<憑依>奪った身体でサブスクはじめました①~欲望~

何もかもが上手く行かずに
ストレスをため込んでいた男ー。

そんな彼が、憑依薬を手に入れてしまい
他人の身体を奪い取るー。

さらには、その身体で際どい自撮りを繰り返し、
やがて”金”を稼ぎ始めてー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ークソッ!こんな仕事やってられるか!」

30代の男ー、吉澤 竜也(よしざわ りゅうや)は
不満そうにそう叫ぶと、
上司に向かって書類を投げつけたー。

「ーーー…吉澤ー、お前ー…」
上司の峰内 浩二(みねうち こうじ)は、
表情を歪めながら、竜也のほうを見つめるー。

そしてー、上司である浩二がそれ以上何か言う前に
竜也は退職願を机に叩きつけると、
「ーこんなクソみたいな職場、やめてやる!」と、
そう叫んで、そのまま出口に向かう道に立っていた
他の社員を突き飛ばすと、
竜也は勤務していた会社を後にしたー。

「ーーーー」
呆然とする上司の浩二ー。

決してー、この部署は”ブラック”な部署ではないー。
上司の峰内 浩二も、パワハラをするような人間ではなく、
”ごく普通の上司”と表現するのにふさわしい、そんな人物だー。

がー
1年前からこの会社で働いていた竜也は、
今日、鬱憤を爆発させてそのまま退職してしまったー。

部署内にいた人間は部長の浩二も含めて
ほぼ全員が困惑の表情を浮かべていたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「チッ…クソが」
帰り道ー。
立ち寄ったコンビニで安い酒を買い、
それを飲みながら歩いていた竜也ー。

竜也は、大学卒業後、
仕事をしてはクビになったり、
今日みたいに自分から辞めてしまったりー、
そんな生活を繰り返していたー。

「あ~~~~!くそくそくそくそくそっ!」
”楽して金を稼ぎたい”ー
竜也は、そんな考えの持ち主ー。

がー、現実はそう甘くはないー。

それどころかー、
サボり癖があり、周囲との協調性もない彼は、
何の仕事を始めても結局上手く行かず、
クビになったり、勝手に不満を爆発させて辞めてしまうー、
そんな人生を送っていたー。

「ーーーーーー」
帰宅した竜也は、早速次の仕事を探そうとしたものの、
特に何も見つからないー。

”超”がつくほどの面倒臭がり屋であるために
部屋の中もゴミが散乱している状態だったー。

「ーーーケッー
 今日はやめだ」

仕事を探すためにネットを眺めていたものの、
思うように仕事が見つからないことに腹を立てながら
そう言葉を口にするー。

そしてー、ネットで、特に目的もなく
色々なものを見て回っているとー…
”際どい自撮り”を投稿している女のSNSのアカウントが
たまたま目に入ったー。

「ーーーー」
竜也は少しだけニヤニヤしながらそれを見つめたものの、
すぐに、その女のSNSの書き込みに
”もっと写真が見たい人はこっち”などと、
支援系のサイトに誘導するような文章が盛り込まれていたー。

「クソッ!」
不満そうに呟く竜也ー。

「どうせこういう女ー、結構稼いでやがるんだろうなー」
ブツブツと不満を口にしながらも、
ちゃっかりその女のSNSアカウントをじーっと見つめている竜也ー。

「ーあ~あ、俺も女だったらいくらでも色々な格好して
 いくらでも脱いで稼ぎまくるのに」

そんな愚痴を口にしながら
ふと、竜也は自分の身体を見下ろすー。

が、1秒もせずに
「いやいや、俺がどんな格好しても需要なんかねぇだろ」
と、正気に戻った様子で首を横に振るー。

「ーーはぁ~あ、つまんね」
竜也は頭の中に不満ばっかりが浮かんできてしまう状況の中
大きくため息を吐き出すと、
そのままスマホをベットの上に放り投げて歩き始めたー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その数日後ー。

「ーーーーあ?」
竜也は首を傾げるー。

自分が暮らしているアパートの部屋の前に
荷物が”置き配”されていたのだー。

何かを注文した覚えのない竜也は
面倒臭そうにその荷物を見つめると、
そこに書かれている宛先が自分宛ではないことに気付くー。

”小堺 清太郎(こさかい せいたろう)様”
そう書かれているー。

「小堺?」
竜也は少し表情を歪めると、
「2つ隣の部屋のやつじゃねぇか」と、不満そうに
そう言葉を口にするー。

小堺 清太郎ー。
確か、2つ隣の部屋に住んでいる男子大学生の名前だー。

その男子大学生の荷物がどうして俺の部屋の前に、と、
竜也は不満を感じながら
「いい加減な配達員が配達しやがったな?」と、
そう言葉を口にするー。

仕方がなく、2つ隣の部屋ー、
小堺 清太郎の部屋の前にその荷物を置いておいてやろうと
それを手にゆっくりと歩き出した竜也ー。

がー、その時だったー…。

「ーーー!?」
竜也は、小堺 清太郎宛ての荷物に書かれている”品名”を見て
目を疑ったー

”憑依薬”
そう書かれていたのだー。

「ーーー…ひょうい…やく?」
竜也はそう呟くと、思わず周囲をキョロキョロとして、
誰かに今のこの状況を見られていないかどうかを確認するー。

そしてーー…

「ーーーー」
竜也はそれが”やってはいけないこと”であると
重々承知の上で、その荷物を手に、
届け先である小堺 清太郎の家の前にそれを置くことなく、
自分の部屋の中へと入って行ってしまったー。

「ーーーひ、憑依ってー…アレだよな?」
竜也はニヤニヤしながら興奮した様子で
他人の家に届いた”憑依薬”なるものの箱を開封するー。

すると、そこにはーー

”ご注文の品をお届けいたします”と、
そう書かれた納品書と共に、
”憑依薬”が入っていたー。

「ーーマ…マジかー」
興奮した様子で身震いしながら、
竜也はその薬を見つめるー。

”他人の身体を乗っ取ることができる薬”ー。

そんなものが現実に存在するとは思えないー。

けれどー…
もしかしたら、これはー…

「ーーーゴクリ」
竜也は他人の家に届く予定だったはずの憑依薬を勝手に手にすると、
そのまま不気味な笑みを浮かべたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その日の夜ー。

竜也は憑依薬が入っていた箱を処分し、
アパートを出て、
川辺で”憑依薬”と書かれた容器に入った液体を
飲み干したー。

その直後、竜也は自分の身体が”消えていく”ような感覚を覚えると同時に
自分が幽霊のようになっていることに気付くー。

「ーす、すげぇ…何だこれー…」
そう言葉を口にしながら”霊体”となった自分の身体を見つめるー。

”この憑依薬ってのは本物だ”
そう確信した竜也は勝ち誇った表情を浮かべると
早速、”霊体”としてご機嫌そうに宙を舞いー、
さらには”俺の新しい身体”としてふさわしい身体を探すべく、
色々な場所を徘徊し始めたー。

そして、翌日の昼ー。

「ー見つけたー」
竜也はニヤッと笑ったー。

昨日の夜からずっと霊体として
”俺好みの身体”を探していた竜也は
やっと”好みの身体”を見つけたのだー。

「ーーーえ~?ホントにー…
 そうは見えなかったけどなぁ…」

とある大学ー
友達と何やら会話をしている
女子大生・菜々美(ななみ)ー。

「ーーうんーわたしもびっくりー。
 そういうことする子だとは思わなかったからー」
反対側にいるのは菜々美の友達の、京香(きょうか)ー。

京香の方には用はない。
竜也が憑依しようとしているのは菜々美の方だー。

一人暮らしかつ、
スタイルの良さに、可愛さを隠しきれていない美貌ー。
その上に心優しそうな穏やかな性格ー。

”俺が奪うべき身体は、これだー”
竜也はそう思ったー。

そう思った竜也は、早速行動を実行に移したー。

京香と別れて、移動を始めた菜々美に狙いをつけるー。

そしてーーー
「ー俺のために今までの人生、ご苦労さんー」
と、そう言葉を口にすると、
そのままひと思いに竜也は”菜々美”に憑依して見せたー。

「ーーうっ…」
ビクッと震える菜々美ー。

「ーーっ……ぉ…???お???おぉぉ?」
一瞬、苦しそうな表情を浮かべていた菜々美で
あったものの、すぐにニヤニヤとし始めると
自分の手を握ったり開いたりしながら、
やがて、手を嬉しそうに見つめ始めるー。

「ーーすげぇ…本当に俺の意思で動いてるー」
菜々美はニヤニヤしながら、手を動かしつつ
そんな言葉を口にする。

霊体になれたとは言え、
実際に他人の身体を奪い、
こうして意のままに操ることができるのかどうかは、
実際に憑依してみるまで実感できなかったー。

ただ単に憑依薬を飲んで死んだだけで
憑依もできない幽霊として漂うことになったー

…と、いうだけの可能性も十分にあったからだ。

しかしー、実際にこうして憑依することが出来たー。

「ーーーーへへへへー…
 まさか本当に憑依することができるなんてなー」
菜々美に憑依した竜也は満足そうに笑みを浮かべるー。

「ってことは何でも俺の意思で出来るってことだよなー…?」
改めて、憑依できたことの達成感を噛みしめると、
「このボイスで好きな言葉を発することができるってのも
 最高だなー」と、
自分が声を発すると、竜也自身ではなく、
菜々美の可愛い雰囲気の声が発されることにドキドキしていくー。

しかも、その菜々美の声が普段は口にしないであろう
男のような言葉をペラペラと吐き出しているのだから、
ドキドキせずにはいられないー。

「へーへへ…どんな言葉でも言わせ放題ってことかー」
菜々美はニヤニヤしながら
その場で”竜也”自身に告白するような言葉を口にしたり、
菜々美のような子が恐らくは絶対に口にしないであろう
卑猥な単語を次々と口にして見せるー

「へへー…ヤベェなーこれだけで興奮しちまいそうだぜー」
”しちまいそう”どころか、既に興奮している竜也ー。
しかし、今、竜也が興奮すれば
興奮するのは竜也の身体ではなく、菜々美の身体だ。

菜々美はニヤニヤとしながら
顔を赤らめていくー。

やがて、自分の身体を見下ろすと、
「さ~て、楽しませてもらうかー」と、
自分の胸に手を触れようとするー。

「ー”わたし”がわたしの身体を触ったって自由だからねーへへへへ」
あえて菜々美っぽい口調を交えながら
嬉しそうにそのような言葉を口にすると、
ゆっくりとその綺麗な手を、自分の胸に近付けていくー。

がー、その時だったー。

「ーーな、菜々美ー?」
背後から声がしたー。

「ーあ?」
少し驚いた表情を浮かべながら
バッと振り返ると、
そこにはさっきまで菜々美と会話していた友達の
京香の姿があったー。

京香は一旦立ち去ったものの、
菜々美に言い忘れたことがあって引き返して来たのだったー。

「ーー…だ、大丈夫ー?
 なんか一人でずっと喋ってたみたいだけどー…」
京香は、遠くから菜々美が一人で喋っているのを
見てしまったようで、心底不安そうな表情を
浮かべながらそう言葉を口にするー。

すると、菜々美は
咄嗟に不自然な笑顔を浮かべると
「あ、大丈夫大丈夫ー俺、じゃねぇーわたし、
 よく独り言を言う癖があるから!!ね?だから気にしなくていいよ」
と、そう言葉を発するー。

一生懸命、”菜々美のような”口調で喋ってはいるものの、
かなり不自然な感じになってしまっているー。

そんな菜々美を前に、京香は戸惑いの表情を
浮かべながら「ひ、独り言なんて言ってるの聞いたことないけどー?」と、
そう言葉を返すー。

「ーうるせぇなー。わたしは独り言好きなのー
 余計な詮索はしないで?」

胸を触ろうとしていたのを邪魔された竜也は
菜々美の身体で少しイラつきながらそう言葉を口にすると、
京香はそれ以上、何も言わなかったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーさてとー、大学はどうでもいいしー、
 サボるかー」

ひと息ついた菜々美は、
そう言葉を口にすると、
そのまま菜々美の家に帰ろうとするー。

菜々美が一人暮らしなのは既に確認済みだー。

その家に向かってゆっくりと歩いていき、
まるで自分の家かのように堂々と鍵を開けて
その中へと入っていくー

「へへー今の俺なら不法侵入じゃないからなぁ」
菜々美はニヤニヤしながらそう言葉を口にして家の中に入るー。

そしてーー…

「ーーん?」
家の中に入ると、実家にいる頃に撮影したと思われる
両親との写真が飾られているのを見て
菜々美は表情を歪めたー。

”父親”らしき人物に見覚えがあったのだー。

「ん?????コイツは確かー…」

そう思いながら、菜々美の名前を改めてもう一度確認するー。

”峰内 菜々美”ー

「峰内ー…」
菜々美はそう言葉を口にすると、憑依している竜也は
「ーー!俺がこの前辞めたクソ会社の上司じゃねぇか!」と、
菜々美の父親が峰内部長であることを確信すると、
しばらくの間、不満そうな表情を浮かべていたものの、
「いや、待てよー?」と、笑みを浮かべるー。

「あのクソの娘が俺のものになったんだー
 ーー逆にいいじゃねぇかー」

復讐もできるー。
そんな風に思った菜々美は邪悪な笑みを浮かべるー。

そしてー、菜々美は自分の姿を鏡で見つめると、
「この身体ならー…稼げそうだしなー」と、
不気味な笑みを浮かべながら、そう言葉を口にするのだったー。

②へ続く

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コメント

憑依して、色々よからぬことをしようとしている男…

大変なことになりそうですネ~!

続きはまた明日デス~!!

続けて②をみる!

「奪った身体でサブスクはじめました」目次

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