憑依小説 スペースポゼッション①

僕は宇宙人はいないと思う。

何故なら、居るのであれば、とっくに宇宙人は
地球にやってきている。

そう思うからだ。

でも、違った…。

もう来ていたーーーー。

ーーーーーーーーーーーーーーー

僕の名は石川 健二。 
まぁ、ごく普通の高校生だと思う。

特にいじめられたりはしていないし
クラスメイトとの交友関係もそこそこだ。

そして最近彼女が出来た
赤崎 陽菜。

大人しい性格で真面目な彼女と、
図書委員として活動しているうちに、
なんだか互いに惹かれあって、
自然と付き合うことになったのだった。

まさか、僕に彼女ができるなんてナァ…

「あ、僕 俊太にモノを貸す約束があるんだった」

俊太というのはクラスメイトの友人だ。

そう言うと、陽菜は僕の方を見て言った。

「あ、じゃあ、図書室の戸締りは私が
 しておくから、先に行ってて!」

陽菜が笑いながら言う

「ありがとう、助かるよ!
 じゃあ俊太に教科書渡したら、昇降口で
 待ってるからね!」

そう言い、僕は手を振りながら図書室から立ち去った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

僕は俊太に教科書を渡し、昇降口で
陽菜を待っていた。

しかし、30分経っても、陽菜はやってこない。

「ん~変だな」
そう思い、僕は再び図書室へと向かって行った。

図書室につくと、中から声が聞こえた

「あ・・・・・・あ、、、は、、はい…」

陽菜の声だ。

どうしたのだろう?

「…はい、、私は・・・あなたのものです・・・はい」

???

何を話してるんだろう?

会話の内容がおかしいと感じた僕は、
図書室を覗いた。

すると、そこにはクラゲのようなカタチをした
謎の人型の生命体が立っていた。

「な・・・なにこれ・・・」
僕は驚く。

着ぐるみ?

そうか、劇か何かの練習か!?

しかし、よく見るとクラゲ(名前が分からないのでこう呼ぶことにする)
は、陽菜の耳に触手のようなものをねじ込んでいる。

「あっ・・・はい、、、はい、、
 どうぞ・・・お好きにしてください」

陽菜が言う。

陽菜の横顔が見えた。
その表情はうつろになっている。

僕は咄嗟に図書室の中に飛び込んでいた。

「お、、おい!クラゲ!
 陽菜に何をしている」

そう言うと、陽菜がぎこちない動作でこちらを見た。

「・・・・・・はい、、彼は・・・
 石川健二… はい、、、
 下等生命体です」

陽菜は僕を見ても一切反応を示さず、
意味の分からないことを口走っている

「おい、陽菜!しっかりしろ!」
僕が叫ぶと、クラゲが突然、陽菜の耳の中に
吸い込まれるようにして入って行ってしまった。

「ひ・・・陽菜…」
僕が言うと、陽菜はこちらを見て行った

「同化完了しました・・・
 あなたが石川健二ですね」

陽菜が機械的な口調で言う

「……そ、、そうだけど、、
 陽菜は!陽菜はどうなったんだ!?
 お、、お前は!?」

僕が言うと、陽菜はうつろな目のまま答えた

「ワタシは・・・宇宙から来ました」

②へ続く

コメント