<憑依>抗憑依薬治療②~彼女の決意~

①にもどる!

彼女が憑依されてしまったー…!

そんな状況に困惑する彼氏だったものの、
彼は”抗憑依薬治療”なるものが、
この世に存在していることを知るー。

そして、そのセンターに連絡を取った彼はー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーへへへー
 今日も遊びに来てやったぜー?
 ”栄治”ー」

ニヤッと笑いながら
地雷系のような服装で家にやってきた
”憑依された”明美ー。

明美は普段、好き好んで地雷系の服など着ないー。

しかし、今の明美は明美に憑依した男の意思に
従って、喜々としてそんな服を身に付けているー。

本人であれば、着たがらないような服を着せられて、
さらには、その格好で外を歩かされているー。

「ーーーそんな格好で、外を歩きやがってー」
栄治が不満そうに、明美を睨みつけると、
明美は自分が着ている服を見つめながら
「へへー可愛いだろ?
 こういう服で外歩いてる子だって、
 繁華街あたりに行きゃ、それなりにいるさ」と、
そう言葉を口にするー。

「ー他の子の話をしてるんじゃないー
 明美はそんな格好で外に出たがったりしない」
栄治がそう言い放つと、
明美は「今、外を歩いて来たけどぉ~?」と、
煽るように言うー。

「お前は明美じゃない!」
怒りの形相で栄治がそう言うと、
憑依されている明美はクスクスと笑いながら
「生物学的には宮瀬 明美だけど?」と、
さらに煽るような言葉を口にするー。

がーー
その時だったー。

既に栄治から連絡を受けて
”抗憑依薬治療”を行う明美の回収にやってきていた
抗憑依薬治療センターの職員が数名姿を現すー。

「ーっ…!?何だお前ら!」
明美が表情を歪めながらそう叫ぶと、
そのまま抗憑依薬治療センターの職員は、明美に特殊な薬剤を注射するー。

「ーぅ…」
明美は険しい表情を浮かべながらも、
そのままその場に倒れ込んで眠りにつくと、
栄治は複雑そうな表情を浮かべながら
待ち伏せしていた職員たちに対して、”よろしくお願いします”と、
そう頭を下げるー。

「ーーこれからセンターの方に移動しますが、
 同行されますか?」
明美を眠らせた職員がそう言葉を口にすると、
栄治は「はいー。もちろん」と、そう返事をしながら、
抗憑依薬治療センターの職員と共に車に乗り込むー。

そして、そのまま治療センターに運んでいくー。

”なんか、無理矢理連れ去ってるみたいでいやだなー…”
憑依されている明美を治療するためとは言え、
本来の明美をどこかに連れ去ろうとしているような
そんな”錯覚”を覚えてしまい、栄治は表情を曇らせるー。

しかし、これも明美のためー。
今の状態の明美を放っておくことはできないー。
これ以上、明美に憑依している”田山”を名乗る男の
好き勝手にさせるわけにはいかないー。

そう思いつつ、栄治は静かに拳を握りしめたー。

がー、その時だったー

「ーえ…栄治ー…?」
意識を失っていた明美が車内で目を覚ましたー

「こ、ここはーー…?
 え…?」

明美は状況を全く飲み込めていない様子で、
不安そうにそう言葉を口にするー。

栄治は、明美が意識を取り戻したことに
心底驚いた様子を見せると、
同じ車に乗っている抗憑依薬治療センターの職員のほうを見つめると、
「通常の反応ですー。先ほど投与した薬で、
 一時的に憑依した男は眠りについています」と、
それだけ言葉を口にしたー。

「ーーど、どうなってるのー…?
 えっ…?」

拘束された状態で搬送されている明美が
心底戸惑いながら言うー。

栄治はどう説明していいのか、と、
頭の中で思いつつも、
静かに口を開くと、
明美に対して”憑依されている”ということを素直に伝えるー。

「ひ…憑依…???
 そ、そんなー…」
明美は怯えた表情を浮かべつつ、
「ーーわたし…栄治に何か酷いことした?」と、
そう言葉を口にするー。

「ーー…いいや」
栄治は穏やかに笑いながらそう言うと、
首を横に振るー。

”憑依されている状態の明美”は、明美じゃないー。
身体と見た目が明美なだけだー。
そう思いつつ「大丈夫」と、そう続けると、
抗憑依薬治療センターの職員が、明美に状況を
詳しく説明し始めるー。

「じゃあ、これから向かうその場所で、治療が行われるー…
 ってことですかー?」
明美がそう確認すると、職員は静かに頷いたー。

そして、”抗憑依薬の投与”と、
その副作用を説明するー。

抗憑依薬は非常に強力な薬で、
”憑依している側の人間”の精神を”殺す”薬だー。

憑依している人間の精神を次第に薄れさせ、
最後には消滅させるー。
それによって”憑依されてしまった人間”を救い出すという
そんな効力を持つ薬ー。

そのため、その副作用は多岐に渡ったー。

吐き気、眠気、めまい、精神的な強い不安、
腹痛、下痢、食欲の低下など、
定番の副作用とも言える副作用の他、
”自分が誰だか一時的に分からなくなる”ことや、
”記憶障害”ー、
場合によっては、逆に自分の心の方が
抗憑依薬の影響を受けて消滅してしまうようなケースも
”ごく稀”ではあるものの存在すると職員は説明したー。

「ーーー…ーーーそんな副作用までー…」
栄治は困惑の表情を浮かべるー。
当然、明美もそうだったー。

ただー…
”それ以外”に憑依から解放される術はないー。

仮に明美に憑依している田山という男が
自ら明美を解放すれば、それはそれで済む話だー。
しかし、田山が明美の身体から出て行こうとしない場合はー
”抗憑依薬”で治療するしか現状では
明美を助け出す方法はなかったー。

「ーー」
移動中の車で、職員は言うー。

明美に存在する選択肢は”3つ”であるとー。

一つは、
リスクを覚悟の上で”抗憑依薬治療”を受けることー。

二つ目は、
治療センターで”拘束状態”で生活しつつ、
田山が明美の身体から出て行くのを待つことー。

三つ目は、
憑依された状態のまま生活することー。

「ーーこ、抗憑依薬は副作用がヤバそうだしー、
 2つ目の選択肢がいいんじゃないか?」
栄治は思わずそう言葉を口にするー。

明美も少しそう思っていたのか、
「うんー」と、そう言葉を口にすると、
職員は「確かに、安全性は最も高いですが、
憑依している相手の諦めが悪い場合は
何年経過しても、解放されない可能性もあります」と、そう告げるー。

その上でー、
「またー、一度解放されても”また”憑依される可能性があります」と、
職員は言うー。

「そ、それはどういうことですか?」
明美が不安そうに言うと、
抗憑依薬治療とは違い、拘束状態を続けて”憑依人が諦める”のを待つ方法では
一度解放されたとしても、その”憑依していた人間”はまだ健在であるために
治療センターを出たあとに”また”憑依される可能性があるのだと職員は
そう言葉を口にしたー。

確かに、一度自由を奪って、”憑依”を諦めさせても、
明美がまた自由になれば憑依される可能性は十分にあるー。

そのため、”抗憑依薬”で憑依してきた人間の
精神を”破壊”することしか
確実に平穏を取り戻すことのできる方法は
”ない”ー、というのも現実だったー。

「ーーーー…ーーー」
明美も、栄治も考え込むー。

それと同時に、職員は時計を確認すると、
明美を見つめたー。

「あなたに憑依している”田山”という男の意識が
 そろそろ戻る時間ですー
 今のうちに、抗憑依薬治療を受けるかどうか、ご決断をー」

そう言葉を口にする職員ー。

その言葉に、栄治と明美は戸惑いながらも、
やがて、明美が言葉を口にしたー。

「ーー受けますー」
とー。

恐怖や悲しみ、不安ー、色々な表情が
明美の表情には入り乱れていたー。

けれど、同時に”憑依なんかには屈しない”という
強い意思も、その表情に覗かせていたー…。

「ーーー…分かったー。
 俺も、全力で支えるー」
栄治がそう言葉を口にすると、
明美は少し安心した様子で微笑むー。

「ーー色々、迷惑かけてごめんね」
明美がそう言葉を口にすると、
栄治は静かに首を横に振りながら、
「ーー迷惑なんてことないー。
 迷惑をかけてるのは、明美じゃなくて
 憑依してる田山とかいうやつなんだから、
 明美は何も気にしなくていいー」と、
そう言葉を続けたー。

がーーー
その言葉を聞いた明美はニヤニヤとしながら
栄治を見つめたー。

「ーへへー誰が迷惑をかけてるってー?」
そう言葉を口にしながら、
不気味な笑みを浮かべる明美ー。

「ーーっ…」
栄治が、悔しそうな表情で明美を見つめ返すと、
同行していた抗憑依薬治療センターの職員も
険しい表情を浮かべながら言うー。

”憑依している男の意識が戻りましたー”
とー。

特殊な薬剤で一時的に眠らせた”田山”の意識が
戻ってしまいー、再び明美が支配されてしまったのだー。

「ーー何をしたって無駄だぜー。
 この女は俺のものだー」
憑依されている明美がそう宣言するー。

「ふざけるなー。
 これから明美は”抗憑依薬治療”を受けるんだー
 お前は消えるー」

栄治はそう言葉を伝えるー。

”明美に憑依している田山”が、
その言葉を聞いて明美を諦めて抜け出してくれることを期待したー。

センターの職員が言う通り、”また”明美が憑依されてしまう可能性はあるー。
けれど、それでもあっさりと出て行ってくれるなら、と、そうも思ったー。

がーー

「ーーーー」
明美は少しだけ表情を歪めたものの、
「どの道、俺の使った憑依薬は、憑依したら抜け出すことはできねぇんでなー」
と、再びニヤニヤし始めたー。

その言葉を横で聞いていた抗憑依薬治療センターの職員は
静かに口を開いたー。

「憑依薬には自在に憑依して抜け出せるタイプと、
 一度憑依したらその身体に定着するタイプがありますー。

 田山という男が使ったのは後者の方なのでしょうー。
 その場合、”抗憑依薬治療”をするしかありません」

職員の言葉に、栄治は表情を曇らせるー。

やはりー…
”副作用”のリスクを多く抱える”抗憑依薬治療”をするしか
明美には道はないようだー。

「ーーおいー、彼女が苦しむところは見たくねぇだろ?
 俺を解放しろよー

 そうしたら、許してやるしー
 ”今まで通り”彼女として接してやるぜー」

明美が栄治に対して
そんな”取引”とも言えるような言葉を投げかけて来るー。

しかし、栄治は決意の眼差しで明美を見つめると、
「俺も、明美も、覚悟はできてるー。
 お前を必ず明美から追い出してやるー」と、
そう言葉を口にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

抗憑依薬治療を行う
抗憑依薬治療センターに到着した栄治たちー。

拘束された状態のままの明美が
担架で運ばれていくー。

その様子を見つめていると、
そこに眼鏡をかけた真面目そうな雰囲気の女性が
姿を現したー。

「ー堂上 栄治さんですかー?」
とー。

「ーーえ?あ、はいー」
栄治がそう言葉を口にすると、
「ー電話でお話したー、須藤 美彩(すどう みさ)ですー」と、
職員の女性はそう言葉を口にしたー。

「ーあぁ、電話のー」
栄治がそう頷くー。

抗憑依薬治療について問い合わせをした際、
電話対応をしてくれた女性だー。

たしか電話で”わたしも憑依された時、彼氏に酷いことをたくさんしたー”と、
そう言っていた気がするー。

「ー大丈夫ですよー。
 わたしも”抗憑依薬治療”を乗り越えて、
 今、彼と一緒に暮らしてますからー」

”憑依された経験”を持つ美彩は、
そう言葉を口にすると、
「宮瀬 明美さんも、必ずー元に戻れます」と、
静かにそう言葉を続けたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その日のうちに”抗憑依薬治療”は始まったー。

注射に点滴、色々な薬が明美に投与されていくー。

「ーーーーーー」
職員の美彩と共にその様子を見つめる栄治ー。

「ーー大丈夫ですよー。
 わたしも治療を受けた経験者として
 色々アドバイスもしますから」

美彩はそう言葉を口にするー。

栄治はふと、
「あの、憑依してるやつを眠らせる薬で、
 明美を助けることはできないんですか?」と、
明美を搬送する際に職員が使っていた薬のことを尋ねるー。

がー

「ーあれは、短時間しか効果がありませんし
 何度も使うと効果が無くなりますー…
 一時的に使うことしかできないんです」
と、美彩はそう説明したー。

やはり、抗憑依薬治療は避けられないー。
栄治は覚悟を決めて、その様子を見つめるのだったー…

③へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

次回が最終回デス~!!!

果たして、ちゃんと治療は成功するのかどうか、
ドキドキデス…!

今日もありがとうございました~!☆!

続けて③をみる!

「抗憑依薬治療」目次

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憑依<抗憑依薬治療>

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