人間界侵略を目論む
悪の組織の女幹部に”捜査”のために
憑依することになった捜査官ー。
しかし、次第に女幹部として振る舞うのが
楽しくなってきてしまいー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・
”正義のヒーローなんていない”ー
子供の頃、彼は
正義のヒーローに憧れていたー。
どこからともなく、出現した悪の組織ー。
その悪の組織と戦うために駆け付ける正義のヒーロー。
正義のヒーローが悪の組織の怪人と戦いー、
人々を救い、世界の平和を守っていく。
そんな光景は、彼の目に焼き付いていた。
だからこそ、彼は警察官になった。
自分に、子供の頃憧れたような”ヒーロー”に
なることはできないけれど、
現実世界でなることができる”ヒーロー”になるため、
刑事になる道を夢見て、そして、刑事になったのだったー。
がー、
そんな彼は今、
こう思っていたー。
”この世界に、正義のヒーローなんていないー
いるのはー…悪の組織だけー”
とー。
それもそのはずー。
物影に隠れながら特殊な銃を手にそれを放つ彼ー、
辻川 雄吾(つじかわ ゆうご)の前には
”悪の組織”の戦闘員たちが蠢いていたー。
「くそっー…」
戦闘員に囲まれた優吾は険しい表情を浮かべるー。
手にしているのは”怪人”たちにも効果を発揮する特殊な銃ー。
しかし、戦闘員クラスには有効的なダメージを与えることができても、
怪人クラスになると、弱点に連続して銃弾を叩きこむなどしないと
なかなか怪人を倒すことが出来ないー
けれどー…
「ーーーー」
どんなにピンチに陥っても、颯爽と現れて
戦闘員をなぎ倒し、怪人を倒してくれるような
正義のヒーローはいないー。
現実には、いないのだー。
「ーーー…俺だってー」
雄吾はそう言葉を口にしながら銃を握りしめると、
隠れていた遮蔽物から飛び出して、
優れた射撃能力で悪の組織の戦闘員たちを
一人、また一人と倒していくー。
そして、また遮蔽物に飛び込むと
そこからさらに銃弾を発射ー、
戦闘員たちを倒していくー。
まるでヒーロー番組のような悪の組織が出現したのは
今から1年前のことだったー。
異次元を引き裂いて出現した
悪の組織”マッドラス”ー。
”人間型”のような幹部クラスの怪人に率いられて、
一般怪人、さらにはその下にいる戦闘員たちが
日夜、暗躍しているー。
そんな状況を前に、警察では秘密裏に
”マッドラス対策チーム”を設立ー、
人間の技術力を駆使して、あらゆる武器や装置を開発しー、
マッドラスとの戦いを続けていたー。
この世には、ヒーロー番組のようなヒーローはいないー。
けれど、ヒーロー番組のような悪の組織だけは存在していたのだー。
そして、雄吾は半年ほど前に、
”マッドラス対策チーム”に異動となり、
現在に至っているー。
「ーーはぁ…はぁー」
最後の一人の戦闘員を銃撃した雄吾は
息を吐き出すー。
死亡した戦闘員は液体のようになって
地面に溶けて行くー。
”生物”なのか、あるいは”機械”のようなものなのかー、
それすらも今の時点では分かっていないー。
そんな中ー…
「ーー!」
雄吾は突然、イヤな気配を感じて身を隠すー。
すると、戦闘員たちと戦っていた倉庫の中に
突然、異空間と繋がるワームホールのようなものが出現したー。
そこに現れたのはー、
全身を鎧のようなもので固めた人型の怪人とー、
絵に描いたような”妖艶な雰囲気”の人型の怪人ー。
”マッドラス”5大幹部のうちの二人だー。
全身を鎧で身に包んだ大幹部・ガーズと、
妖艶な美貌を持つ女大幹部・リミアの二人ー。
「ーーーーっっ……」
雄吾は冷や汗を流しながら
その場に身を隠すー。
通常の怪人ならまだしも、
”大幹部”相手に有効な攻撃手段はないー。
先日も、同じくマッドラス対策チームに所属していた
刑事二人が、
5大幹部の一人、デスラーの襲撃を受けて殉職しているー。
ガーズ、リミア、デスラー、ルミーナ、モルバルデルバルー。
5大幹部を前に、人類は有効的な対応策を見つめ出すことが出来ていないー
”くそっー…こんなところで死んでたまるかー…”
雄吾は内心でそう言葉を口にしながら
必死にその場で息を潜めるー。
こんなところで死ぬわけにはー…
雄吾は必死にそう思いつつ、息を潜めるー。
そしてーーー…
幸運なことに、ガーズとリミア…その二人に見つかることなく、
雄吾は倉庫から脱出することができたー。
”危なかったー…
大幹部のルミーナがあそこに来てたら終わりだったー”
そう言葉を口にする雄吾。
”ルミーナ”は
強力なサポート能力を持つ怪人で、
その中に”索敵”能力も存在するー。
今、倉庫にルミーナが来ていたら
雄吾は終わりだったー。
「ーーくそっー…アイツらを倒せない限り、
平和なんて訪れないのにー…」
雄吾は悔しそうにそう呟いたものの、
今はどうすることもできず、
そのまま逃げ去ることしかできなかったー。
がーー…
そんな雄吾にー、
いや、悪の組織マッドラスとの戦いに転機が訪れたのは
その数日後のことだったー。
「ーー辻川くんー。
君に折り入って頼みたいことがあるー」
マッドラス対策チームの班長ー、田宮(たみや)班長が
そう言葉を口にすると、
雄吾は「何でしょうかー?」と、そう言葉を口にするー。
田宮班長は少し間を置いてから、
「チームの化学班が、新兵器を開発することに成功したー。
君に、それを使って捜査を行ってもらいたい」と、
そう言葉を口にするー。
「新兵器ー、ですか?」
雄吾がそう返すと、田宮班長は頷くー。
そして、机から”液体”の入った容器を取り出したー。
「ー憑依薬ー」
田宮班長のその言葉に、
雄吾は「ひ、憑依ー?」と、戸惑いながら聞き返すと
田宮班長は「名前の通り、怪人共に憑依することができる薬だー」と、
そう続けたー。
現在は試作段階で、量産できる状態にないため、
数は限られるものの、これを使って
悪の組織マッドラスの怪人ー、可能であれば幹部クラスに憑依ー、
内情の調査と、組織壊滅のために動いて欲しいと、
田宮班長はそう言葉を口にしたー。
「ーー俺が、怪人の身体に入るってことですかー?」
「ーそういうことになるー。
そうすれば、他の怪人と戦う力を得ることもできるし、
内部の情報を手に入れることもできるー」
田宮班長の言葉に、雄吾は「なるほどー」と
納得した様子を見せるー。
確かに悪の怪人に憑依することができれば、
戦闘能力も得られて、内情の調査もできるー。
「ーーー分かりましたー
それで、俺は誰に憑依すれば?」
雄吾はそう言葉を口にするー。
”憑依薬”などという非現実的なものが開発されたことにも
もう驚かないー。
悪の組織マッドラスが出現してからは
”非日常”にイヤと言うほど身を置いて来たからだー。
すると、田宮班長が前方のスクリーンに
5体の大幹部の写真を表示したー
ガーズ、リミア、デスラー、ルミーナ、モルバルデルバルー。
”鉄壁”のガーズ。
全身を鎧で固めていて、防御と戦闘に長けている大幹部ー。
”魔女”のリミア。
妖艶な女幹部で、誘惑と幻術を駆使する大幹部ー。
”極悪”のデスラー。
拷問好きで、とにかく殺戮を好む危険な大幹部ー。
”月姫”のルミーナ。
索敵能力に長けるほか、可愛らしい振る舞いで人間を翻弄する大幹部ー。
残る一人、モルバルデルバルは、
他の幹部の会話を傍受し、その存在が明らかになった幹部ー。
遠目から撮影された不明瞭な写真でその姿を捕らえたのみで
詳細不明の大幹部だー。
「ーーー大幹部の一人に憑依しろということですか?」
雄吾がそう尋ねると、田宮班長は静かに頷くー。
「ただー…シミュレーションの結果、
このうちの3体には憑依が通用しない可能性が高いという結果が出たー。
そのため、憑依する大幹部はこちらで指定することになる」
田宮班長のその言葉に、
雄吾は5人の怪人が表示されている画面のほうを見つめると、
「それで、俺は誰に憑依すれば良いのでしょうかー」
と、そう言葉を口にするー。
自分はヒーロー番組のようなヒーローになることは出来ないー。
そんな現実は、これまでの戦いで嫌と言うほど味わって来たー。
けれど、自分にできることなら何でもするー。
そう思っていると、
「ガーズの鎧は、霊体をはじく可能性が高く、憑依も失敗する可能性がある」
と、田宮班長はそう告げるー。
「デスラーは、体内で謎の毒素を作り出していて、憑依に影響を与える可能性がある」
「そしてルミーナは、魔力を帯びているため、それが憑依に予期せぬ影響を出す
可能性がある」
田宮班長はそこまで告げると、
雄吾は少しだけ表情を歪めたー。
てっきり、ガーズかデスラーあたりに憑依するのだと思っていた雄吾ー。
がー、その二人を含む3人がダメとなると、
残りはリミアかモルバルデルバルの二人になる。
しかし、リミアは女だー。
そうなればー、男である自分が憑依するのは
モルバルデルバルとなるー。
「ー分かりましたーモルバルデルバルに憑依すればいいのですね?」
雄吾がそう言うと、
田宮班長は「いいや」と、首を横に振るー。
「はい?」
思わず変な声を出す雄吾ー。
「憑依対象はリミアだ」
田宮班長はそう言葉を口にすると、
妖艶な女幹部・リミアの写真のほうを見つめるー。
いかにも、悪女、という感じの
コスチュームを身に纏った悪の女幹部だー。
「え…?えぇ?で、でも、俺、男ですよー?
リミアのフリをするのはーー」
雄吾は、先日、リミアと遭遇した際の
リミアの姿を思い出すー。
悪女とは言え、”あの身体”に、自分がなると考えると
ドキドキしてしまうー。
「ーだが、他の3体には憑依が通用しない可能性が高くー、
モルバルデルバルは詳細自体不明だー。
憑依が通用するかも分からないし、データがなさすぎる」
田宮班長のその言葉に、雄吾は少しだけ考えると、
「しかし、憑依対象がリミアなら女性捜査官を送った方が良いのでは?」と、
そう言葉を口にするー。
が、田宮班長は言ったー。
「これまでの実績、スキル、信頼ー
”憑依”で敵地に潜り込む以上、これらが
絶大な人間を送り込む必要があるー。
それで、君が選ばれたんだー」
とー。
「ーーーーーーー」
雄吾は困惑したものの
”信頼する君にしか頼めない仕事だ”と、
そう言われたことで、
意を決した様子で「分かりました」と、
そう言葉を口にするのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
雄吾は開発された”憑依薬”を飲みー、
幽体離脱したー。
雄吾の身体は田宮班長らが、
責任を持って、休眠状態にできるカプセルのようなものに
寝かせた状態で保管してくれているー。
”ーまさか、俺が女幹部になるなんてー”
そう思いつつ、事前に突き止めておいたリミアの居場所に向かうと、
そこにはリミアがいたー。
ゴクリ、と唾を飲み込む雄吾。
リミアの隣には、同じく大幹部のデスラーの姿もあるー。
「へへへへー相変わらずいい身体してやがるぜ」
デスラーはニヤニヤしながらリミアの身体に手を触れると、
「ー気安く触れないでくれるかしらー」と、リミアは
不満そうに言いながら、殺気を放つー。
「おっとっとー、こりゃ失敬ー」
ニヤニヤしながらデスラーはそう言うと、
「さ、俺は部下共と作戦の打ち合わせでもするかな」と、
そう呟きながら立ち去っていくー
「ーーーー」
その様子を霊体の状態で見つめていた雄吾は
深呼吸をすると、ひと思いにリミアの身体へと飛び込んだー
「ーーうっ…」
リミアがビクッと震えるー
「ーーあ……… な…何…???」
リミアが抵抗するような言葉を口にしたものの、
そのまま雄吾は一気にリミアを支配すると、
リミアの”視界”が自分のものになりー、
その妖艶な身体を見下ろしたー
「ーーー!」
リミアの胸が主観視点で目に入り、ドキッとしてしまう雄吾ー。
「ーーお、俺が…女幹部にー」
リミアの妖艶な声が、自分の口から出るー。
女の身体になってしまったことー、
しかも、妖艶な悪の女幹部になってしまったことにドキドキしながらも
今一度息を吐き出すと、
「ーーー捜査に集中するんだー」と、
リミアの声でそう呟いてから、ゆっくりと歩き出すのだったー…
②へ続く
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コメント
悪の組織の女幹部に憑依して潜入捜査…!
上手く行くのかどうか、ドキドキですネ~!
続きはまた明日デス~!!

コメント
女幹部もの久しぶりですよネ!☆
前回のも面白かったですネ笑
楽しい方向になって潜入捜査!☆!★
感想ありがとうございます~!!
今度はどうなってしまうかドキドキですネ~!!