憑依小説 失恋の報復 番外編

これは、金井里香のとあるクラスメイトの物語。

ある日を境に豹変していく里香を前に、
そのクラスメイトは困惑する…

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僕の名は篠原 祐樹。
高校生だ。

まぁ、学校内では普通の立ち位置にいる人間だ。

ある日。僕は幼馴染の
金井 里香さんから相談を受けた。

「…新庄君に告白されちゃった…」
金井さんが言う。

「え…」

新庄君と言えば、クラスの中でもワルで、
よく友人の辻本君とつるんでいる。

素行も悪く、校外にも悪の仲間がいるのだとか。

「…断ったけど…
 ちょっと怖いな…」

金井さんが言う

「……金井さん」
僕と金井さんは小学生からの付き合いだ。

過去にとあるトラウマがあって
(不審者に襲われたらしい)男の人が苦手な金井さんとも
僕は上手くやっていけている。

勿論、それは男女としてお互い見ているわけではなく、
幼馴染としての絆があるからだ。

「…新庄君が何かしてきたら怖いなって…
 考え過ぎかな…」

金井さんが不安そうな表情を浮かべる。

幼馴染の僕が言うのもなんだけど、金井さんはかなり可愛い。
もちろん、僕は変な気を持ったりしないけれども…

「…大丈夫だよ」
僕が言った。

「新庄君だって、やっていいことと、やっちゃいけないことぐらいわかるよ。
 金井さんに手を出したりはしない」
僕は力強くそう、金井さんに伝えた。

すると金井さんも笑顔で
「うん、そうだね。ありがとう」とほほ笑んでくれた。

ーーー翌日。

新庄君が死んだ。
突然死だったらしい。。

そして、、
朝、金井さんとあいさつした時に僕は異変を感じ取った。

いつもより化粧が濃い気がする。
心なしかスカート丈も短くなったような気がする。

「……いや、、気のせいだよな」
僕は気にしなかった。

だが、金井さんはやはり変だった。

授業中もこっそりスマホをいじったりしているように見えるし、
何か違和感を感じる。

昼休み。
僕は金井さんに声をかけてみた

「金井さん…、大丈夫?」
僕がそう尋ねると、
金井さんが一瞬表情をゆがめた。

新庄君が突然死したことで同様しているかと思い、
僕は声をかけた。

「大丈夫…?」
金井さんの声のトーンがいつもより低い

「…あ、、ホラ、新庄君死んじゃったしさ…」
僕が言うと、金井さんが笑みを浮かべた

「大丈夫よ。。 
 あんなヤツ、私には関係ないから!」
そう言うと、金井さんは教室から出て行ってしまった。

「……何かあったのかな?
 なんかよそよそしいような…」

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それからしばらくしたある日。

休日に僕は高校近くのデパートに来ていた。
ちょっと欲しいモノがあったからだ。

その時だった。

「あれ??金井さん?」

金井さんが洋服売り場を一人歩いていた。

しかも、ショートパンツで足を大胆に露出している。
金井さんのそんな姿は見たことが無い。

金井さんは男を誘うような格好とか、
そういうのも嫌いだった。

「ねぇ…早くしてよ!」
金井さんが洋服売り場の店員にいら立った様子で声を上げる。

どうやら何かに文句をつけているようだ。

「…本当に使えねぇな」
金井さんとは思えないような口調に、、僕は違和感を感じた。

「……か、、金井さん…」
一瞬、僕は声をかけようと思ったができなかった。

そうこうしているうちに金井さんは派手なミニスカートを
購入して、洋服店から立ち去った。

僕は咄嗟に身を隠した。

なんだかーーー
僕の知る金井さんじゃない気がする。

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……。

あれからもやはり金井さんは変だ。

次第におかしくなっていってる気がする。

クラスの中では金井さんが複数の男と関係を持っていると
いう噂まで流れ始めた

放課後、どこかの空き教室で男と楽しんでいるという
うわさまで。

あの金井さんがそんなことするはずがない。

・・・絶対に。

昼休み。

「金井さん…最近、変な噂まで流れちゃってるけど…大丈夫?
 何かあったら、僕も力になるから…」

僕が言うと、金井さんはよそよそしく「気にしないで」と言った。

「……でも、金井さん、辛いでしょ…」
僕が言うと金井さんは足を止めた。

「あらぬ噂まで流されて、
 何か悩んでるんだったら僕が力になるから!」

そう言うと 金井さんが僕に背を向けたまま言った。

「いいから。気にしないで」

僕は悲しかった。
幼馴染なのにーー
今までずっと、色々相談してくれていたのにー

「ねぇ!僕が何かしたなら謝るよ!
 なんでそんな冷たい態度を…」

「うぜぇな!話かけるんじゃねぇよ!」

里香が突然、乱暴な口調でそう怒鳴った。

近くにいた生徒も驚いている

「か・・・金井 さ…ん?」

僕は驚いて言葉を失った。

金井さんの表情は今まで見たこともないほどに
怒りに満ちている。

金井さんが…こんな乱暴な事を口走るなんて。

……そして金井さんはそのまま不機嫌そうに
立ち去ってしまった。

放課後。

僕は意を決して金井さんの後をつけた。

金井さんの家は意外と近い。

金井さんはそのまま帰宅した。

噂は、、噂。そうに違いない。

が、、少しすると金井さんが再び家から出てきた。

ミニスカートに胸を強調した服装だ。

「……どうしたんだよ、金井さん」
僕はそう呟き、あとをつけた。

金井さんはどんどん人気のない方向に向かって行った。

そして、近くにある廃工場に入っていく。

「何で、こんなところに…」

恐る恐る僕が後をつけ、廃工場の隙間から目をやると…

金井さんが金髪の男と、熱いキスを交わしていた。

時々、金井さんが喘ぎ声をあげている

「くっは・・・最高だぜ」
金髪の男が言う

「だろ? あっ…あぁ…ホラ
 もっと私を…滅茶苦茶に…

 あ・・・もう我慢できない!」

そう言うと、金井さんが金髪男を押し倒し、
一心不乱に二人で行為を始めた。

金井さんの表情が見える。

顔を赤くし、興奮しきったその表情は
僕の知る金井さんでは無かった。

金井さんの激しい喘ぎ声が響き渡る。

「あ・・・ぁっあっ!気持ちイイ!!」

僕はそのまま動けなくなってしまった。

金井さんのあまりの豹変ぶりに……

そして、、僕は、、
そのまま逃げだした。。

あの日以降、僕は金井さんとはほとんど話していない。
もう、金井さんは僕の知らない世界に行ってしまった。

…何があったのか分からない・・・

最近はメイドカフェでバイトを始めたという噂まである。

そしてこの前は空き教室でたばこを吸っているのも見てしまった。

「……僕にはもう、、ついていけないよ」

僕は、、”変わってしまった”金井さんと縁を切ったのだった。。

本当の真実を知らないままーーー

番外編 おわり

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憑依<失恋の報復>

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