<憑依>悪魔のドレス① ”血塗られた憑依”

とある新婚夫婦。

今日はその結婚式の日。

しかしー
”悪魔のドレス”が思わぬ悲劇を引き起こすー。

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「じゃあまたあとでね!」
可愛らしい女性がほほ笑む。

彼女の名はー
桐谷 美沙(きりたに みさ)

大学を卒業したばかりの彼女は、
同じ大学の幸也(ゆきや)と結婚したー。

大学で出会い、二人は将来を誓い合った。

そして、卒業を機に結婚することを約束し、
今日、その約束を果たす日がやってきたのだー。

「---ふぅ…」
幸也や息を整えた。

まさか、自分が結婚することになるとはなー。

しかも、大学の中でも美人、、いや、
どちらかと言うと可愛い、という言葉が似合う
美沙と結婚することになるなんて。

”俺は一生結婚なんかしない”

幸也は小さいころから親にそう言ってきた。

親も、一向に彼女も作ろうとせず、スポーツに打ち込む幸也を見て
諦めているようだった。

しかしー。

転機は訪れた。
美沙と大学行事で出会ったとき、幸也は、
宇宙がひっくり返ったような衝撃を受けたー

そう、ひとめぼれだった。

幸也は人が変わったようにアプローチをしかけ、
晴れて美沙と付き合うことになったのだった。

その後、二人は順調に交際を続け、幸也がプロポーズ。
双方の両親の総意として、
”大学卒業というケジメ”をつけたら結婚を認める、
ということで、今日、ようやくその式を挙げることになったのだった。

「---人生、何があるか分からないよな!」
幸也は一人微笑むと、
美沙がウェディングドレスに着替えて出てくるのを
楽しみに待っていた。

そう。

人生何があるか分からない。

人生、何があるか…。。。

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控室に入った美沙は微笑む。

「---あぁ…緊張するなぁ…」
美沙は、緊張しやすいタイプのドジな一面を持つ子だった。

普段はおしとやかで落ち着いた感じなのだが、
緊張すると暴走して、ドジを踏んでしまう。

美沙はそんな子だった。

「---あれ?」
ふと、美沙の視界に
”赤いドレス”が目に入った。

「こんな、ドレス、さっきまであったかなぁ…?」

真っ赤なドレス…
まるで、血の色のように…。

「---でも、私が着る予定のドレスはこっちだしなぁ…」

スタッフが来るまでまだ少し時間がある。

「---」
美沙は何故か無性にそのドレスが着たくなった。

不思議と、、
吸い込まれるように…。

「---ちょっとだけ!」
美沙は微笑んで、その赤いドレスを身に着ける。

ドレスを着るなんて初めての経験。

だがー
不思議と、
”赤いドレスに操られているかのように”
そのドレスをスムーズに身に着けることができた。

「---うふふ…」
美沙が鏡を見て微笑むー。

自分でも綺麗だと、そう思ってしまった。

「---」
こんな姿を見せたら、幸也は喜んでくれるだろうか。

真っ赤なドレスの色が、美沙の肌をより綺麗に演出してくれるー。

「ふふっ…
 幸也との結婚式、楽しみ♡」

ふと、美沙が時計を見た

「あ、いけない!そろそろ時間ね!」

美沙は赤いドレスを脱ごうとしたーーー

その時だった。

突然、金縛りにあったかのように体が動かなくなる。

”ふふふ…
 今度の洋服はあなたね…”

頭の中に声が響き渡った。

「---えっ…な、、なに?」
美沙が驚いた表情で周囲を見渡すが誰もいない。

”ふふふ…どこを見ているの?私はここよ”

美沙は驚いた表情でドレスを見たー。

「ま…まさか」

”そう”

声の主はドレスだった。

”あなた、今、幸せの絶頂よね?
 うふふ…いいじゃない、幸せそうで”

「---あ、、ありがとう」
美沙はドレスに対してお礼の言葉を述べた。
頭が混乱していて、パニックになっている。

”うふふ…可愛いわね。

 私もね…そうだった”

ドレスが語り出した。

”私もねー、
 10年前結婚式をするはずだった”

「だったー?」
美沙がドレスに対して話しかける。

”そう。
 でもねーーーー”

しばしの沈黙。

「----」
美沙が緊張した様子でドレスを見つめる。

”-結婚式の式場に向かう途中…
 交通事故にあって……
 結婚式に出られなかった”

「---えっ?」

ドレスから聞こえている声は、
死んだ人間の幽霊かなんかなのだろうか。

”あのときね、私…
 暴走車に巻き込まれて、吹き飛ばされた…。

 血まみれになった自分の体を見て、
 私は結婚相手の彼の名前を呟き続けた…

 でも…
 ダメだった。

 私の血は止まらなくて…
 真っ赤になっていって…
 私、、、そのまま死んじゃったの…”

「---辛い話ですね」
どこか天然な美沙は真剣にその話を聞いていた。

”でもねー。
 未練を残して死んだ私の怨霊はこの世に残ったの。

 こうして、時々”赤いドレス”のカタチでこの世に
 私は戻ってくるの”

「---そ、そうなんですか…」
美沙は苦笑いをした。

「あ、そろそろ時間なのですみません。
 ドレス脱がないと…」

美沙がそう言ったその時だったー

”あんたみたいなー
 幸せな新婦が憎い”

「え???」
美沙の表情に恐怖の色が浮かぶ…

”私は彼に見て欲しかった!
 ウェディングドレスを着た晴れ姿を!
 
 …私は!私は!見てもらいたいの!”

「お、、落ち着いて、、ドレスさん??」
美沙がおびえた表情で言うとドレスの声が
低い声になった。

”お前の体を貰って、
 失われた10年前の結婚式を
 私がするの!”

「ひっ…な、、何言ってるの?」
美沙がおびえきった表情で言うと、

赤いドレスから赤いドロドロした液体のようなものが飛び出した。

「--きっ…きゃあああ!」
美沙は叫ぶが、
ドレスからドロドロと溶けだした赤い物体はそのまま美沙の口を
強引にこじ開けて口の中に侵入した。

次から次へと、赤い液体が、美沙の体内に入っていく

「ごっ…ごぼぼっ、、や、、やめ、ぼっ、、、や、、やめえ、、やめぼぼぼっ…」
美沙の口が強引にこじ開けられ、
ありえない量の赤い液体が体内に侵入していく。

あまりの苦痛の美沙は涙や冷や汗を流しながら、
その場に膝をついた。

だがーーー
赤いドレスの溶けだした一部は、
さらに美沙の体内に入っていく。

「がぼっ ごぼっ、、、ひっ、、、ぐぼっぼっ」

美沙の喉が異様な形に盛り上がっている。

美沙はその場で転がりまわった。

「が…ぎっ…ひっ…ひっ…」
腹部からごぼごぼと言う音が聞こえる。

「---ひっ……桐谷…さん?」
会場のスタッフがたまたま入ってきた。

「----ごぼ、、、ぼ、、ごんがいの服も…
 ながなが…ぐぼ、、、いいねぇ…うふふ…」

美沙が不気味に、喉からごぼごぼ音を立てながら
笑った。

「---ひ、、、き、、、桐谷さん…?」
怯えるスタッフを見て、美沙は笑った。

「見ましたねー?」

美沙がほほ笑んで、大口を開くと、中から赤い触手のようなものが出てきた。

「ががががっ、、みだら…
 死んで…ぼらわなきゃぁ…」

触手を口から出しながらだらしなく顔をゆがめる美沙。

「いやあああああっ!」
悲鳴を上げたスタッフは触手に貫かれ、、
貫かれた瞬間、急速に体が老化し、
干物のようになってその場に倒れた

「うふふふふ…
 私の養分…」

美沙が不気味にほほ笑んだ。

ドレスを着た自分を見て、美沙は微笑んだ。

「ーーー私を着ているのはあなたじゃない。
 私があなたを着てるの… うふふふ♡」

ドレスの意識に憑依された美沙は、
不気味にほほ笑みながら会場へと向かった…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

式場前で合流した幸也と美沙。

美沙の赤いドレス姿を見て幸也は驚く。

「あれーー凄いな、なんか」
幸也の言葉に美沙は微笑んだ

「うふふ…♡」
色っぽく微笑んだ美沙に、
幸也はドキッとしながら、顔を赤らめた。

そしてー
二人は式場へと入場した。

新郎新婦の入場。

二人はゆっくりと会場へと入る。

美沙と幸也の関係者たちが惜しげのない拍手を送る。

美沙が赤いドレスを着ていることに驚いた
家族や親戚もいるようだが、
「綺麗…」という声があがっており、好評のようだった。

美沙も得意げな表情でその言葉に聞き入っている。

その時だった。

「ねぇ…私、綺麗?」
美沙が突然、幸也にそう尋ねた。

可愛らしい顔、
綺麗な肌ー。
そして真っ赤なドレス。

まさに、幸也にとっては女神のようだった。

「あぁ、綺麗だよーーー
 美沙。」

”美沙”

「-----」

その瞬間、美沙の表情が曇った。

「---ど、どうかしたのか?」
あからさまに不機嫌になった美沙を見て、幸也が戸惑う。

「えっ…どうかしたか?」
幸也が訪ねると、美沙は不気味微笑んだ。

「もう1回聞くけど…。
 ”私”綺麗だよね?」

美沙の言葉の意図が分からず、
幸也はもう一度はっきりとした口調で言った。

「---もちろんだよ。
 何回聞かれても”美沙”は綺麗だよ」

”美沙”

…ゴボッ…

美沙から変な音が聞こえた。

「----美沙?」
幸也が美沙の様子を心配して言うと、
美沙が突然大声をあげた。

「”服”の方ばっかみてんじゃねぇーよ!
 私が綺麗かどうか聞いてんだよ!」

ーーーーー!?

おしとやかな美沙とは思えない言葉。

そして美沙は自分の赤いドレスをわしづかみに
して言った。

「もう1回聞くわ…”綺麗”よね、わたし…?」

美沙の目が狂気に染まっている。

出席している親戚・家族・友達が戸惑っている

「き、、綺麗だって!美沙!落ち着けよ!」
幸也が言うと、

美沙はごぼごぼ音を立てながら言った。

「美沙美沙美沙美沙 うっせぇんだよ!
 服ばっかほめてんじゃねぇよ、、ぐっ…うぇっ」

美沙が突然、喉を抑えて苦しみだした。

そしてーー

「いやああああああ!」

出席者が悲鳴をあげる。

「-----な、、、なんだよコレ」
幸也が驚いて目を見開く。

目の前の、、美沙の口から、
赤いドロドロした物体が、出てきていた。

口から繋がっているそれは、幸也の方を見つめている気がした。

「今…ごの女は、、、わ、わだしの服なの…」

大口を開けたままの美沙が、ごぼごぼ音を立てながら言う。
ガクガクと体が痙攣しているようにも見える。

「ーーふぐ、、じゃなぐくて、、、わだ、、わだしをほめなさい…
 わだしを…」

赤いドレスを指さしながら言う美沙。
目からは涙がこぼれて、半分白目を剥いている。

「---美沙!美沙!」

「美沙!どうしたの!」

美沙の両親が叫ぶ。

「----みざじゃねぇってで、、、言ってるでしょうが」

美沙が大声で叫ぶと、
体を不気味に揺らしながら、両親の方を見た。

そしてーー
口から今度は赤い触手を吐き出すと、美沙の両親を襲い、
両親はその触手に縛られて動けなくなってしまった。

「----お前…なんなんだ」
幸也が唖然として聞く。

すると美沙は赤い物体をゴクンと苦しそうに飲み込み、ほほ笑んだ。

「わたし?
 わたしは今、美沙の体を乗っ取ってる…いえ、
 ”お洋服”として着ているの…うふふふふふっ!」

ーーー幸也はドレスを睨んだ

「--…」

いや、そんなことがあるはずがない。
美沙がドレスに乗っ取られているなんて…

だが…

「私は結婚式をやり直すの…
 あの日、できなかった結婚式をね…」

美沙が不気味に笑い、
幸也を睨みつけたー。

幸也はーーー
恐怖でその場から動くことができなかった…

②へ続く

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コメント

続きは明日です!
え?ダーク臭しかしない???

さて、どうでしょう!?

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憑依<悪魔のドレス>

コメント

  1. 柊菜緒 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    暴走車……( ˘ω˘ )

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 暴走車……( ˘ω˘ )

    ダーク・ドライブの車かもしれませんね(笑)