自らの妹でもーー
悪の魂を克服することはできなかった。
悪の魂に飲み込まれた妹が最後に選んだのはーー
”死”だったーー。
妹から悪の魂を回収したジョーは、ある決意をする…。
--------------------------------------------------
ジョーは妹から取り出した悪の魂を、
祭壇のような場所に設置した。
「---少し、待っていてくれ」
ジョーは、妹を、妹に近い雰囲気を持つ
女子大生、中島 静恵に妹の悪の魂を放り込む決意をしていた。
”魂から、中島静恵の体を憑代に、妹を復活させるー”
ジョーは、危険な妄想に取りつかれていた。
「そのためにはーーーデータの収集が必要だ」
ジョーは呟いた。
ストックの悪の魂を見つめて、
ワイングラスを片手に微笑む。
ジョーは、
”あらゆるシチュエーション”の実験に踏み切ろうとしていた。
「魂からー妹を復活させるには、
色々試してみなくてはな…」
そう呟くと、ジョーは事故で死亡した”痴漢常習者”の悪の魂を
手につかんだ。
「これをーーー
痴漢被害を受けている女に放り込んだらーーー
どうなるのかーーー。
フフフフフフ・・・」
ジョーは口元を三日月に歪めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
三島 明日香(みしま あすか)は、友達の大学生と二人で帰っていた。
「明日香もさ、彼氏作らないの?」
親友の玉木 花枝が訪ねた。
「うーん…私は、、いいかな」
明日香は自虐的な笑みを浮かべた。
彼女はあるとき、痴漢の被害に遭った。
夜の帰り道に痴漢に襲われたのだー。
それ以降、明日香は男に恐怖を覚えるようになった。
しかも、その1週間後、運の悪いことに彼女は
電車での痴漢にも遭遇した。
ーー2度にもわたる痴漢被害。
彼女は完全に男性恐怖症に陥っていた。
「----ま、あんなことがあったし…
仕方ないね」
花枝が言うと、明日香が悲しそうに笑った。
「---うん…」
ーーーその背後に透明状態の
”ジョー”が笑みを浮かべて立っていた。
「ククク…
ちょうどいい…痴漢被害者で、
痴漢の怖さを知る彼女がーー
痴漢常習者の悪の魂に打ち勝てるかどうかーーー
見せてもらおう!」
ジョーは野球ボールのごとく、悪の魂を、投げ込んだ。
前を歩いている明日香に向かって。。
「---!?」
明日香が違和感を感じ振り向く。
「---どうしたの?」
花枝が訪ねたが、明日香は「気のせいかな…」とつぶやいて
「何でもない」と花枝に微笑みかけた。
これがーーー
”悪への転落”の始まりとも知らずにー。
それから数日間、ジョーは明日香の様子を”観察”した。
今のところ変わったところはないー。
だがーー
異変は起きた。
4日目のことだった。
「---」
明日香は違和感を感じていた。
今日は何故だか花枝がいつも以上に可愛く見える。
スカートから覗く足を触りたいーー
そんな妄想に取りつかれていた
「---どうしちゃったんだろ 私・・・」
明日香は一人、呟いた。
少し離れた場所にいる花枝の足が気になって仕方が無い。
ーーー触りたい。
ーーーー触りたい。
「----っ」
明日香は自分の口を抑えた。
”あの時”の恐怖は自分が一番よく知っている。
その自分が、”そんなこと”を一瞬でも考えてしまうなんてーー。
「きっと、疲れてるの…そうよ」
明日香は一人呟いた。
しかしーー
その日の帰りの電車は、、
明日香を興奮させた。
女子高生のスカートを見て明日香は顔を赤らめた。
OLの制服を見て、明日香は胸が高鳴った。
ばれないように触りたい・・・
ううん、ばれてもいい…
明日香はそんな風に思っていた。
「……」
明日香は女子高生が立つ窓際に立った。
わざと体を密着させてみる。
すると、何ともない快感のような感情が
湧きあがってきた。
「----」
女子高生が不快そうな表情を浮かべるのをよそに、
明日香は駅につくまで、女子高生の体に自分の体を
密着させていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…ダメそうだな」
その様子を見ていたジョーは呟いた。
”いつものパターンだ”。
3~4日で異変が生じ始めて、
あと数日で壊れる。
典型的なパターンだ。
悪の魂に、彼女も支配されてしまうのだろう。
「変だな…私・・・」
自宅で明日香は一人悩んでいた。
何で今日はこんなにも興奮したのだろうーー。
何かがおかしいーーー。
ふと、自分のショートパンツから覗く足が見えた。
「あっ……」
自分の手ですべすべの足を触ってみた
「うっ…あ・・・はは…」
自然と明日香の顔には笑みが浮かんだ。
その顔は赤らんでいる。
「----えっ!」
ハッとして明日香は手を離した。
「---わたし、、、今…」
明日香は不安そうに鏡を見つめた。。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あれからさらに3日が経った。
ジョーは呆れたような笑みを浮かべながら、
大学の誰も通らないような場所で行われているある行為を
見つめていた。
「や…やめて明日香!どうしたの!」
女子大生の花枝が叫ぶ。
「ちょっとぐらいいいじゃない~♡」
うっとりとした目つきで明日香は、花枝のスカートの中に
手を入れ、花枝を刺激している。
「あっ!!!やめて…明日香…やめ…♡」
花枝が感じてしまい、声を出す。
明日香はその様子を嬉しそうに見つめていた。
「花枝~~~♡
すっごい今、いい気分!もっと触らせてぇ~!」
明日香が叫んだ。
悪の魂を入れられる前の、
大人しく、ちょっと寂しげな雰囲気はどこにもない。
「、、っ…あ、、明日香!
アンタ!こういうことされて、どう思うか知ってるはずでしょ!
あっ♡
な、、なんでこんなことするの!」
花枝が言った。
明日香は笑って答えた。
「よく考えたら、私、あの時気持ちよかったから!
だからぁ~
花枝にも味あわせてあげようと思って!
ホラ、気持ちイイでしょ~?」
明日香が花枝のスカートの中を乱暴にいじくり始めた。
その時だったーー。
パチン!
花枝が明日香の頬を叩いた。
「----馬鹿!最低!」
花枝は涙ぐみながら走り去っていく。
ーー信じたのに。。
大切な親友だったのにーーーと
泣き叫びながらーーー。
その様子を見て明日香は自分の太ももを握りしめた
「うぅぅーーー
満足できないよ~~~~~」
明日香は
悪の魂が持っていた”性への欲望”という悪の部分に
浸食されていた。
今の彼女にとって自分が痴漢されたことでさえ、
”恐怖”ではなく”快感”の記憶に変わっていたーー。
”自分がされて嫌なことは人にするなー”
明日香はそう両親から言われてきた。
しかし…
「…気持ちイイ…♡
されて嫌なことじゃないから、やってもいいよね」
明日香はそう言うと、邪悪な笑みを浮かべたーー。
その日の、とある電車では、
女性による痴漢事件が起きたー
女性が女性に対して車内で乱暴を行ったのだーーー
その犯人はーーーー
「……」
ジョーはワイングラスをつまらなそうな表情で置いた。
「収穫ナシ…。」
ジョーは”101”と書かれた三島明日香の写真にバツ印をつけた。
そして、妹の”悪の魂”を置いてある祭壇を見つめるーー。
「まだ、データが足りない…
もう少し、待っててくれ…」
ジョーは歪んだ笑みを浮かべると、”102”と書かれた女性の写真に目を向けた…
”101ニンメ 完”
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
コメント
久しぶりの悪の魂です。
リクエストを頂いたテーマで書いてみました!
やっぱり、被害者と言えども、悪の魂によって、
こうなってしまうのではないでしょうか(汗
明日はムスメの身代金の続きです^^
コメント