は、

彼氏を略奪されたから取り戻したいー。
彼女との仲を引き裂いてくれーーー

との依頼をお別れ屋にしてきた。

そして、お別れ屋はそれを引き受け、
いつものように憑依能力を駆使して片づけたのだった。

だが、その彼女が何のようなのか。
また別のカップルでも別れさせてほしいのだろうか。

「---お別れ屋さん」
彼女は微笑んだ。

「-ーーーーーー」
お別れ屋・歩美は、髪をいじりながら監視カメラ越しに返事をする

「はいー?」

すると、依頼人の女子大生が、
とあるモノを手に持ち、カメラの方へと向けたー。

”警察手帳”

手島 佐緒里(てじま さおり)
23歳の捜査員だったー。

「------!!!」
お別れ屋は目を見開いた。

「---お別れ屋…
 あなたを逮捕します」

彼女はーー
女子大生などではなかったー。

警察の特殊犯罪を扱う、秘密裏に結成された
チームの一員ーー。

店内に、2名の捜査員がなだれ込んでくる。

そして、
お別れ屋が居る部屋の扉が力強くノックされる。

「くそっ…!アイツ、女子大生じゃなかったのか!」
歩美が悔しそうに、歯ぎしりしながら呟いた。

「---くふふ・・・くふふふふふふっ!」
だが、歩美は不気味に笑い始めたー。
表情をゆがめー。
可愛らしい表情を精一杯に歪めてーーー

「--あはっ、、、あはははっはははははははっ!」
笑い続ける歩美ー。

「---そんなで私を追いつめたつもりなのかしら…
 あはははっ、、、あは、、、うふふふふふっ!」

捜査員たちを監視カメラで見つめながら
大笑いする歩美ー。

歩美は引出からとあるモノを取り出したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「動くな」

捜査員が銃を構えて、
お別れ屋・歩美に迫る。

歩美は捜査員に背中を向けたまま、
振り向こうともしない。

男の捜査員二人と、
依頼人のふりをしていた女子大生風の
捜査員も、歩美を睨んでいる。

「---それで、私を追いつめたつもりー?」
歩美が笑う。

そして、振り向いた。

歩美の手には刃物が握られている。

「---無駄な抵抗はよせ」
男の捜査員が言うと、歩美は笑った。

「ねぇ…あなたたちがどこまでつかんでいるか
 知らないけどーーー。」

歩美がバカにしたようにして笑う。

捜査員は言った。

「赤岩歩美ー。
 憑依能力を使い、彼女の肉体を乗っ取って、
 その体を使い、
 違法に”お別れ屋”を営業している。
 
 次々と人々の体を乗っ取って好き放題している
 ことも既に確認したー。」

歩美は満足そうに、
笑みを浮かべて頷いている。

「---あなた、何とも思わないの!
 無関係な人間をそんな風に利用して!」

依頼人に成りすましていた女性捜査員・佐緒里が叫ぶ。

「早く歩美ちゃんを解放しなさい!」

佐緒里が叫ぶと、
歩美は笑った。

「ーーー体は盗ったもの勝ち…。
 ホラ、見て、わたし、今、こんなに楽しそうに笑ってる…

 歩美は幸せなのよ…うふふ・・」

歩美が挑発的に言うと
佐緒里が叫んだ

「ふざけないで!
 どこまでその子を弄べば気が済むの!?

 ご両親も、心を痛めてる!
 アンタはーーー本当に何とも思わないの!?」

佐緒里が叫ぶ。

だが歩美は、自分の胸を弄び始めた

「憑依能力ってすごいと思わなぁい?
 こんな可愛い女の子だって、ぜーんぶ自由!
 それも、この子が絶対にしないことを
 この子は喜んでやってる!

 すっごいよねぇ…」

歩美の言葉に3人の捜査員は、顔をしかめる。

彼らはー
表ざたに出来ない事件を”秘密裏”に処理するために
結成された特殊チームだ。

いざとなれば”発砲”して、
その発砲の事実ごと消し去る許可も貰っている。

「----人間なんてみんな外しか見てない。
 私が憑依して、ちょっと滅茶苦茶にしてやるだけで
 簡単に”お別れ”するー」

歩美が顔をゆがめながら笑う。

「たまんねぇよなぁ!」
舌で唇をなめながら大笑いする歩美。

「---御託はそれだけか」
捜査員のリーダー格の男が低い声で言った。

「え?」
歩美が間抜けな声を出す。

「--赤岩 歩美…
 いや、お別れ屋 遠藤 茂一(えんどう しげいち)
 もう逃げ場は無い」

遠藤 茂一。

お別れ屋の本名。

捜査員たちは、お別れ屋の実態を完全につかんでいた。

「---あはっ、、あはははははは!
 俺の名前知ってるんだぁ!」

歩美がイライラした様子で髪の毛をかきむしりながら
叫んだ。

「-ー憑依って最高だよなぁ!
 ホラ!こーんな風に…」

歩美は自分の服や手、髪のニオイを嗅ぎ始めた。

「---何をしている!」
若手の捜査員が叫ぶ。

イヤらしく音を立てながら自分の綺麗な白い手の
ニオイを嗅いで、
うっとりとした表情を浮かべる

「女の子のニオイだー」

お別れ屋・歩美は涎を垂らしながら
口元をゆがめた。

「俺さ、この憑依能力を手に入れたとき、
 ビジネスに使えると思ったんだよ。

 その結果始めたのがこのお別れ屋。

 でもさぁ、それだけじゃ物足りなかったんだよなぁ…。
 最初は自分の体でこの店、やってたんだけどさ…

 そのうち、俺も体が欲しくなった」

歩美が顔を赤らめながら言う。

「そう考えているときにさぁ、
 このエッロイ”いれもの”が俺の前を通ったんだよねぇ!

 だ・か・ら!
 こんな風に体を奪ったってわけさ!

 俺の魂の新しい”いれもの”をなぁ」

ゲラゲラと笑い転げる歩美。

「--あんた、それでも人間なの!?
 人でなし!」

女性捜査員・佐緒里が叫ぶ。

「--ヒヒっ」
…手を口に咥えながら不気味に笑う歩美。

「はぁぁ…女の子の手の味…
 おいしいなぁ…」

お別れ屋が笑う。

お別れ屋は歩美の体を乗っ取ったあとも、
自分の体には気をつかった。
せっかく手に入れた女の子の体も、手入れをしなければ
その魅力が半減してしまう。

「---終わりだ。観念しろ」
リーダー格の捜査員が言う。

「-ー30秒待ちます」
若手の捜査員が銃を構えて言う。

「--歩美ちゃんを解放しなさい!」
女性捜査官・佐緒里が言う。

「---あはっ、、あはっ…
 あはははははははははははっ!!!」

歩美が大笑いして叫ぶ

「30秒以内にこの女の”いれもの”解放
 しなかったら、何するってんだよ?
 え?言ってみろよ!」

歩美が挑発的に言う。

「ーーー憑依している状態で、その体が死ねば
 お前も死ぬ」

リーダー捜査員が言う。

「--頭を撃ちぬいて、その体ごとお前を殺す」
鋭い口調だった。

「---ひ…酷い…」
歩美が涙を流す。

「わたし…わたし…死にたくない!」

その”演技”に
女性捜査員の佐緒里が少しうろたえる。

「無駄だ」
リーダー捜査員が言うと、

歩美は笑い出した。

「いいのかよ!?この女ごと撃てるってのか?
 あ????
 撃てるもんなら撃ってみろよ!」

歩美が、可愛らしい声で怒声をあげるー。
だが、その声のせいで、あまり迫力はない。

「あと10秒ー
 俺は、撃つ」

リーダー捜査員は言う。

彼は思う。

ここで逃がせばー
あと何人”お別れ屋”の被害に遭うのだろうかーーー と。

だから、ここで仕留めなくてはならない。

既に、お別れ屋の体ー
つまり、遠藤茂一の体は抑えてある。

遠藤が、元の体に戻った瞬間、
強制的に安楽死させる手はずだー。

そしてー
もしも遠藤が、歩美を解放しないのであれば、
可愛そうだが、歩美ごと射殺する

「まじかよーー
 いかれてるぜアンタら…」

そう言うと、歩美が突然倒れた。

「----歩美ちゃん!」
女性捜査員が歩美の方に駆け寄る。

歩美は白目を剥き、
泡を吹いて痙攣している。

”お別れ屋”の憑依の影響から
”完全”に解放されたことを意味する。

憑依されていた期間が長かったからだろうか。

痙攣がひどく、
うめき声をあげながら、歩美の体が激しく震えている。

「---ひどいなこりゃあ」
若手捜査員が言う。

「---」
リーダー格の捜査員はただちに連絡を入れた

「俺だ。
 お別れ屋ー。
 いや、遠藤が、体に戻るぞ。

 戻った瞬間に”処理”しろ」

彼は部下にそう指示をした。

別の場所で、彼の部下が確保したお別れ屋本来の体、
遠藤茂一を即座に安楽死させるためスタンバイしていた。

「---それと…」

ーーーーーー?

リーダー格の捜査員の体に鋭い痛みが走った。

「-----うっ…」
捜査員が振り返ると、そこにはーーー
笑みを浮かべたーーー
同僚の捜査員・佐緒里の姿があった。

佐緒里の銃から煙が出ている。

「---お前・・・何を…」
リーダー格の捜査員が言うと、佐緒里は
髪をかき上げて笑った。

「誰が自分の体に戻るって言ったよ?バーカ!」
佐緒里が叫ぶと、再び銃が放たれて、リーダー格の捜査員は倒れた。

「さ、佐緒里さん!」
若手の捜査員が慌てて銃を向けたが、間に合わず、
頭を撃ちぬかれてその場に倒れた。

「ひひひひひひひ…いい体じゃないか」
新しい”お別れ屋”となった佐緒里が不気味にほほ笑む。

自分の服をはだけさせて、
自分の下着をわしづかみにすると、そのニオイを狂ったように
嗅ぎ始めた。

「んっ…はぁぁ…
 いい香り…」

佐緒里のその姿は、完全に変態そのものだった。

そしてー

「ふふっ…ちょうど、そこの”いれもの”の賞味期限も 近かったし、
 新しい”いれもの”使うことにするわね…ふふっ!」

佐緒里が嬉しそうにスキップする。

そしてーー
痙攣している歩美の体に近寄ると、
その上にジャンプして飛び乗った。

グキッ、と嫌な音が歩美の体から聞こえた。

そしてーー、
「今までありがと!ありがと!ありがと!」と佐緒里は叫びながら
何度も何度も、その綺麗な足で、歩美の体を踏みつけた。

力強く。

人生をー
人間の尊厳を踏みにじるかのように。

そしてーーー

ボロボロになった歩美の体は動かなくなった。

「はぁーっ、、、はぁーっ」
佐緒里は狂った表情で”亡骸”になった歩美を見つめた。

「あはははははっ、あはははははははは!」
佐緒里は笑うー。

そしてーーー
3人の遺体を見つめながら呟いた。

「あなたたちとは”おわかれ”よ」

そして、前を見て笑う。

「”お別れ屋”はもうおしまいー。
 今度は私・・・憑依能力を使って
 ”レンタルエッチ屋さん”はじめちゃうね。。

 ふふふっ…
 あは、あはははははははは!」

佐緒里は”お別れ屋”の建物を笑いながら後にしたー。

その後のお別れ屋ーー
遠藤 茂一の行方は誰も知らない・・

だが、
彼は今もどこかで、何らかの”憑依ビジネス”に
手を染めている…

”光”の届かないどこかでーーー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

捜査員さん…
油断してしまいましたね…。

憑依能力者を前にした時は、、、
何が起こるか分かりません!

ご覧いただきありがとうございました!

憑依<お別れ屋>
憑依空間NEO

コメント

  1. 匿名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ぜひ続編もお願いします

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > ぜひ続編もお願いします

    ありがとうございます!
    機会があれば書きたいと思います!
    気長にお待ち下さい!!

  3. 柊菜緒 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    完全”に介抱された
    介抱→解放

    捜査員も詰めが甘い┐(´д`)┌

  4. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 完全”に介抱された
    > 介抱→解放
    >
    > 捜査員も詰めが甘い┐(´д`)┌

    私も詰めが甘かったです(笑)

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