<憑依>暴飲暴食① ”お前を太らせる”

デブな男子大学生、
玉夫(たまお)は、同じ大学の女子大生、
優樹菜(ゆきな)に告白した。

しかし、優樹菜に振られてしまう。

振られた原因が”デブであること”だと知った彼は
同じ苦しみを味あわせようと、優樹菜に憑依し、
優樹菜の体で暴飲暴食を始めるー。

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大学。

大学2年の波川 玉夫(なみかわ たまお)は
一言で言えば「デブ」だった。

痩せようと努力したこともある。
けれども、無駄だった。
彼は大食いだったのだ。

しかし、彼は持ち前の明るさと
ムードメーカー的な性格で、
大学内でも人気者ではあった。

けれどもー。
”デブ”と馬鹿にされたり、
笑いのネタにされたり、
彼には色々な苦労があった。

いつも、笑ってはいるけれど、
彼はつらい思いをしてきたのだ。

そして、彼は女性に縁がなかった。

しかしー
彼にも好きな人が出来た。

それが同じ大学に通う
女子大生ー、
最上 優樹菜(もがみ ゆきな)

彼女は、スタイルが良く、
大学でも美人として有名で、
玉夫とは正反対のスリムなボディの持ち主だった。

それでいて、気取ることもなく、優しいため、
大学内でも人気の高い子だ。

そんな優樹菜にー
玉夫は告白した。

玉夫のモットーは
”思い立ったら即行動” であった。

だからー、
”即行動”した。

そしてー

「ごめんなさいー。」

セミの泣くキャンバス内で、
無情な言葉が優樹菜の口から放たれた。

「---ぼ、、、、僕は………」
玉夫はそのまま地面に這いつくばった。

敗者には地面がお似合いだ。
玉夫はそう思った。

優樹菜は「ごめんね」とつぶやきながら、
その場を後にするー。

けれどー。
玉夫は後日、知ってしまった。

優樹菜には既に彼氏がいた。

まぁ、あれだけ綺麗なのだから
当たり前と言えば当たり前だ。

そして、玉夫は聞いてしまった。

彼氏と優樹菜が自分の事をわらっているのをーー。

「ねぇねぇ、告白されちゃった」
優樹菜が笑う。

「え?誰にだよ?」
彼氏の江原 幸太郎(えはら こうたろう)が言う。

「え~波川君。ホラ、あの太った体の!」

「あ~アイツか!
 え、マジかよ!」

彼氏と優樹菜は楽しそうに笑っている。

大学校内を歩きながら。
すぐ後ろに居る玉夫に気付かずに。

「え?で、どうしたんだよ?」
彼氏の幸太郎が心配そうに言うと、優樹菜は笑う。

「勿論お断り!
 彼には悪いけど、
 私、デブ嫌いだから!」

優樹菜が言う

「はは、厳しいなぁ…優樹菜は!
 本人の前でそんなこと言うなよ?」

彼氏が笑う。

・・・すぐ後ろに居るんですけど。

玉夫はそう思ったが
二人は気づかなかった。

”デブを馬鹿にされた”

しかも、好きな子にー。

玉夫の中の怒りの炎が爆発した。

好きでデブになったわけじゃないー。
それなのに、優樹菜ちゃんは、
あんなにスリムなボディで。

壊してやるー
壊してやるー
お前にもデブの恐怖を味あわせてやる!

玉夫は何とかして優樹菜をデブにする
方法を思いついた。

そしてーー

ネットで”憑依薬”という薬を見つけた。

「これだー」

玉夫は笑みを浮かべる。

そしてー
”思い立ったら即行動”

玉夫はお急ぎ便で、憑依薬を注文して、
翌日に憑依薬を受け取った。

説明書を放り投げ、
そのまま憑依薬を飲みほした玉夫は、
体から抜け出しー、

そして大学で一人休憩していた優樹菜の体めがけて
突撃した。

「---ひあっ!?!?」

優樹菜が突然、ビクンとなって
体を固まらせる。

しばらくビクン、ビクンと痙攣していた優樹菜。

しかし、すぐに優樹菜は
平静を取り戻した。

「…うわっ!本当に僕が優樹菜ちゃんに
 なってるよ!スゲー!」

優樹菜の胸を見つめ、
スカートから覗く足を見つめ、
手でこすってみる。

「ははぁ…凄い!」

自分の口から可愛い声が出ていることにも
興奮した。

「あ~ん、、いいニオイ」
自分の綺麗な黒髪を鼻までひっぱり、
ニオイを嗅ぐ優樹菜。

そして、次に自分の服のニオイも嗅いでみた

「んんっ
 あっ…
 女の子のにおい… 最高ぅ♪」

優樹菜は、目の前の食事を見つめる…。
サラダだけ…。

「へへっ…
 体重でも気にしてんのかな~」

優樹菜は可愛らしく、
そして邪悪にほほ笑んだ

「ボクーーー、
 ううん、私、これからい~っぱい美味しいモノ
 食べちゃう!ふふっ♡」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その日の夜。

彼氏の幸太郎と一緒に何か食べて帰ろう、ということになった
優樹菜は早速「太るチャンスだ」とほくそ笑んだ。

「勿論お断り!
 彼には悪いけど、
 私、デブ嫌いだから!」

”なら、お前をデブにしてやるよ”

玉夫は心の中でそうほくそ笑んだ。

「今日は何食べようか?」
彼氏の幸太郎が言う。

「ーーう~ん、私、牛丼食べたいな!」

彼氏が目を丸くする

「牛丼ー?」
驚く幸太郎に優樹菜は微笑んでいった。

「そうよ。牛丼。悪い?」
優樹菜が不機嫌そうに腕を組みながら言うと、
彼氏の幸太郎は「い、、いや、行こう!」と
慌てた様子で言う。

「うん。ありがと!」
わざと可愛らしく微笑む優樹菜。

そして、二人は牛丼屋へとやってきた。

「っかし…
 驚いたなぁ…優樹菜、牛丼屋とか
 嫌いじゃなかったっけ?」

彼氏の幸太郎が券売機で購入した
「大盛り」のチケットを店員に手渡す。

「え?そう?
 私、牛丼だ~いすき!」

そう言って優樹菜は2枚の食券を
店員に差し出した

「---ブッ!」
幸太郎がお茶を噴きだす。

優樹菜は
牛丼の特盛のチケットを2枚
店員に差し出していた。

「---は?」
幸太郎が唖然としている。

店員も
「特盛が2つですね。かしこまりました」
と言っているが
その表情は苦笑いだ。

「--お、おい、優樹菜
 そんな喰うの?」

幸太郎が言うと、優樹菜は笑う

「そうよ!
 おなかすいちゃった♪」

そうこうしているうちに、
牛丼がカウンターに運ばれてきた。

優樹菜は、自分の足を色々組み替えたりして
”女”を楽しんだ。

女の体ってどうしてこんなにスベスベ
しているんだろう…と、
優樹菜は自分の体に興奮していた。

女としての座り方も知らない今の優樹菜は、
スカートがしわくちゃになって、
見る人が見たら、見えてしまいそうな状況だ。

彼氏の幸太郎もそれに気づいていた。

だが、
幸太郎は指摘しなかった。

何故なら、彼はエロだからだ。
密かに、彼は喜んでいた。

優樹菜の乱れたスカートをチラッチラッと見ていて、
牛丼どころではなかった。

「いただきま~す!」
優樹菜が牛丼の特盛を食べ始める。

がつがつガツガツと食べ進める優樹菜。

かなり汚らしい食べ方だ。

「ゆ、、優樹菜?」
流石に彼氏の幸太郎も唖然とした。

「もぐっ、、ん、、んまいよ!最高ォ!」
優樹菜が口から米粒をこぼしながら
汚らしく牛丼を食べている。

美人が台無しだ。

あっという間に牛丼を一つ平らげると、
2つ目の牛丼もあっという間に食べてしまった

「げふっ…
 ”私の体じゃきつかったかな…”
 吐きそう…」

優樹菜がつぶやく。

彼氏は唖然としている

「お前ーー太るぞ?」
幸太郎の指摘はもっともだった。

だが、優樹菜は微笑むだけだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

帰宅した優樹菜は自宅で吐いていた

「うぇっ……はぁ…はぁ…
 優樹菜ちゃんに無理やり大食いさせて
 しかもはいてる…
 たまらないや…」

荒い息で、リビングに戻った優樹菜は
コンビニで購入した大量のチョコレートや
スナック菓子を食べ始めた。

玉夫は、優樹菜の家を知らない。
だから、自分の家に帰ってきた。

男一人暮らしの家に、
突然優樹菜が入っていくのを見たら近所の人は
どう思うだろうー?

「あー、そういえば、女の子の服なんてないや!」

着ていたスカートとブラウスを脱ぎ捨てると、
あたりを見回す。

「あっ!そーだ!」

部屋の隅にあった、コスプレ用のセーラー服を
手に取る。

「これでいっか♪」

玉夫が、なんとなく眺めたい、という変な理由で
買ったセーラー服。

それがこんなところで役に立つとは。

セーラー服を着て
可愛らしく鏡にポーズを決めてピースしてみる。

「うわぁ…たまんない!」

顔を赤らめる優樹菜。

けれどー
「ふふっ…この可愛さももうじき無くなっちゃう!
 わたし、デブになるの!
 ふふふふふふ…」

スナック菓子をぼりぼりと食べながら笑う優樹菜。

本来の彼女がこの状況を知ったら
泣いてしまうかもしれないー。

けれども、
今の優樹菜は、喜んでスナック菓子を食べ続けていた。

優樹菜は明日からの生活に備えて
女用の服をネットで注文した。

そしてスナック菓子を食べ終えると、
そのまま何もせず、ベットに横たわった。。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後。

体重が数キロ増えた。
でも、まだ足りない。

「わたし、もっとおデブさんになっちゃうの!
 あははは!」

鏡を見ながら笑う。

今日はジーパン姿のラフな格好で、
彼氏とのデートに向かう。

「あぁ…スタイルがイイ子のピッチリとした
 ジーパンっていいよねぇ…」

優樹菜がうっとりとしながら囁く。

「まー、
 もうすぐこんな姿も出来なくなるけどね!
 えへっ!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「---今日は
 美味しいフランス料理のお店、予約したから。
 ホラ、優樹菜 もうすぐ誕生日だし、
 今日は俺が奮発するよ」

幸太郎が言う。

しかし、優樹菜は笑った。

「--ラーメンでいいから」
愛想なく言う優樹菜

「へー?」

「聞こえなかったの?ラーメンよ、ラーメン!」

唖然とする彼氏を余所に、デートを強引に
ラーメンデートに変えた優樹菜。

そして、お店の大盛りチャレンジを注文し、
汗をダラダラと流しながらラーメンを完食してみせた。

「お~~細いのに凄いねぇ!御嬢さん!」

店主が拍手をする

「お…おい、最近お前変だぞ?
 大丈夫か?」

幸太郎が心配そうに声をかける。

だが、優樹菜は爪楊枝で歯の掃除をしながら
微笑んだ。

「これが本当の私よー?
 嫌いになった?」
意地悪っぽく微笑む。

だが、幸太郎は首を横に振った。

「---チッ」
優樹菜は密かに舌打ちした。

優樹菜に憑依した玉夫の目的は2つ。

一つは、
優樹菜の体で暴飲暴食をし、デブにしてやること

もう一つは、
優樹菜の行動に幻滅した彼氏が別れを切り出すこと。

だが、この彼氏、
なかなかにしぶとそうだ。。。

・・・。

翌日は彼氏と回転寿司に行った。
彼氏の目の前で優樹菜は30皿を平らげ、
さらには〆のラーメンまで食べて見せた。

彼氏はさすがにひきつった表情をしていた。

自宅に戻った
優樹菜は体重計に乗り、ほほ笑む。

「うふっ…10キロも増えちゃった!」

でも、まだ足りない。
まだ…

「最低でも80キロぐらいにはなりたいなぁ…
 えへへ!」

冷蔵庫からコーラの1・5リットルペットボトルを取り出した
優樹菜は、そのままペットボトルを加えて
大量のコーラを飲む。

半分ほど飲んだところでペットボトルを乱暴に
放り投げた優樹菜は笑う。

「ふふっ…
 ”おデブちゃんになったら”ちゃんと、
 体を返してあげるからねー。」

優樹菜はとても楽しそうに、
そう囁いたーー

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

今のところ彼の思い通り。

ですが、そう上手くいくのでしょうか!?

明日は後編です^^

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憑依<暴飲暴食>

コメント

  1. 柊菜緒 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    この間に自分の体が死んでそう( ˘ω˘ )

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > この間に自分の体が死んでそう( ˘ω˘ )

    今回の結末は…
    あっ……

  3. 柊菜緒 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    あっ……(察し

  4. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > あっ……(察し

    でも意外と・・・
    〇〇な展開に・・・