<憑依>妙に綺麗な配達員さん②~目的~(完)

①にもどる!

いつも荷物を届けてくれる女性配達員と
親しくなっていく男子大学生ー。

しかし、彼はその正体をまだ知らないー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”今日、お休みなので遊びに来ちゃいましたー”
私服姿の愛奈の突然の来訪ー…。

礼司は戸惑いながら
「あ、あ、あ、遊びにー!?」と、
裏返ったような声を出すと、
”すみませんー…ご迷惑でしたか?”と、
そう言葉を口にする愛奈ー。

「い、いや、いやー、そ、そういうわけじゃないですけどー」

礼司は顔を赤らめながらそう答えるー。
インターホン越しであるため、こっちの顔は愛奈には見えないー。

この動揺とデレデレが混じったような表情を見られずに済んだのは
良かったかもしれないー。

「ーーあ、い、今、開けるので待ってて下さいー」
礼司は、まさかプライベートでまで会いに来てくれるなんて、と
そう思いながら慌てて部屋を片付け始めるー。

別に礼司の部屋は特別散らかっているわけでも、
汚いわけでもないけれど、
今日は誰も来る予定がなかったし、
まさか愛奈がやってくるとは夢にも思っていなかったために
慌てて、出しっぱなしにしていたものを片付けて
部屋の中をより綺麗な状態にしていくー。

「ーお、お、お待たせしましたー」
はぁはぁと荒い息をしながら、礼司がそう言葉を口にしつつ
玄関の扉を開けると、
愛奈は苦笑いしながら「あははー…すみませんー急にー」と、
そう言葉を口にしたー。

”休日仕様”と、でも言うべきだろうかー。

普段の配達員の制服ではなく、
プライベート仕様のおしゃれな愛奈の姿に礼司は
ドキッとしてしまい、そのまま見とれてしまいそうになるー。

がー、すぐに首をぶんぶんと横に振ると、
「ーーな、何のもてなしの準備もできてませんけどー…ど、どうぞー」と、
そう言葉を口にすると、
愛奈は「お邪魔しますー」と、そう言葉を口にして
部屋の中へと入って来たー。

「ーー~~~~~」
そんな愛奈の後ろ姿を見つめつつ、
初めて、愛奈が配達ついでに少し休んでいった日のことを
思い出すー。

あの日も、とても大きな衝撃を受けたし、
ドキドキしたー。

が、今日はまた、その日と同じようなー、
いや、それ以上の衝撃を礼司は受けていたー。

”クククー”
愛奈に憑依している男は、
自分の背中に礼司の視線を感じながら
ニヤッと笑みを浮かべたー。

”そんなにじっと見つめるなよー…
 興奮しちまうだろ?”

そんなことを思いつつ、愛奈に憑依している男は
礼司に背を向けたままペロリと自分の唇を舐めるー。

”わざと”短いスカートを履いたり、胸元をアピールするような
色っぽい服を選んだりしてー、
礼司を誘惑しようとしている愛奈ー。

”その先”の目的を果たすためにー…

”に、しても、コイツ可愛いよな…”
愛奈に憑依している男は、窓に反射した
”今の自分自身の姿”を満足そうに見つめると、
そのまま振り返るー。

元々、愛奈はアパレル系の仕事を目指していただけあって
”憑依される前”からおしゃれではあったー。

ただー、愛奈はどちらかと言うと、
落ち着いた感じの服装と、おしゃれを好むタイプだったー。

今の”憑依された愛奈”のような、
男を誘惑するような、そんな格好は
本来の愛奈はあまり得意ではなかったし、
していなかったー。

とは言えー…
今、その愛奈を目の前にしている礼司は
そんなことは知らないー。

”配達員”として働き始めた時点で
愛奈は既に男に乗っ取られていたし、
礼司は”正気だったころの愛奈”とは
一度も会ったことがないのだから、
礼司からしてみれば、
今、目の前にいる愛奈こそが、
愛奈そのものだったー。

「ーー~~~~」
”遊びに来た”と言われても何をしていいのか分からず、
戸惑いの表情を浮かべる礼司ー。

愛奈は少し苦笑いすると、
「あ、そんなに気を遣わなくていいですよー。」と、
そう言葉を口にすると、
礼司は「え、あっ、はいー…」と、緊張した様子で答えるー。

気になる配達員の愛奈が、自らこんな風に家に
遊びに来てくれたー。
しかも、いつもとはまるで違うおしゃれな感じにドキドキが止まらないー。

「ーー柿沢さんは、どんなことがお好きなんですかー?」
礼司が緊張しているのを悟ってか、
愛奈の方から話を振ってくるー。

そんな様子を前に礼司は「あ、はい、えっとー」と、
緊張からか、いつものように喋ることができないような様子を見せながら、
ようやく言葉を口にするのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

休日に愛奈が遊びに来た日ー、
連絡先を交換し、プライベートな接点が増えた礼司ー。

礼司は”まさかこんな展開になるなんてー”と、
今でも配達員の愛奈と親しくなることができたことを
”信じられない”と思いつつも、
これまでの大学生活では感じられたことがないほどの
幸せな気持ちでいっぱいになっていたー。

友人からも、”最近、ご機嫌だなー。何かいいことでもあったのか?”などと
言われてしまうぐらいには
大学でも、浮かれた雰囲気が滲み出ているー、
そんな状況になっていたー。

「ーー柿沢さん!今日もお届けものですー」

もちろん、配達員としての仕事も続けている愛奈ー。

愛奈は、礼司の家に荷物を届けに来ると
今まで以上に明るく、楽しそうに話してくれるようになったー。

休日には、デートのようなことまでするようになって、
愛奈との幸せな日々は、ますますと充実していくー。

「ーーーー」
愛奈と話をしながら、ふと礼司は
横を歩きながら楽しそうにしている愛奈の横顔を見つめるー。

心の底から”可愛い”と思うー。
そして、もっと一緒にいたいと思うー。

そんな風に心の中で思った礼司は
ついに”今度の休みの日にー、告白しよう”と、
そう心の中で決意を固めるー。

がー、礼司の横を歩いていた愛奈は
笑顔を浮かべながら
”コイツ、そろそろ俺に告白しそうだなー”と、
そんなことを心の中で呟くと、
内心でニヤッと、悪女のような笑みを浮かべたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その1週間後ー。

お互いの休日に”愛奈”が遊びに来ることになったー。

礼司は”今日、告白する”という決意を固めつつ、
愛奈を待つー。

礼司は今まで、彼女がいたことがなかったー。

特別モテるタイプではなかったけれど、
特別モテないわけでもなく、
礼司がその気になれば、彼女ができるー…
可能性もあったかもしれない。

ただ、礼司は今まで、
”彼女”という存在を特に積極的に作ろうと思ったことはなく、
具体的な行動を起こしたことがなかったために、
彼女が出来たことはなかったー。

けれど、今、礼司は人生で初めて
”彼女が欲しい”と、そういう気持ちになっていたー。

そして、たとえ”リスク”を抱いたとしても、
愛奈に告白したいと、
そんな風に心の底から感じていたー。

「ーーーー」
礼司は深呼吸をするー。

”まさか俺が人に告白することになるなんてなー…
 そんなこと、ちょっと前まで考えたこともなかったのにー”

そう呟きつつ、礼司がもう一息つこうとしたその時ー、
インターホンが鳴ったー。

”神代ですー”
愛奈がやってきたー。

「ーー今開けます」
礼司はそう返事をすると、愛奈を招き入れるー

今日は地雷系のような可愛らしい格好で、
また礼司はドキドキしてしまうー。

がー、礼司は息を吐き出すと、
”人生で一番の勝負所”だと、自分の中で自分に
言い聞かせて、やがて口を開いたー。

「神代さんー」
礼司がそう声を発すると、愛奈は
穏やかに笑いながら「どうかしましたか?」と、
そう言葉を発するー。

いつものような穏やかな笑顔ー。

そんな愛奈のほうを見つめながら
礼司は続けるー。

「ーー神代さんー…
 俺、神代さんのこと、好きですー」
とー。

「ーー好き?わたしをですか?」
愛奈は穏やかに笑いながらそう聞き返すー。

「ーはいー。
 ーーもし良かったらー…
 俺とー、俺と付き合って下さいー」

事前に、”何か”頭の中にいい感じのセリフを
思いついて、それを言おうとしていたけれど、
いざ、告白の瞬間になったら
それは頭から消し飛んでしまい、
何を言っていいのか分からなくなってしまったー。

だからー、シンプルに伝えたー。

”好き”だとー。
そして”付き合って下さい”
とー。

しかしー…

「ーー冗談は顔だけにしてもらえますか?」
愛奈は穏やかに笑いながらそう言ったー。

「ーーえ…?」
礼司の表情から一瞬にして笑顔が消えるー。

まさにー、天国から地獄に突き落とされたような顔だー

「ーわたしは”配達員”で、あなたは”お客様”ーー
 何勘違いしちゃってるんですかー?」
薄ら笑みを浮かべながら、愛奈がそう言い放つー

「えっ… え…?で、でもー…?」
礼司は動揺した様子でそう言葉を吐き出すー。

希望から絶望への転落ー
そんな表情を浮かべているー。

その表情を見つめながら、愛奈に憑依している男は
ゾクゾクしながら礼司を見つめるー

「で、でもー…
 い、家で一緒に過ごしたりー、出かけたりー…」
礼司はそう言葉を続けたー。

礼司の言いたいことは、愛奈に憑依している男にも分かるー。

”愛奈から”家の中に足を踏み入れたり、
”愛奈から”休日に遊びに来たり、誘ったりしたのだー。

”配達員”と”客”
その枠組みを先に超えたのは、”愛奈”のほうだー。

それは、分かっているー。

”ーーお前は、あの時の俺と同じー”
愛奈に憑依している男は、邪悪な笑みを浮かべるー。

”ーーは?寝ぼけてるの?”
男は、”あの時”のことを思い出すー。

かつてー、男は配達員の女性に恋をしたー。
向こうから積極的にアプローチしてきて、
親しくなったと思った男は、告白したー。

その時に、そう言われたのだー。
”寝ぼけてるの?”
とー。

男は必死に”でも”と言ったー。
今の礼司と同じようにー。

がー、その女は言ったー。

”あんたはわたしのストレス発散台ー
 わたし、彼氏と喧嘩してて
 イライラしてたから、あんたでストレス発散してたのー

 でも、もう十分だったし、ちょうどよかったー。
 わたしもそろそろあんたで遊ぶのやめようとしてたからー”

とー。

絶望する男ー。
そんな彼に対して、その女は言ったー。

”わたし、彼氏と仲直りしたしー
 もうあんたは用済みー。
 あ、荷物の配達はしてあげるから安心してねー”

男は、”俺を弄んでたのか!?”と、涙目で叫ぶー。
がー、配達員の女は”うるさいなぁ”と、そう言葉を口にすると、
わざと悲鳴を上げて家から飛び出しー、
彼を陥れたー。

男は、絶望したー。
そして、自ら命を絶とうと、崖上から海に飛び込んだものの
死ななかったー。

生死の淵を彷徨った男はー、憑依能力を手に入れて、
今に至るー。

そしてーーー

「ーーそれは、ただのストレス発散ー」

今、男は、無関係の”愛奈”に憑依して、
あの時自分が受けた絶望を他の男に味合わせるという
行為を繰り返していたー。

「ーーそ…そんなー…」
礼司はその場に崩れ落ちて項垂れるー。

その様子を見てニヤッと笑う愛奈に憑依している男ー。

適当に見かけた可愛い子の身体で、
配達員として働き始めー、
そして自分に好意を抱きそうな男を見つけると
愛想よく振る舞って距離を詰めるー。

最後に告白されたら”かつて自分がされたのと同じ”絶望を
その男に味合わせて、その表情を楽しむー。

愛奈に憑依した男は、そんな行為を繰り返していたー。

”自分が味わった絶望を、他の奴らにも味合わせるー”

そんな行為に何か意味があるのかー。
いや、何も意味はないー。

それは分かっていても、愛奈に憑依した男は
それをやめられなかったー。

「ーーもう、ここには来ないのでー。
 ーー”勘違い”さんー」
愛奈は心底馬鹿にしたような表情を浮かべながら
涙目の礼司を見下すと、そのまま立ち去っていくー。

絶望の表情を浮かべながら
言葉すら発することの出来ない礼司ー。

そしてーーー
礼司の部屋から立ち去った愛奈に憑依している男もまたー、
どこか悲しそうな表情を浮かべていたー。

”ーこんな行動を繰り返して、その先に何があるー?”
愛奈に憑依している男は、一瞬そんな風にも思うー。

ただーー…
男はやめられなかったー。

また、愛奈の身体で新たなターゲットを見つけると
何も得るものがない行為を繰り返そうとしていたー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

憑依人に弄ばれる結果に…!

何も知らないままの礼司くんと、
無関係なのに憑依されちゃっている愛奈の二人は
災難ですネ~…!

お読み下さり、ありがとうございました~!☆!

「妙に綺麗な配達員さん」目次

作品一覧

コメント

  1. TSマニア より:

    礼司くんメチャかわいそうデス(;∀;)

    絶望を味合わせたいだけだったんですネ…

    自分が愛奈に憑依したらちゃんとアパレルの勉強しながら自分磨きしてレースクイーンやラウンドガールのオーディション受けますネ(^_-)☆笑

    アパレルかレースクイーン稼げそうな方に進みます(*´艸`)笑

    • 無名 より:

      礼司くんはひたすら可哀想ですネ~!☆

      TSマニア様が愛奈ちゃんになったら、
      違う意味で身体を有効活用できそうですネ~!!

      • TSマニア より:

        礼司くん以外にも被害者がいるのも可哀想ですネ(;∀;)

        愛奈ちゃんに憑依したら無名さんと定期的にプチ女子会やプチコスプレパーティーしたいのデス\(^o^)/笑