憑依小説 変装クレーマー④ <完>

別人になりきっていたのにばれてしまった。。

男の歪んだ欲望に弄ばれた李緒の運命は?

変装クレーマーの完結編です!

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俺は事務所に連れてこられた。

何故、ばれたのか。

長かった髪を切り、
メガネをコンタクトレンズに変え、
メイクや化粧の雰囲気を替え、
ピアスをして、
ミニスカートに胸元を強調した服装…

完全に別人になりきったと思ったのに…

「…李緒ちゃん、、これは一体…」
店長が一息つくと言う。

俺は腕と足を組み、偉そうに着席した。

絶対に山村さんだと悟られてはならない

「……さっきから、李緒、李緒って
 何なんだよ」

わざと低い声で言う。
そう、山村さんじゃない。
ここにいるのは別の人間なんだ。

そう思え!店長!

俺は心の中で叫んだ。

「…あのさ…言いにくいんだけど
 俺も接客経験長いから、人覚えるの得意なんだよね…

 李緒ちゃんみたく少し変わっていても、
 すぐに分かるっていうか…」

店長は気まずそうに言う

「…ってかさ、どうしたの?」
店長が言う

「真面目な李緒ちゃんがそんな格好してさ… 
 急にクレームつけたりして」

「…だから!
 李緒じゃねぇって言ってんだろ!」

俺は低い声で、
相手を最大限ビビらせる雰囲気を作り、
店長の胸倉をつかんだ

「……」
だが店長は疑いの目を向けている。

…まずい!
山村さんにこんな恥ずかしいことをさせ、
屈辱的なことをさせていて…
その上、首にでもなっちゃったら…

”山村さんにこんなことをさせている”

本人の意思とは関係なく、
こんなとんでもないことをさせている、
という現実に突然、俺は興奮してしまった

「……そうだ」

俺は突然、店長に口づけした。
そのまま店長を押し倒し、その状態で
激しく唇を重ね合わせた

「ちょ、、、ちょっ…」

「あはは!てーんちょー!
 私、店長のこと大好きなの!

 だから構ってほしくて!」

山村さんの声で色っぽく言うと、
そのまま店長の上で服を脱ぎ捨てて、
店長の服も脱がせにかかった

「や・・・やめ…」
店長はそう言いながらも、山村さんを受け入れた。

山村さんが首にならないためには
これしかない!

これが女の快感…

俺は店長を気持ちよくさせながら山村さんの体で
勝手に快感を味わっていた

「んっふ…ふぅ…あぁあああぁぁあっ、イイ!気持ちイイ!」

山村さんの喘ぎ声が事務所に響き渡る。

そして二人はーーー
完全にイッてしまった。

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その後、俺は山村さんを解放した。

自宅で。。

霊体で離脱した後、
山村さんは意識を取り戻すと、ひどく混乱していた。

短くなった髪を見てパニックを起こし、
耳にできたピアスの跡を見て泣き出してしまった

「ごめんー」
俺はそう呟き、自分の家へと戻り、自分の体に戻った

「……でも気持ちよかったな」
俺はあの日、店長との行為の快感が忘れられなくなってしまった。

もう憑依する手段はない。
また、憑依錠を買おうと思ったが、そのサイトは閉鎖されていたーー

変装の為に使ったモノは全て処分してきた。
だから、彼女は自分の髪型とピアス跡ぐらいしか異変に
気づかないだろう…。

だが、、大丈夫だろうか…

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翌日。

バイトの時間。

今日は午前中が、山村さんで
俺は入れ替わりで山村さんと憑依後、
初めて会う日だった。

「おはようございます」
俺が挨拶をすると、

「……おはようございます…」
と元気なく答えた。

すっかり生気が無くなってしまっている

「……だ、、、大丈夫?」
俺が心配して聞く。
自分には後ろめたさがある。

「……店長から………事務所で迫られて…」
山村さんが涙ぐむ。

「怖い…私・・・怖いです」
山村さんの涙ぐむ顔を見て、
俺は初めて自分のしたことを後悔した。

俺はあのロングヘアーの山村さんが好きだった。
明るく元気だった山村さんが。。

だが…

そして、彼女は数日後、バイトを辞めてしまった。

店長はバイトに手を出したと噂になり、直営店の
コンビニだったため、どこかに飛ばされた。

好きだったバイトの子。

そして信頼していた店長。

俺は自分の欲望のために、
2つの大事なものを失ってしまったのだった。

喪失感。
そう、俺は一人で行為を行った直後の喪失感と
同じような感覚を味わっていた…。

<完>

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憑依<変装クレーマー>

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