<入れ替わり>ウラノカオ~隠された本性~①”発端”

とある学校ー

ある日、心優しい性格の男子生徒が
同じクラスの女子生徒と入れ替わってしまうー。

しかし、彼は知らないー…
入れ替わり相手の女子が、”幼馴染”のことを
裏でイジメているとはー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーー僕さー、
 本当はあんたー、いや、”円花”のこと
 ずっとずっと、ウザいって思ってたんだよねー」

その言葉に、
大人しい性格の女子ー、深山 円花(みやま まどか)は
震えながら目に涙を浮かべたー

「え…ゆ、雄くんー…?」
彼女からすれば、相手から言われた言葉は
”信じられない”言葉だったー。

「ー幼馴染だから、ず~っと我慢してやってたんだー」
相手の”雄くん”はそう言葉を口にするー。

いつも優しかった雄くんー
いつも支えてくれた雄くんー
その”雄くん”が今、そんな言葉を口にしながら
迫って来ているー。

「ーー円花ー
 ーーお前さー、ウザいよ?」
吐き捨てるようにそう呟く”雄くん”ー。

「~~~~~~~~~」
円花はどう返事をしていいかも分からず、
必死に言葉を振り絞ろうとするー。

がー、
そんな円花の腕を”雄くん”は、
”男”の腕力で力強く掴むと、
満足そうにニヤッと笑うー。

”幼馴染の立場”をー、
そして”男”としての力を利用して
いじめてやるのだー。

そう思いながら
”彼女”は心の中で邪悪な笑みを浮かべたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”数日前”ー

「ーーー~~~~」

ある日の放課後ー。

高校での1日が終わり、
下校しようと昇降口付近までやってきた、
森嶋 雄輝(もりしま ゆうき)は、
幼馴染の女子ー、深山 円花の姿を見つけたー。

外の雨を見つめながら困った様子で立っている円花ー。

今日は朝はギリギリ雨は降っていなかったものの、
昼前には本降りの雨になるという天気予報が出ていて
その通りになったー。

しかし、円花は傘を持っていないようだー。

そんな円花の後ろ姿を見つめながら、
雄輝はゆっくりと歩いていくと、
「あれ??円花ー」と、そう声を掛けたー。

「ーーえ?あ、雄くんー」
雄輝に声を掛けられて振り返った円花。

円花は雄輝の幼馴染で
小さい頃から近所でよく遊んでいて、
学校もずっと一緒だったー。

大人しくて、目立たないタイプの子ではあるものの、
真面目で、優しい子だー。

「ーーもしかして、傘、忘れちゃったとかー?」
雄輝がそう言うと、
円花は「えっ…?えっー、うんー…あははー」と、
苦笑いしながら「わたしってドジだよねー」と、
少し自虐的な表情を浮かべながらそう言葉を口にしたー。

「ーそんなことないよ。
 人間誰でもミスはあるし」
雄輝はそう笑いながら言うと、
「ー僕の傘、貸してあげるよ」と、
下駄箱のところに置いてあった雄輝の傘を手に取ると、
それを円花に手渡すー。

「ーーーえ……?
 で、でも、雄くんはー…?」
雄輝から傘を手渡された円花は
心底申し訳無さそうな表情を浮かべると、
雄輝のほうを心配そうに見つめるー。

「大丈夫大丈夫ー。
 僕は折り畳み傘も持ってるしー
 これを使うから」
雄輝は穏やかに笑いながら、鞄の中から
折り畳み傘を手にすると、それを広げて見せるー。

しかし、外は本降りの雨ー。
折り畳み傘だと少し心もとなく見えるー。

が、祐樹は円花が何かを言う前に、
「僕は大丈夫だから!気にしないで!じゃ!」と、
そう言葉を口にすると、
そのまま折り畳み傘を広げて、
雨の中を走って下校し始めたー。

”素早く立ち去った”のは、幼馴染である円花の性格を
よく知っているからこそー。

そのままあの場にいたら、円花は絶対に
”雄くんに悪いから、わたしはいいよー”みたいなことを言い始めるに
決まっているー。

それを良く知っている雄輝だからこそ、
円花が何か言い出す前に、折り畳み傘を手に
走り去ったのだー。

「ーーー雄くんー…」
一人残された円花は”雄くんにまた迷惑かけちゃった”と
申し訳なく思いながらも、
借りた傘を見つめるー。

「ーーー」

”本当は”ーーー
傘を忘れたんじゃないー。

けどー…
”人に心配を掛けたくない”ー
特に、”雄くんには心配を掛けたくない”と、
そう思っている円花は、
それを言い出すことはできなかったー。

そしてーー
その翌日ー

”それ”は起きたー。

「ーーあんたさぁ、
 この前も森嶋から傘借りて帰ってたよねー?

 汚いから、シャワー浴びながら帰れって言ったでしょ?」

香月 愛美(こうづき あみ)ー
見た目は可愛らしい雰囲気であるものの
性格が悪く陰険ー、気の強いタイプの女子生徒だー。

ただ、男子の前ではある程度愛想よく振る舞っていて、
”気に入らない女子”にだけ嫌がらせを繰り返すタイプであるため
クラスの中には愛美の”裏の顔”を知らない人間も多いー。

雄輝の幼馴染である”円花”は、この愛美から
イジメを受けていたー。

先日、傘を持っていなかったのも、
決して”傘を忘れたから”ではないー。

この愛美に
”あんた汚いし不潔だからシャワー浴びて帰りな”と、
雨に濡れながら帰れと、そう言われて
傘を取られてしまったのだー。

がー、結果的に円花はあの日、
幼馴染の雄輝から傘を渡されて、
濡れずに帰ることができたー。

しかし、その様子をどこからか見ていたのか、
愛美は翌日ー、
こうして再び絡んで来ていたのだー

「ーーだ、だってー…」
円花は何かを言い返そうとするも、
奥手な性格故か、ハッキリと言い返すことが出来ない。

「ー聞こえない」
愛美がふざけて耳のあたりに手を当てるー。

「ーー…ー昨日は、雨がたくさん降ってたからー」
円花が震えながらそう言葉を口にするー。

「きーこーえーなーい!!!」
愛美は威圧するかののように大声を出すと、
円花の髪を引っ張って、
自分の耳元に円花の顔を近づけさせると
「文句があるなら言いなよ」と、そう言葉を口にしたー。

それでも何も言えない円花ー。

そんな円花を見て、愛美は笑うと、
”円花いじめ”のために用意していた”あるもの”を取り出したー

それはー、”蜘蛛”ー。
小さな容器に入った蜘蛛を、
虫嫌いの円花に近づけて行きー、
円花の側でそれを取り出すー。

「ーほら、あんたにプレゼントー。
 こういうの、好きでしょ?」
嫌いだと分かっていて、わざと円花に”蜘蛛”を
プレゼントしようとする愛美ー。

がー、蜘蛛を見てパニックになった円花は
悲鳴を上げると、愛美を突き飛ばして逃げ始めたー。

「ーっ…ふざけんな!!!」
突き飛ばされた愛美は怒りの形相を浮かべて、
円花を追いかけ始めるー。

愛美から逃げるために、階段を駆け上がっていく円花ー。

それを追いかける愛美ー。

がーー
今朝まで続いた雨で、まだ階段は濡れていたー

「ーー!」
愛美は、円花を追いかけることに夢中で
雑に階段を駆け上がっている途中にー、
脚を滑らせてしまったー。

ハッとした時には、もう遅かったー。

そしてー、愛美はそのまま階段を転がり落ちていくー。

そんな中ー、
ちょうど、最悪のタイミングで何も知らずに下の階から階段を登ろうとしていた
円花の幼馴染・雄輝が上から落ちて来た愛美に気付いて、
驚きの表情を浮かべるー。

がー、もう愛美は目前まで迫っていて、雄輝は愛美を回避することができないまま
そのまま階段を転がり落ちて来た愛美に巻き込まれてしまったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーぅ…」

雄輝が保健室で目を覚ますと、
そこにはーー
”雄輝”がいたー。

「ーうわっ!?えっ!?ぼ、僕ー!?
 な、なんだこれー!?」

雄輝が思わずそう声を上げると、
「ーって、何だこの変な声!?」と、
自分の口から女の声が出ていることに気付いて、
慌ててそう叫んだー。

すると、目の前にいる”雄輝”が
「変な声でごめんね」と、少し不満そうに言葉を口にすると、
目を覚ましたばかりの雄輝は「えっ…ど、どういうことー…?
ど、どうして僕がもう一人ー?」と、困惑した表情を
浮かべながらそう言葉を口にしたー。

すると、目の前にいる自分自身が言葉を発したー。

「ーーさっき、わたしが階段から落ちた時、
 森嶋くんとぶつかって、身体が入れ替わっちゃったみたいなの」
とー。

「ーーー!?」
女子のような口調で話す”自分”を前に、
雄輝は「えっ!?」と、驚きの表情を浮かべながら
自分の身体を見下ろすと、
そこには、自分の身体にあるはずのない胸の膨らみとー、
自分が着ているはずのない、女子の制服が見えたー

「ーえっ…!?えっ…!?」

いじめている相手ー…円花を追いかけている際に
足を滑らせて階段から転落してしまった愛美ー。

その際にちょうど階段を登ろうとしていた雄輝にぶつかり、
入れ替わってしまったようだー。

先に目を覚ました愛美は、自分が雄輝の身体に
なってしまっていたー…という状況に驚きながらも、
先に事情を理解し、こうして、後から目を覚ました雄輝に
入れ替わってしまったという事情を説明していたのだったー。

「ー……ーー」
愛美(雄輝)は、愛美になってしまった状況に
ドキドキしながらも、いきなり胸を揉んだり、
スカートを触ったりー、髪のニオイを嗅いだりー
そういったことはせずに、
「ーーあ、あのー」と、そう言葉を口にするー。

雄輝(愛美)は自分でもどうしたらいいのか分からない様子で
表情を曇らせつつ、愛美(雄輝)のほうを見つめると、
愛美(雄輝)は少し申し訳なさそうにしながら言ったー。

「ーーあの…それで、僕は誰と入れ替わってー…?」
とー。

「ーそれは、わたしに決まってるでしょ?」
入れ替わり相手が誰かを聞かれて雄輝(愛美)は
少し不満そうに答えるー。

がー、愛美(雄輝)は
「い、いや、もちろん、僕になった君と入れ替わってるのは
 分かってるけど」と、そう言葉を口にした上でー、
「ー顔、見えないからー…。声と身体だけじゃ、君が誰か分からなくてー」と、
そう説明するー。

「ーーあ~~、そっか。そうだね」
雄輝(愛美)は”誰?”と聞かれたことに納得しながら笑うー。

今、目覚めたばかりの雄輝からすれば、
愛美の”顔”を確認する術がないー。
階段で愛美が転落してきたのを見たのは一瞬だろうし、
誰だか判別する前に巻き込まれて意識を失ってると思うー。

身体と、声だけで、自分が愛美と入れ替わったと判別するのは
雄輝が愛美の彼氏だったり、親友だったり、兄だったりすればともかく、
”単なるクラスメイト”である以上は難しいー。

雄輝(愛美)は、「ちょっと待ってて」と、そう言葉を口にすると、
保健室の中から手鏡を見つけ出して、
それを愛美(雄輝)に向けたー。

「ーーあ、あぁー、香月さんー」
愛美(雄輝)は、入れ替わり相手がクラスメイトの愛美であることを
理解すると、戸惑いながらも「そっかー…」と静かに頷いたー。

そしてー、二人は”元に戻ることができるまで”
お互いのフリをしながら生活していくことに決めたー。

雄輝は”愛美”に対して特別悪い感情は抱いていないー。
もちろん、好意とかそういうものもなく、
”普通のクラスメイト”という認識だー。

愛美は”男子の前”では、そこそこ良い顔をするためー…
雄輝はまさか、愛美が陰険でー、裏では幼馴染の円花をいじめているなどとは
夢にも思っていなかったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そしてーー
二人の入れ替わり生活が始まったー。

「ーー雄くんーー…
 階段で転落に巻き込まれて保健室に運ばれたって聞いたけどー…
 だ、大丈夫だったー?」

雄輝の幼馴染・円花が何も知らずに
雄輝(愛美)に話しかけて来るー。

「ーー!」
そんな円花を見て、
雄輝(愛美)は少し驚いたような表情を浮かべるー。

”雄輝”が愛美の幼馴染なのは知っているー。
が、入れ替わってそれどころではなく、
そんなことは思いつかなかったー

けれどー
円花から話しかけられたことで、思いついてしまったー…

”この身体を利用すれば”ーーー

「ーー僕さー、
 本当はあんたー、いや、”円花”のこと
 ずっとずっと、ウザいって思ってたんだよねー」

雄輝(愛美)は、円花が親しくしている
”幼馴染”の立場を利用すればー
円花をもっともっと苦しめることができる、ということに気付いてしまったー…

「え…ゆ、雄くんー…?」
震える円花ー。

「ー幼馴染だから、ず~っと我慢してやってたんだー」

 ーー円花ー
 ーーお前さー、ウザいよ?」

雄輝(愛美)は、円花にそんな言葉を吐き捨てる…。

円花と雄輝ー…
二人にとっての”悪夢”のような日々が
この日、始まってしまったのだったー…

②へ続く

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コメント

リクエスト特典で
飛龍様から頂いたリクエストを元にした作品デス~!!

リクエストの原文…は、
ネタバレしちゃうので、
最終回の後にご紹介しますネ~!!

明日もお楽しみに~!☆!

「ウラノカオ~隠された本性~」目次

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