<憑依>マリオネット・ポゼッション①”人形”

人が「心」を失ったらどうなってしまうのだろう。

もしも、人形のように、意思のない存在になってしまったら…。
もしも、大切な彼女がー”人形”にされてしまったらー。

その時”奪われた人間”はどんな行動を起こすのだろう…?

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今日もいつも通りの日常が流れている。

高校生の中尾 良平(なかお りょうへい)は登校し、
自分のロッカーをいじっていた。

すると背後から声が聞こえた。

「相変わらず汚いのね…
 あんたのロッカー…」

「へ?」
良平が振り返ると、そこには
同じクラスの彼女・上里 澪(かみさと みお)が居た。

「ちょ、見るなよ!」
良平が言うと、澪は笑った。

「あんた、小学生の時から変わらないよねー」

澪と良平は
小学生時代からの幼馴染。

小学・中学・高校と一緒に居るうちに
いつしか幼馴染ではなく異性として意識するようになり、
お互いが付き合い始めたのだった。

「あー、良平、米粒ついてるよ!」
澪が指を指す。

「え、どこどこ?どこ?え?ついてねーと思うけど?」
良平が慌てた様子で口元を触る。

そんな様子を見て澪は
笑いながら「嘘よ、嘘―!単純なんだから!」と笑って
教室へと入っていった

「---って、俺を茶化すな!」
良平が澪の後姿に向かって叫んだ。

「ったく…しかも俺、朝 米喰ってねーし…。」

その日の朝食はアメリカンドックで済ませた。
米など食べてないのだ。

「はぁ…」とため息をつきながら教室に入る。

良平はふと
後ろの座席のクラスメイト、羽村 信一郎(はむら しんいちろう)が
描いている絵を見つめた。

羽村は芸術家気取りの変わりモノだ。
クラスでも少し孤立している。

「何書いてるんだ?」
良平が訪ねると羽村は笑った。

「ふふ・・・分からないのかい?」

その馬鹿にしたようなモノ言いに良平は少し腹が立った。

言葉を詰まらせていると、
羽村は得意げに語り出した。

「なぁ…人形って美しいと思わないかい?
 意識はそこにはない。
 けれども、その存在感は人間のそれよりも深いー。」

言っている意味がイマイチ分からないが、
良平はうなずいた。

「だろ!?君もそう思うだろ!中尾くん。
 僕はね…人形に無限の可能性を感じているんだ。
 
 ”汚れた人間の心”を人形のように、清くー
 美しくできたならー
 
 たとえば―
 君の彼女の上里さんとかねー?」

羽村が言う。

その言葉に良平は首を横に振った。

「やめてくれよ…
 澪をお前の悪趣味な趣味に付き合わせるのは…」

そう言うと、一瞬、羽村はむっとした表情を浮かべたが
すぐに笑顔を浮かべて笑った。

「ふふっ…大丈夫だよ、心配するな」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

昼休み。

職員室に用があって向かおうとしていた良平は
ふと図書室が目に入った。

澪は図書委員で、今日はちょうど当番だった。

図書室に立ち寄ると、澪が笑った

「あれぇ…また来たの?
 本なんか読まないくせに」

澪の言葉に良平は反論した。

「いやいや、俺だって読んだことあるし!
 ホラ、三国志とか!」

そう言うと澪は本を閉じて微笑んだ。

「ーー漫画のでしょ?」

その言葉に、良平は言葉を詰まらせた。

「くっーーー」

「図星ね」

澪が立ち上がり「何の用?」とほほ笑む。

「いや…ただ寄っただけだよ。
 これから職員室に提出物 提出しに行こうと思って」

「…ふーん…、そっか。
 あ、そうだ!今日、放課後 図書当番だから
 当番終わったらここで待ってるから。

 良平部活でしょ?」

澪が訪ねる。
良平と澪はいつも一緒に下校している。

口では憎まれ口を言うこともあるが、
自他共に認める”仲良し”だった。

「おうー分かった。じゃ、あとで…」

そう言い、良平は図書室から出ていく。

すれ違いざまに、クラスメイトの羽村が
図書室へと入っていった。

「---上里さん」
羽村がカウンターに歩いて行き、呟いた…。

「あ、羽村君。どうしたの?本、借りる?」
澪がほほ笑んだその時だったー。

羽村の手から、謎の紫色の物体が放たれた。

その物体は、澪の体へと吸収されていく。

「ひっ……!?・・・」
そしてーー澪の目から輝きが失われて
澪はうつろな目付きになった。

その様子を見て羽村は笑う。

「--ずっと憧れだったんだ。
 上里さん。
 君は僕が今まで出会った中でも一番美しい!」

羽村がイヤらしい表情で澪に顔を近づけた。
だが、澪は気にするそぶりを見せない。

羽村は呟いた。

「今日から―君は僕の”人形”だ」

そう言うと、羽村は自分の手から糸のようなものを出して、
澪に放つ。

遠くからは見えない、かなり細い糸だ。

そして、羽村は巧みに糸を操り、
澪の体を”人形の如く”操った。

澪の体が動き出す―。
いつものように何食わぬ顔で澪が本を読みだす―。

その様子を見て、羽村は不気味な笑みを浮かべた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

5,6時間目は体育だった。

授業を終え、教室に戻る良平。

教室で、ふと澪の方を見ると、
なんだかボーっとしているように見えた。

良平は心配になり、声をかける。

「なんか・・・ボーっとしてるけど、大丈夫か?」

しかし…澪は虚空を見つめて返事をしない。

「おい!澪?」

その言葉にやっと澪は良平の方を見てはっとした様子で笑った。

「あ、ごめんごめん、ボーっとしてた。。。
 大丈夫よ」

澪の笑顔に、良平は笑ってそのまま座席へと戻った。

良平は気づかなかった。
自分の背後の座席の羽村から、薄い、、触れることのできない
特殊な糸が澪に繋がっていることに。

「---」
良平は首をかしげた。

「そういえば、今、なんか滑舌悪くなかったか…?」 と。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

放課後。

良平が部活を終えて図書室に向かう。

澪の図書当番も終わった頃だろう。

「澪、お待たせ!
 さ、かえ…」

そこまで言いかけて良平は言葉を止めた。

澪がスカートをめくりあげて、うつろな目で立っているのだー。

「---み・・・お?な、何やってんだよ?」

だが、澪は反応を示さないー。
無表情で、自分のスカートを恥じらいもなく、
上にめくりあげている。

澪の下着が丸見えだー。

「ちょ、、、おい!やめろよ!何やって…」
良平がそう言いかけたその時だった。

「---邪魔しないでもらえるかな?」

良平がその言葉の聞こえた方向を見ると、
そこにはクラスメイトの羽村が居た。

羽村は何やら絵具やらなんやらを用意して
絵を書いているようだ。

「---ふふっ、芸術的だ」

良平がわけもわからず、羽村の絵を覗く。

そこにはー、
スカートをめくりあげた澪の姿が描かれていた。

「お、おい!貴様!
 澪に何をさせてるんだ!
 朝 言ったよな?
 澪を悪趣味に付き合わせるなって!」

その言葉を聞き、馬鹿にしたように笑う羽村。

良平は澪の手をつかんだ。

「澪、もういい。
 何か言われたんだろ。大丈夫だよ 心配すんな!
 俺が守るから」

良平が言うが、
澪はそのままうつろな目でスカートをめくったままだ。

「ふふ、もういいよ」
羽村が言うと、澪はスカートから手を離した
だが、その目はうつろなまま。

そのまま背中を丸めて、
だらんとした格好で立っている。

「お、、、おい、、、澪?」

「ははっ!」
羽村が”糸”を外すと、
澪はその場に力なく座り込んだ。

人形のように一点を見つめて…。

スカートがだらしなく乱れて、
澪の太ももが見えてしまっている。

「お、、おい!どういうことだ!」
良平が叫ぶと、羽村は笑った。

「僕の家にさー。
 代々伝わる”人形使いの古文書”があってさ。

 この前それを読んでたら見つけたんだよー

 ”人間を人形にする方法”をー。

 朝も言っただろ?
 人形は美の結晶だ。

 僕は前からねぇ、上里さんのことが好きだった。」

羽村の言葉に、良平は羽村を睨みつける。

「--あ、勘違いしないでよ。
 ”人”としてじゃない”芸術品”としてね。

 で、僕は古文書に封印されていた
 ”人形の魂”を手に入れた。

 それを上里さんに憑依させたんだよ。
 人形の魂に憑依された上里さんは
 今や人形だ。

 そしてーーー」

羽村の手から10本の糸が放たれた。

「この糸で!人形となった上里さんを
 自在に操ることができるんだよ!

 どうだ!美しいだろ!
 人形による憑依!
 
 これがー
 古文書”マリオネット・ポゼッション”の力さ!」

唖然とする良平。

だがー、意思なく座り込む澪を見て、
羽村の言葉を信じるしかなかった。

羽村が糸で澪を操って澪を立たせた。

澪の髪の毛を羽村がなでながら言う。

「あぁ…美しいよ上里さん…
 いや…澪」

羽村がイヤらしい目つきで澪を見る。

「やめろ!俺の澪に触れるな!」
良平が叫んだ。

だが、羽村は笑った。
眼鏡をいじりながら言う。

「おばあちゃんが言ってたんだよ…。
 ”芸術は奪い取るものだ”ってね…
 ふふふふふふっ」

羽村は澪の方を見た。

「だから、奪い取った」

そして、羽村は澪のその柔らかい唇に
自分の唇をそっと押し付けた。

羽村と澪のキス―。

「テ…テメェ!」
良平が羽村に殴りかかろうとする。

しかし、羽村は叫んだ。

「おっと動くな!
 彼女に言葉をしゃべらせることだって、自由に操ることだってできる!
 今、この場で彼女の服を脱がせて、
 彼女になきながら廊下へ助けを求めさせたら、
 どうなると思う?」

羽村が邪悪に笑う

「君はーー”ヘンタイ”扱いで退学だー」

そう言いながら羽村はしゃがんで、澪の足を
ベタベタとさわりながら、満面の笑みを浮かべた。

澪は嫌な顔一つ浮かべない。

続けて羽村は澪の太ももを舌で舐めはじめた。

「くっ・・・」
良平は拳を握りしめた。
”ヘンタイはお前だろうが!” 心の中でそう叫んだ。

そんな良平を見て、羽村は挑発を続ける。

澪の胸を羽村が触り、
いやらしく胸を揉み始めた。

うつろな目の澪が時々
「あっ♡ んっ♡」と
喘ぐような声をあげているー。

”人形”にされていても、その体が感じてしまっているようだ。

「その手を離せ!
 変態野郎!!!」

良平が叫ぶ。

「---おっと、言葉に気をつけろよ。
 この場で僕と上里さんがヤッちまうことだってできるんだよ?」

羽村は勝ち誇った表情で続けた。

「さて…君にも”人形憑依”の本当の素晴らしさ、見せてあげよう。
 これがーー芸術だよ!」

そう言うと、彼が手から放った糸で、
澪を巧みに操り始めた。

澪が口を開く。
「きょうからわたしー、はとりくんのおにんぎょうになります」

ーーーと。

②へ続く

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コメント

人形の魂を憑依させて操る…
無理やり憑依作品にしました(笑)

前からずっとスケジュール表にあったのに書かなかったのは
「どうやって憑依作品にするか」迷ってたためです(笑)

なんとか、憑依作品にできた(?)ので今回、
日の目を見ることになりました^^

続きは明日です!

コメント

  1. 柊菜緒 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    悪趣味な趣味に突き合わせる

    悪趣味な趣味に付き合わせる

    どうなってしまうのか……

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 悪趣味な趣味に突き合わせる
    > ↓
    > 悪趣味な趣味に付き合わせる
    >
    > どうなってしまうのか……

    誤字でした!修正します!

    マリオネット化能力も欲しい…笑

  3. 匿名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    人形化(+憑依)最高!

  4. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 人形化(+憑依)最高!

    ありがとうございます^^
    後編は今日の夕方に書きます!