<憑依>凶悪犯罪者・室井①~悪夢開始~

連続殺人犯の室井 哲也(むろい てつや)

室井を追う若き警察官、
大室 順二(おおむろ じゅんじ)はついに
室井を追いつめた。

しかし、室井は偶然にも憑依薬を入手しーーー

”凶悪犯罪者”と”憑依薬”
最悪の組み合わせがもたらす悪夢とはー?

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警察官、大室順二。

20代後半ながら実績を上げ、
一係の期待のエースとして活躍を続けている。

最近は
”平成史上最悪の悪魔”とまで呼ばれる凶悪犯罪者・
室井哲也(むろいてつや)を追っていた。

室井はーー
既に10人以上の人間を手にかけている。

そして室井は無類の女好きで、
暴漢から、誘拐まであらゆる罪を犯していた。

そして頭の回転もよく、
これまで警察の包囲網を潜り抜けていた。

だがー
ついにその潜伏場所を突き止めた。

とある廃墟となった研究所。

そこに室井は身を潜めている。

「--気を付けてね」
同棲している24歳の彼女、
高坂 寧音(こうさか ねね)が心配そうに言う。

程よい長さの黒髪、
笑顔の似合う、可愛らしい女性ー。
それが、順二の彼女、寧音だった。

「--大丈夫。
 あとは逮捕するだけだから」

順二が笑顔で言う。

「---頑張って。」
寧音がほほ笑んで言う。

順二にとって、
寧音の笑顔こそが
宝物だったーーー

「---あぁ」

順二は、、意気揚々と室井の逮捕に向かう。

数十分後、
室井の潜伏場所とされる廃研究所で、
1係のメンバーと合流した。
先輩刑事と後輩の若い女性警官がやってきていた。

「---俺は星恵(ほしえ)ちゃんと一緒に東側から突入する」
先輩警官が言う。
後輩の女性警官、花沢星恵が真剣な表情でうなずく。

「--じゃ、私は西側から突入します」
順二はそういうと、装備を整えて、
西側の入り口から突入したーー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ちっくしょう…」
自分が包囲されたことを知った
凶悪犯・室井は絶望していた。

彼はーー
”人が苦しむのを見る”のが大好きだった。

小さいころからー。

必然的に彼は、殺人に手を染めた。

そして、女を襲うこともあった。

彼は、欲望のままに生きていた。

「---俺も終わりかよ…クソッ!」

だが、そんな時、廃研究所の一室にあった
薬が目に入る。

”憑依薬 研究中につき、持出し厳禁”

この研究所は半年前に放棄されている。
半年前の薬…

「---へっ…」

気持ちわりぃ、そう思いながら室井は目をそむけた。

…が、、

「--あん?憑依薬?」
室井はもう一度、その薬を手にとった。

そしてーー

「これは、ワンチャンあるんじゃねぇか?」

そう言って室井は邪悪は笑みを浮かべた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

西側から進んでいた順二は
会議室のような場所で人影を見つけた。

「---室井!」

順二が銃を構えると、
そこには凶悪犯・室井哲也の姿があった。

「よーう!遅かったじゃねぇか!」

室井は追い詰められている犯罪者とは思えないような
軽い調子で言った。

チンピラ風ファッションを身にまとっている

「動くなーー
 観念しろー」

順二が隙のない動きで室井との距離を詰めていく。

「なぁーー
 アンタ、”ルールに縛られて生きていて”楽しいのかい?

 俺はつまらないね!

 人生1度きりなんだぜ!
 自分に正直に生きなくてどうするよ!

 なぁ、アンタもそう思うだろ!正義の仮面なんか捨てちまえよ!
 俺と一緒に、本能のまま生きようぜ!」

室井が叫ぶ。
最後の悪あがきー。
順二にはそう思えた。

「---黙れ。
 本能のまま生きるのはケダモノのすることだー」

順二がそう言うと、
室井が激しい形相で舌打ちした。

「---チッ…ならよ…」

そう言うと室井は、持っていた容器のフタを開け、
それを一思いに飲みほした。

「----なっ!何を飲んだ!」

順二が叫ぶと同時に、室井が邪悪な笑みを浮かべて
その場に倒れた。

「--ー」
順二は咄嗟に近づき、室井の脈を調べた。
…脈は停止していた。

「----大室!」
先輩警官と後輩の星恵が入ってきた。

順二は二人に向けて首を振った。

そう、室井哲也は”液体を飲み、自殺したのだー”

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その夜ー。

家族連れの買い物客がスーパーで買い物をしていた。

幸せそうな家族。
小学生高学年の娘が楽しそうにはしゃいでいる。

だがーー

「うっ…」
少女は突然胸を苦しそうに抑えた…。

…そしてすぐに笑みを浮かべた。。

「---菜柚(なゆ)ちゃん?どうしたの?」
母親が訪ねる。

菜柚と呼ばれた少女は可愛らしく微笑んだ。
「ううん・・・なんでもな~い♪」

菜柚はー
そう言いながら自分の体を愛おしそうに見つめた。

そしてーーその夜、
両親は”愛する娘”の手によって
惨殺されたー。

そう、室井に全てを支配された菜柚によって…

「バイバイ!おとうさん!おかあさん!
 ウフフフフ♡」

無邪気にそう言い、菜柚は闇夜に姿を消した。。。

そして…
その日から猟奇事件が起きるようになった。

突如として豹変した女性が、起こす殺人事件。
そして、女性が暴走する事件ーーー。

警察は頭を悩ませていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

遊園地。

大学生のカップルが観覧車から見える
夜景を見て、幸せそうにしている。

「---工藤君とここにきて本当に良かった」
彼女が言う。

「--俺もだよーーー」
そう言うと、彼女が顔を赤らめた。

「ーー大好きー」

アツアツのカップル。

しかしーー異変は起きた

「えっ…、、、あ、、あれ…」
彼女が突然、変な声を出す

「ど、どうした?」
彼氏が訪ねたがー
その時には既にーーー。

「えへっ♪なんでもないよ!」
彼女は可愛らしく笑った。

自分のスカートを見つめて顔を赤らめる。

そしてーー
彼氏に近づいて彼氏にキスをした

「なっ…どうしたんだよいきなり」

頭の後ろに手をまわして
キスをする彼女ー。

そしてーー

「”冥土の土産だよ”」

彼女は可愛らしくそう言うと、
彼氏の頭を観覧車の窓に思いきり叩きつけた。

そのまま何度も、、何度も、、。。

動かなくなった彼氏を見て彼女は笑う

「あっははははははは~
 サイコ~~~♡」

彼女はとても嬉しそうな顔をしている。

手についた血を舐めながらーーー

「愛する彼女に殺される瞬間の
 顔…うっふふふふ~たまんねぇ!」

彼女が乱暴な口調で叫んだ。

そしてーーー
観覧車の扉を無理やりこじ開け、
大笑いしながら、外へと飛び出した…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「いつもありがとね…」
高齢の祖母が言う。

娘は、献身的に祖母を介護していた。

仕事と両立は大変だったが、
それでも祖母への恩返しをしたい。

そんな思いから、彼女は、祖母を毎日、
健診的に介護していた

「ううん、気にしないで。
 おばあちゃんには世話になったから」

20代後半の娘ー。

いつも優しく、
笑みを絶やさない娘は、
祖母にとって誇りだったー。

だがーー

「-----」
突然、娘が難しい表情をして立ち止まる。

落ち着いた感じのロングスカートを娘が突然
弄び始める

「---南緒?」
祖母が訪ねると、娘が笑いながら振り返った

「ひぃははははははっ!」

優しい娘とは思えないような
恐怖の笑い声ーー。

そしてーー

「もう十分生きただろうがクソババアが!」

娘がーー
暴言を吐き、憎しみに満ちた表情で祖母を見る。

髪の毛を乱暴にかき乱した娘は
祖母の寝転ぶベットの上で祖母に馬乗りになった

「うっふふふふふ!
 おば~ちゃん♡
 今、ラクにしてあげるねぇ~~~えへへ~」

娘の”狂気の目”

祖母は首を絞められーーー
そのまま、意識を失った。
永遠にーーー。

そして祖母を手にかけた娘は、
そのまま妖艶な表情で自分の唇を舐めた

「えへへへへへへ~~~♡」

そして、何かに突き動かされるかのように
衣服を脱ぎ捨て、
一人、喘ぎまくった。

「あっあっあっ♡
 あっあぁん♡

 あっ、、、ああぁあぁっっ♡」

窓を全開にして近所に聞こえるようにーー。

そして間もなく近所の住民が気付き、
警察が突入したーーー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ファミレス。

大学生の女性アルバイトが
笑顔で接客を続けていた。

がーー
その時だった。

彼女の手から突然感覚が抜ける

(えーーー?何これーー?)

パニックになった彼女は周囲に助けを求めようとしたが、
遅かったーーーー

すぐに意識を失う。

いやーーー
別の人間の意識に体を奪われた。

「ーーーばっかみたい!」
彼女は突然そう言うと、運んでいる途中の料理を乱暴にぶん投げた。

周囲の客が驚いて彼女を見る。

そしてーー近くに座っていた家族連れのテーブルに近づいた。

「ねぇーー?
 ある日、急に幸せが壊される瞬間、どう思う?」

彼女が、家族客の小学生の子供に近づいて、
顎をつかんでそう言った。

その目はー
とても冷たいーー。

「ちょ、、何するんですか!」
母親がわめく

「わ、、わかんないよ」
子供が、彼女の質問に、必死で答えた。

その答えを聞いた彼女は微笑んだ

「じゃーー、
 私が教えてあげる♡」

そう言うと、彼女は食器で思い切り子供の頭を殴りつけたーー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ーーー警察署。

「--何なんだ…最近は」

連続して起きる若い女性による残酷な事件。

先輩刑事は戸惑っていた。

警察内では会議が開かれる。
重役も出席した会議で、
緊急の議題が話し合われた。

1週間ほど前から多発している
”女性による殺人事件”

「---怖いですね」
後輩の女性警官、星恵がつぶやく。

「---そうだな。
 せっかく室井を逮捕したってのに」
順二が言う。

その時だった

「---警視正、
 テレビ電話が…

 ”今すぐ無能なサツどもに繋げと”」

かけこんできた警察官がそう言う

「誰からだー?」
警視正が苛立って尋ねると、
警察官は答えた

「それがーーー
 女子高生からでーー」

会議室にどよめきが湧く。
警視正はそれを制すると、テレビ電話をつなぐよう指示をした。

正面のスクリーンに、可愛らしいセーラー服姿の女子高生が
映し出された。

可愛らしい顔立ち。
だが、その表情は挑発的で、
足をいやらしく組んでいる状態で映っていた

「---こんにちは 初めまして
 高校2年の、南野 梨音(みなみの りおん)」です。

 今日は無能な警察のみなさんに、
 と~~っても面白いこと、教えてあげようと思って
 連絡しましたぁ えへ♡」

カメラにウインクする梨音。

その可愛さに、何人かの警察官が
顔を赤らめている。

「----これ、なんだか分かる?」
梨音が手にした容器をカメラに写す

「何だそれはー?」
警視正が苛立った声で尋ねると、

”憑依薬”と書かれた容器を
カメラに写した

「---憑依薬」
警察官の中にどよめきが起こる

「---まさか!」
警視正が叫んだ

「ピンポーン!!
 だいせいか~~~い!」

梨音が嬉しそうに言う。

「--最近多発している女の子たちの事件。
 そして、今、私がお話ししているこの状況。
 どういうことだか分かりますよね?」

梨音が挑発的に言うと、足を組み替えて
フフフ と笑う

「まさか…
 その薬で次々と女性に!?」

警視正が驚きの声を上げると
梨音は再び「ピンポーン!」と声を出した

「梨音~
 今、乗っ取られちゃってるの!
 だ・か・ら

 こんなこともできちゃうの~♡」

梨音が制服の上から乱暴に胸を
触り、喘ぎ声をあげる

「あっ…あぁん…さいこう♡」

何人かの警察官がつばを飲み込んだ。

「---お前まさか!」
会議室に居た順二が叫んだ。

順二の声にモニターの向こうの梨音が反応したー

「そうーーー
 貴方がバカで助かったよ!ありがと♪」

梨音の言葉を聞いて確信したーー

「室井哲也ーーー!」
順二が叫ぶと、会議室が再びどよめいた。

梨音はスカートをもて遊びながら立ち上がって
カメラに近づいてほほ笑んだ

「お前たちみたいなクソどもに俺が
 捕まえられると思ってんのかよ?あぁ?」

梨音が可愛い声で、激しい言葉を口にする

「---今すぐその子を解放しろ!
 人を何だと思っている!」

警視正が叫ぶと、
梨音は大笑いをし始めた。

そして、唇をペロペロ舐めながら言う。

「お前たちは、虫を殺したことがあるかー?
 お前たちは生きるためにー動物を殺して喰う。
 そうだろう?
 
 それと同じことだ。
 俺は、逃げるために女に憑依する。
 そして使い終わった女は捨てるー。
 お前らが玩具を捨てるようにな」

梨音がそう言うとカメラから離れて
壁に片足をつけた姿勢でカメラの方を見た

「早くしないと梨音も~
 捨てられちゃうよ!えへへ!

 でもね!梨音、それでもいいの~~
 うふふふふ!だって今
 とっても幸せなんだもん♡」

そして…

「俺を捕まえてみろよ、馬鹿どもがよ!」

そう言うと梨音は可愛らしいピンクのスマホを
カメラに向かって投げつけた。

そしてーー
映像が途切れた

「こ…これは…」
警視正が唖然としている

「室井…」
順二は呟いた。
室井哲也ー。
俺はお前を必ず逮捕するー。

順二は決意を胸に、椅子から立ち上がった。

そして、これが”悪夢”の始まりだった…。

②へ続く

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コメント

ダーク憑依・・・。
ダークは恐ろしいですね!

明日は第2話を書いていきますよ。
果たして室井を逮捕できるのでしょうか!

コメント

  1. 柊菜緒 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    これからどうなってしまうのか楽しみです!

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > これからどうなってしまうのか楽しみです!

    ど、、どうなってしまうのでしょう…(笑)

  3. nekome より:

    SECRET: 0
    PASS: 54296c21c62bb016995c522f941bc2e7
    連続して起こる、憑依された女性による凶行……最高です! ずっと自分が読みたかったタイプの作品です!
    『ダークドライブ』ももの凄く興奮して読んだその晩に抜いてしまったんですが、今回も大興奮です!

  4. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > 連続して起こる、憑依された女性による凶行……最高です! ずっと自分が読みたかったタイプの作品です!
    > 『ダークドライブ』ももの凄く興奮して読んだその晩に抜いてしまったんですが、今回も大興奮です!

    ありがとうございます^^
    楽しんでいただけて何よりです!