とある新婚夫婦。
今日はその結婚式の日。
しかしー
”悪魔のドレス”が思わぬ悲劇を引き起こすー。
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「じゃあまたあとでね!」
可愛らしい女性がほほ笑む。
彼女の名はー
桐谷 美沙(きりたに みさ)
大学を卒業したばかりの彼女は、
同じ大学の幸也(ゆきや)と結婚したー。
大学で出会い、二人は将来を誓い合った。
そして、卒業を機に結婚することを約束し、
今日、その約束を果たす日がやってきたのだー。
「---ふぅ…」
幸也や息を整えた。
まさか、自分が結婚することになるとはなー。
しかも、大学の中でも美人、、いや、
どちらかと言うと可愛い、という言葉が似合う
美沙と結婚することになるなんて。
”俺は一生結婚なんかしない”
幸也は小さいころから親にそう言ってきた。
親も、一向に彼女も作ろうとせず、スポーツに打ち込む幸也を見て
諦めているようだった。
しかしー。
転機は訪れた。
美沙と大学行事で出会ったとき、幸也は、
宇宙がひっくり返ったような衝撃を受けたー
そう、ひとめぼれだった。
幸也は人が変わったようにアプローチをしかけ、
晴れて美沙と付き合うことになったのだった。
その後、二人は順調に交際を続け、幸也がプロポーズ。
双方の両親の総意として、
”大学卒業というケジメ”をつけたら結婚を認める、
ということで、今日、ようやくその式を挙げることになったのだった。
「---人生、何があるか分からないよな!」
幸也は一人微笑むと、
美沙がウェディングドレスに着替えて出てくるのを
楽しみに待っていた。
そう。
人生何があるか分からない。
人生、何があるか…。。。
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控室に入った美沙は微笑む。
「---あぁ…緊張するなぁ…」
美沙は、緊張しやすいタイプのドジな一面を持つ子だった。
普段はおしとやかで落ち着いた感じなのだが、
緊張すると暴走して、ドジを踏んでしまう。
美沙はそんな子だった。
「---あれ?」
ふと、美沙の視界に
”赤いドレス”が目に入った。
「こんな、ドレス、さっきまであったかなぁ…?」
真っ赤なドレス…
まるで、血の色のように…。
「---でも、私が着る予定のドレスはこっちだしなぁ…」
スタッフが来るまでまだ少し時間がある。
「---」
美沙は何故か無性にそのドレスが着たくなった。
不思議と、、
吸い込まれるように…。
「---ちょっとだけ!」
美沙は微笑んで、その赤いドレスを身に着ける。
ドレスを着るなんて初めての経験。
だがー
不思議と、
”赤いドレスに操られているかのように”
そのドレスをスムーズに身に着けることができた。
「---うふふ…」
美沙が鏡を見て微笑むー。
自分でも綺麗だと、そう思ってしまった。
「---」
こんな姿を見せたら、幸也は喜んでくれるだろうか。
真っ赤なドレスの色が、美沙の肌をより綺麗に演出してくれるー。
「ふふっ…
幸也との結婚式、楽しみ♡」
ふと、美沙が時計を見た
「あ、いけない!そろそろ時間ね!」
美沙は赤いドレスを脱ごうとしたーーー
その時だった。
突然、金縛りにあったかのように体が動かなくなる。
”ふふふ…
今度の洋服はあなたね…”
頭の中に声が響き渡った。
「---えっ…な、、なに?」
美沙が驚いた表情で周囲を見渡すが誰もいない。
”ふふふ…どこを見ているの?私はここよ”
美沙は驚いた表情でドレスを見たー。
「ま…まさか」
”そう”
声の主はドレスだった。
”あなた、今、幸せの絶頂よね?
うふふ…いいじゃない、幸せそうで”
「---あ、、ありがとう」
美沙はドレスに対してお礼の言葉を述べた。
頭が混乱していて、パニックになっている。
”うふふ…可愛いわね。
私もね…そうだった”
ドレスが語り出した。
”私もねー、
10年前結婚式をするはずだった”
「だったー?」
美沙がドレスに対して話しかける。
”そう。
でもねーーーー”
しばしの沈黙。
「----」
美沙が緊張した様子でドレスを見つめる。
”-結婚式の式場に向かう途中…
交通事故にあって……
結婚式に出られなかった”
「---えっ?」
ドレスから聞こえている声は、
死んだ人間の幽霊かなんかなのだろうか。
”あのときね、私…
暴走車に巻き込まれて、吹き飛ばされた…。
血まみれになった自分の体を見て、
私は結婚相手の彼の名前を呟き続けた…
でも…
ダメだった。
私の血は止まらなくて…
真っ赤になっていって…
私、、、そのまま死んじゃったの…”
「---辛い話ですね」
どこか天然な美沙は真剣にその話を聞いていた。
”でもねー。
未練を残して死んだ私の怨霊はこの世に残ったの。
こうして、時々”赤いドレス”のカタチでこの世に
私は戻ってくるの”
「---そ、そうなんですか…」
美沙は苦笑いをした。
「あ、そろそろ時間なのですみません。
ドレス脱がないと…」
美沙がそう言ったその時だったー
”あんたみたいなー
幸せな新婦が憎い”
「え???」
美沙の表情に恐怖の色が浮かぶ…
”私は彼に見て欲しかった!
ウェディングドレスを着た晴れ姿を!
…私は!私は!見てもらいたいの!”
「お、、落ち着いて、、ドレスさん??」
美沙がおびえた表情で言うとドレスの声が
低い声になった。
”お前の体を貰って、
失われた10年前の結婚式を
私がするの!”
「ひっ…な、、何言ってるの?」
美沙がおびえきった表情で言うと、
赤いドレスから赤いドロドロした液体のようなものが飛び出した。
「--きっ…きゃあああ!」
美沙は叫ぶが、
ドレスからドロドロと溶けだした赤い物体はそのまま美沙の口を
強引にこじ開けて口の中に侵入した。
次から次へと、赤い液体が、美沙の体内に入っていく
「ごっ…ごぼぼっ、、や、、やめ、ぼっ、、、や、、やめえ、、やめぼぼぼっ…」
美沙の口が強引にこじ開けられ、
ありえない量の赤い液体が体内に侵入していく。
あまりの苦痛の美沙は涙や冷や汗を流しながら、
その場に膝をついた。
だがーーー
赤いドレスの溶けだした一部は、
さらに美沙の体内に入っていく。
「がぼっ ごぼっ、、、ひっ、、、ぐぼっぼっ」
美沙の喉が異様な形に盛り上がっている。
美沙はその場で転がりまわった。
「が…ぎっ…ひっ…ひっ…」
腹部からごぼごぼと言う音が聞こえる。
「---ひっ……桐谷…さん?」
会場のスタッフがたまたま入ってきた。
「----ごぼ、、、ぼ、、ごんがいの服も…
ながなが…ぐぼ、、、いいねぇ…うふふ…」
美沙が不気味に、喉からごぼごぼ音を立てながら
笑った。
「---ひ、、、き、、、桐谷さん…?」
怯えるスタッフを見て、美沙は笑った。
「見ましたねー?」
美沙がほほ笑んで、大口を開くと、中から赤い触手のようなものが出てきた。
「ががががっ、、みだら…
死んで…ぼらわなきゃぁ…」
触手を口から出しながらだらしなく顔をゆがめる美沙。
「いやあああああっ!」
悲鳴を上げたスタッフは触手に貫かれ、、
貫かれた瞬間、急速に体が老化し、
干物のようになってその場に倒れた
「うふふふふ…
私の養分…」
美沙が不気味にほほ笑んだ。
ドレスを着た自分を見て、美沙は微笑んだ。
「ーーー私を着ているのはあなたじゃない。
私があなたを着てるの… うふふふ♡」
ドレスの意識に憑依された美沙は、
不気味にほほ笑みながら会場へと向かった…
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式場前で合流した幸也と美沙。
美沙の赤いドレス姿を見て幸也は驚く。
「あれーー凄いな、なんか」
幸也の言葉に美沙は微笑んだ
「うふふ…♡」
色っぽく微笑んだ美沙に、
幸也はドキッとしながら、顔を赤らめた。
そしてー
二人は式場へと入場した。
新郎新婦の入場。
二人はゆっくりと会場へと入る。
美沙と幸也の関係者たちが惜しげのない拍手を送る。
美沙が赤いドレスを着ていることに驚いた
家族や親戚もいるようだが、
「綺麗…」という声があがっており、好評のようだった。
美沙も得意げな表情でその言葉に聞き入っている。
その時だった。
「ねぇ…私、綺麗?」
美沙が突然、幸也にそう尋ねた。
可愛らしい顔、
綺麗な肌ー。
そして真っ赤なドレス。
まさに、幸也にとっては女神のようだった。
「あぁ、綺麗だよーーー
美沙。」
”美沙”
「-----」
その瞬間、美沙の表情が曇った。
「---ど、どうかしたのか?」
あからさまに不機嫌になった美沙を見て、幸也が戸惑う。
「えっ…どうかしたか?」
幸也が訪ねると、美沙は不気味微笑んだ。
「もう1回聞くけど…。
”私”綺麗だよね?」
美沙の言葉の意図が分からず、
幸也はもう一度はっきりとした口調で言った。
「---もちろんだよ。
何回聞かれても”美沙”は綺麗だよ」
”美沙”
…ゴボッ…
美沙から変な音が聞こえた。
「----美沙?」
幸也が美沙の様子を心配して言うと、
美沙が突然大声をあげた。
「”服”の方ばっかみてんじゃねぇーよ!
私が綺麗かどうか聞いてんだよ!」
ーーーーー!?
おしとやかな美沙とは思えない言葉。
そして美沙は自分の赤いドレスをわしづかみに
して言った。
「もう1回聞くわ…”綺麗”よね、わたし…?」
美沙の目が狂気に染まっている。
出席している親戚・家族・友達が戸惑っている
「き、、綺麗だって!美沙!落ち着けよ!」
幸也が言うと、
美沙はごぼごぼ音を立てながら言った。
「美沙美沙美沙美沙 うっせぇんだよ!
服ばっかほめてんじゃねぇよ、、ぐっ…うぇっ」
美沙が突然、喉を抑えて苦しみだした。
そしてーー
「いやああああああ!」
出席者が悲鳴をあげる。
「-----な、、、なんだよコレ」
幸也が驚いて目を見開く。
目の前の、、美沙の口から、
赤いドロドロした物体が、出てきていた。
口から繋がっているそれは、幸也の方を見つめている気がした。
「今…ごの女は、、、わ、わだしの服なの…」
大口を開けたままの美沙が、ごぼごぼ音を立てながら言う。
ガクガクと体が痙攣しているようにも見える。
「ーーふぐ、、じゃなぐくて、、、わだ、、わだしをほめなさい…
わだしを…」
赤いドレスを指さしながら言う美沙。
目からは涙がこぼれて、半分白目を剥いている。
「---美沙!美沙!」
「美沙!どうしたの!」
美沙の両親が叫ぶ。
「----みざじゃねぇってで、、、言ってるでしょうが」
美沙が大声で叫ぶと、
体を不気味に揺らしながら、両親の方を見た。
そしてーー
口から今度は赤い触手を吐き出すと、美沙の両親を襲い、
両親はその触手に縛られて動けなくなってしまった。
「----お前…なんなんだ」
幸也が唖然として聞く。
すると美沙は赤い物体をゴクンと苦しそうに飲み込み、ほほ笑んだ。
「わたし?
わたしは今、美沙の体を乗っ取ってる…いえ、
”お洋服”として着ているの…うふふふふふっ!」
ーーー幸也はドレスを睨んだ
「--…」
いや、そんなことがあるはずがない。
美沙がドレスに乗っ取られているなんて…
だが…
「私は結婚式をやり直すの…
あの日、できなかった結婚式をね…」
美沙が不気味に笑い、
幸也を睨みつけたー。
幸也はーーー
恐怖でその場から動くことができなかった…
②へ続く
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コメント
続きは明日です!
え?ダーク臭しかしない???
さて、どうでしょう!?
コメント
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暴走車……( ˘ω˘ )
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> 暴走車……( ˘ω˘ )
ダーク・ドライブの車かもしれませんね(笑)