<憑依>憑依体験アンビリバボー ①”憑依”

「憑依体験アンビリバボー」

毎週放送されているバラエティ番組。

世界各国で起きたとされる男⇒女への
”憑依”現象を紹介していく番組。

やらせのVTRを毎週数本紹介し、
スタジオがVTRについてワイワイとコメントしていく、
そんな番組だ。

しかし、そのスタジオで・・・

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「それでは、最後のシーンの撮影、行きます。
 つよしさん、お願いします!」

スタジオのスタッフ達が言う。

大物芸能人の
ビートつよしがスタジオの真ん中に立つ。

彼はお笑い、俳優、映画監督など
あらゆる分野に幅を広げていた。

海外では”世界の東野”とまで呼ばれている。

「それでは行きます」
ディレクターが本番を告げる。

そして、カメラが回った。

つよしは決め顔でカメラに向けてこう言った。

「明日憑依されるのはーあなたかもしれません」

番組最後の決め台詞、
それの撮影を終えたつよしは、廊下をディレクターと共に
歩きながら言う

「最近VTRつまんねぇけどよ、
 もっと何かないのかよ」

つよしがディレクターに言う

「そうですねぇ・・・
 ちょっとマンネリ感があるのは分かってるのですが」

ディレクターが申し訳なさそうに言う。

つよしは大物ということもあり、
番組はビートつよしの鶴の声で路線変更を余儀なくされるほど、
つよしの力は強かった。

「--ホラ、もっとこうよ、
 憑依された可愛い子が大胆に露出したり、
 乱れたりする姿、みてぇなって思ってよ」

つよしが言う。

ディレクターは頭を掻きながら申し訳なさそうに
答える

「一応深夜番組ではないので・・・
 ちょっと難しいんですよね・・・

 と、いうか深夜番組でも難しいですけど」

ディレクターが言うと
つよしが

「ま、そりゃそうだな」
と言って笑った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌週。

憑依空間アンビリバボーは
スペシャル生放送。

スタジオにはビートつよしをはじめとする
人物たちが揃っていた。

「お、アンタ、新人?可愛いねぇ」
つよしが言う。

今日は控えめなパーティドレスの衣装を身にまとった
新人アナウンサーが司会を担当する。

伊藤 夢菜(いとう ゆめな)。
まだ初々しさの残る彼女は、緊張した面持ちで本番を待っていた。

「それでは、番組をスタートします!」

ディレクターが声をあげると、
番組がスタートされた

「え~~、憑依空間アンビリバボー、
 今日はスペシャルでお送りします!
 
 なんと、今日は2時間、タップリと
 スタジオ生放送でお送りしますよ!」

夢菜が笑顔をふりまいて、
言葉をつづけた。

「今日は、一般の観客の皆様もご招待しています。
 一緒に、楽しんでいきましょう」

夢菜がスタジオに抽選で選ばれた
一般の収録見学者を紹介した。

主婦から、若者まで色々な人達が集まっている

「それでは、VTR行ってみましょう!
 最初は、とある女子大生が体験した憑依現象ですー」

「はっはっ、どんな話か楽しみだな」
つよしが周りの出演者に笑みを振りまく。

そしてVTRが始まった。

肝試しに参加した女子大生グループの一人が、
霊に憑依されてしまい、
その場で発狂したように踊り出すーという内容。

もちろんヤラセのVTRだ。

ディレクターとしてはもっと派手にやりたいのだが、
民法で放送している以上、これが限界だった。

間違っても胸を触るだの、服を脱ぐだの、
喘ぐだの、そんなことはできないのだ。

そうしてVTRが終わるーーー

「憑依は怖いですね~」
司会の夢菜が笑顔でそう言った。

「---つまんねぇVTRだな!」
つよしが言う。

生放送中でもつよしはお構いなしだ。

つよしの存在が、スタッフたちの悩みの種の一つであることは確かだ

「なぁ、つまんなかったよな!」
つよしが他の出演者に言う。

イケメン俳優やお笑い芸人コンビ、
若手女優などが、引いたような笑みを浮かべながらつよしに同調した。

”ちょっと つよしさん、生放送”

スタジオ側が紙にそう書いて、つよしに口を
慎むように促す。

つよしはそれを見て鼻で笑った

「うるせぇんだよこの野郎」

そう言われたスタッフらは委縮した。

「---え~~、
 つよしさんはご不満のようですが、

 なんと!次のVTRはー」

夢菜が笑顔で言う

「--つよしさんも好きそうな
 こちらのーーー ひぃっ!?」

突然、夢菜が変な声をあげて
動きを止めた。

観客や出演者が夢菜の方を見る。

しかし、すぐに夢菜は笑みを浮かべた

「こほっ・・・え~-あ~~~あ、、」
夢菜が突然 喉の調整を始める。

つよしが笑う

「何やってんだ夢菜ちゃん?」

すると、夢菜が笑みを浮かべて言った。

「え~~~みなさん、
 夢菜・・・憑依されちゃったぁ♡」

突然、悪戯っぽい雰囲気で
ポーズを決める夢菜。

会場が唖然とする

「VTRの紹介は中止します~
 
 ウフフ・・・
 今日はテレビの前のみなさんと、観客の皆さんに
 夢菜の全てをお見せしちゃいますね

 うふっ♡」

夢菜がさぞおかしそうに笑う。

先ほどまでの初々しさが嘘のようだ。

「ちょ、、、夢菜ちゃん?」
スタジオの若手女優が戸惑う。

「な、、なんすかこれ!」
お笑い芸人コンビも戸惑っている

「うふふ・・・」
夢菜が妖艶な笑みを浮かべて、
ドレスから覗く胸元を触っている。

そして自分の口紅をペロリと舐めた。

観客席のおじさん連中は
低いうなり声をあげた。
興奮しているようだ。

だが、スタジオの出演者たちはざわめく。
リハーサルと違う内容だからだ。

もちろん、ディレクターたちも困惑した。

その時だったーーー

「今日はーーずいぶんと
 おもしれぇ台本じゃねぇか!」

つよしが笑いながら言う。

「あーーー、そういうことですか」
若手女優が言う

「なるほど。
 驚かさないで下さいよ~」
お笑いコンビが言う

「--スペシャル番組の企画ってわけね~。
 夢菜ちゃんも大変だ」
イケメン俳優が言う。

つよしは、これを”台本”の演出だと誤解していた。

そしてつよしはディレクターの方を見て笑う。

生放送中だから口にはしなかったが、

”やるじゃねぇか”とでも言いたげな顔だった

「---台本じゃないんですけど」
ディレクターがそう呟いた。

だが、上からストップはかからない。

番組はそのまま続行された。

「夢菜の体、今完全に乗っ取られちゃってるの!
 体も、心も・・・
 ぜ~んぶ、中のヒトの思い通り!

 夢菜、真面目に司会者として仕事してたのに~
 全部、壊されちゃう!」

夢菜が言う。

そして続けた

「この体、、見てるだけで興奮するな~
 ウフフ・・・

 えいっ!」

夢菜が可愛らしくそう言うと、
自分の胸をわしづかみにした

「んふっ・・・あはっ・・・す、、すごぉい♡」

夢菜があまりの気持ちよさに恍惚の表情を浮かべた。

ディレクターの顔が青ざめる。

ちらっと、責任者の顔を見るが、
責任者は”続けろ”と言わんばかりに頷いた。

「うっほ!やるねぇ!夢菜ちゃん!
 もっと!!もっとやれ!」

つよしが興奮気味に言う。

他のスタジオ参加者たちは少し引き気味だ。

「あぁん・・・あっ・・・あぁぁぁっ♡」

夢菜が喘ぎ声をあげる。

少しすると、夢菜は再び微笑んで続けた。

「---スタジオのみなさん、
 これ、台本だと思ってませんか~?」

夢菜がバカにしたように笑う

「--ははっ!
 台本でも、そうじゃなくてもどっちでもいいよ」

つよしが言う。

すると夢菜がイケメン俳優に近づいた

そして、顔をイケメン俳優のすぐそばまで近づけて
ささやいた

「---夢菜、こんなことすると思います?」

夢菜は甘い声で囁いた。

夢菜の甘い吐息がかかり、
イケメン俳優はドキドキした様子で答えた

「い、、、いや・・・
 ちょ、、ちょっとやりすぎかな・・・」

俳優が答えると、
夢菜が笑った。

「ウフフフフ・・・
 だってぇ!夢菜、本当はこんなことしたくないのに
 させられちゃってるんだもん♪」

そう言うと、夢菜が乱暴にマイクを投げ捨てた

「は~い!これが本当の憑依だよ!あはっ♡」

悪戯っぽくウインクすると、
夢菜は信じられないことに自分の服を乱暴に脱ぎ捨て始めた。

「---おい、ちょっと!」
ディレクターが思わず声をあげた。

「---放送中止!放送中止!」
ディレクターが叫ぶと、プロデューサーもようやく重い腰を上げた。

スタジオでは服をちぎるようにして脱ぎ捨てた夢菜が
自分の胸を弄んで盛大にあえいでいる

「んんンンんんっ!あぁぁぁぁあっ♡

 夢菜のアナウンサー人生、、、
 これで終わっちゃうけど・・・

 あっ、、、あっ、、、、、他人だから
 関係ないしね!

 あはっ・・・あはっっ・・・あぁぁぁぁあ

 イクゥゥゥゥゥ♡」

夢菜が潮を噴き、その場にだらしなく倒れ込んだ。

「---おい、何だよコレ」
つよしが笑う

「放送倫理なんてクソくらえってか?」
つよしが笑いながらディレクターに尋ねると、
ディレクターが「台本じゃないんすよ~」と涙声で言う。

その言葉を聞いて
スタジオ・観客にパニックが起きた

”本当の憑依”だとーー。

観客席に居た母親と女子中学生の親子は戸惑った表情でその様子を見ていた

「ねぇ、、、お母さん、もう行こうよ」
娘が帰りたがる。

真面目な感じの子で、学校帰りでそのまま来たのか、
制服姿だ。

「---そ、、そうね」
母もそれを承諾し、立ち上がる。

スタジオの夢菜は下着姿で白目を剥いて
倒れたままだー

「早くいこ」
娘が母を急かす。

その時だったーー

「・・・えっ・・・うあっ!」
娘の女子中学生が変な声を上げたので
母親が振り返る。

既に番組収録に招かれた一般客の半分は
外に逃げ出していた

「どうしたの・・・?」
娘の変な声を聞き、母親が訪ねる。

すると、女子中学生は
幼い顔に悪魔の笑みを浮かべたー

「お母さん、やっぱ私、帰らない!」

凄く嬉しそうな表情で言う。

「---私、あそこの人と同じように、
 乗っ取られちゃった!えへ♡」

母親に向かって可愛らしくウインクすると、
彼女はスタジオの真ん中に歩いて行った。

そして、倒れたままの夢菜を邪魔ものをどかすかのように
足で乱暴に蹴り飛ばした。

夢菜の体が力なく転がる。

「---綾(あや)!何してるの!」
母親が叫ぶー

しかし娘の綾は
制服姿のまま笑みを浮かべたー

「だ・か・ら、
 綾の体も、乗っ取られちゃったのよ~

 うふふふふふふふ!」

綾の笑みはーー
女子中学生のものなどではなかったーーー

「---おい、無理すんなよお嬢ちゃん!」

つよしが楽しそうに言う。

つよしは事態を上手く把握できていないようだ。

その言葉を聞いた綾は微笑んだ

「無理してやってるんじゃないの!
 綾、今は中に居る人の思い通りに動くの!

 だから、これからやることも、
 全部、綾がやりたくてやるの!

 えへへへへへ♡」

綾はだらしなく笑ったーーー。

そしてーー
突然大声を出して言う

「今すぐ出入り口を封鎖しなさい!
 そして、カメラを回しなさい」

綾とは思えないような威圧感ーー。

ディレクターは、ビクッとする。

「そ・・・それは・・・」

ディレクターは反論しようとしたが、
綾は笑った。

「いいの?綾、
 このまま服を脱ぎ捨ててスタジオの外に走ってって、
 人生 台無しにしちゃうよ?」

その邪悪な言葉にスタジオは凍りついたーー。

これはーーー
”ヤラセ憑依”でーー視聴率を荒稼ぎした自分たちへの
”罰”なのかーーー

生きた心地がしないまま、ディレクターは綾の指示に
従ってスタジオを封鎖した・・・

②へ続く

コメント

  1. 匿名 より:

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    いい番組だあ…録画しなきゃ(使命感)

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    > いい番組だあ…録画しなきゃ(使命感)

    毎週の放送が楽しみ!(笑)