<憑依>マリオネット・ポゼッション②”玩具”(完)

”人形”の魂を憑依させられ、
人形になってしまった澪。

澪を思いのままに操る羽村。

最後に待ち受ける結末はー?

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うつろな目で前を向いたままの澪がつぶやく

「きょうからわたしー、はとりくんのおにんぎょうになります」 と。
その声には感情がこもっていない。
表情もうつろなままだー。

「おい!澪!澪!しっかりしろ!澪!」
良平は澪の肩をつかみ、澪の体を揺らした。

だが、澪は何の反応も示さない。

「邪魔だよ!」
羽村が笑いながら
手を動かす。

糸で澪の体を動かし、澪はその命令のまま
意思なく動き出した。

「や…やめろ!」
うつろな目の澪が良平の首をしめる。

「---がっ…み、、、澪!」
良平が必死に呼びかける。

だが、澪は呟くようにして言った。

「わたしは、おにんぎょう…」 と。

羽村の糸がどのような仕組かは
分からない。

だが、羽村はニヤニヤしながら澪の意思のない体を
自由に操って、良平を笑っている。

「や…やめ…」
意識が遠のく良平。

その直後、澪の手がほどかれた。

羽村がニヤニヤしながら澪の横に立ち、
澪の顎を持ち上げた。

「ダメじゃん、澪ちゃん
”元”彼氏、殺そうとしちゃ?」

羽村言うと、
顎をつかまれた澪で言う。

「はい…もうしわけありません」

良平は苦しみながら立ち上がると
羽村の方を睨む。

「何だその目は?」
羽村がバカにしたような目で良平を見下す。

良平の怒りは今にも爆発しそうだった。

澪の方を見る。

澪はうつろな目で、羽村にされるがままだ。
大事な幼馴染ー。
そして大事な女性でもある澪になんてことを…

「--わたしは…にんぎょうです」

澪が呟く。

羽村がニヤニヤしている。

「-ーーさて…と
 お人形さんで遊ぼうかな」

羽村はそう呟くと、
澪の前に立ち、澪を抱きしめると、
熱いキスをし始めた。

「ふへぇ…
 ファーストキスが澪ちゃんとなんて、
 光栄だぁ!」

羽村がクチュクチュと音を立てながら
澪の唇を奪っている。

「貴様ぁ!」
良平が叫ぶ。

だが、羽村は意にも介さず続けた。

「あっ…き、、きもちいいです
 もっと、、もっと!」

澪が言う。
相変わらず感情の無い声だが、
少し興奮しているのが分かる。

「---ふふっ…」
羽村が笑いながら良平の方を見た。

良平はチラっと図書室の入口の方を見つめた。

”先生か誰か来ないだろうかー”

「・・・」

だが、”来てほしい時に限ってこない”
”来なくていい時に限って来る”

人生とはそんなものだろう。

既に放課後の時間。
図書室も利用時間が過ぎた今、
ここには誰も来ない。

羽村のマリオネット・ワールドには、
羽村本人と人形にされた澪、
そして良平しかいないのだ。

「ーーーーーやわらけぇ」
羽村が澪の胸を触り始めた。

澪はされるがままー。
しかし、顔が少し赤みを帯びている。

「んっ…んあっ…♡」
澪が時々、感じているのか
喘ぐような声を自然と出している。

羽村はいやらしく、
胸を力強く触ったり、
先端の部分だけをいやらしく触ったり、
色々な反応を楽しんでいる。

澪の制服の上から、羽村は
その胸を堪能した。

「---貴様!ぶん殴るぞ!」
良平が声を荒げた。

だが、羽村は止まらない。

「なぁ、中尾くん。
 君は”このふくらみ”をどう思う―?」

羽村が澪の胸を触りながら語り出した。

「僕はこれを芸術だと思う。
 そう、男にはない芸術だ?分かるか。

 大きさで言えばサッカーボールより小さい。

 けれども、ここには無限の可能性がある」

羽村が語り続ける。

良平は叫んだ「イカレ野郎が!」と。

羽村は「褒め言葉だね」とつぶやき、
さらに続けた。

「オラ!オラ!」
と言いながら、澪の胸を乱暴に揉み解していく。

澪が体をブルブル震わせている。
その快感からか、口がだらしなく開き、
うつろな目のまま澪が涎を垂らしている

羽村が叫ぶ

「胸はな、女の子の”宇宙”だ!
 分かるか中尾くん!
 宇宙は謎に満ちている!神秘に満ちている!
 芸術に満ち溢れている!」

良平は顔を歪ませた。
”コイツはイカれているー” と。

正気の人間の言うセリフではない。
胸が宇宙だ?芸術だ?ふざけるな。
そんなことはどうでもいいから早く澪を返せ。

「---ヒャッハー!」

羽村はそう言いながら、澪の胸の谷間に
自分の顔を突っ込ませた。

「うひひひひひひひ
 へひひひひひひ!」

羽村が澪の谷間に顔を突っ込んだまま奇声をあげている。

「---いい加減にしろ!」
良平が近付き、羽村を澪から引きはがす。

「--ぐえっ!」
羽村が声を上げる。

床に押し倒された羽村は笑った

「ふひひ…君の彼女、凄いや…
 イイニオイだったぜ~むふふ」

そう言うと、羽村は糸で彼女を操り始めた。

「さぁて…、芸術の本質を見ようかな」

澪が、服を脱ぎ始めた。
うつろな目のままでー。

「おい!やめろ!澪を学校で裸にさせるつもりか?」

羽村は無言でうなずいた。

「--ふざけるなテメェ!」
良平が羽村に再び襲いかかる。

羽村に強烈なストレートを加えた良平。
羽村の体が吹っ飛び、図書室のカウンターに激突する。

「ふひ…ひひ…
 無駄だよ」

羽村が指を指す。

良平が見ると、澪は既に、全ての服を脱ぎ捨てていた。

良平は目を逸らしたー。

”自分の意思ではなく”服を脱がされた澪の姿はー
見るに堪えなかった。

「---全裸は芸術だ!」
羽村が唇から血を流しながら叫ぶ。

そしてーニヤッと笑った。

その笑みを見て、良平に”悪寒”が走った。
”コイツ、本当にやばいー”と。

澪がうつろな目のまま、ゆっくりとした足取りで、
図書室の非常階段のところに歩き出す。

「おい!やめろ!澪!」

”澪を全裸のまま外に立たせる気かー?”

良平はそう思い、澪を止めようとした。

だが、澪が「わたしのじゃまをしないで!」と感情なく言い、
良平を突き飛ばした。

澪はー、
非常階段に通じる扉を開けると、
そのまま外に立った。

幸い―、
図書室の非常階段は校舎の裏側で見ている人は少ないーーー。
だがーーー。

「----中尾くん。
 芸術の世界において、一番美しい瞬間ってなんだと思うー?」

羽村が笑う。

良平は羽村の表情を見て凍りついた。
”目が、死んでいるー”

「お前・・・何をする気だ?」
良平が恐る恐る言うと、羽村は笑った。

「芸術の一番美しい瞬間、それは”終わり”さ!

 僕さ、おばあちゃんが死ぬとき、
 病院で最後をみとったんだけどさぁ、
 おばあちゃんが死んだ瞬間、
 あの目を閉じて動かなくなった瞬間!
 興奮したよ。
 その場で1回抜いたぐらいだ」

良平は「バカかお前は!」と叫ぶ。

だが羽村は止まらなかった。

「だからー澪ちゃんには非常階段から飛び降りてもらう。

 そしてー、落ちた瞬間の澪ちゃんを
 僕が美しく絵にする!
 それが芸術だぁ!」

羽村は狂った声で笑った。

良平は澪の方を振り返る。

ここは4階ー。
まさかコイツー?

「澪!目を覚ませ!」
良平が叫ぶ。

澪は階段の手すりのほうにゆっくり歩いて行く。

「お人形さんが自殺するぞ!」
羽村が叫んだ。

良平が羽村の方を見る。

「ひとつだけいいコト教えてやるよ!
羽村が指を立てて笑う。

「この古文書の人形憑依・・・
 操ってる人形使いが死ぬと、
 もとに戻るんだよなぁ…。

 どうする?僕を殺せば澪ちゃん、助かるかもよ?」

羽村が”できるわけがない”という視線を良平に送る。

「---くっ・・・」
良平は歯を食いしばった。

澪が手すりを登ろうとしている。
止める手立てはないー

「さぁどうする!
 澪ちゃんを見殺しにするか!
 僕を殺して、君は犯罪者になるけど、
 澪ちゃんを助けるか!

 道は2つに一つだ!」

ーーー良平は二人を見る。

「---僕はここで殺されても構わない!
 自分が消える瞬間もまた、芸術だから!」
羽村が目を見開く。

澪が手すりにまたがって、いつでも落ちれる準備を整えた。

「さぁ…あと5秒…」

羽村がカウントを始める。

良平は目から涙をこぼしたー。

全裸で非常階段から落とされて死ぬ―
そんな悲惨な死に方があってたまるのかー?

「4---!」

だが、ここで羽村を殺したら俺は・・・

「3---!」

でも、澪が死んだら俺は一生後悔する…
だが…両親は俺が人殺しなんかしたら…
くそっ…俺は・・・

「2----!」

ゴメン澪…俺…
良平は”澪”を見殺しにするしかないと一瞬考えた。

だがーー

”将来、わたし、良平のお嫁さんになるね!”

幼稚園の頃のー澪の言葉が浮かんだー。

小学生、中学生、高校生。
ずっと澪は一緒だった。

走馬灯のように、想い出がよみがえるー

「1-----!」

そうだーーー
俺は自分よりも澪がーー

「うああああああああああ!」
良平が勢いよく走り、図書室のパイプいすをつかみ、
羽村の顔面に叩きつけた

「ひぎっ!」
羽村は勢いよく吹っ飛んだ。

「俺は、俺は!
 自分なんかよりも、
 何よりも澪が大事なんだ!」

良平は無我夢中で羽村の顔面に
パイプいすを叩きつけた。
鈍い音がするー

あれから何分たっただろうか…。。

良平が我を取り戻すと、
血だらけでーー
既に死んでいる羽村が横たわっていた。

「---いやああああっ!」
澪の声がする。

非常階段から駆け寄ってきた澪は、パニックになって
うずくまる。

良平は優しく澪に、澪が脱がされた服をかけてやった。

「---終わったよ。早くーー着ろ」
良平がほほ笑む。

澪が涙ぐんだまま言う。
「良平…?」

良平は優しく微笑むだけで何も答えなかった。

服を着た澪は、羽村の死体を見て声をあげた。

良平は目をつぶる。

「澪ーーーー
 澪が無事で良かったーー。
 
 ごめんなーーー」

それだけ言うと、警察官が駆け込んできたー。

良平はそのまま、警察に連行されたー。
涙を流しながら…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

後日。

教室では澪が良平の机を寂しそうに見つめていた。

「---中尾君、逮捕されちゃうなんてね。
 退学になるみたいだし…
 何で急に羽村君を殺したりなんかしたんだろう?」

クラスメイトの言葉に澪は「わからない…」と答えるのが
精一杯だった。

でも、澪には分かる―

”何か事情があったのだとー”

良平は、自分を助けようとしてくれたのだとー。

「ありがとう…良平…」
澪はそう優しくつぶやき、涙を流した。

だがーーー

その涙は”悲しみの涙”ではないー

”歓喜の涙”だー。

澪には分かるのだー
”自分を”

いや、
”澪”を助けようとして、良平が殺しをしたことがー。

「本当に、ありがとうー」

”澪”は不気味な笑みを浮かべたー
”今の自分”は良平のおかげで存在するー

澪は、心から良平に感謝したーー

この体も、この体の記憶もーーすべてはーーーー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

人形にはこんな言い伝えがある。

”人形使いの思念はーーー、
 死後、その人形に宿る―”

ーーーーと。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

最後のは…
何を示しているか伝わりましたでしょうか?

曖昧な表現ですが、皆様の想像力にゆだねます!

ありがとうございました!

コメント

  1. 柊菜緒 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    シチュエーションはいつものようにエロイです!
    殺されて意識が人形に移るところなんか特に!

    ですが、超個人的な理由で他のキャラ以上に羽村が大嫌いです( ˘ω˘ )
    超個人的な理由なのでお気になさらず。

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > シチュエーションはいつものようにエロイです!
    > 殺されて意識が人形に移るところなんか特に!
    >
    > ですが、超個人的な理由で他のキャラ以上に羽村が大嫌いです( ˘ω˘ )
    > 超個人的な理由なのでお気になさらず。

    ありがとうございます^^

    羽村は「殴りたくなるキャラ」として作ったので
    そう思っていただけたなら喜ぶべきなのだと思います(笑)

  3. 匿名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    こういうあえて表現せず分かる人にはどうなってるのか分かる終り方大好き

  4. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > こういうあえて表現せず分かる人にはどうなってるのか分かる終り方大好き

    ありがとうございます^^
    きっと、分って下さる人も多いと思います!