<寄生>欲に塗れた夏祭り③~脱出~(完)

②にもどる!

寄生虫により、夏のお祭りは
欲望に塗れたお祭りへと変わっていくー。

そんな中、行方不明の彼女を探していた彼はー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「これを警察に持って行けばー、
 ここにいる人たちも元に戻せるかもしれないですからー」

秀樹が
屋台で売られていた”寄生虫入りの焼きそば”のパックを手に
そう言葉を口にすると、
秀樹に助けられた女子大生・和美は少し困惑の表情を
浮かべながらも、
「ーーそうだといいけどー」と、そう言葉を口にするー。

”人間に寄生する寄生虫”ー

仮に、警察に
寄生虫入りの焼きそばを持って行ったとしても、
どうにかなるのだろうかー。

和美は、そんな不安を抱きながらも、
”でも、こんな状況じゃー…”と周囲を見渡す。

周囲では欲望まみれの混沌の光景が広がっているー。

男女で激しく交わったりー、
中には男同士や女同士で楽しんでいる姿も確認できるー。

「ーーあははははは♡ どんどん、どんどん増えちゃえ」
寄生されている浴衣姿の女が乱れ切った状態のまま
嬉しそうにそう言葉を口にして、
口から寄生虫を吐き出しているー。

「ーっ」
秀樹からすればそのグロテスクな光景を前に
思わず目を逸らすと、
秀樹は足早に歩きながら
表情を歪めるー。

”あいつらー…増えてるー?”
とー。

浴衣姿の女から寄生虫が複数吐き出されていたー。
あの寄生虫たちは”人間の身体”を利用して
繁殖するとでも言うのだろうかー。

秀樹は強い不安を感じながら
彼女の架純の行方を探すー。

彼女の架純は、”まだ”正気で
上手く逃げ切っているかもしれないー。
そのまま放置していくことは出来ないー。

まずは架純と合流して、
それから、この会場を出て、警察署に向かうつもりだー。

警察署に”寄生虫入りの焼きそば”を渡して、
状況を説明すれば
きっと何とかしてくれるはずだと、
秀樹はそんな希望を抱きながら、
架純の無事を祈りつつ、お祭り会場内を探し回るー

秀樹が助けた女子大生・和美も
それに協力してくれたー。

秀樹は”俺の個人的な都合のために、危険な目に遭わせるのも悪いですしー”と、
和美とは別れて、一人で架純を探そうとしていたものの、
和美は”あなたが助けてくれなかったら、わたしは今頃、みんなと同じだったからー”と、
そのまま手伝ってくれることになったー。

和美にも架純の写真をスマホで見せる秀樹ー。

その写真を見つめながら和美は少しだけ笑うと、
「何だか、名前が似てて親近感が湧くかもー」と、
そう言葉を口にしたー。

秀樹の彼女は”架純”ー、
そして秀樹が助けた女子大生は”和美”ー。

漢字は全然違うけれど、確かに響きはよく似ているー。

「ははー…確かにそうですねー」
秀樹は少しだけ笑うと、
和美は「ー彼女さんも、お友達もみんな大丈夫ー」と、
そう言葉を口にしながらー、
既に寄生されてしまった秀樹の友人・竜聖やその彼女の日葵も
きっと元に戻ると、和美はそんな言葉を口にして
秀樹を励ましたー。

秀樹はその言葉に、少しだけ頷くと、
「根本さんのお友達も、きっと大丈夫ですよー」と、
既に寄生されている和美の友達の身も案じる言葉を口にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

欲望塗れのお祭り会場内を駆け回る
秀樹と和美ー。

他にも”無事”な人間はチラホラと見かけはしたものの、
時間が経過するにつれて、どんどん会場内の
状況が悪化していくのが目に見えて分かったー。

ヨーヨーすくいの水の上に転がりながら、
中年の男女が激しくキスを繰り返しているー。

フランクフルトをアソコに無理に突っ込んで
気持ち良さそうに喘ぎ狂っている女子大生の姿が見えるー。

かき氷の屋台を破壊するほどに
激しく身体を動かしながらお楽しみの最中の女性二人の姿も見えるー。

もはや会場内全体が欲望まみれになってしまっていてー、
先程までの”平和な笑い声”が響き渡る空間ではなく、
”欲望に満ちた狂った笑い声”が響き渡る空間になってしまったー。

そんな中、チョコバナナ売り場で、
チョコバナナを使って一人でHなことをしている女を見て
秀樹は表情を歪めたー

夢中になって喘いでいて、その女は秀樹を見ても
反応を示さないー。

そしてー、
スカートの中から、生まれたと思われる寄生虫が
這い出て来て、その女は嬉しそうにしているー。

秀樹は自分まで寄生されてしまわないようにと、
少し距離を取るように後ずさると、
和美が心配そうに呟くー。

「架純さんー?」
とー。

和美の位置からはチョコバナナH中の女の顔が見えないようだー。

「ーーいえー…
 ただー、同じクラスの子ですー」
秀樹は残念そうにそう言葉を口にするー。

チョコバナナで自分の身体を刺激して
喘ぎ狂いながら、寄生虫を下半身から垂れ流しにしている
悲惨な状態の女はー、
秀樹と同じクラスの女子生徒だったー。

「ーーー」
和美は秀樹を慰める言葉を口にすると、
そのままチョコバナナ売り場から離れるー

そしてー、
秀樹と和美が歩き始めたその時だったー。

「ーー!」
和美が、少し先に立っている女を見て、
「ーあれ…架純さんじゃない?」と、そう言葉を口にしたー。

秀樹も少し先に立っている女のほうに視線を移すとー、
その相手は確かにー、架純のように見えたー。

「ーー架純!」
秀樹がそう言葉を口にすると、
立ち往生しているかのような状態だった架純が
秀樹のほうを見つめるー

「秀樹!?」
架純が驚いた様子でそう言葉を口にすると、
秀樹と和美は、架純の方に近付いていくー。

「ー秀樹を待ってたら急に周囲で騒ぎが起きて、
 それでー…
 途中でスマホも落としちゃってー」

架純は、トイレに向かった秀樹を待っている間に
寄生虫の騒動に巻き込まれて、必死に逃げ回っていたのだと言うー。

「ーあ、わたしはー…」
秀樹の隣にいた和美は、”変な誤解をさせてしまうと申し訳ないから”と、
そう思いつつ、
自己紹介と、秀樹と一緒にいる理由を説明するー。

すると、架純は穏やかに笑いながら
「こちらこそよろしくお願いしますー」と、そう言葉を口にしたー。

がー、その時だったー。

突然、架純が和美に抱き着いたー。

「ーー…え?」
和美が一瞬驚いた表情を浮かべると、
架純は少し笑いながら言ったー。

「わたし、一生懸命逃げて、逃げて、逃げて、逃げてたんですー」
とー。

「ーーーでも」
架純はそう言葉を口にすると、
「逃げきれなかった」と、不気味な笑みを浮かべてから
耳から寄生虫を出現させて
狂ったように笑い始めたー

「ーか、架純!?!?」
秀樹は、恋人の架純の耳から寄生虫が
飛び出しているその姿に、心底ショックを受けながら
そう叫ぶも、架純は笑いながら言ったー。

「秀樹もーー仲間になろ?
 気持ちイイよー?
 この子たちに身を委ねるのー

 ふふー…ふふふふー
 人間の身体って、気持ちイイー」

架純はニヤニヤしながらそう言葉を口にするー。
どこか、虚ろな目でー…

「そ、そんなー…」
秀樹はそんな架純の様子を見て、すぐに
”架純も寄生されてしまった”ということを悟るー。

それと同時に
「す、すぐに離れー」と、
架純に抱き着かれた女子大生・和美に対してそう言葉を口にするも、
架純が和美にキスをしてしまいー、
そのまま和美は押し倒されてしまったー。

架純の口から、和美の中に”寄生虫”が入り込んでいくー。
そんな状況の中、完全に意識が消える前に、
和美は秀樹のほうを見て声を上げたー

「逃げて!」
とー。

「ーーで、でもー」
秀樹は困惑の表情を浮かべるー。

しかし、和美は必死に叫んだー

「それを、警察に持って行ってー

 そしたらーーわたしも元に戻れるかもしれないからー」

とー。

その直後、和美は再び架純にキスをされてしまい、
もがき始めるー。

やがて、和美も嬉しそうに笑い始める姿を見て、
秀樹は和美も支配されてしまったことを悟ると、
そのままお祭りの会場の外に向かって走り出すー。

「くそっ…架純までー」
彼女の架純まで寄生されてしまっていたという現実を前に
心底悲しそうにそう言葉を口にする秀樹ー。

しかし、泣き言ばかり言ってられないー。

秀樹が助けた女子大生・和美の言っていた通り、
とにかく、今は警察署を目指さないといけないー。

無事に警察署に到着することさえできればー…
この危機を外に伝えることができればー
そして、何か解決策さえ分かれば、
和美の言う通り、みんなを救うことができるー。

秀樹は
彼女である架純、親友の竜聖、その彼女の日葵らのことを
思い浮かべながら、
意を決した様子で拳を握りしめると、
そのままお祭り会場の外に向かって走り出したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「はぁ…はぁ…」

幸い、お祭り会場の”外”には異様な光景は
広がっておらず、いつも通りの”街並み”だったー。

寄生された人間たちも
同じ場所に留まる習性でもあるのだろうかー。

あの場所から外に出るようなことはなく、
あの場で欲望の限りを尽くしていたー。

とは言え、
このまま放置すればお祭り会場の外にまで
”アレ”が広まってしまう可能性があるー。

早く、何とかしなくてはいけないー。

そんな風に思いつつ、ようやく近場の
警察署にたどり着いた秀樹は
「すみませんー…!お祭りで、寄生虫入りの焼きそばがー」と
息を切らしながらそう言葉を口にしたー。

秀樹が声を掛けた女性刑事はそんな秀樹の言葉に
首を傾げると、
「ーーどういうことですかー?」と、そう聞き返すー。

秀樹は、近くのお祭り会場から逃げて来たこと、
お祭りの会場で”大惨事”とも言える大変な事態が起きていることを
まず伝えると、
「ーお祭りの屋台で売られていた焼きそばの中に
 人間に寄生する虫が入っててー…それでー」と、
そこまで言葉を口にしたー。

「ー少し落ち着いてー。
 どういうこと?詳しく話を聞かせて?」
女性刑事は改めてそう言葉を口にすると、
秀樹は深呼吸してから、
自分が見て来たことを、女性刑事に伝えるー。

すると、女性刑事は困惑の表情を浮かべてから、
ちょうど通りがかった別の男性刑事に
何やら耳打ちをし始めるー。

「この近くのお祭りで、何か問題が起きてるみたいなんですけどー
 通報とか、ありましたかー?」
女性刑事のその言葉に、
先輩の男性刑事は少し首を傾げながら
”女に襲われたって通報ならあって、さっき何人か向かったけど
 特に異常はなかったみたいだなー”
と、それだけ言葉を口にするー。

既に、お祭りの会場から数件の”通報”は入っているー。

”突然女に襲われた”だとか”抱き着かれた”とか、
そんな内容だー。

警察側は”酔っ払いのトラブル”と判断して
数名の警察官をお祭りの会場に送ってはいたものの、
既にその警察官たちも寄生されてしまい、
正しい情報が入って来ていない状態だったー。

「ーあ、あのー…」
隆史はそんな様子を見て、イマイチ話がちゃんと伝わっていないと
そう考えながら、
「その焼きそばに、屋台の人が混ぜてた寄生虫がいるんですー」と、
そう言葉を口にした上で、
「寄生虫の分析をして、寄生された人たちをどうか助けて下さい」と、
さらにそう続けたー。

その言葉に女性刑事とその先輩刑事が少し困惑した表情を
浮かべながら顔を見合わせるー。

やがて、男性刑事の方が頷くと、
女性刑事は”寄生虫入り”の焼きそばのパックを開封して、
それを確認し始めたー

「あっ!?ちょ!?そんなに顔を近づけるとー」
隆史が咄嗟にそう叫ぶー。

が、焼きそばの中に潜んでいた寄生虫は、
”パック”が開いたことに喜々として、
女性刑事の顔に飛びついたー

「ー!?」
女性刑事が驚いてその場に倒れ込むー。

それと同時に、焼きそばのパックから”数匹の寄生虫”が
溢れ出すー。

「ーお、おいおいー…う、嘘だろー…?」
隆史は呆然とするー。

これじゃ、自分が”寄生を広げるために”
ここに焼きそばを持ち込んだみたいになってしまっているー。

そう思いつつ、「逃げて下さい!」と、慌ててそう叫ぶも、
既に、隆史の対応をしていた女性刑事はニヤニヤしながら
自分の胸を揉み始めていたー。

「そ、そんなーーー…」

隆史は、みんなを助ける方法を見つけ出すために、
焼きそばを警察署に持って来たことが裏目に出てしまいー、
”欲望の警察署内”に変わっていくその様子を
呆然と見つめることしかできなかったー…

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

お祭りからは脱出できたものの、
結局さらに寄生を広げてしまう結果に…!

この寄生虫をどうにかするのは
難しそうですネ~…!

お読み下さり、ありがとうございました~!☆

「欲に塗れた夏祭り」目次

作品一覧

コメント