とある高校で、
一人の男子高生が自殺をした。
そして、異変は起こり始めたー。
自殺した男子と同じ出身校の生徒たちに
異変が起きる―。
ホラーTSF、呪子高生 第1話です!
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「はぁ…大分遅くなっちゃったな…」
可愛らしい女子高生が夜の校舎で一人呟く。
2週間後に控えた文化祭の準備や、
委員会活動などで遅くなってしまったのだ。
夜の教室で荷物をまとめる彼女。
ガタッ
物音がした。
ビクッとして彼女は振りかえる。
ーーだが、そこには誰も居ない。
「き…気のせいだよね…」
彼女は怪談話の類が苦手だった。
よくクラスに居る彼氏にも、そのことをからかわれる。
「は、早くかえろ!」
荷物をまとめて教室の鍵を閉めて、
足早に駆け出す。
ガタガタっ…
しかし、今度は確実に物音がした。
教室のすぐ近くにある理科室からだ。
「---だ…誰か…いるの?」
彼女は恐怖を浮かべながら理科室の方を見る。
だが、反応は無い。
”ここで理科室を覗くと、
何かに巻き込まれるかもー”
彼女はそんな風に思った。
前に無理やり友達に見せられたホラー映画では
物音がした部屋を覗きに行った人が、最初の犠牲者になっていた。
”こういうときは、のぞかないー”
そう心の中で呟いて後ろを振り向くとーーーー
「ひっ!いやああああああああああ!」
彼女が悲鳴を上げてその場にしりもちをつく。
スカートが乱れる。
が、そんな事気にもせず、目に涙を浮かべながら
彼女は後ずさる。
そこにはーーー
生気のない、白目の男子高生の姿があった。
「----お前らーーー許さないーーー」
その男子高生は呟いた。
「ひっ…な、、、なに…」
泣きながら後ずさる彼女は、
その”白目の男子高生”の正体に気付く。
「い…いや…こ、、こないで!こないで!」
彼女は立ち上がり、逃げ出す。
しかし、逃げだした方向は理科室の方向。
理科室の扉を開けると…
その中にはーーー
首をつって、白目を剥いている
男子高生の姿があった。
白目の男子高生は笑う
「復讐だーーー!」
復讐だ!
復讐だ!
フクシュウダ!
部屋中のものがカタカタと音を鳴らし、
笑い声のような不気味な音をあげる。
彼女は涙ぐんで白目の男子高生の方を見た。
「や…やめてよ……やめてよ!
みんな、、、あなたのこと…!」
しかし涙ぐむ女子高生に近づくと、
彼は生気のない表情でニヤッと笑った
「体が無いと、復讐できないーーー
だから、、、からだ、もらうねぇ!」
そう言うと、手をブスッと、女子高生に差し込んだ
「いっ・・・いっ、、いや…は、、、入ってこないで……
やめて…!」
しかし白目の男子高生はそのまま彼女に
体を重ねていく。
「ふくしゅうだー!
君が僕の代わりに復讐するんだーーー!
僕は絶対ーーー
アイツらを許さないー
そしてーー
お前もだ!」
「あっ…あ・・・・あ、、、、あ」
体の自由が奪われていく。
思考が黒く塗りつぶされていくー
「や・・・め・・・・・・・」
体の中に何かが入ってくる感触。
それに合わせて、
思考にも影響が出る。
恐怖は無くなり、
彼女の脳裏が憎しみで支配されたーー
自分の全てが消えていきー
新しく生まれ変わるような感覚、
そんな感覚を味わいながら、彼女の意識は闇へと堕ちたー
そして、起き上がった彼女は
乱れたスカートを整えると、
ニヤリと笑いながら呟いた
「復讐のための”からだ”は手に入れたーーー」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
高校生、
堀江 清志(ほりえ きよし)はいつものように
登校して、教室の席につく。
隣の座席に座る女子、
間宮 萌美(まみや もえみ)が
「おはよう、清志!」と優しく微笑んだ。
萌美と清志は同じ中学校の出身で、
同じ美術部で活動するうちに仲良くなり、
今では彼氏と彼女の間柄だった。
「あ、おはよう 萌美」
清志が笑顔で返事をする
「お、今日も朝からラブラブか」
近くの座席の小久保 泰正(こくぼ たいせい)が冷やかす。
彼も同じ中学の出身。
「そんな冷やかさないでよ…
大体小久保くんにも彼女いるじゃんか」
清志はそう指摘した。
小久保には同じく同中学校の出身の
本松 亜季紗(もとまつ あきさ)という彼女が居た。
亜季紗は隣のクラスにいる子で、
活発なショートヘアーの生徒だ。
いつもこのクラスの教室に遊びに来ている。
「……私たちって、なんかいつも一緒にいるよね」
彼女の萌美がほほ笑む。
「そうだねー」
清志が言う。
そう言いながら清志は思うー。
この高校に清志と同じ中学の生徒はー
4人居るー。
彼女の間宮 萌美。
そして、友人の小久保 泰正。
その彼女の本松 亜季紗。
同じクラスのクールな女子 杉山 春歌(すぎやま はるか)
いや…正確には5人”居た”
今年の初め、2年に進級した直後に一人の生徒が自殺した。
自殺した生徒の名は「鴛海 竜二(おしうみ りゅうじ)」
そう、彼も清志と同じ中学出身だった。
だが、小久保が何かとちょっかいを出したり、嫌がらせをしていて、
その彼女の亜季紗も一緒になって嫌がらせをしたり
からかっているうちに、竜太は本気でそれを悩み
ついに、
”理科室で首つり自殺”してしまったのだー。
遺書はなかった。
けれど、清志には分かっていた。
小久保と亜季紗のちょっかいからエスカレートした嫌がらせが
彼を自殺に追いやったのだと。
だが、清志も、清志の彼女の萌美もー
何もできなかった。
「やめなよ~」とは言いながらも
本気で助けてあげることができなかった。
清志は、そのことをいつも気に病んでいた。
「ねぇねぇ、そう言えばさ~!」
教室に遊びに来ていた隣のクラスの
活発女子・亜季紗が彼氏の小久保に言う。
「なんか最近、噂になってるらしいよ!」
亜季紗が楽しそうに笑う
「あの自殺しちゃった もやし君!
理科室で化けて出るんだって~!」
亜季紗が言うと、彼氏の小久保が「や、やめろよ!」と怖がる。
もやし君。
自殺した竜二はひ弱な性格でよくそう呼ばれていた。
彼が自殺したあと、理科室に化けて出る、なんて噂もあったが
所詮噂は噂だろう。
オバケなんて、この世には居ないのだー。
「ホ、、ホラ…萌美も怖がるから」
清志が言う。
彼女の萌美は階段の類が苦手だ。
「--う、ううん、大丈夫!気にしないで」
萌美が笑う。
そんな萌美の様子を見て、亜季紗が笑う。
「だいじょーぶ だいじょーぶ!
あんな もやし君のおばけなんて出てきても
私が一息で吹き飛ばしちゃうんだから!」
「…ははっ」
清志は愛想笑いを浮かべてふと、彼女の萌美の方を見た。
萌美が怖い表情をして下を俯いている。
「---大丈夫?やっぱ怖い話はダメだよね?」
清志が言うと、萌美が笑みを浮かべて
「う、、うん、ちょっと怖くなっちゃった!」とほほ笑んだ。。
「まったく萌美は怖がりなんだからぁ…」
亜季紗が呆れたように笑った・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日。
清志が登校すると、
教室横の理科室に人だかりができていた。
泣いている生徒もいるー。
「--何かあったのかな?」
一緒に登校していた萌美が首をかしげる。
「うん?なんだろうね」
清志がそのまま自分の教室に入ろうとすると
萌美が「気になるなぁ…」と気にしているので
清志も仕方なく、萌美と一緒に理科室の人だかりを
覗きに行くことにした。
理科室に入ると、
そこにはーーーーーー
昨日まで元気だった女子生徒、
本松 亜季紗がーーー
首をつって無残な姿になっていた。
そしてその顔には
赤い文字で”怨”と刻まれていた。
「きゃあああ!」
萌美が悲鳴を上げる。
清志も動揺してその場に立ち尽くす。
「あの自殺しちゃった もやし君!
理科室で化けて出るんだって~!」
昨日、亜季紗が言っていた言葉を思い出す。
「----…こ、、、こんなことって」
清志が動揺する…。
ま、、まさかオバケが…?
そんな馬鹿な…
すぐに先生たちが駆け付け、生徒たちを理科室から追い出す。
その日は騒ぎとなり、授業は中止。
そのまま下校となったのだった。
「くそっ…くそっ…」
死んだ亜季紗の彼氏・小久保が言う。
「・・・小久保くん…」
清志はかける言葉を失う。
彼女が死んだ親友に…
なんて言葉をかければいいのだろうか…。
「…俺はゆるさねぇ!亜季紗は自殺なんかじゃねぇ!
誰かに殺されたんだ!」
わめく小久保。
握りこぶしを作り、怒りに身を震わせている。
「---う、、うん」
清志はうなずく。
自殺ではないー。
清志にもなんとなくそれは分かった。
けれどーー
あれはーーーー?
春に自殺した竜二君のーーー。
清志は、
昨日亜季紗が言っていた言葉
「あの自殺しちゃった もやし君!
理科室で化けて出るんだって~!」
が頭から離れなかった。
亜季紗が死んだのも理科室ー
そして死因はーー
そんなことを話していると
同じ中学出身の杉山 春歌が近付いてきた。
クールな性格の彼女は呟いた
「竜二君の、呪いじゃない?」
不気味に笑みを浮かべる春歌。
「ちょ、ちょっと!やめてよ!」
清志の彼女の萌美が怖がる。
「だってーー
場所も死に方も同じ…
それに、、顔に”怨”って書かれてたじゃない?」
春歌が続ける
「竜二君いじめてたのって、
たしか亜季紗とアンタだったよね?」
小久保を指さす春歌。
「---お、、おい 縁起でもねぇこというなよ!」
小久保がおびえた様子で言う。
「これはーーー復讐」
春歌が鋭い目つきで小久保を指さす。
整ったロングヘアーで、可愛いのだが
どこか冷たい印象を受ける春歌―。
その春歌が口にした言葉に、
清志も、小久保も、萌美も、恐怖を感じた
「---なんてね。
せいぜい気を付けることね」
そう言うと、春歌は荷物をまとめて足早に下校していった。
「…ま、、まぁ…萌美も小久保くんも気を付けようね」
清志はそう呟いた。
「…はぁ…」
校門前。小久保がつぶやいていると
小久保に一通のLINEが届いた。
そのLINEの画面を見た小久保は呟いた
「なんだって…???」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日。
登校すると、萌美が「おはよう」とほほ笑んだ。
清志も「おはよう」とほほ笑み返す。
クール女子の春歌がこちらを見ていたが
特に何も言ってこなかった。
「あれー?
今日はまだ、小久保くん来てないんだ」
清志が言うと、
担任の先生が入ってきた。
担任の表情は曇っている。
「----?」
清志がそんな先生の様子に気づく。
萌美も違和感を感じたようだー。
そして、先生は告げたーーー
「今日の早朝…理科室で
小久保のヤツが遺体で見つかった…」
ーーーー!?!?!?!?!?
クラスメイトたちがざわめく。
「小久保はーーバラバラにされてたよ…
そして…顔に”恨” と書かれてた…」
先生が言葉を失って涙を目に浮かべた。
「----そ、、、そんな…」
清志は動揺して言葉を失うー
亜季紗に続いて、小久保までー?
学校は緊急解散となった。
全員下校となり、警備員が増員された。
警察官の見回りも今日の夜からおこなわれる。
まだ昼前なのに下校することになった生徒たちー。
「--小久保に、亜季紗…
竜二君をいじめてたから、当然ね」
春歌は笑う。
「ちょ、、不謹慎だよ!」
清志が叫ぶと、春歌は首を振った
「だってそうでしょ?
あの二人がいじめてたんだから。
しょうがないんじゃない?
私は面倒事にはかかわりたくないから
関係ないし」
春歌はそう言うと、足早に立ち去って行った。
「---ーー」
萌美が深刻な表情でうつむいている。
清志は「大丈夫?」と声をかけると、萌美は
「うん…二人も一気に死んじゃうなんて…わたし…怖くて」と
目に涙を浮かべた。
そんな萌美の手を握り、
清志は「大丈夫。僕が守るからー」とそう呟いた
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜の校舎の理科室。
一人の女子高生が窓際にたたずんでいた。
「---僕は許さない」
女子の口から出るとは思えない言葉を彼女は呟く。
血の色に光る瞳。
彼女は邪悪な笑みを浮かべて呟いたー
「見て見ぬふりをしたお前たちもーー
僕は許さない―」 と。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
続きは明日です!
やっぱり③まである構成だと、
ある程度余裕を持って書けますね^^
②までの作品は駆け足になりがち…。
コメント
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自分もいじめられた経験があるので、憑依能力が手に入ったら同様にヤッちゃうかもしれないな。
むしろどんどん復讐しちゃえと思うが、何となく共感し過ぎるのも危険な気がするんだよな。
とりあえず、次読もう
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> 自分もいじめられた経験があるので、憑依能力が手に入ったら同様にヤッちゃうかもしれないな。
> むしろどんどん復讐しちゃえと思うが、何となく共感し過ぎるのも危険な気がするんだよな。
> とりあえず、次読もう
傍観していた子たちをどう捉えるかは難しいところですね…
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春歌がやってるように見えて萌美の可能性が微レ存( ˘ω˘ )
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> 春歌がやってるように見えて萌美の可能性が微レ存( ˘ω˘ )
むむ・・・??
それは・・・