バイト先のコンビニへとやってきた。
憑依され、別人になりきった李緒。
果たしてその運命はー。
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「いらっしゃいませー」
店長と、バイトのベテランの子、川上幸子がレジをやっていた。
正直、俺は20代後半で偉ぶっている川上さんが嫌いだ
「フフ…川上さんにクレームつけるか」
山村さんの口で俺はこうつぶやいた。
ハイヒールの音を立てながら店内を見てまわる。
店長も、川上さんも、まさか今店内にいる少し派手目な女の子が
山村李緒だとは気付いていないようだ。
店内の鏡で男を誘惑するかのような格好で、
恥ずかしげもなく、堂々と歩く自分の姿を見たーー。
「うっわ……スゲー」
改めて俺は興奮を覚える。
「おっと、そろそろやらなくちゃな」
俺はレジにおにぎりと、飲み物、他数点を
適当に持って行ってレジに出した。
何かミスをしろ!何かミス!
俺は心の中でそう念じた。
もし、川上さんがミスをしなかったら1度店の外に出てから
おにぎりでも潰して難癖をつけようと思っている。
だが、できれば何かミスをしてくれた方が、さらにケチはつけやすい。
その時だった。
川上さんが手を滑らせておにぎりを落とした。
「申し訳ございません」
そう言いながら川上さんがおにぎりを袋に入れようとする
これだ!
「ねぇ、ちょっとアンタ」
わざと怒りっぽい声を出す。
いつもはおしとやかで可愛らしい声の山村さんとは思えない
「も、、申し訳ございません」
川上さんが謝る
俺はわざと腕を組み、
高飛車な態度で続けた
「ねぇ…あたしにそんなモノ食べろって言うの?
アンタが落としたそれを??
ふざけないでくれる?」
いつもは「私」と言っている山村さんに
「あたし」と言わせてみた。
もう、山村さんじゃないよこんなの!
俺は山村さんを変えきってしまったことに
興奮を覚えた
「い、、、今 お取替えします」
川上さんがうろたえている
「はぁ…それだけ!?
マジ最悪!
チョー不愉快なんですけど!」
真面目な山村さんにこんなことを言わせて、
こんなことをさせている状況にも興奮した。
「……アンタ、あたしを馬鹿にしてるでしょ?」
川上さんが涙目でこちらを見る
「泣いてんじゃねーよ!」
山村さんが出しうるであろう、
一番怖い声で怒鳴った。
もはやだれも目の前にいる女の子が山村さんだとは気付かないだろう。
川上さんは泣き出してしまった。
周りのお客さんが騒然とする
店長がやってきた
「申し訳ございません わたくしどもに不手際が…」
その時だった。
店長が俺の顔を見てはっとする。
「……何見てんのよ?」
腕を組みながら尊大な様子で不機嫌そうに言った。
「………」
店長が考えている。
「何とかいえよオラ!」
もはや山村さんの面影などどこにもない。
山村さんは、俺の欲求を満たすため、俺の思うがままに操られて、
そして俺の思うがままに変えられてしまっているのだ。
店長が、複雑そうな表情で俺を見た
「………山村さん…?」
えっ…
何だって??
「……李緒ちゃんだよね??」
店長が気まずそうにそう言った
俺はそのまま、凍りついてしまった。。
ど、、、どうすれば…
このままじゃ山村さんに迷惑がかかってしまう…
④へ続く
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