<女体化>俺は転校し、わたしは転入した③~卒業~(完)

②にもどる!

ある日、女体化してしまったことをきっかけに
学校で、”元の自分”は転校して去ったことにし、
別人の女子高生の設定で”転入生”として、
学校に入り直して、生活することになった男子高校生ー。

しかし、そんな生活も簡単には行かずにー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・

”水嶋さん、俺のこと好きなのかなー?”

女体化した幸孝は、
親友の亮介がクラスメイトとそんな話をしていたことを
思い出しながらため息を吐き出すー。

「ーーまた、アイツと普通に仲良くするのはー
 この身体じゃ、難しいのかもなー…」
自分の身体を見下ろしながら
女体化した幸孝は今の自分の状況を悲しそうに嘆くー。

自分がもし、男の転入生ならば
亮介と”今までの自分”と別人として
話しかけても、
”アイツ、俺のこと好きなのかな?”などと亮介が
勘違いすることはなかっただろうー。

けれど、女になった今ー、
そういうことが起きてしまうー。
本人が望む・望まないに関わらず、
それが起きてしまうー。

「ーーお兄ちゃんー調子はどう?」
そんなことを考えていると妹の楓が部屋にやってきたー

「ー楓ー。まさかまた何かイタズラするつもりじゃー?」
女体化してからも、突然スカートをめくられたり、
この前は背後から胸を揉まれたりしたー。

”イタズラ”と言えば妹の楓ー。
女体化した初日には”楓のドッキリじゃないだろうな?”と
思ってしまうぐらに、
幸孝の中では”楓=イタズラ”というイメージが
出来上がってしまっていたー。

「ーあはははー
 わたしの顔を見ると”イタズラ”って思うのやめようよ~」
楓は笑いながらそう言葉を口にすると、
「はい!お兄ちゃんも色々大変だと思うから、これ!」と、
お菓子が大量に入った袋を取り出して、
それを手渡して来たー。

「ーーー~~~~」
女体化した幸孝はそれを見つめながら
「え、え~っと、これは?」と、
困惑の表情を浮かべるー。

「え?これは…?って、
 お兄ちゃんが大変そうだから、お菓子をプレゼント!
 お小遣いで買ったの!」

そう説明する楓ー。

女体化した幸孝は、まだ何かイタズラされているのではないかと
疑うような表情を浮かべていたものの、
楓が「お菓子に毒入れたりしてないってば!」と、笑いながら
そう言葉を口にしたのを見て、
女体化した幸孝も思わず苦笑いしたー

「はははー、さすがにそこまでは疑ってないよー
 ま、ありがとなー」

女体化した幸孝は、妹の楓が
自分なりに幸孝を励まそうとしてくれたのだろうと、
そう解釈して、穏やかな表情でそれを受け取るのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーみんなとは、上手くやれているかー?」

女体化して既に数か月が経過したー。

担任の男性教師がそう言葉を口にすると、
女体化した幸孝は「えぇ、まぁー…」と、
少し恥ずかしそうに制服を触りながら笑うー。

「そうか。それは良かったー」
先生たちの”一部”は、幸孝が女体化したという
事実を知っていて、
担任の先生もその一部だー。

「ーまぁでも、みんなには隠して正解だったなー。
 こういう形にでもしてなければ
 たぶん、みんな戸惑ってたと思うしー、
 小島ー。お前も多分、今より色々大変だったと思う」

担任の先生はそこまで言うと、
「正直、俺もまだ戸惑ってるしなー」と、苦笑いするー

「ーははー女になった俺もびっくりですよー
 ただー」
女体化した幸孝は少しだけ笑うと、
「ー何か月も女として過ごしてると、不思議とだんだん慣れて来るものですね」と、
そう言葉を口にしながら、
自分の手を見つめるー。

「最初は結構、男子トイレに入っちゃったり、
 着替えの時、鼻血を噴き出しそうでヤバかったりしましたけど、
 今はもう、そういうのはなくなったんでー」

女体化してから時間が経過すれば経過するほど、
それに”慣れて”いくー。

幸孝は、そんなことをこの数か月で感じていたー。

「そんなものなのかー」
担任の男性教師は、少し興味深そうにそう言葉を口にすると、
女体化した幸孝は軽く笑いながら
「もちろん、男だった時の記憶が消えるわけじゃないんで
 戸惑うこともまだありますけど」と、
そう付け加えたー。

その上で、
「先生ー…俺のこと知ってて何かとやりずらいと思いますけど、
 ーこれからもよろしくお願いします」と、そう言葉を口にしたー。

幸孝が”元男”だと知った状態で、
それを知らないかのように接するのはきっと大変なはずだー。

そんなことを思いつつも、
普段は幸孝のことを”水嶋 深雪”として
扱ってくれている先生にも、
きっと色々な苦労を掛けているはずだー。

幸孝はそう思いつつ、先生に感謝の言葉を告げると、
そのまま教室へと戻って行ったー。

それからしばらくしてー…
女体化した幸則は、”親友”だった亮介から
”告白”されてしまったー。

「ーーー水嶋さんー…
 転入してきたときからずっと、水嶋さんのことがー
 好きでしたー」

亮介はそう言葉を口にして”告白”してきたー。

女体化した幸孝は
かつての”親友”から告白されている状況に
心底困惑したような表情を浮かべるー。

この告白に”応える”ことは出来ないー。
女になってから数か月ー。
行動の部分や感覚の部分では
”中身”も女のようになりつつある部分は
増えて来たー。

けれど、それでもー、
男を恋愛対象として見ることは今でも
絶対にできないと思っているし、
想像しただけで”あり得ない”と思ってしまうー。

「ーーーー」
女体化した幸孝は、親友の亮介に対して
”ー俺なんだー…”と、そう言いたくなってしまうー。

素直に打ち明ければ”かつての関係”に戻ることが
できるかも知れないー。

いやー…それも無理だー。
今更打ち明ければお互いに物凄く気まずい思いを
することになるし、
”何で今まで言わなかったんだ”ということになってしまうー。

けれどー、最初から打ち明けるのも無理だったと思うー。

亮介にだけ打ち明けたところで、
他の人の前では女子として扱え!というのも無理な話だし、
かと言って、”女体化しました”と最初から全体に言えば
男子も、女子も、混乱しただろうし、
確実に誰かしらネットに”クラスメイトが女になった!ヤバくない?”とか、
そんなことをSNSに書き込んだりして
大混乱になっていたと思うー。

ネット上に、”女になった男子高校生”なんて書き込まれて
報道関係者だったり、よく分からない配信者だったり、
そんな人たちまで集まり始めたら収拾のつかない事態に
なってしまったのは間違いない。

女体化した幸孝にとっても平穏に暮らすことなど、
そうなってしまったらできなかっただろうー。

”俺”は転校して
”わたし”が転入したー。
これで良かったんだー。

これが一番、平穏に近い”選択”だったんだー。

女体化した幸孝は自分に言い聞かせるかのように
心の中でそう言葉を口にすると、
親友の亮介のほうを見つめたー。

「ーごめんなさいー。わたし、恋愛とかは
 今はするつもりにはなれなくてー」

あくまでも”深雪”として、そう返事をしたー。

嘘ではないー。
今は”女”として恋愛をする気になどなれない。

ただ、もしかしたらー、
いずれ、遠い未来には心境に変化が生まれるかもしれない。

だからー、”今は恋愛をするつもりがない”という答えは
決して嘘などではなかったー。

「ーーーえ……」
女体化した幸孝からよく話しかけられていたせいだろうかー。
てっきり、告白すれば受け入れて貰えると
そう思っていたのだろう。

亮介は心底意外そうな表情を浮かべながら、
しばらく沈黙すると、
「ー何だよ」と、不満そうに言葉を口にしたー。

「ーーーーーごめんなさい」

告白に良い返事をすることができなかったー…
ただ、”ごめんなさい”は、
それに対する”ごめんなさい”ではなかったー。

”俺のせいで振り回して悪かった”という気持ちとー、
”親友として一緒に卒業できなくて悪かった”という気持ちとー、
色々な気持ちが織り交ざっていたー。

「ーーーー分かったー。」
亮介は暗い表情を浮かべると、そのまま立ち去っていくー。

そんな後ろ姿を見つめながら、
女体化した幸孝は心底悲しそうな表情を浮かべると、
そのまま小さくため息を吐き出したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーー」
それ以降、亮介は女体化した幸孝を
避けるようになってしまったー。

何か嫌がらせをしてきたりする訳では
なかったものの、
露骨に避けるようになって、
話しかけても、他人行儀な反応をするようになったー。

”ー水嶋さんに騙された”みたいなことも
言っているのを聞いてしまったー。

別に騙したわけではないー。
ただ、”転入生の女子”としては、
亮介にだけは妙に馴れ馴れしくしてしまったかもしれないし、
勘違いさせてしまったのかもしれないー。

それでもー…
積極的に話しかけただけで、
”恋愛感情”に発展してしまうことがあるー、ということを
女体化した幸孝は噛みしめることになってしまったー

男だった時と同じようにしていることは、
もう、できないー。
それを、改めて実感させられてしまうことになったのだったー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

女体化した状態から元に戻ることができないままー、
女体化した幸孝は卒業を迎えたー。

高校生活はー、それなりに楽しかった。
幸孝として振る舞うことはできないままだったけれど、
別人として学校に通うことになるなんて思わなかったけれどー、
それでも、そこにいる生徒たちや先生、校舎ー
そういったものは、幸孝にとっても馴染みのあるところに
そのまま通うことができたし、
”水嶋 深雪”を名乗り、女子生徒として
高校生活はちゃんと楽しむことができたー。

親友の亮介をはじめ、
男子とは今までと全く同じように接することは
できなくなってしまったし、
色々失ったものもあったー。

ただ、逆に女子とは、
恐らく女体化してなければ、
ここまで仲良くなることはなかっただろうし、
色々知らないことがあるまま、卒業していたと思うー。

女体化したことによって
失ったモノもあれば、得たモノもあったー。

そんな高校生活3年間だったー。

他の女子たちと一緒に記念写真を撮ったりー、
すっかり女子らしくなった幸孝は、
男には戻れなかったけれど、
それなりに充実した高校生活を堪能することは
できたのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーお兄ちゃんー
 来月から大学だねー」

妹の楓がそう言葉を口にするー。

幸孝が卒業するまでの間に、
楓も高校生になったー

高校生になっても
相変わらずイタズラ好きではあるものの、
前よりは少し落ち着いた雰囲気になったかもしれないー。

そんな楓の言葉に、
「うんー。」と、女体化した幸孝は頷くと、
「今度は一からのスタートだから、正真正銘の女子大生として楽しめるかも」と、
笑いながら呟くー。

高校では、どうしても”男だった頃”の記憶があったために、
周囲の反応の違いに戸惑いもあった。

ただ、大学に行けば周囲の人間のほとんどは知らない人間だー。
女子大生として1からスタートすることができるし、
今度は高校時代よりも色々とやりやすいかもしれないー。

「ーーそっかー。確かにそうかもねー」
楓のその言葉に、女体化した幸孝は少しだけ笑いながら
自分の部屋へと向かっていくー。

「ーーーー」
一人残された楓は少しだけ複雑そうな表情を浮かべたー。

”ーーお兄ちゃんー、ごめんなさいー”
内心でそう呟く楓ー。

兄・幸孝が女体化したのはーー
”楓”の仕業だったー。

楓が友達から貰った”女体化薬”を
悪戯で幸孝の飲み物に混ぜたのだー。

それが、本物だとは夢にも思わずにー。

幸孝が女体化したあの日ー、

”「ーー最初は、楓の仕業かと思ったけどー」”と、
幸孝に言われた際に、
楓は”「もしも、そうだと言ったら?」”と、
そう言葉を口にした上で”白状”しようとしていたー。

がー、しかしー、
その時に幸孝と両親の反応を見て
恐ろしくなってしまった楓は言い出せなくなってしまいー、
ずっと、罪悪感に苛まれていたー。

幸孝に突然お菓子を大量に買ってきたりしたのも
そのためだー。

「ーーーごめんねー…お兄ちゃんー」
楓は、この先わたしはずっと、この罪を背負って生きていくのだと
そう思いながら、小さく、謝罪の言葉を口にしたー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

最終回でした~!☆
色々大変なことはありながらも、
ひとまず高校を卒業することはできましたネ~…!

お読み下さり、ありがとうございました~!☆!

「俺は転校し、わたしは転入した」目次

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