気が向いたので外伝作品。
憑依要素はありません…
暴走憑依男 第１話の少し前のお話。
この平和な日常には、もう戻れない…。
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その日、とあるゲームショップの
集まりが行われていた。
仕事後に、スタッフが集まって
近くのファミレスで軽く食事をしていた。
「いやぁ…いつも皆、本当に助かってるよ」
店長が言う。
この店のスタッフは、皆、仲が良い。
「新人の、山西さんも大分作業を覚えてきたしね」
店長が言うと、
新人バイトの山西 明美が、
「ありがとうございます」と頭を下げた。
最近バイトに入った
明美は、現役の女子大生。
落ち着いた雰囲気で、真面目なことから
先輩達の信頼も厚かった。
「市川先輩の指導のおかげです」
明美が微笑みながら言うと、
先輩スタッフの市川さくら が笑いながら言う
「ううん、山西さん、すっごく覚えも早いから
私なんかよりずっと、良い店員さんに
慣れると思うよ」
さくらが言うと、
明美はまた、頭を下げた
「でも、私、市川先輩みたいな人に
凄くあこがれます。
いつも明るくて、元気で、
皆から慕われてる先輩みたいに、
私もなれればなぁ…」
明美が言う。
お世辞ではない。ホンネだったー。
明美はいつも
”自分を偽ってきたー”
偽りの自分を見て、
周囲は自分を褒めてくれるー。
でも、それは本当の自分じゃない。
本当の自分は、
”誰よりも自分のことが大切でー
そして、自分中心に物事を考えているからー”
だから、さくらのような、
いつも素直に生きている人間が羨ましかった。
「－－そんなに言われるとちょっと照れちゃうな」
さくらが照れくさそうに言う。
スタッフの木藤は、そんな二人の様子をほほえましく見ていた。
「－－－」
木藤がうっかり さくらを見つめていると気づかれてしまった
「どうかしましたか？木藤さん」
さくらが微笑むと、木藤は顔を赤くして目を逸らした
木藤は、さくらに好意を抱いていた。
だから、つい見つめてしまった。
「－－－木藤さん、よく市川先輩のこと
見つめてますもんね！」
高校生バイトの白崎風香が笑う
その言葉に木藤は顔を赤らめる。
「－ちょ、、白崎さん！
茶化さないでくれよ」
木藤が言うと、
横に居た後輩の男バイト、吾妻も苦笑いしていた。
「－－－仲良いですね～」
明美も笑う。
さくらは微笑みながら思うー。
”木藤さんは本当は私のことどう思っているのだろうー”と
さくらも、木藤と仕事をしているうちに
木藤のことが気になっていた。
けれどー
こんな自分で良いのだろうか。
さくらは、明るい振る舞いと、可愛らしい容姿とは裏腹に、
自分にはあまり自身が無かった。
高校時代、こっぴどく振られた経験があるからだー。
だからー、
木藤のことも、一歩を踏み出せずに居た
「そういえば…」
明美が言う
「今日、変な人来てましたよね…」
明美の言葉に、その日一緒にシフトだった
木藤がうなずく
「あ～あのオタクか・・・」
木藤は”オタク”のことを思い出す
「あいつ、いっつも、フーフー言ってるし
体臭も凄いから、ちょっと他のお客さんに
対しても迷惑だしな…」
木藤が嫌そうな顔で言う。
「そうですよね～
と、いうより私とか山西さんとか風香ちゃんのこと
じろじろ見つめててキモいんですよ…」
さくらが言う。
被害妄想ではない。
オタク男は本当に彼女らを見つめていた
「あ～それ分かります・・・
私もよく見られますから」
風香が気味悪そうに言う。
「－－何にもしてこなきゃいいけどな」
木藤が言うと、
店長が笑う
「ま、何かあったら俺に言ってくれれば
どうにかするから」
店長が言うと、
さくらが冗談っぽく
「頼りにしてます 店長♪」と
嬉しそうに呟いた。
木藤はビールを口に運びながら、
さくらのそんな姿をいとおしそうに見つめた。
「－ー冬休みに入ったら、告白してみるかな」
木藤はそんな風に頭の中で思った。
料理が運ばれてくる
「あ、私のですね！」
風香が、運ばれてきたパフェを見て
嬉しそうに喜ぶ。
高校生らしく、彼女は無邪気だ。
「－－私のは、まだかなぁ・・・」
明美が悲しそうに呟く。
「－－フフッ…山西さんは
スイーツには目がないね！」
さくらが言う。
明美は大のスイーツ好きだった。
「あ…俺なんも注文してねーや」
木藤は、さくらを見つめるあまり、何も注文していなかったことを
思い出した。
明美が笑う
「ちょっと先輩、何やってるんですか！」
「市川先輩を見つめてたから、忘れてたんですよね？」
風香が茶化す。
木藤は顔を赤くしながら
さくらのほうを向き、微笑んでいるさくらに対して苦笑いを浮かべた。
「こんな幸せなバイトがー
いつまでも続けば、最高だな」
木藤はそんな風に思った
けれどもーーー
この１週間後ーー
”全て”は変わったーー
暴走憑依男が
さくらに憑依したあの日、
彼らの運命は変わり始めた…
狂
おわり
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コメント
憑依される前のお話をつい書いてみました。
普段の描写を見た後だと、
憑依により興奮しませんか？（笑）
・・・しませんか、そうですかｗ
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