<寄生>首を支配する寄生虫(前編)

地球に降り立った高度な知性を持つ
寄生生物ー。

その寄生生物は人間の頭部に寄生、
首から上を乗っ取る力を持っていて、
地球の研究を目的に最初に目撃した女性に寄生するー。

しかしー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その日ー、
”宇宙”から、謎の寄生生物が飛来したー。

人間の”頭部”に寄生し、
そのまま、その人間の身体を乗っ取ってしまう力を持つ寄生生物だー。

しかし、そんな寄生生物が飛来したにも関わらず、
人類の誰一人として、その異変に気付く者はいなかったー。

何故なら、
飛来したのは”1匹”で、
しかも隕石に乗って飛来したり、
宇宙船で飛来したりするわけではなく、
小さな”蜘蛛”のような形をした
生命体が一匹、こっそり宇宙から飛来しただけであったために
誰もそれに気づくことはなかったのだー。

”ここが地球ねー”
その寄生生物は、とても高度な知性を持つ生命体で、
”言語”も操ることができたー。

ただ、言語は同族同士で”テレパシー”のような形で伝えるため
人間のような”発声”する器官はその身体には存在していないー。

この地球に降り立った”彼女”の目的は一つ。
地球の研究・調査だー。

彼女たちの文明は、
他の文明が存在する惑星を見つけると、
こうして”調査員”を派遣し、その惑星の文明を調査ー、
必要な技術を吸収・研究しているのだー。

場合によっては侵略を仕掛けることもあるものの、
その文明の攻略が困難と判断したり、
お互いにとって”利”にならないと判断した場合は
侵略は仕掛けずに技術や知識だけを吸収して
こっそりと立ち去ることも多いー。

”ーーまさか、わたしがこんな星の調査をすることになるなんてー。
 早く終わらせて帰りたいわ”

クモ型の寄生生物は、そんなことを呟きつつも、
仕方がなく、地球の地でまずは第1歩を踏み出す。

”まずは、この世界の知的生命体の身体を頂かなくちゃね”
この姿のままでは、流石に色々やりにくいー。

そのため、他の文明が存在する惑星に降り立ったあと、
最初に彼女たちが”すること”は、
その惑星の知的生命体の身体を”乗っ取る”ということだー。

そしてーーーー

ちょうど、そこに”身体”がやって来たー。

「ー…はぁ…向こうに悪気はないのかもしれないけどー…」
何も知らずに、その場所にやってきたのは、
近くの大学に通う女子大生・増森 香織(ますもり かおり)ー。

”ーーちょうどいい身体ねー。
 探す手間が省けたわー”

寄生生物は、ちょうどいい”身体”がやってきたと
内心で喜びながら、早速”香織”に寄生することを決めるー。

地球のことをまだ何も知らないに等しい寄生虫にとって、
そこにやってきた香織が、”どんな感じの子”なのかは当然分からないし、
その容姿が”良い”のか”悪い”のかも分からないー。

ただ、香織は通っている大学でもTOP5に入るぐらいの美人で、
明るい性格であるために友達も多かったー。
がー、男性が少し苦手なようで、
今日もサークルの集まりに誘われた際に、
同じサークルの男性の一人から、身体を触られたりして
嫌気が差して、逃げて来たところだった。

「もう遅いし、今日はこのまま帰ろっとー」
おしゃれな雰囲気の服装の香織ー。

彼女自身はおしゃれをするのが好きなだけであったものの、
時々、”男を誘っている”とか、そんな勘違いをする人間も
周囲にはいて、香織自身、少しウンザリしているー。

”よしー…準備完了”
一方、宇宙から地球に飛来したばかりの寄生生物からすれば、
そんな香織の事情など、どうでもよかったし、
そもそも知らないことだったー。

香織の足元に到達して、
そのまま足に飛びつくー。

「ー?」
歩いていた香織は足に何か触れたような気がして下を向くと、
そこにはー、”蜘蛛”のような姿の寄生生物が
今、まさに香織の足を上へ、上へと上り始めるところだったー。

「ちょっ…!?
 え…く、蜘蛛…!?」
怯えた表情を浮かべる香織ー。

しかし、そんな香織をお構いなしに
足を上へ、上へとよじ登っていくと、
やがて、そのままスカートの中へと入っていくー。

”どこかに入れそうな場所はー?”
スカートの中がどういう空間なのかも
この寄生生物は知らずに
”体内に入ることのできる入口”を探すー。

そして、下着に目をつけると、
”妙に守られてるところがあるわねー。多分ここね”と、
そう言葉を口にすると、下着を喰い破り、そのまま
アソコから”内部”へと侵入していくー。

「ー!?!?!?
 ーー!?!?!?!?」

一方の香織は、何が起きたのか分からずに困惑しながら
足のあたりを払うような仕草をしてみせるー。

しかし、もう手遅れー。
既に寄生生物は香織の中へと侵入し、
香織の体内を逆流するような形で
勢いよく、”脳”を目指していたー。

この寄生生物は寄生した相手の”脳”に到達し、
その脳に根付くー。
脳を支配すれば、その身体を全て支配することは
造作もないことー。

”よし、ここねー”
寄生生物は、香織の中の”脳”にまで到達すると、
満足そうにそう言葉を口にしてから、
そのまま”脳”の支配を完了するー。

この瞬間、香織の”首から上”だけは人間とは全く違う内部構造へと変化しー、
”人間”と言えるのかどうかも怪しい状態になっていたー。

”見た目”は香織の顔そのままー
誰も異変に気付くことはないー。

が、内部は蜘蛛型の奇跡生物が張り巡らせた
蜘蛛の巣のようなものがそこら中に絡みつき、
元々あった脳みそは、必要な部分以外が
大幅に縮小ー、
完全に内部の構造が”人”とは呼べないものに変わっていたー。

そして、そのまま脳から触手のようなものを
体内の全体へと伸ばしていくと、
上から下まで香織の身体の全てを掌握ー、
そのままニヤリと、さっきまでの香織が絶対に浮かべなかったであろう
笑顔を浮かべて見せたー。

「成功だわー。この星の身体も悪くないわねー」
香織はそう言葉を口にすると、
手を何度か動かしながら満足そうに頷くー。

そして、周囲をキョロキョロと見回すと、
光が溢れる”街”の方向を見つめるー。

「ひとまず、あっちに行ってみようかしら」
香織はそう言葉を口にすると、
自分が今まで歩いて来た方に向かって
逆戻りするかのように歩き始めるー。

乗っ取られる前の香織が帰宅しようとしていたことなど、
香織に寄生した寄生生物からすれば
”関係のないこと”だー。

「さぁ、この惑星の技術や文明が
 どんな風になっているか、調査させてもらうわー」

香織は先ほどまでとは違う、どこか強気な表情を浮かべながら
繁華街の方に戻っていくと、
繁華街をゆっくりと歩き始めるー。

「ーー”人間”ってのは騒がしいわねー」
繁華街の騒がしさを見て、香織を乗っ取った寄生生物は
思わず笑うー。

そのまま街中を歩き回り、興味深そうに
色々なものを見たり、店を見たりしていくー。

「なかなか高度な文明を持っているようねー」
香織はそう言葉を口にすると、
ふと、路上で抱き合ってキスをしている男女を見つけるー。

「ーーーーー」
香織はじーっと、その様子を見つめるー。

男女がキスをしている光景ー
その光景は、香織の頭に寄生して、頭部を支配した
寄生生物からすれば、”理解不能”で、意味の分からない光景だったー。

「ーーーあ?」
女とキスをしていた男が、香織にじーっと見られていることに
気が付くと、不満と戸惑いの表情を浮かべながら
そう言葉を口にしたー。

「ーー理解不能」
香織は思わずそう言葉を口にすると、
キスをしていたカップルらしきペアの男は
「あ???い、いきなり何なんだお前!」と、
心底不満そうにそう声を荒げるのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

香織の頭部を乗っ取り、
人間の繁華街を見て回った寄生生物は
「理解不能ー、理解不能ー」と何度か呟くー。

「わたしたちからすると、理解できないことが
 山ほどあるわねー」

小さくため息を吐き出しながら、
そう呟く香織ー。

”まぁ、いつものことではあるけどー”

遠く離れた惑星であれば、
当然、何もかもが違うー。

香織に寄生した寄生生物もこれまでに
地球以外の惑星の”偵察・調査”も行って来ているー。

それらの惑星たちのことも思い返せば、
確かに”理解できないこと”だらけだったー。

知的生命体が存在する惑星でも、
場所が違えば、生命体自身の仕組みも特徴も、
そしてルールも、習性も、文化も、技術も、
何もかもが違うー。

「ーーけどー、この星ー…」
香織はそう呟くと繁華街のほうを見つめるー。

「この星ー…なんか、楽しいかもー」
”理解できないこと”だらけー。

けれど、何だかこの星は楽しいー。

理解不能なことばかりだけど、
何だか楽しいー。

「ーふふー
 偵察ついでに、少し楽しんでも問題ないよね?」
香織はそれだけ言葉を口にすると、
夜の繁華街に向かって歩いていくー。

香織本人は、あまりこういう騒がしすぎる場は
好きではないものの、
そんなことはお構いなしー。

寄生生物に頭部を支配されて、
身体も全て支配されてしまった今の香織にあるのは
純粋な好奇心だけだったー。

たまたま見かけた”カラオケ”に入っていく香織ー。

首を傾げながら個室に案内されると、
そのまま、一人着席して、戸惑いの表情を浮かべる。

「なんか、キラキラした場所ー…
 でも、これ、何?」

香織はそう言葉を口にすると、
寄生した人間の”脳”ーー
香織の脳から”知識”を取り出そうとするー。

がー、この寄生生物たちは寄生した相手の”記憶”を
全て引き出すことができるわけではないー

何故なら、一気に脳の記憶を読み取ろうとすると、
脳が処理能力の限界を超えて”壊れる”からだー。

だから、必要な情報だけをゆっくりと引き出していくー。

「ー歌ー…
 ふぅんー、面白そう」

カラオケが何なのかを理解した
香織に寄生している寄生生物は、
早速カラオケを楽しみ始めるー。

がー、カラオケ自体初めてなのかー、
あるいは歌うこと自体初めてなのか、
恐ろしいまでの音痴っぷりを披露してしまうー。

音程が全く合っていないし、
表情も歌っているにしてはおかしな表情をしているー。

本来の香織自体はカラオケはむしろ得意な方ー。
同じ身体、同じ声を使っても、
中身が違えば、ここまで変わってしまうのだと
そう思わせられるような有様だー。

「ーーわたしって、人間の”カラオケ”上手かもー!」
香織はドヤ顔でそう呟くー。
実際には全然上手ではなく、
むしろ酷い状況であるにも関わらず、
”人間のカラオケ”を詳しく知らないためか、
そう言葉を口にするー。

そしてー、
カラオケで存分に楽しむと、
次はボウリング場に足を運ぶー。

「ーーーー」
香織の記憶を読み取る寄生生物ー。

ただ、記憶の読み取りは”脳”への強い負担になるため、
なるべく最小限の読み取りに留めるー。

「ーーボウリングねー、楽しそう」
香織に寄生している寄生生物は嬉しそうに笑みを浮かべると
信じられないことに、ボウリングのレーンに
そのまま飛び込んで、自分自身がピンの方に向かって滑り出したー。

がー、
どよめく周囲ー
香織に”何をしてるの!?”と声を掛ける周囲の人々ー

その反応を見て、香織に寄生している寄生生物は
ハッとして、慌ててボウリングに関する記憶をさらに詳しく読み取るー。

「あっ…か、身体じゃなくてボールーー
 な、何よ、わ、分かりにくいー」

慌てて自分の身体がピンのところにたどり着く前に逆走して
なんとか元の場所に戻ると、香織は静かにため息を吐き出したー。

失敗はあれど、何とかボウリングも堪能した香織に寄生している
寄生生物ー。

ようやく、ボウリング場の外に出ると、
香織は「地球って楽しいじゃんー」と、そう言葉を口にしながら
満足そうに歩き出すー。

がー、その時だったー

「ーーねぇねぇ、姉ちゃんー。
 可愛いじゃんー」

チャラそうな男が、突然香織に話しかけて来たー。

本来の香織であれば、嫌がりそうな状況だー。

しかし、寄生されている香織は
”可愛い”と言われたことに満足そうにー、
そして興奮すら覚えて、笑みを浮かべるー。

「ねぇねぇ、俺と一緒に遊ばない?」
その男は、続けてそう言葉を口にしたー。

寄生されている香織は
男のそんな言葉に好奇心を抱くと、
「ふふー…いいよ♡」と、そう言葉を口にして歩き始めたー。

地球にやって来た
人間の”首”に寄生する寄生生物ー。

その寄生生物により”偵察”と”調査”ー
そして、その先に待つ地球の運命を、
まだ人々は知る由もなかったー…

<中編>へ続く

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コメント

人間の頭の部分に寄生する寄生生物の
お話デス~!!!

リクエスト特典でむ~やん様から頂いた
リクエストを元にしています~!!!

リクエストの原文は今ご紹介すると
ネタバレしちゃうので、最終回の後にご紹介しますネ~!!

毎週土曜日の作品は予約投稿の都合上、
いつも通り、次は来週になりますが、
楽しみに待っててくださいネ~!!

今日もありがとうございました~!★!

「首を支配する寄生虫」目次

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