ワガママで、自分の世話をしてくれるメイドたちに
対しても、横暴な振る舞いを繰り返していた王女ー。
しかしある日、徹底的に見下して
毎日のように嫌がらせを繰り返していたメイドと
入れ替わってしまいー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーホント、無能ねー。使えないー」
王女・アリエルは吐き捨てるようにそう言葉を口にしたー。
とある王国ー
その王国の現国王・ヘクターには二人の娘がいたー。
第1王女のアリエルと、第2王女のディアナ。
そのうちの第1王女・アリエルは”超”がつくほどの
ワガママで、自分以外の全てを見下しているような、
そんな人間だったー。
しかし、現国王のヘクターには、
アリエルとディアナしか子はおらず、
このままいけばいずれはアリエルが女王の座につくため、
不安を口にする人間は多かったー。
中には”ディアナ様が姉であればどれほど良かったことかー”
などと、嘆く人間もいたぐらいだー。
「ーーー申し訳…ございませんー」
そんなアリエルに仕えるメイドの一人・エマは
心底申し訳なさそうに頭を下げるー。
エマは気弱そうな雰囲気の美少女ー…
そんな感じの見た目の持ち主だー。
見た目通り、いつもオドオドしていて、
第1王女のアリエルは、そんなエマの態度に
いつも勝手に腹を立てては、
強く当たっていたー。
「ーーホント、使い道のないクズー。
これだから平民出身のゴミは困るわー」
アリエルはそう言うと、
泣きそうになっているエマを見つめながら笑うー。
「ー泣けば許して貰えるとでも思った?」
アリエルはそう言いながら、エマの髪を引っ張るー。
「ーそ、そんなことはー…」
震えながら言葉を振り絞るエマー。
そもそも、エマが今、叱責を受けているのも
”アリエルのせい”だったー。
アリエルが”急に”メイドたちへの仕事の指示を
変更したために、メイド全員に伝わることがないまま、
行き違いが生じてしまったー。
アリエルは”気まぐれ”で、
昨日言っていたことが今日には変わっているー…というのは当たり前。
いや、それどころではないー。
”1時間前に言っていたことが、1時間後には変わっている”ー。
そんな人物だー。
1時間前には”これでいいわー。よくできてるわねー。さすがよ”
などと言っていたのに、1時間後には
”何なのこれ!?ふざけないで!これ準備したやつをクビにして頂戴!”などと
言うような人間ー。
しかもその上、気分屋でワガママー。
自分達のことを何とも思っていないような相手に、
メイドたちは日々耐えながら、仕えていたー。
「父上が”平民登用制度”を作ったから
あんたたちみたいなゴミを仕方なく雇ってるけどー
ーー”雇ってあげてる”ってことを、
忘れないでよねー?」
アリエルはエマに対して脅すような口調でそう言い放つー。
アリエルの父・ヘクターは民衆に慕われている人物で、
王宮内の騎士やメイド、あらゆる役職の人間の一部を
”平民から”も採用する制度を作り上げたー。
これまではどうしても名家の出身だったり、
貴族の家柄の人間、王族と何らかのコネがある人間などが
採用されていることが多かったものの、
”民衆の雇用を増やす”
そして、”民衆との距離感を縮める”ことなどを掲げて
現国王のヘクターが導入したー。
がー、アリエルはそれに猛反発ー。
今でも不満を漏らしていたー。
「ーその顔ー…
ムカつくー」
アリエルはそう言葉を口にすると、
メイドのエマに理不尽なビンタを食らわせるー。
エマは泣きそうになりながらそれに耐えるー。
エマのような平民出身の人間が
”王宮”での仕事に採用されるためには
高い倍率を潜り抜けて来ないといけないー。
せっかく手にした憧れの王宮での仕事ー
もちろん、収入も高く、
故郷の人々たちの暮らしをよくすることができるー。
だからー、歯を食いしばってでもここに居座り続けたい
理由があったー。
けれどーー
”ーーディアナ様のメイドになりたかったー…”
エマは泣きながら、内心でそんな風に思うー。
第2王女のディアナ…
アリエルの妹にあたるディアナはとても物腰低く、
優しい性格の持ち主ー。
アリエルとは正反対の人物だー。
メイドとして採用された後に
”誰の元に配属されるのか”はランダムー。
”アリエル様ならハズレ、
ディアナ様ならアタリ”などと、
メイドたちの間でも言われている有様だったー。
ようやく、アリエルの”いじめ”から解放された
エマは落ち込んだ様子でとぼとぼと廊下を歩くー。
そこにー、偶然、第2王女のディアナが通りがかったー。
気が強そうな王女ー…という感じのアリエルとは違いー、
穏やかでいつも微笑んでいる雰囲気のディアナ。
「ーーあら、エマさんー。
ー何かあったのですかー?」
ディアナはエマの顔に気付くと、
エマは申し訳なさそうに「いえ…」と、それだけ言葉を口にするー。
メイドの立場で、第1王女を悪く言うことはできないー。
が、ディアナはため息を吐くと
「またお姉さまの仕業ですねー」と、そう言葉を口にするー。
エマは答えなかったものの、
ディアナは心底申し訳なさそうに
「辛い思いをさせてごめんなさいー」と、そんな言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
メイド仲間たちの元に戻ったエマは、
仲間のグレンダ、ジェーンの二人と共に
休憩時間のひと時を過ごすー。
「ーあ~何か間違って、アリエル様、死んでくれないかなぁ~
ほら、階段から落っこちたりしてさー」
ボブカットのメイド・グレンダがそう言葉を口にすると、
「ちょ、ちょっと!誰が聞いてるか分からないし、
そういうこと、軽々しく言っちゃダメよ?」と、
お姉さん的雰囲気のメイド・ジェーンが言葉を口にするー。
そんな二人の会話に、エマは少しだけ笑うと、
「今日は大変だったねー…大丈夫?」と、
ジェーンが心配そうにエマのほうを見つめるー。
「ーーうん…もう、慣れてるからー」
エマはそう呟くー。
本当は、慣れてなんかないー。
アリエルに対して少なからず怒りも感じるー。
でも、”わたしのような立場”じゃどうにもできないー。
エマはそう思い、耐えて、耐えて、耐えていたー。
「ーーでも、アリエル様、エマのことは特に目の仇に
されてるよね~
やっぱ、階段で躓いて死ぬべき人だよ!あの人は」
ボブカットのグレンダはなおも不満そうにそう言葉を口にするー。
エマも、内心では、”アリエル様がいなくなってくれれば”と、
そんなことを思うほどにまで追いつめられていたけれど、
グレンダと違い、それを口に出すことは絶対になかったー。
がー…
そんなある日ー…
エマが階段を上っていると、
突然、上から悲鳴が聞こえたー。
「ーー?」
そして、エマが顔を上げると
そこには、第1王女のアリエルの姿があったー。
「ーあ、アリエルさー…」
エマが驚いてそう声を発するー。
しかしー、上から落ちて来たアリエルに
巻き込まれる形で、エマもアリエルと一緒に
階段から転落してしまったー。
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
「ーアリエル様!!
アリエル様!!!」
王宮の兵士たちが、
階段から転落したアリエルの名前を必死に呼んでいるー。
「ーーぅ……」
その言葉に、彼女はゆっくりと意識を取り戻すと、
”アリエル様ー…!ご無事で何より”と、
そう言葉を口にする兵士のほうを見て、
不思議そうな表情を浮かべたー。
「ーーあ、アリエル…さま…?」
その言葉と同時に、
”彼女”は驚きの表情を浮かべたー。
すぐ近くに”わたし”が倒れているのが見えたのだー。
”えっ…?”
目の前に、自分が倒れているー。
そして、周囲の兵士たちが自分のことを
”アリエル様”と呼んでいるー…。
「ーー!」
困惑しながら、自分の身体に視線を落とすと、
そこにはー、自分などではあり得ない、
気品のある服装を身に纏っているのが見えたー。
「ーー…こ、この服ー、アリエル様のー…?」
ボソッとそう呟くアリエルー。
「ーーアリエル様ー?」
周囲の兵士が心底心配そうにそう言葉を口にするー。
そんな反応に、
アリエルー、いや、アリエルになってしまったエマは、
困惑の表情を浮かべながらも、
”わたしが…アリエル様にー?”と、内心で
今自分が置かれている状況を理解しー、
すぐに言葉を発したー
「ーーい、いえ、ーーだ、大丈夫ですー」
とー。
「ーーー…そ、そうですかー。ご無事で何よりですー」
兵士がそう言葉を口にするー。
アリエルが、まるで第2王女のディアナのように
丁寧な口調でそう返事をしたことに
兵士はわずかに違和感を抱いたものの、
この兵士自身もアリエルから八つ当たりされたりすることを
内心で恐れていたために、思ったよりも普通の反応で
どこか安堵していたー。
「ーお怪我はございませんか?」
兵士のその言葉に、
アリエル(エマ)は自分の身体を触ると、
「え、ええ…」と、それだけ答えつつも
”ど、どうなっているのー…?どうしてわたしがアリエル様にー?”と、
内心でそう言葉を口にするー。
階段を上っている最中だったエマ。
そこに、上から突然アリエルが転落してきて、
それに巻き込まれてしまった。
そもそも、どうして階段の上からアリエルが
降って来たのだろうかー。
階段から降りる時に自分でバランスを崩したのだろうかー。
それともー…
そう思いつつ、アリエル(エマ)はハッした様子で、
倒れている”自分の身体”のほうを見つめるー。
「あ、あのー」
アリエル(エマ)は、アリエル本人であれば
あり得ないような申し訳なさそうな雰囲気を出しつつ、
兵士に声を掛けると、兵士は「はっ…どうされましたか?」と、
そう言葉を返すー。
アリエル(エマ)は、そんな兵士の”どこかアリエルに怯えているような態度”に
気付きながらも、
倒れている”エマ”の身体のほうを見つめつつ、言葉を続ける。
「わたーーーいえ…その子は大丈夫なのですか?」
一瞬、倒れている”エマ”のことを”わたし”と言いそうになった
アリエル(エマ)。
別に本来、間違いではないものの、
今、ここでそれを言えば混乱するだけー。
それにー…何故だか”わたしはアリエル様ではありません”と、
言うつもりにはなれなかったー。
混乱してしまうかもしれないー。
信じて貰えないかもしれないー。
そんな思いはもちろんあったー。
がー、それとは別に……
「ーーー…この者も意識を失ってはいますが
命には別状はありません」
倒れているエマのほうを確認していた兵士が
そう言葉を口にするー。
「そうですか…良かったですー」
アリエル(エマ)は少しだけ安堵の表情を浮かべるー。
”わたし”の身体が死んでしまっていたらどうしようー…
そんな風に思っていた不安が一気に払拭されたー。
がー、その時だったー。
「ーーぅ…」
”エマ”が意識を取り戻したー。
「!?」
アリエル(エマ)は少しだけ驚くー。
”わたし”がアリエル様になっているのだからー、
自分の身体は意識不明のままだと、
そんな風に思っていたからだー。
しかし、エマの身体は”意識”を取り戻し、
身体を起こすと、
「ーーちょっと、何?気安く触らないで」と、
そんな言葉を発したー。
「ーー!!」
アリエル(エマ)は、そんな”自分”の様子を見てー、
兵士を振り払う姿を見て、
確信したー。
”ーわ、わたしの身体の中にアリエル様が…?
も、もしかしてー…”
入れ替わっているー…
エマが、アリエルの身体にー…
そして、アリエルがエマの身体にー…
「ーな、何よコイツ!?
わたしの偽物ー!?」
エマの身体で目を覚ましたアリエルは
早速そう声を荒げるー。
どうやら、”目の前に自分がいる”という光景を目の当たりにして、
”偽物がいる”と判断したようだー。
「ちょっとあんたー…どういうつもりー!?
このわたしが誰だか分かってー…」
エマ(アリエル)が怒りの形相を浮かべながら
アリエル(エマ)に近付いて来るー。
自分の”声”の変化に気付いていないのだろうかー。
そう思っていると、
アリエル(エマ)に対して怒りの形相で迫ろうとしている
エマ(アリエル)を兵士が止めたー。
「アリエル様に対して無礼だぞ!」
とー。
「ーーーーは?」
エマ(アリエル)は兵士に対して怒りの形相を向けると、
そのまま自分の身体を見下ろしたー。
そこに見えたのはー
”使い古されたメイド服を着たエマの身体ー”
「ーー!?!?!?!?!?」
呆然とするエマ(アリエル)ー
この日ー…
王女・アリエルにとっての”屈辱の日々”が始まったのだったー…。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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周囲に横暴な態度を取っていた王女が、
自分が嫌がらせをしていたメイドと入れ替わってしまうお話ですネ~!
入れ替わり後の生活に何が待ち受けているのかは、
②以降のお楽しみデス~!!

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