<皮>毎日支給される皮①~欲望~

”新しい自分になることができる”

そんな、謎のサービスを見つけた男が
興味本位でそのサービスの利用を開始したところ、
毎日”他人の身体”が皮にされた状態で自宅に
送られてくるようになって…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”新しい自分になれる”
そんなキャッチコピーが表示された画面を眺めながら
男は少しだけ首を傾げたー。

「ははー…新しい自分かー」

30代前半の男・吉浦 弘和(よしうら ひろかず)は、
その画面を見つめながら少しだけ笑うー。

特に目的もなく、ネットを眺めていた際に”偶然”
見つけた謎の広告ー。

それが、”新しい自分”になることができるという
そんなサービスだったー。

”毎日、別の身体で過ごす日々”

さらに画面を下に進めていくと、
そんなワードと共に、
”男でも、女でもーどんな自分にでも”と、
そう書かれた画面が表示されるー。

「ーーー……」
弘和は”いやいや、絶対にあり得ないだろー”と、
思いつつも、そのサービスに興味を惹かれていくー。

彼自身ー、
今の人生に”強い不満”があるわけではないー。

ただ、”満足”もしていない。

イケメンとはかけ離れているし、
当然男であるため、可愛いとか、綺麗とか、美人とか、
そういう分野からもかけ離れているー。

ちゃんと仕事はしていて、一人で暮らしていく分には
十分すぎる収入もあるー。

だから、不満はない。
けれど、大きな満足をしているわけでもなかった。

そんな弘和にとって、
この謎のサービスは魅力的だったー。

説明を読んでも、ちょっとよく理解できない部分はあったけれど、
契約すると”毎日別の人間の身体”で過ごすことができるのだと言う。

キャッチコピー通り、
”毎日、別の身体で過ごす日々”を送ることができるというわけだ。

「ーーー」
ゴクリ、と唾を飲み込む弘和ー。

契約者の声、という項目には
”女性から馬鹿にされるばかりだった僕が美人になれて人生変わりました”
などとも書かれているー。

どうやら、”お気に入りの身体”があった場合
有償で”購入”することもでき、
以降、その身体で人生を送ることもできるようだー。

「ーへへー幸い、金だけは余ってるからな」
弘和はニヤリとしながらスマホを見つめると
そんな言葉を口にする。

そして、スマホの画面に表示された
”新規ご契約はこちら”と書かれたボタンをタップすると、
「色褪せた俺の人生に、新たな風を吹かせるとするか」と、
そう言葉を口にするのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後ー。

土曜日と言うこともあって、
昼過ぎまで寝ていた弘和は目を覚ますと、
玄関の扉を開けて宅配ボックスを確認するー。

すると、そこに
”新しい人生をその手に。”などと
怪しい文言が書かれた箱が投函されていたー。

「なんだこりゃ?新手の詐欺か?」
数日前に契約したサービスのことを
もう忘れかけていた弘和は首を傾げながら
そう言葉を口にするー。

そして、それが何であるか思い出すことなく
とりあえず箱を開けるとー、
その中に、”真面目そうな雰囲気の女性”ーー
ーーが、リアルに描かれた着ぐるみのようなものが
入っていたー。

「ーーあ!!!これって、あれかー…?
 この前のー」

あまりにもリアルな女性の”皮”ー
それを見た弘和はようやく数日前に契約したサービスのことを思い出すと、
「す、すげぇー。期待してなかったけど、ホントに届きやがった」
と、そう言葉を口にしながら、
中に入っていた説明書きを取り出すー。

”新技術「人間フリーズドライ」によって作り出された皮”
そう書かれた紙を見つめつつ、
「人間フリーズドライー…よく分かんねぇけど、すげぇ響きだな」と、
そう言葉を口にすると、
皮についての説明を読み始めたー。

「着ぐるみのように着ることで、その身体を乗っ取ることができるーか」
弘和はそう言葉を口にすると、
「ーあれだなー。リアルな人間が描かれた着ぐるみを楽しむサービスってことだよなー?」と、
少し期待外れそうにそう言葉を口にするー。

本物の人間みたいな雰囲気の”着ぐるみ”を着るー。
そして、着ぐるみ遊びをするー。

そんなことなのだろうと弘和はそう解釈したー。

「ま、いいや。どうせ金払っちまったんだし、着て見るか」
そう言葉を口にしながら、
届いた真面目そうな雰囲気の女性の皮を手にすると、
そのままその皮を身に付けて行くー。

「はぁ~あ、何してんだかって気分だなー」
真面目そうな女性の”皮”を身に付けながら
そう言葉を口にする弘和は、
やがて、皮を着終えると
「これでいいのかー?」と、そう呟いた。

がー…その時だったー

「は…?」
思わず、弘和は変な声を出してしまう。

それも、無理はない。
何故なら…”自分の口から自分の声ではなく、女の声がした”からだ。

「な、な、な、なんだー…?
 こ、この声ー…?
 えぇっ!?」
弘和は届いた女の皮を着たまま、
どこか狼狽えた様子でそう言葉を口にすると、
「ーか、完全に女の声じゃねぇかー」と、
そう言葉を口にするー。

それだけではないー。
全身の感覚が
”着ぐるみを着ている”と言うような感覚ではなく、
別人の身体になったような、そんな感覚に変わっていた。

自分が”皮の中”にいるー、そういう感覚ではなく、
自分自身が他人の身体になった…そういう感覚だー。

「うぉぉぉぉぉ…す、すげぇ…マジか!?何だこれ!?」
そう言葉を口にしながら、
届いた皮を実際に着るまでは、
どこか冷めた反応を見せていた弘和ー。

しかし、今は違うー。
子供のように大はしゃぎして、
そのまま洗面台の方に駆け込んでいくと、
洗面台にある鏡のほうを見つめたー。

「うぉぉぉぉぉ!?何だこれ…?
 き、着ぐるみっていうか、本当に女になってるー!?」
可愛らしい声でそう叫ぶと、
ニヤニヤしながら顔を触り始めるー

ベタベタと顔を触り続けては、心底嬉しそうな表情を浮かべるー。

とても”着ぐるみ”のようなものを着ている状態だとは思えないー。

表情も、弘和の意思に従って動いていて
鏡に映る真面目そうな女性が
顔をヘラヘラと歪めながら
嬉しそうにしているー。

「なんだこれ…?すげぇすげぇすげぇ…」
足をバタバタとさせながら、
「すげぇ…!最高だぜ!」と、
ガッツポーズを何度も繰り返すー。

そして、その場で
「ってことはー」と、目を輝かせると
そのまま両手で両胸を鷲掴みにして
胸を揉み始めたー

「っ… ぁ…こ、これが揉まれる感覚ー…!?」
ただの”着ぐるみ”のような状態の女を着たはずなのに
何故かリアルの胸を揉んでー、
そして揉まれている感触まで感じるー。

”これはいったいどうなってるんだ”と、
そう思いながらも、もうそれどころではなくなってしまった弘和は
説明書きに”茉莉(まり)”と書かれたその皮で
存分に欲望の限りを尽くすのだったー。

そしてー、その翌日ー

「っ…昨日は遊びすぎたなー」
そう言葉を口にしながら、
”返却について”と書かれた説明書きを確認すると、
そこには”翌朝の9時までに玄関前に出しておくこと”と、
そう書かれていたー。

「ーまるでゴミ収集みたいだな」
そう思いつつも、8時30分に起きた弘和は
説明書きに書かれた指示通りに、昨日散々楽しんだ”皮”を、
所定の箱に入れて
そのまま玄関先へと設置するー。

そして、それと交換で
新しい”皮”が支給されるのだと言うー。

「毎日、別の身体でー…
 こういうことかー…」
思わず、ニヤニヤが止まらなくなってしまう弘和ー。

こんな、夢のようなサービスがあったなんて信じられないー。
そう思いつつ、”今日はどんな身体が来るんだー?”と、
ワクワクするような気持ちも芽生えて来るー。

「これはすげぇ…
 確かに、毎日違う身体を体験できてー、
 しかも、気に入った身体があれば、
 そのまま購入しちまうこともできるなんてー
 夢のようだぜ」

弘和がそんな風に呟きながら
”今日の皮”をソワソワしながら待つー。

すると、玄関先で何やら物音が聞こえたのが分かったー。

「来たー…!」
まるで子供のように嬉しそうにしながら
玄関先に向かっていく弘和ー。

するとー、玄関の前に”新しい箱”が置かれていて、
代わりに先程、玄関前に返却するために設置していた”茉莉”の皮は
既に回収されたのか無くなっていたー。

「ーーへへ…今日支給されたのはどんな皮かな?」
弘和は目をキラキラと輝かせながら
”新しい人生をその手に”と書かれた箱を開封するー。

すると、昨日届いた”茉莉”とはまた違う雰囲気の”皮”が
その中には入っていたー。

「へへー今日はギャルっぽい雰囲気の子かー。
 こういうのも悪くねぇな」
弘和はニヤニヤしながら、それだけ言葉を口にすると、
「しかし、”人間フリーズドライ”ってすげぇよなー
 いったいどんな風に作ってるんだかー」
と、そう言葉を口にしながら”寧々(ねね)”と
書かれたギャルの皮をそのまま身に付けて行くー。

「ーーうほっ…すげぇ…同じ女でも、
 昨日とはまた違う感覚だなー!」
寧々を着た弘和は目を輝かせるー。

声は昨日よりも高く、喋り方によっては
耳につくような、ちょっと騒がしい感じだー。

そして、胸は昨日の子よりも小さいー。
ただ、揉んだりしていると昨日よりも気持ちがイイ…
そんな気がするー

「へ、へへへー
 同じ女でも、身体が違えば色々違うってことかー」
寧々の身体で、弘和は嬉しそうにそう呟くと、
チラッと部屋の中を見つめるー。

「そういやー…女の部屋によくあるアレが欲しいなー」
ふと、そんな言葉を口にするー。

そう、姿見だー。

彼の部屋には、そんなものはないー。
彼自身、洗面所にある鏡やお風呂場にある鏡で
十分で、それ以上のものは必要としなかったからだー。

しかしー、こうして毎日のように”皮”を着ることが
できる日々が始まった以上ー、
姿見が欲しいー。

せっかく、可愛い身体になったのに、
それをいちいち洗面所や、お風呂場に行って確認しないといけないのは
面倒臭い。

洗面所の鏡を壁から引き剥がして持ってくるわけにはいかないし、
お風呂場の鏡を壁から引き剥がして持ってくるわけにもいかないー。

姿見がいるー。

そう思った寧々を着ている弘和は
少しだけ笑みを浮かべると、
「ーーネットで探すか」と、
そう言葉を口にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その日以降も、”皮”は毎日のように支給されたー。
色々なタイプの”皮”が、毎日日替わりで支給されていくー

”お気に入り”が見つかったら
それを購入し、これを終了することもできるー。

もちろん、弘和にとっても
これまでに”着た”皮の中にはお気に入りの皮も
たくさんあったー。

ただ”購入”してしまうと
その時点で支給や返却は終了ー、
その身体で過ごすことになるために
弘和は「毎日日替わりで色々な身体を楽しめる方がいいよな」と、
特に何もせず、日替わりで支給される色々な皮を
楽しむ日々を送っていたー。

「ーーうぉぉ?今日はメイドかー」

すっかりと”この生活”にも慣れてしまった弘和。

今日支給された”皮”はメイド服を着たツインテールの
美少女だったー。

”愛唯(めい)”とそう書かれているー

「へへーまさかメイドが送られてくるなんて
 予想外だったなー

 しかし、こういう”皮”ってのは
 どうやって容姿とかデザインしてるんだろうなー?

 実在の人物でもモデルにしてるのかな?」

弘和はそう言葉を口にしながら
楽しそうにメイド・愛唯の皮を着ると、
そのまま色々なポーズをし始めるー。

「うぉぉぉぉ!?これがメイド服の着心地か…!
 たまんねぇぜ!」

愛唯の身体で嬉しそうにそう騒ぎ始める弘和ー。

「ってか、これで人前に出るのって結構ヤバいなー…
 本物のメイドの子たちって、すごいんだなー」

愛唯の身体で、そんな風に感心してしまう弘和ー。

自分だったら、この服で人前に出る勇気はない、と
そう思ったようだー。

「へへーま、俺は家で楽しむだけだからな」
そう言葉を口にしながら、弘和はニヤニヤと笑みを浮かべるー。

がーーー
その”天国のような生活”は、
その翌日、届いた皮を見て、急速に異なる方向へと向かい始めたー。

「ーーは…?」
弘和は、届いた箱を開封して困惑の表情を浮かべるー。

何故ならー、その日、届いた”皮”は、
今は離れて暮らしている弘和の妹で、5歳年下の
晴美(はるみ)の皮だったからだー

「晴美ー?」
困惑する弘和ー。

”届く皮”が、
まさか”本物の人間が皮にされている”などとは夢にも
思っていなかった弘和は、只々困惑の表情を
浮かべることしかできなかったー…

②へ続く

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コメント

毎日支給されている皮は
実在する人間が皮にされたもの…!?

それを知ってしまった彼がどうするのかは…
明日のお楽しみデス~!!!

続けて②をみる!

「毎日支給される皮」目次

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皮<毎日支給される皮>

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