「ーーーまた来年も来ようね?」
あの日、
あの花火大会の日、
彼女と約束したーーー。
不良グループに憑依され、変えられてしまった彼女ー、
大崎 友香。
彼女を取り戻すべく、彼氏の春樹は不良の家に乗り込む。
花をまた”咲かせるためにー”
夏空に消える花の続編です!
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花火大会の日ー
黒石春樹(くろいしはるき)は、
同じ大学に通う、最愛の彼女、
大崎友香(おおさきともか)を奪われてしまった。
たまたま花火大会に居合わせた
”アキラ”とかいう不良に友香は憑依されてしまい
散々、弄ばれた挙句、友香は”変えられてしまった”
”解放ーーーー”
アキラの合図で、友香の脳内に凄まじい衝撃が走った。
友香の、春樹に対する愛情は、数秒のうちに、
不良グループの一人で、アキラの友人の和樹に対するものに
塗り替えられてしまったのだった。
だがーーー、
友香は、大学に退学届を出しに来たとき…
涙をこぼした…。
春樹は、まだ残っているかもしれない可能性に賭けることにした。
どうにかして、友人たちの力も借り、
春樹は”アキラ”の家を突き止めた。
ぼろアパートの一室だ。
春樹は意を決してそこに乗り込んだ。
鞄の中には、、、
友香から送られた
”二人のオルゴール”が入っていた…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
一室では
赤髪の不良、アキラー。
そしてその友人で弟分の
金髪男、和樹ー。
そしてその彼女となった、友香が居た。
「あははははっ!マジかよ友香!
すげぇじゃん!」
和樹が笑うと、
友香がビールの缶を手にしながら微笑む。
「ふふっ、男なんて、
私の体使えばカンタンに落とせるし」
”変えられてしまった”友香は
それまで嫌いだったことにも次々と手を染めた。
喫煙、飲酒、非行。
それに、男を誘惑して金を巻き上げることまで。
友香はまだ19だー。
それに、男の誘惑など、
友香がもっとも毛嫌いすることの一つだった。
しかし、心を塗り替えられてしまった友香は、
躊躇なく、男を誘惑した。
自らの体を使って、
時には甘い言葉をささやき、
男から金を巻き上げた。
そしてそのお金は自分のおしゃれと、
”新しい彼氏”の和樹に全て費やされていた。
「ねぇ…和樹…
今日の夜もわたしをたのしませて…ね♡」
友香が和樹の耳元で囁く。
「え、、えへへ!もちろんだぜ!
友香もすっかりエロい女になっちまったな!
初めてあったときはあんなに真面目そうだったのに!」
和樹が笑う。
自分たちでーー彼女を染め上げておきながら、
変わっていく友香を見ていると、たまらなく興奮した。
「うふふ・・・
あんなつまらない男と付き合ってたなんて
馬鹿みたい!
あいつ、私のこと全然楽しませてくれなかったし…
本当、最低よね!」
吐き捨てるように言う友香。
”元彼氏”の春樹を思い出しただけで
吐き気がする。心からー。
「これも全部、アキラ先輩のおかげです。」
友香が顔を赤らめて言う。
赤髪の男、アキラはニヤリとする。
「お前みたいな可愛い子がよ、
その体を生かせないなんて
可愛そうだと思っちまったんだよ。」
アキラが言う。
自分勝手な言い分。
だが、今の友香には
その言葉が嬉しかった。
「本当にありがとうございます。
私に、大切なことを気付かせてくれて」
アキラは
友香に近づいていくと、友香の頬に手を触れ、
呟いた。
「あんな奴と一緒に居た時より…
本当に、いい女になったな…」
その言葉を聞いて、友香は
感動の涙を目に浮かべながら
笑みをこぼす
「はいーー、ありがとうございます」
その時だった。
扉をノックする音が聞こえた。
怪訝そうな表情を浮かべるアキラ。
顎で和樹に「様子を見てこい」と言うと、
和樹が
「へ~~い!」とやる気の無さそうな返事をして、
玄関の扉を開けた。
「ぐはっ!」
扉を開くなり、和樹の顔面に強烈な
拳が食い込んだ。
そのまま吹っ飛ばされる和樹。
「う、、うげ…お、、、おめぇ…は!」
床に倒れて驚く和樹。
そこに居たのはーーー
”奪った”友香の彼氏ー。
黒石 春樹だった。
春樹は部屋の中に居る
赤髪のアキラを睨む。
そして”新しい彼氏”となった
和樹を睨む。
「-----友香ーーー」
最後に、自分の最愛の女性、
友香を見つけ、そう呟いた。
少し派手な服装をしているが、
友香は、、、
あの花火大会の日のままだった。
優しい顔ー
可愛らしい雰囲気ーーー。
そう、”刺々しい雰囲気”を除けばー
「…おや、どうも。
よくここが分かったな」
赤髪男、アキラが言う。
「友香!助けに来た!
目を覚ましてくれ!一緒に帰ろう!」
春樹は叫ぶ。
無駄だと分っていてもー。
「…はぁ?
バッカじゃないの?
わたしが誘拐されたみたいな口ぶり…
アンタ一体何様?」
友香が立ち上がって、
ビールの缶を乱暴に投げ捨てると、
春樹の方に近づいてきた。
友香の良い香りが春樹を包み込む。
「---友香」
春樹はしっかりと友香の方を見つめた。
友香は、睨むようにして春樹を見ている。
いつもならー
友香は優しい瞳で春樹を見返してくれるのに。
「--わたし、自分の意思でここにいるの!
言ったでしょ?アンタとはお別れ!
アンタなんかより和樹くんのほうがずっと魅力的!」
友香が言う。
その言葉に優しさは微塵もない。
「友香――。
聞いてくれ。
お前は、あのアキラって男に憑依されて、
記憶を塗り替えられちゃったんだよ!」
友香が春樹をじっと睨みつけている。
「---皆、悲しんでる!
もちろん、俺も。
思い出してくれよ友香!
俺と一緒に過ごした時間を!!!
友香、お前だってあんなに楽しそうだったじゃないか!」
春樹は感情をこめて
必死に友香に語りかけた。
「ーー何よ!何なのその言い方!
すっごいむかつくんだけど!
私が記憶を塗り替えられた!?!!?
わたしが、人に好きにされるような人間だと
思ってるわけ??
はぁぁ、ほんっとうに最低!」
友香がイライラした様子で言う。
「と、、友香…」
春樹は悲しそうな表情を浮かべる。
だが、友香は容赦しなかった
「そうやって私を束縛して楽しい?
思い出せ??何様なの?
だいたいわたし、全部覚えてるし!
本当になんなの???
まるで私が操り人形にされてるみたいな
言い方して!
本当にふざけないで!」
友香が目に涙を浮かべながら春樹を怒鳴りつけた。
アキラと和樹はニヤニヤしながら
その様子を見つめていた。
”その通りなのになー”
アキラは笑う。
だがー。
アキラはまっすぐと春樹を見つめていた。
”コイツーーー” と
心の中で呟く。
「---ごめん」
怒鳴る友香を前に春樹は突然、お詫びの言葉を口にした。
「友香を不快にさせたなら俺、謝るよ。
でも、友香…
俺の事、嫌いでもいいから…
聞いてくれ。頼む」
春樹が言うと、
友香は動揺した様子で言う
「な、、何なのよ…
急に改まって…気持ち悪い…」
嫌悪を隠そうともせず、
友香は目を逸らす。
「俺さー、
友香と付き合えるようになったとき、
本当にうれしかった。
もう、他のことなんてどうでもいい、
そんな風に思えるぐらい
嬉しかった…
毎日、毎日が楽しくて仕方がなかった。
あの、花火大会の日もー。」
春樹が語り始める。
「ヒューっ!パイセンの御涙頂戴話ですかぁ~!」
金髪男の和樹が、手を叩きながら馬鹿にした様子で笑う。
一方の不良たちのリーダー、アキラは
睨むようにして春樹を見ている。
「俺、お前が奪われた時、
本当に、自分の全てを奪われたような気持だった。
何も考えられないー
もう、死んでしまおうー
そんな風にも思った」
そこまで言うと、春樹は友香の方を見て微笑んだ。
「でもさー、
友香からもらったこのオルゴールみてたら…
不思議と元気が湧いてきた。
このままじゃいけない…って」
春樹の表情を見て友香が言った。
「--キモい!キモい!
キモいんだけど!!!!
元カノの私からもらったモノそんな風に持ってるなんて
女々しいのよアンタ!」
友香が叫ぶ。
だが、その瞳は何故だか震えていた。
怒りで震えているのか。
それともーー。
「ははっ…
だから嫌だったんだよなぁ…」
春樹が日常会話をするかの如く、優しくつぶやく。
「そうやって、大切な友香に、
辛い事や傷つくことを言われるーーー。
だから、俺、この1か月間、ずっと逃げてた。
ここに来ることを拒んでた。
でも…やっぱり俺には友香しかいない。
どんなことを言われても、
何をされたとしてもーーー
友香しか俺には居ないんだ!」
春樹の目から涙がこぼれ落ちた。
「あははははは、笑いがとまんねぇ!
はははははは!はーはははは!
なぁ、元彼の分際でずうずうしいんじゃねぇの?」
金髪の和樹が言う。
「友香はもう俺の彼女なんだよ!
笑わせんなよ元彼の春樹君!」
その言葉に春樹が和樹の方を向く。
「ひぃははは、マジ笑えるわ!
何たかが女一人のためにムキになってんだよ!
女なんかまた作ればーーーーーーーー」
和樹がそう言いかけると
赤髪のアキラが低い声で和樹を呼んだ
「--和樹」
「へ?」
「---少し黙れ」
アキラは和樹を黙らせると、そのまま
黙って春樹の方を見つめた。
「---な、、、何泣いてんのよ…」
友香が動揺した様子で言う。
「---俺にとって…友香は…花のような存在だから…
また…その花に咲いてほしいから…」
恥かしいセリフを大真面目に言う春樹。
春樹はスポーツ一筋の学生だった。
だから、こういう不器用な一面もある。
「はっ、、、な、、、何なのよ…
もう、、、」
友香が混乱した様子を見せている。
その時だった。
部屋に拍手が響き渡った。
春樹も、友香も、和樹も、その拍手の主を見た。
ーーーアキラだった。
「----言うじゃねぇか」
アキラはそういうと、立ち上がり、春樹の方に近づく。
春樹は咄嗟に警戒した。
だがーー。
「---今まで、俺はよ、
友香みたいに4人、女を奪ってきた。
そこに居る和樹以外の4人のダチの彼女にするためにな。
だが、奪われた彼氏たちはどうしたと思う?
みんな、逃げるか、諦めるか。
すぐに別の彼女を作ったヤツもいた」
赤髪のアキラを睨みながらじっと話を聞く春樹。
「--だが、お前は違った。
アンタみたいに乗り込んできたヤツは初めてだ」
アキラはそういうと、深くため息をついた。
「---返してやるよ。
あんな、ラブシーンみてぇの見せられたんじゃ……
後味がわりぃからな…」
意外な言葉ー。
春樹は唖然として目を見開く。
「--俺の使っていた憑依エキスには、
中和薬がセットになっている。
…塗り替えた記憶も…2か月程度なら、元に戻せるはずだ」
そう言うと、アキラは紫色の液体を持出し、
友香に差し出した
「な、、、なにーーー?これ・・・」
友香がおびえた様子で薬を見る。
「---飲め。
それで、全て元通りだ」
友香が不安そうに春樹とアキラを見る。
春樹はうなずいた。
友香が一思いにその薬を飲むと、、
友香は、涙を流し始めた。
「---わ、、、わたし……」
”塗りつぶされた”記憶が晴れていく。
霧が晴れていくようにーー
そしてーーー
友香は
”本当に大切なもの”を思い出した。
春樹の方を振り返る
「は、、、、、春樹……春樹!」
顔から涙をボタボタと流しながら、
友香は春樹に抱き着いた。
「と、、、友香…友香!良かった!」
春樹は確信したー
元の友香だとーーー
「ごめん、春樹、、、本当にごめん、ごめんね!
わたし、、、なんか、、わけわからなくなっちゃってて…
本当にごめん…
私が大好きなのは…春樹だけなのに…」
泣きじゃくる友香。
春樹は「いいさ…」と優しくつぶやいた。
…その様子を金髪の和樹が唖然として見ていた
「--あ、、アキラ先輩…」
和樹を見て、アキラが言う
「新しい彼女、また探してやるから。
アイツらはもう放っておけ」
アキラは言った。
アキラは”独特の美学”を持つ男だった。
春樹の全身全霊をかけた訴えに
アキラは心底 心を打たれていた。
「---いやだね」
!?
和樹の突然の言葉にアキラが顔をゆがませる
「あぁ?俺が見逃せって言ってんだろうが!」
アキラが怒鳴りつけた次の瞬間、
和樹が管のようなモノを手からアキラに投げつけた。
「なっー?」
その管はアキラの耳に吸い込まれるようにして
刺さった。
「---俺が大人しくしてりゃいつもいつも
つけあがりやがって!憑依エキスなんての
持ってるからって偉ぶりやがって!
アキラ先輩、アンタなんかもう先輩じゃねぇ!」
そう叫ぶと和樹は笑った。
「これさ~ネットで買った憑依用の管。」
和樹が管を指さしながら言う。
「相手に自分の魂を少しずつ吹き込んで、
”思考”を塗り替えることができる管だよ
たとえば…」
アキラの舎弟、和樹はアキラの持つ憑依エキスを見て、
自分もその力が欲しいと思い、必死にネットで探した。
その結果、手に入れたのがこの管だった。
和樹がつぶやく
「アキラ、お前はホームレスだ。
お前は、ホームレス」
その言葉が管を通して、
アキラに吸い込まれていく
「や、、やめろ!テ、、テメェ!」
春樹はその様子を唖然と見つめる。
そしてーーー
「ほ……俺は、、、何でこんな家に」
アキラがうつろな目で言う。
「おい!ホームレスはホームレスらしく
川辺で寝てやがれ!」
和樹がそう叫ぶと、
アキラは「そ、、、そうだな、すまなかった」と
呟き、そのまま部屋から出ていってしまった。
「へっへへへ!この管すげぇぜ!
俺の魂の一部を相手に憑依させて、
思考を塗り替えられるんだぜ~!」
金髪男の和樹が笑う。
「は、、春樹…」
そしてー
和樹は、友香にその管を投げつけた。
管は意思を持つかのように、
友香の耳に吸い込まれた。
「友香!」
春樹が叫ぶ。
「さっきお前、
友香は”花”だって言ってたよなぁ?」
和樹が邪悪な笑みを浮かべた。
「た、、助けて!助けて!春樹!」
友香が助けを求めて叫ぶ。
その様子を見て、和樹は笑った
「今から地獄を見せてやるよー
目の前の花が”俺色”に染まっていく瞬間を!
花が”裂”かれるその瞬間を!
へへへっはははっ!」
和樹の笑い声が部屋中に響き渡った。
ーーー地獄が、今、始まろうとしていたーーー。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
続きは明日です!
果たして、彼女を救えるのでしょうか?
次回こそが、この話の書きたかった部分に
なります!笑
コメント
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ナ、ナンダッテー
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> ナ、ナンダッテー
このまま終わっちゃったら面白くないじゃないですかー(外道)