憑依小説 混ざり合う意思②

次第に侵食されていく加奈。

不安を感じながらも、彼女は次第に変化していくー

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教室についた加奈は美優の座席に向かった。

「さっきはごめんね…」
加奈が申し訳なさそうに謝ると、
美優は笑顔で答えた

「ううん、私こそごめんね。
 加奈には彼氏がいないんだもんね…」
美優はそう答えた。

「なんか、私疲れてるのかなぁ…」
加奈が一人呟く

「ま、加奈もバイトに学校にいつも忙しそうだからね。」
美優がそう言って笑う。

加奈も美優に笑い返して座席へと戻った。

いつものように、平穏な日常。

しかし、今日は違った。
何故かモヤモヤする。

自分が大切な何かを失っていくような、
そんな錯覚を感じる。

何も失ってなどいないのに…

「おい、うぜぇんだよ!」
休み時間。

クラスの不良生徒がいじめられっ子の生徒に
絡んでいた。

顔つきがうざいのだとかなんとか。

加奈はその様子を見つめる。

いじめられっ子の高藤君。
いつも不良生徒の岸田君にいじめられている。

私もよく止めに入ったっけ…

そんなことを考えながら加奈はそんな様子を
微笑ましく見ていた。

ー岸田がより激しく怒る。

そして岸田が高藤を殴りつけた。

「もっと…」
加奈がつぶやいた。

加奈は何故かその様子を見ているとワクワクして
仕方が無かった。

夢中で加奈はいじめの様子に見入る。

ーー今までこんなこと無かったのにーーー。

でも、たまらなく楽しい

「フフ…もっと、もっと!」
加奈は小さくつぶやいた。

その時だった

「ねぇ…加奈?大丈夫?」
美優が心配そうに声をかけてきた

ふっと、加奈が我に返る

「あれ?今、私・・・?」
一瞬、頭の中が混乱した。

今、自分は、いじめを見て
「楽しい」「もっとやれ」と思わなかっただろうか…

「何がそんなに楽しいの?」
美優が不思議そうに尋ねてきた

「え??」
加奈は混乱している

「だって、加奈 今、凄い笑顔だったよ…
 あの2人の様子を見ながら…

 本当に大丈夫?」

美優が心底、心配。という様子で尋ねる

「え?、、だ、大丈夫…
 心配かけてごめんね」

加奈はそうごまかした。

だが、自分の心の中も不安で支配されていた。

昼休み。
加奈はお手洗いの鏡を見ていた。

何故だろう。
自分の姿を見ていると、凄く新鮮な感じがする。

可愛い。
そう思う。

加奈は自分の髪の毛をいじり、
そしてその香りを嗅いでいた。

何故だか興奮する。

今この場で、めちゃくちゃになりたい、
そんな気すらしてきた。

自分の胸を触ってみる

「あぁ…気持ちいい…♪」
加奈は一人、甘い声をだし、
顔を赤くしながら鏡を見た。

…そして…。

「え…」
加奈は突然、現実に引き戻された

「今…わたし…何をしようとしてたの?」
加奈の表情は恐怖で支配されていた。

時計を見る。
気づけば昼休みが10分前に終わっていた。

「な…なにコレ…?」
加奈は慌てて教室に戻る。

教室に戻ると
「北村、お前が遅刻するなんてな?」
と社会科の先生に言われた。

「す、、すみませんでした」
加奈はそう言いながら恥ずかしそうに座席へと戻った。

私・・・どうしちゃったんだろう…。

加奈はそんな不安で支配されていた。

しかし…
そんなことよりも…

さっき、、気持ちよかったな…

加奈の思考は次第に何かと”混ざり合い”始めていたーーー

③へ続くー

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憑依<混ざり合う意思>

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