<憑依>黒き雫①~欲に染まる者~

その憑依薬はー、
黒き雫となって使用者の精神を”汚染”する副作用を持っていたー。

使用者がどんな善人であってもー、
どんな良いことに使おうとしていてもー、
それを使えば最後ー…欲望に支配されてしまうー。

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「ーー…へへへへ♡
 こんないい身体ー…返すわけないだろ?」

ニヤニヤとしながら
そう言葉を口にする女子大生ー。

その顔立ちや雰囲気からは、想像もつかないぐらいに、
下品な笑みを浮かべているー。

「ーーなっ…お、おいっ!冗談はよせよ!
 もう”用事”は済んだだろー!?」

そんな女子大生の前で、困惑した表情を浮かべながら
そう言葉を口にするのはー、
同じ大学に通う男ー、北倉 泰樹(きたくら やすき)ー

そんな泰樹の言葉に、
「へへー…でもさ、せっかく、葵(あおい)に憑依出来たんだぜー?
 このままでいれば、これからは俺が葵なんだー」と、
泰樹の前でニヤニヤしていた女子大生・盛岡 葵(もりおか あおい)が
そう言葉を口にするー。

「ーお…お前…!ま、まさか最初からー…!」
泰樹は、険しい表情でそう言葉を口にするー。

が、葵はー、
いや、葵に憑依している男ー
泰樹の親友である望月 英吾(もちづき えいご)は、
少し首を横に振ると、
「最初はただ、葵を助けたいと思っただけだよー」と、
そんな言葉を返して来たー。

しかし、その上で葵の身体を見下ろしながら
「へへー」と笑みを浮かべると、
「でも、葵に憑依して見たらーこんなすげぇことー
 こんなゾクゾクすることやめられないってー
 そう思ったんだー」と、欲望に支配されたような表情を浮かべながら
葵の身体で、葵に憑依した英吾はニヤニヤと笑うー。

「ふ、ふ、ふざけるな!盛岡さんが彼氏と別れるのを手伝うためって
 話だっただろ!?」
泰樹は不満そうにそう叫ぶー。

そうー、葵に憑依している英吾は
幼馴染でもある葵を助けるために”葵”に憑依したのだー。

葵には彼氏がいたー。
が、その彼氏は束縛が酷く、最近は暴力も振るって来ていたために、
別れ話をしようとしたものの、葵は恐怖を抱き、
なかなかそれが出来ずにいたー。

そんな中、葵は幼馴染である英吾に相談ー。
その話を聞いた英吾は、
最初は”俺が一緒についていくよ”と、そう葵に提案したもののー、
葵は”たとえ幼馴染であっても、男の人と一緒に別れ話をしに行ったら、
彼を余計に刺激しちゃうかもしれない”と、そう不安を漏らしていたー。

そんな中、”どうすれば幼馴染の葵を助けられるか”悩んでいた英吾に、
親友である泰樹が声を掛けて来たー。

泰樹は英吾から事情を聞くと、
”じゃあ、これ使ったらいんじゃねぇか?”と、
そう呟きながらスマホを見せて来たー。

それがー、”憑依薬”だったー。

他人に憑依することができ、任意のタイミングで
抜け出すこともできる薬ー。

それを使えば、英吾が葵に憑依ー、
葵の彼氏と上手く別れ話をつけて、
万が一、相手が何かしてきた場合でも、
英吾には葵の身体であってもそれを切り抜ける自信があったー。

英吾と泰樹は憑依薬を使うことについて相談ー、
葵を助けるために、休日に葵がまだ寝ている時間に葵に憑依ー、
彼氏を呼び出してきっちりと葵と別れさせることを
決めるのだったー。

そしてー
決行当日ー。
彼氏を事前に呼び出しておき、
英吾は憑依薬を使用ー、
霊体となって葵に憑依ー、
自分が葵の身体になったことにドキドキしながらも、
首をぶんぶんと横に振ると
「早く、彼氏と話をつけて用事を済ませないとな」と、
そう言葉を口にしたー。

少なくともこの時点では、英吾は
葵に憑依して、葵が怖がっている彼氏とちゃんと別れ話をして、
それが済んだら葵の身体から抜け出すつもりだったー。

英吾が代わりに葵の彼氏に話をつけても良かったものの、
葵本人が”別の男”が出てくることで、彼氏はもっと逆上する可能性があると
そう恐れていたために、葵に憑依して、葵の身体で解決させようと、
そう考えたのだー。

親友の泰樹も、お人好しで困っている人を放っておくことが出来ないタイプの
英吾相手だからこそ、”憑依薬”の話をしても大丈夫だとそう思っていたし、
私利私欲のために、葵の身体で好き放題するような人間ではないと、
心のそこから信じて、英吾に憑依薬の話をしたー。

葵に憑依した英吾は予定通り、
葵の”彼氏”と会い、そして、話をつけることに成功したー。

相手の彼氏は、確かにキレやすそうな雰囲気もあったし、
何をしてくるか分からないような怖さもあったけれど、
臆することなく、しっかりと嫌だと思っていることを伝えて
別れ話をハッキリと口にすることで、
相手も理解はしてくれたー。

こうして、葵に憑依して、葵が困っていた”彼氏”との
別れ話を無事に済ませた英吾ー。

しかしー、問題が起きたのは”そこから”だったー。

「ーーよし、じゃあー、憑依を解除する方法はー」
泰樹が憑依薬の説明書を手にしながら
合流した葵ー…葵に憑依している英吾に対してそう言い放つと、
英吾は「あ、いや、ちょっと待ってくれー」と、
そう言葉を口にしたー。

「ーん?まだ何かあるのか?」
泰樹は少し首を傾げながら
不思議そうにそう呟くー。

すると、葵に憑依している英吾は言ったー。

「いや、せっかく憑依したんだしー少し楽しんでから
 葵に身体を返そうかなってー」

とー。

「ーーは…???いやいやいや、ダメだろー
 その身体は盛岡さんの身体だぞー!?
 彼氏との別れ話を終えたらすぐに身体を返すはずじゃー?」

心底困惑した様子で言う泰樹ー。

しかし、葵はそれでも首を横に振ると、
「ーいやいや泰樹ーだって今ならーどんなことだって
 できるんだぜ?どうせ記憶も残らないんだしー
 少しぐらいー」と、そう言葉を続けるー。

英吾は、人の身体を平然と乗っ取って、
そのままでいようとするような人間ではなかったー。

ーーなかったはずだー。

それだけに、泰樹は心底驚いた様子で、
「お前…自分が何を言ってるのか分かってるのか?」と、
そう言い放つー。

しかし、葵は「ーほら!こんなことだってできるんだー」と、
目の前で自分の胸を揉み始めるー。

「ーお、おいっ!?!?」
予想外の事態に顔を赤らめながら声を上げた泰樹ー。

しかし、葵に憑依している英吾は、
葵の身体で胸を揉むのをやめようとはせずに、
そのまま気持ち良さそうに胸を揉み続けるー。

「や、やめろって!一体何を考えてるんだ!!」
泰樹は慌てた様子で葵に憑依して英吾の暴走を
止めようとするー。

それでも、葵に憑依している英吾は
止まる気配を見せなかったー。

それどころか、
”「ーー…へへへへ♡
 こんないい身体ー…返すわけないだろ?」”と、
言い始めたのだー。

そして、現在に至るー。

「ーー…そんな顔すんなってー。
 憑依薬を使ったのは、俺とお前しか知らないんだしー、
 このまま俺が葵になっても誰も気付きやしないってー」

下品な笑みを浮かべながら葵はそう言葉を口にするー。

しかし、それでも泰樹は納得できない様子で
「ふざけるなー。早く身体を解放しろ!!!」と、
声を荒げるー。

「ーーイヤだよー。
 まぁ、ほら、お前にもいいことしてあげるからさー
 葵の身体があればいくらでも、どんなことだってしてあげられるぜー?」

葵の身体で誘惑するようなポーズをしてみせると、
「ーーほらほら、こんな風に身体をくっつけることだって」と、
葵の身体で、泰樹に密着しながら英吾は笑うー。

「ーや、やめろっ!」
葵の”身体”に密着されて、ドキッとしたような表情を
浮かべた泰樹ー。

そんな泰樹の反応を見て、葵はニヤニヤと笑うと、
「ほらードキドキしただろ?」と、
そう言葉を口にしながら、
まるで”自分のもの”と言わんばかりに両手を広げて
「今なら葵の身体で何でもできるんだ!ちょっとぐらいいいだろ?」と、
そう言葉を口にして見せるー。

「い……いや、いやいやいやいや良くない!絶対に良くない!」
泰樹はそう言葉を口にすると、
憑依された葵のほうを見つめるー。

「ーーおいおいおい何でだよー
 葵に色々してもらいたくないのか?
 ほら、今だったら葵とヤることだってできるんだぞ?」

葵はそう言葉を口にすると、イヤらしい手つきで
自分の身体をベタベタと触り始めるー。

「ーーっっ…お、お前、マジで言ってんのかよー?」
泰樹はドキドキしながらも呆れ顔でそう言葉を口にするー。

英吾は、困っている人を放っておくことができないようなタイプで、
”お人好し”と言えるようなタイプだったー。

その英吾がこんなことをするなんて信じられなかったー。

「いいから!早く盛岡さんの身体から出ろ!」
泰樹が少し声を荒げるー

それでも英吾は、葵の身体で胸を揉んだり、
スカートの中を嬉しそうに触ったり、
「そうだー色々なコスプレも見れるってことだよなー」と、
一人で嬉しそうにスマホを操作し始めたりー、
欲望の限りを尽くし始めるー。

「おいおいおいおい!!いい加減にしろよ!?
 冗談にもほどがあるぞ!?」

泰樹とて、”憑依されている葵”の姿を見て
ドキドキはしているー。
ただ、泰樹は”親友の幼馴染”で、自身もそれなりに
話をすることはある葵の身体を
そんな風に勝手にするつもりは全くなかったし、
葵に憑依している英吾から何を言われても、
変なことをするつもりは一切なかったー。

「ーへへへへー葵ーー
 全部見せてくれよー」
葵に憑依した英吾は不気味な笑みを浮かべながら
服を脱ごうとし始めるー。

「おい!!やめろって!」
憑依されている葵を前に
呆然とした表情を浮かべる泰樹ー。

いったい、どうしてこんなことになったのかー。

葵に一時的に憑依して、
葵が怖がっている”彼氏”との別れ話を
無事に済ませるー。

それだけのための”憑依”ー
”人助け”だったはずだー。

それなのにー…

葵は服を半分脱いだ状態で
自分の下着を見て下品な笑みを浮かべているー。

”なんとか止めないと”ー。
泰樹はそう思ったー。

”ーーー黒い雫”ー。
泰樹が手に入れて、英吾が使用した憑依薬には
重大な副作用があったー。

それは、服用後ー、
使用した人間の中に”黒い雫”が広がりー、
どんな善意の心を持つ人間でも、
欲望のままに動くようになってしまうー、
そんな”副作用”が存在していたー。

憑依するための主成分である黒き雫が、
憑依薬を使用した人間の人格にまで
影響を及ぼしてしまうのだー。

それ故にー、
お人好しな性格であった英吾は、
葵の身体で欲望を満たそうとするようになってしまったー。

本来の英吾であれば、
親友の泰樹が思っていた通りー、
このような行為に手を染めることはなかったー。

憑依薬の副作用さえなければ、
恐らくは”普通に”葵の彼氏と別れ話をして、
それが済んだら、葵の身体を返していたはずだー。

けれどー…
今となってはもう手遅れー

「へへへへーすげぇ」
葵の服を半分ほど脱いだ状態で
ニヤニヤしながら葵の身体を見つめている英吾ー。

「へへー今からお前にももっともっといい光景を
 見せてやるぜー」
葵の身体のまま、英吾はなおもニヤニヤしながら
そう宣言するー。

そして、スカートを脱ごうとスカートに手を触れるのを見て
泰樹は、”とにかくアイツを止める方法はないかー”と、
周囲を見渡したー。

「ーーー!!!」

英吾を止める方法ー
いや、”止められるかもしれない方法”ー
それを見つけてしまったー。

それはー…

”憑依薬”ー

憑依薬の容器の中にはまだ”憑依薬”が残っているー。
あと数回分、使うことができるだけの量がー。

それに気づいた泰樹は咄嗟に憑依薬を1回分、口に運んだー

「ー!?」
葵が表情を歪めるー。

それと同時に、泰樹は霊体となってー、
”憑依されている葵”の方に向かったー。

”既に憑依されている人間に憑依するー”
それをしたら、どうなるのかは分からないー。

けれどー…
とにかく今は葵の身体で好き放題している英語を
止めることが先だと、泰樹はそう思ったー。

「ーーうっ…」
ビクンと震える葵の身体ー。

すぐに、葵の身体の感覚が後から憑依した泰樹に
伝わって来るー。

「ーー…ひ、憑依…できたー」
英吾を止めるため、英吾の上から葵に憑依した泰樹は、
ひとまず、英吾の暴走を止めることができたことに安堵するー

がー…
泰樹は知らないー。
自分自身も”黒き雫”の影響で間もなく欲望に染まってしまうことをー…

②へ続く

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コメント

以前、憑依薬の作用で”使うと罪悪感に耐えられなくなる副作用”がある
お話を書いた際に
”逆も面白そう”とコメントを頂いたので、
逆に”副作用で欲望に染まる”タイプのお話を書いてみました~!☆

人助けをするつもりが欲望に染まってしまって…
というお話ですネ~!!!

改めて、9月もよろしくお願いします~!!

「黒き雫」目次

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憑依<黒き雫>

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