ブラック企業の社長、加賀は、
会社のあり方に意見をつきつけた
高校生バイトを始末するため、
高校生の彼女、愛衣に代々伝わる女忍者の魂を憑依させた。
女忍者に完全に支配され、任務を忠実にこなそうとする愛衣。
果たしてその結末はー?
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圭吾は驚きの表情で幼馴染の愛衣を見た。
愛衣は冷たい視線で、圭吾を見つめていて、
そこにいつものような優しい笑顔はない。
そして、忍装束のコスプレ衣装のようなモノを身に着けており、
手には短刀が握られている。
「----は、、、あはは、ははははは!」
圭吾は突然笑い出した。
愛衣は腕を組んだまま、
不審者を見る様な目で圭吾を見つめた
「め、愛衣ちゃん!ドッキリにしちゃ、やりすぎだって!」
圭吾はドッキリだと勘違いして笑った
「-愛衣ちゃんにはそんな顔似合わないし、
そんな格好も似合わないよ」
笑いながら圭吾が愛衣の肩に触れる。
すると愛衣が突然大声を出した
「---触るな!」
乱暴に圭吾を振り払って突き飛ばす。
突き飛ばされた圭吾は驚いて、
愛衣の方を見た
「め、、、愛衣ちゃん…?」
愛衣は不快そうな様子で圭吾を見つめた
「はっ、何だこのナヨナヨした男は!
こんな男が現代には居るのか!」
呆れた様子で愛衣が背後に居る
加賀に問いかける。
「ーーまぁ、、時代は変わったからな」
加賀が目を逸らしながら言う。
「-はっ、笑わせる」
愛衣が愛想ない様子で言うと、
圭吾の顎を持ち上げた
「---なんだそのおびえた目は。
男なら男らしく死のうとは思わないのか?」
愛衣が言う。
いつものようなおしとやかな様子はそこにはない
「め、、愛衣ちゃん!
どうしたんだよ!しっかりしてよ!」
圭吾が叫ぶと、愛衣は圭吾の頬をビンタした
「愛衣ちゃん、愛衣ちゃん、うるさいヤツだ!」
愛衣が、乱暴に圭吾をビンタし続ける。
「め…めい…ちゃん…」
圭吾はあまりの痛さに涙を流してその場にうずくまる。
愛衣が圭吾に顔を近づけて言う。
「--死ぬ前に言い残すことはあるか?」
愛衣の顔がとても至近距離にある。
こんな近い距離で話した事はない。
圭吾はこんな状況なのに、ドキドキしてしまった。
少しだけ頬と頬が触れ、
圭吾はよりドキっとする
「--ぼ、、僕は」
愛衣が横目で圭吾を睨む。
「--僕は死にたくない!」
圭吾は叫んだ!ありったけの力を込めて
「プっ…はは、あはははははは!
こんなに情けない男がこの世界に居るなんてな!」
愛衣がさぞおかしそうに笑い始めた。
「お前には誇りも、何もないようだな」
愛衣がバカにしたような、
人を蔑む目で、圭吾を見つめる。
「--お、、お前!愛衣ちゃんに何をしたんだ!」
圭吾は背後に居る加賀に叫んだ。
「---フフ。
我が家には代々伝わる”女忍者”の魂があってね。
それを、君の幼馴染の愛衣に憑依させてやったんだよ」
加賀が言うと、
愛衣が「お前は黙ってろ」と愛想なく言った。
加賀は苦笑いをしながら首を振り、口を閉ざした。
「--ー悪く思うな。
お命頂戴する」
愛衣がそう言い、圭吾の方を見て歩き出した。
「--ちょ、ちょ、、待ってタイム!」
圭吾が慌てた仕草で言うと、
愛衣は不快そうな表情を浮かべた
「あ、アイツさ…、
この時代の悪党なんだよ愛衣ちゃん!
僕は何も悪い事をしていない!
アイツに騙されていただけなんだ!
ホラ、、、忍者って言ったっけ?
その時代で言うと、、、盗賊とか山賊とか
そんな感じの悪党なんだよアイツは!」
圭吾が言うと、
愛衣が失笑した
「善悪など関係ないー。
わたしは主の命に従うだけだ」
そう言い、再び短刀を構える。
「ちょ、、、ね、、ねぇ!愛衣ちゃん!
目を覚まして!」
説得が出来ないと悟った圭吾は
慌てふためいて愛衣に呼びかける。
背後で加賀が笑う
「大人しくしろ、ガキが!
往生際が悪いぞ!
私の会社の邪魔はさせない!」
加賀が愉快そうに言う。
圭吾は加賀の顔を睨んだ。
愛衣ちゃんをこんな目に遭わせてー。
そして僕をーー。
「……なら一つだけお願いがある」
圭吾が言うと、加賀は笑った
「What?」
ふざけた仕草で加賀が返事をする
「---僕は死んでもいい。
どうか、愛衣ちゃんの命だけはー。
僕を殺したら、愛衣ちゃんはもとに戻してあげてー」
圭吾は涙ぐんだ目で土下座した。
頭を床に擦り付けながら…
「・・・・・・・・」
愛衣が冷たい目で腕を組みながらその様子を見つめている。
加賀は机に置いてあったお茶を手にすると笑いながら言った。
「You have my word」
”約束するよ”
と。
「---良かった」
圭吾は安心したような笑みを浮かべた。
「愛衣ちゃんーー。
ごめんー。
でも、これも愛衣ちゃんを助けるためなんだー」
自分の命を犠牲にすれば、愛衣が正気に戻るのならばー。
この命なんて…
幼稚園の時から一緒だった愛衣ちゃん。
その愛衣ちゃんを救えるのならばー。
優しかった愛衣の笑顔とー
今、自分を見つめている冷たい表情の愛衣の顔が
重なって見える。
加賀は拍手をした
「美しい。感動の物語だ。
幼馴染を救うため、自らの命を犠牲にする」
すると、愛衣が突然、歩きだし、
加賀の目の前で立ち止まった。
「--どうした?」
加賀が笑みを浮かべる。
「・・・一つ思い出した」
愛衣が愛想ない様子で言う。
「何を?」
加賀がそう言った直後、自分の喉元に激しい痛みが走り、
そこから赤い液体が飛び散った
「・・・!?!?!?!?!かはっ!」
加賀が驚いて目を見開く。
愛衣が、
短刀で、加賀の喉元を掻き切ったのだ。
「な、、、なぜーーー?」
加賀が倒れる。
倒れた加賀に馬乗りになって、
何度も何度も愛衣は短刀を突き刺した
「殿が言っていたー
”もしも私の子孫が、悪の道に染まっていたならば、
お前の手で、引導を渡せー” と」
愛衣は遠い過去の人間である”殿”の
命令に従って、加賀を何度も何度も突き刺した。
殿の子孫がこんな外道だったなんて。
そう思いながらー。
どちらが悪かは圭吾の様子を見ていて
伝わってきたー
この男は、悪だ。
愛衣は返り血を意に反すことなく、
何度も加賀を突き刺した。
既に加賀は息絶えている。
「--め、愛衣ちゃん!もうやめてよ!」
圭吾が愛衣の腕をつかむが、
愛衣は「邪魔するな!」と大声で怒鳴って
さらに加賀を突き刺した
「殿の子孫でありながらっ!このっ!
恥さらしめっ!」
愛衣の中に憑依している女忍者は
”殿”に好意を抱いていた。
しかし、それは決して叶わぬ恋。
その子孫が外道であることがどうしても
許せなかった。
愛衣は、何度も、何度も
加賀の肉体をその小さな短刀で突き刺し続けた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
半月後。
加賀コンツェルンは社長の病死を発表。
今までの社長の不正発覚を恐れ、
会社へのダメージを抑える方向で重役連中が、
社長の死を”病死”と発表したのだった。
とある高校の昼休み。
男女が、正門近くの木の下で話していた。
「---もっと笑顔で話さないと」
圭吾が言う。
「---笑顔…、、
ふ、、ふざけるな…私は…!」
愛衣が顔を真っ赤にして言う。
あれから半月。
女忍者の魂は愛衣に憑依したまま。
どうすればもとに戻るか分からない。
だが、圭吾はなんとなく女忍者の事が
気に入っていた。
圭吾はそのまま愛衣の彼氏として、
愛衣に、”現代”の生活を日々教えていた。
「ホラ、クラスのみんな、最近愛衣ちゃんが
笑わないし、愛想がないって心配してたよ?」
圭吾が言うと、
愛衣が圭吾から目を逸らした
「な、、なぜ わたしが笑わなければならないのだ!」
愛衣が必死に言う。
「--ホラ、笑顔の方が可愛いでしょ?」
圭吾がかつての愛衣の笑顔の写真を見せる。
その写真を見て、”今の愛衣”が顔を赤くする
「--わ、、、私にはこんな顔はできない!
そ、、それに、この服だって、
何なんだこのヒラヒラは?」
制服のスカートを持ちながら愛衣が言う。
「今はそういう時代だからしょうがないよ」
圭吾は笑った。
面白くて仕方がないー。
女忍者と化した愛衣の反応が面白くて
仕方が無かった。
「ホラ、笑ってみて」
圭吾が言うと、愛衣は無理やり笑顔を作った。
その笑顔はぎこちない
「こ…こう…か?」
愛衣の笑顔を見て、圭吾が笑う
「なんだよそれ、全然ダメじゃん!」
圭吾にダメだしされた愛衣はさらに顔を赤らめた
「--よ、、よく分からんな…」
そう言う愛衣に、圭吾はもう一つ付け加える。
「あとね、
その言葉遣い、忍びだからかもだけど、
もうちょっと女の子なんだから柔らかくしなきゃ
ホラ、クラスのみんなの様子見てれば分かるよね?」
圭吾が言うと、
愛衣は顔を赤らめた
「わ、、私は、この話し方が慣れているんだ!」
必死になる愛衣を見て
圭吾は笑う。
「ダメだよそれじゃあ。
ホラ、練習。」
圭吾がスマホに映った
ケーキの写真を愛衣に見せる
「---ケーキか」
愛衣が言う。
すると、圭吾は続けた
「ホラ、これ見て
”わぁ~美味しそう~!”って言ってみて」
その言葉を聞き、
愛衣が首を振る
「そんなの私には似合わないし、
私には無理だ…」
しかし、圭吾は続けた
「ホラ、一回だけ」
圭吾が言うと、
愛衣が「い、、、一回だけだぞ…?」
と顔を赤らめる。
「わ、、、わぁ~お、、美味しそう」
言い終えると愛衣は顔を真っ赤にして
「わ、、、私には恥をかかせたな!覚えておけ!」と
捨て台詞を残し、走り去っていった。
「あはは…面白いな~」
一人残された圭吾は笑う。
「--こんな面白いなら、
愛衣ちゃん戻ってこなくてもいいかなー」
圭吾はそんなことを呟いた。
そしてふと思いつく。
現代の常識を知らない愛衣に、
”間違った情報を教えたらー?”
圭吾は思う。
そして、ニヤッと笑った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
放課後。
「愛衣ちゃん、今日家に来れる?」
今日は両親が仕事で遅い。
「お前の家に・・・?
わ、分かった」
愛衣の返事を聞いて、
圭吾は笑う。
「今日は愛衣ちゃんに現代の男女の
おつきあいを教えてあげるね」
「そ、、、そうか…よろしく頼む」
そう言うと、愛衣は足早に前を歩き始めた。
そしてー
圭吾は愛衣の後姿を見ながら笑った。
”今日がー愛衣ちゃんとの初体験の日になりそうだなー”
と。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
くノ一、完結です。
愛衣が正気を取り戻せる日は来るのでしょうか?(汗
圭吾君は調子に乗ってしまったようです。
彼女とヤリタイ年頃なのでしょうね!(笑)
調子に乗り過ぎていつか彼女に
刺されそうな気もしますけど…
お読み下さりありがとうございました^^
コメント
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ある意味圭吾君の将来が楽しみw
愛衣ちゃん本人がどうなるのかも
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素晴らしい。くノ一の反応が非常に可愛かった!
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> ある意味圭吾君の将来が楽しみw
> 愛衣ちゃん本人がどうなるのかも
どうなってしまうのでしょう!?
機会があれば後日談を書くかもしれません!
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> 素晴らしい。くノ一の反応が非常に可愛かった!
ありがとうございます^^
楽しんでいただけて何よりです!
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面白くてつい最後まで読んでしまいました。女忍者、良い娘ですね。
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> 面白くてつい最後まで読んでしまいました。女忍者、良い娘ですね。
ありがとうございます^^
憑依された本人からすれば災難だと思いますが(笑)
彼が調子に乗りすぎて女忍者に刺されないことを
祈るばかりです
愛衣ちゃんが行為中途中からすごくなっちゃったのは、快楽追求しちゃったのか求めちゃったのかなー
コメントありがとうございます~!
きっと何かに目覚めてしまったのですネ~!