憑依小説 混ざり合う意思⑥

混ざり合う意思ーー

彼女は加奈なのか。
それとも凶悪犯罪者なのか。

混ざり合う意思ー、最終章!

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変わっていく加奈。

もはや美優にそれを止めることなどできなかった。

加奈は本当にあの、逃走していた犯罪者と
意思が混ざり合ってしまったのだろうか。

いま、いる加奈は誰なのか。
加奈なのかー
それともあの犯罪者なのかーーー

いや、、違う。
二人が混ざり合って、まったく違う人間に・・・

昨日、加奈に言われたことが美優の心を痛めていた

「私さ、ずっとアンタのことうざかったんだよね。
 影に隠れるようにしてたけど、ずっとずっと、ずっと。
 ずっと我慢してたの。

 私ってホラ、優しかったから人に遠慮して生きてきたでしょ?

 でも幸雄と混ざって、全部馬鹿らしくなっちゃった♪」

加奈の言葉に傷つく美優。
やっとの思いで口を開いた美優は言う

「私は・・・今でも加奈のこと・・・」

そこまで言うと加奈は美優を睨んだ

「あ、勘違いしないで。
 アンタのコト、うざかったのは元からだから。
 幸雄と混ざる前から、ずっとずっと
 思ってたことだから」

・・・。

その言葉が頭から抜けない。

あの優しかった加奈が本当にそんなことを思ってたのだろうか。

私を苦しめようとして、
ウソをついているだけだと信じたい。

でも、もう元の加奈には会えない。

永遠にーーーー。

美優は涙をぐっとこらえた。

そしてその日・・・事件は起きた。

加奈と高藤が口論している

「もう・・・別れてくれ!
 なんだか加奈、最近変だろゼッタイ!」

元々美優の彼氏で加奈に誘惑されて付き合っていた
高藤が声をあげる

「頼む、別れてくれ」

高藤もついに、変わりゆく加奈に恐怖を抱いたのだろうか

その時だった。

加奈が突然、高藤を押さえつけて、床に押し倒した。

クラス中で悲鳴が上がる

「私と別れる?
 ふざけんじゃねぇよ」
加奈が恐ろしい形相で、恐ろしい言葉を口にする

そしてもがく高藤に勢いよくキスをした。

嫌らしい音が教室中に響き渡る。

「や・・・やめ・・」

「あぁ、最高!」
加奈は恍惚の表情を浮かべて、
高藤を襲い続けている。

美優は見た。

加奈が手で高藤の首と鼻を押さえている。

このままでは高藤が死んでしまう

なおも、全てを振り乱しながら狂ったように高藤にキスを
続ける加奈

「ちょっと加奈!高藤君が!」

もがいていた高藤の動きが鈍くなってきている。
美優はあわてて加奈を引きはがそうとした

「邪魔すんじゃねぇ!ブス!」
加奈は激しい敵意を美優に向けて言った

美優はその言葉に凍りついた

「か・・・加奈・・・」
涙が流れる。

そして、、高藤は動かなくなった。

それでも狂ったようにキスを続ける加奈。

加奈は狂ったように喘ぎ声を上げている。

クラスメイトがパニックを起こす。

「・・・・・・はぁ~~~ぁぁ・・・ウフフ♪」
加奈は顔を上げた。

顔は幸せの絶頂という感じだ

「もう、ここには居られないね・・・
 コイツ死んじゃったし」
加奈が笑みを浮かべて言う

「でも、今までも3人死なせてるし、
 4人目もかわらねぇか!」
加奈が乱暴な口調で言う。

3人・・・例の死んだ犯罪者が殺したという数だ。

加奈は私の方を見て言う

「じゃあね、美優ちゃん」
そう言うと、加奈は微笑んだ。

かつての笑顔と同じーーー

「加奈!」
私は加奈を呼んだ。
しかし加奈は混乱に乗じて足早に立ち去ってしまった。

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それから、加奈とは二度と会うことはできなかった。

高校卒業の日。私は思う。

あのあと、ニュースにも新聞にも加奈の殺人が
大々的なニュースとなった。

しかし、加奈は家にも帰らず、
行方不明となってしまった。

・・・もう加奈はいない。
私はそう思った。

あれは加奈なんかじゃないーーーー。

私の親友の加奈はーーー
あの日ーー死んでしまったのだから・・・

私はあの事故の日、加奈が死んでしまったと
自分に言い聞かせることで
なんとか加奈との別れを受け入れていた。

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都内某所。

闇の世界の間では有名なうわさがあった。

加奈という名の美少女の殺し屋がいると。
可愛い外見ながら凄腕のヒットマンがいると。

だが、その真相は定かではないーーーー

おわり

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