<皮>みんなおかしくなっていく①~異変~

肝試しをするために、とある場所へとやってきた
大学生グループ。

しかし、肝試しを初めてからしばらくすると
一人、また一人と様子がおかしくなり始めて…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーへへへへ…ついたぜー」
男子大学生の湯原 洋介(ゆはら ようすけ)が
ニヤニヤしながらそう言葉を口にすると、
「ーここが、例の場所?」と、
洋介の彼女である女子大生・福中 真弓(ふくなか まゆみ)が
そう言葉を返したー。

「ーへへーそうそうー
 ここが噂の”狂気の墓場”って言われる場所だぜ」
洋介はなおも笑いながら言うー。

「ーーふ~ん…」
真弓は腕組みをしながら表情一つ変えずに
「大した事なさそう」と、そう言い放つー。

真弓はどんな時でもクールな女子大生ー。
どんなに怖い映画を見ても、怖い話を聞いても
全く動じない、そんな子だー。

「ーーえぇぇ…いかにもヤバいオーラを感じるけどー!」
背後でそう言葉を口にしたのは、
オカルト好きの吉永 楓(よしなが かえで)ー。

楓は”自称”ー、”霊のオーラを感じることができる”子で、
ここは”ヤバい”と、そんな言葉を口にするー。

その楓の友達の葉山 理恵(はやま りえ)は
「そ、そんなこと言わないでよー。きっと大丈夫だよ」と、
そう言葉を口にするー。

理恵は、楓の親友であるものの
オカルトな話にはあまり興味はないー。

「ー何かあったら俺が守ってやるからなー。寧々(ねね)ー」
近くでそう言葉を口にするのはいつもイチャイチャしている
カップルの男子大学生・小倉 和樹(おぐら かずき)ー。

「うん♡和樹がいれば安心だね!」
彼女の丸山 寧々(まるやま ねね)は、そう応じると
二人でキスを始めるー。

「ーーーーーー…」
残りの一人ー、無口な男子大学生・武藤 倉男(むとう くらお)は、
そんな様子を沈黙しながら見つめているー。

そんな彼らー、
ここに集まった7人の大学生は
”肝試し”を楽しむためにこの場所へとやってきていたー。

この場所は”怨霊”が徘徊すると言われている
通称”狂気の墓場”と呼ばれる場所ー。

この場所に入った者はたちまち、狂気に取り憑かれて豹変ー、
別人のように性格が変わってしまいー、
おかしな行動に走り出すと、そう言われているー。

「ーーほ、本当に大丈夫かなー…?」
オカルト好きの楓が言うと、
肝試しの発案者でもある洋介は
「へへー大丈夫大丈夫ー。こういうスポットの噂って
 大体、誰かが大袈裟に言ってるだけだからさー」と、
そうニヤニヤしながら言うー。

その彼女の真弓は、相変わらず表情を変えないまま
「ーどうせ何も起こらないでしょ」と、そう言い放つー。

「~~~」
オカルト好きの楓はそんな二人の反応を前に
「で、でも、ヤバいオーラを感じるんだけどなぁ」と、
そう言葉を口にするー。

その親友の理恵は、オカルト好きの楓が
妙に怯えた様子であることに不安を感じ、
表情を曇らせるー。

ラブラブカップルの和樹と寧々は相変わらずイチャイチャしていて、
無口な倉男はさっきから一言も発していないー。

そんな中、「よし!じゃ、行こうぜ!」と、
そう言葉を口にする洋介ー。

「ー少しぐらい、わたしを怖がらせてくれるといいけど」
クールな真弓は腕組みをしながら、
”狂気の墓場”と呼ばれる、資金難で閉鎖された墓地の跡地に
足を踏み入れていくー。

「ーーーや、やばいよー絶対」
オカルト好きの楓は依然としてそう騒いでいるものの、
友達の理恵は「大丈夫ー。大丈夫だよきっと!」と、
そう楓を励ましながら奥へと進んでいくー。

ラブラブカップルの二人と、無口な倉男もそれに続くと、
壊れた墓石や、ボロボロになった墓石が転がるその場所で
7人はそれぞれの反応を見せるー。

「ーへへへー…大分不気味な感じだな」
先程までずっとニヤニヤしていたお調子者の洋介ー。

が、周囲の雰囲気が不気味になっていくにつれて、
少しずつ、怖がっているような素振りを見せ始めるー。

「まさか、怖いの?」
洋介の彼女であり、クールな真弓が
そう指摘すると、洋介は少し気まずそうに
「こ、こ、こ、怖くなんてねーよ」と、そう返すー。

「ーはははー、あっちは賑やかだなー」
ラブラブなカップルの和樹がそう言うと、
寧々は繋いだ手を嬉しそうに見つめながら
「おばけが出て来たらわたしを守ってね!」と、
抱き着くようにしてそう呟くー。

そんな時だったー。

「ーー霧?」
オカルト好きの楓の親友・理恵がそう呟くと、
「ーホントだ…霧だなー」と
前を歩いていた洋介がそう言葉を口にするー。

「き、霧ー!?大丈夫なんだろうなー!?」
ラブラブカップルの彼氏・和樹が少し戸惑いの表情を浮かべながら言うと、
寧々は「和樹…わたし、怖い♡」と、怯えた様子を見せながら
甘え始めるー。

「ーーーヤバいー…やばいよこれー」
オカルト好きの楓が霧を見つめながらそう呟くと、
横にいた理恵は「ど、どんな風にヤバいのー?」と、
困惑した表情を浮かべるー。

がー…
そうこうしているうちに、周囲に発生した”霧”が
さらに濃くなっていくー。

「ーー!!!」
理恵は戸惑いの表情を浮かべながら周囲を見渡すー。

がー、既に近くにいたはずの楓の姿もー、
他の5人の姿も見当たらなくなっていたー。

「ーみんな!?!?
 どこにいるの!?
 聞こえたら返事をして!?」

理恵が慌てた様子でそう言葉を口にすると、
少し離れた場所から”悲鳴”が聞こえたー。

「ーー!」
理恵は慌てて、その声がした方向に向かうー。

立ち込めた霧で、何が起きているのか分からない上に、
方向感覚も狂いそうになる中、
理恵は何とかその場にたどり着くとー、
そこにはー…
ラブラブカップルの彼女のほうー…寧々の姿があったー。

「ーま、丸山さんー?よかったー」
理恵がそう言葉を口にしながら寧々の方に近付いていくー。

がー、寧々は一人で笑っていたー。

「ーま…丸山さんー…?」
呆然としながら理恵が寧々に近付いていくと、
寧々が自分の胸を揉みながら笑っているのが見えたー。

「ーひひひー…ふふふ…うふふふふふ♡」
寧々の幸せそうな表情ー…

その表情を見て、理恵は途端に怯えたような表情を浮かべるー。

「ーい…いったい…な、何をしてるのー?」
それでも、何とか冷静にそう尋ねると、
寧々は言ったー。

「ーえへへへー
 女の身体って気持ちいいよなぁ」
とー。

「ーー!?!?!?」
理恵は恐怖を感じて後ずさるー。

目の前にいるのは、同じ大学に通う寧々のはずなのにー、
まるで、男から下心溢れた視線を向けられているような
そんな錯覚に陥るー。

”狂気の墓場ー”
この場所に足を踏み入れた人間は”豹変”するー。

そんな噂を思い出して、理恵は
「し、しっかりしてー…!」と、そう叫ぶー。

けれど、寧々は
「あ~~~~…いい身体ーー…へへー
 ”死んで”よかったぁー」と、
ニヤニヤしながら自分の胸を揉みまくるー。

”死んでよかったー”
その言葉の意味は、理恵には分からないー。

がー、理恵は半分パニックになってその場から逃げ出すと、
少し離れた場所で”何か”につまずいたー。

「ー!?!?!?!?」
理恵が慌てて起き上がると、
足元にーー…
ラブラブカップルの彼氏ー…和樹が横たわっているのが見えたー。

どうやら和樹に躓いたようだー。

慌てて理恵が「ちょ、ちょっとー…小倉くん!?」と、
そう言葉を口にして、
その身体に手を触れようとするもー、
その身体は…まるで”着ぐるみ”のように、
”ペラペラ”になっていたー…

「ーひっ…!?!?」
理恵は驚いて尻餅をついてしまうー。

ペラペラになった和樹ー。
死んでいるのか、生きているのかも分からないー。

「ーー…ふふふふ…♡ ははははは♡」
少し離れた場所からは、寧々の笑い声が聞こえて来るー

「い、いったい、何が起きてるのー…?」
困惑の表情を浮かべながら足元に転がっている”皮”になった
和樹を見つめると、
「小倉くんー…、ねぇ、大丈夫ー?」と、
理恵はそう声を掛けるー。

もちろん、見るからに”大丈夫ではない”と、言うのは分かるー。

ただ、それでも、恐怖からかそんな言葉が口から漏れるー。

けれど、皮のようにペラペラになった和樹からは
当然、返事はないー。

理恵は身体を震わせながら
その場から逃げるようにして離れると、
そのまま霧の中を走り出したー。

”狂気の墓場”ー
ここに入った人間は狂うー…。
その話は本当だったのかもしれないー…
そう、思いながらー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーく、く、く、くそっ…
 ま、まさか本当に、この場所ー…」

この場所での肝試しを発案した洋介は
周囲を見渡しながら震えていたー。

先程までの余裕の態度が嘘かのように
表情には恐怖を浮かべているー。

「ーーーーただ霧が出ただけでしょ」
一方、洋介とははぐれずに行動を共にしていた
クールな彼女・真弓はため息を吐き出しながら
そう言葉を口にするー

「で、でもさっき笑い声と悲鳴みたいなものがー」
洋介が怯え切った様子で言うと、
「ーー幽霊でもいるって言うの?」と、
真弓は呆れ顔で首を横に振るー。

その上で
「霧が出て、誰かが洋介みたいに騒いだり、
 この状況を楽しんで笑ったりしてるだけよ」と、
なおもあっさりとそう続けるー。

がー
その時だったー。

「ー!」
洋介が何かに気付くー。

「ーー…何よ?」
真弓が少し戸惑いの表情を浮かべながらそう確認すると
洋介は「いや、今、人影がー」と、
そう言葉をしつつ、霧のほうを指さすー。

「ーーはぁ。丸山さんか、葉山さんか、吉永さんかー、
 それとも小倉くんか、武藤くんかー」

真弓は、一緒に肝試しに来た子たちの名前を口にするー。

しかし、洋介は「い、いやー、誰かいるー幽霊だー…うわあああ!」と
叫びながらそのまま真弓を置いて走り去ってしまうー。

「ーーーー…」
一人残された真弓は、思ったよりも彼氏がヘタレであったことに
思わず首を横に振ると、
「幽霊なんているわけないでしょ。一緒に来た誰かに決まって」と、
そう言葉を口にしながら、彼氏が”見た”という人影のほうを見つめたー。

がー、そこから姿を現したのはー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーやっぱり…やっぱり、ここは危険だって言ったのにー…」

理恵の親友でオカルト好きの楓は
”異変”が起きる前から”ヤバいよ”と、そう言葉を口にしていた通り、
今起きている状況に強い危機感を抱いていたー。

「ここ、怨霊の気配がするもんー…」
楓はそう言葉を口にすると、
少し離れた場所から女の悲鳴が聞こえた気がして
ハッとした表情を浮かべるー。

「ーー…だ、誰…?」

”悲鳴”だったため、誰の声だかは分からないー。

けれど、イヤな予感しかしないー。
楓は気を引き締めた表情を浮かべると、
そのまま悲鳴がした方向に向かってゆっくりと歩き始めたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーー」

一方、無口な男子大学生・武藤 倉男は
このような状況になっても、一言も発さず、
全く動じずにゆっくりと歩いていたー。

手に握りしめた”何か”を、隠すようにして持ちながら
そのまま霧の中を迷うことなく進んでいくー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーー…はぁ…はぁ…
 出口は…どこー?
 みんなはー…?」

理恵は困惑した表情を浮かべながら
霧に包まれた墓地の跡地を徘徊していたー。

行方不明のみんなをー、
そして出口を探している理恵。

しかし、霧のせいで方向感覚が狂っていて
なかなかどちらも見つからないー。

「どうすればいいの…」
理恵はスマホを確認するも、
このあたりは通信状況も最悪なのか、
スマホも繋がらない状態になってしまっていたー。

そんな状況にも困惑している理恵ー。

すると、その時だったー。

呻くような声が少し離れた場所で聞こえたー。

「ーーー…!?」
理恵は困惑しながらも、その方向に向かうとー、
そこにはー…ニヤニヤと笑みを浮かべた真弓の姿があったー。

いつもクールな雰囲気の真弓が、自分の指を舐めながら
不敵な笑みを浮かべているー。

そんな光景を前に理恵は不安そうに
「ふ…福中さんー?」と、そう言葉を発したー。

そしてーー…
その近くの地面には”謎の注射器”のようなものが
転がっていることに、理恵は気付いていなかったー…。

②へ続く

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コメント

肝試しを楽しむつもりが、
何だか恐ろしいことに…!?

何が起きているのかは
明日のお楽しみデス~!!

続けて②をみる!

「みんなおかしくなっていく」目次

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