楽しい思い出になるはずだったお祭りー。
しかし、その場に
”人間を欲塗れにして繁殖を試みる”ー
そんな寄生虫が紛れ込んでいたー…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーー~~~~~~」
とある夏のお祭りー。
同じ高校に通う彼女・塚原 架純(つかはら かすみ)と、
お祭りを堪能している真っ最中の彼氏・高田 秀樹(たかだ ひでき)は
思わず表情を歪めたー。
「ーーはは、兄ちゃん、全然当たらないなぁ」
店員の少し軽そうな雰囲気のおじさんがそう言葉を口にすると、
秀樹は「お、おかしいなぁ~」と、苦笑いして見せるー。
秀樹が今、挑戦しているのはー”射的”ー。
先に彼女の架純が挑戦して、あまりうまくいかなかったために、
”ははは~じゃあ、俺がお手本を見せてあげようかな”と、
架純にいいところを見せようと、そんな言葉を口にしながら
射的に挑んだものの、
景品に弾が掠りもしないー、”架純以下”の結果になってしまい、
顔を赤らめていたー。
「ーーつ、つ、次は当てるから!」
秀樹が架純のほうを振り返って、そう言葉を口にすると
架純は「頑張って!」と、応援するような仕草をしながら、
秀樹にエールを送るー。
「よしー今度こそー。もう1回お願いします」
秀樹はそう言葉を口にしながら、店員にお金を払って
もう一度射的に挑戦するー。
がー…
またもや結果は惨敗ー。
景品に掠りすらしないまま、制限時間が終わってしまったー。
「~~~~お…おかしいなぁ…
しゃ、射的の才能はないのかなぁ」
カッコつけて交代したにも関わらず、
この結果に終わってしまったことに
恥ずかしそうにしながらそう言葉を口にすると、
架純は笑いながら「ー上手く行かない日もあるし、気にしないで!」と、
そう言葉を口にするー。
秀樹は、ちょっと調子に乗りやすいところもあるものの、
いざと言う時には頼れる、そんな感じの男子高校生ー。
一方の架純は明るく、優しい子で、
同性異性問わず、友達も多い感じの子だー。
そんな二人は今日、
友達カップルと共に、
この地域で行われる夏のお祭りに参加していたー。
架純と付き合い始めて、”半年”ー
そして、架純が人生で初めての彼女である秀樹にとっては
これが初めての”彼女と過ごす夏のお祭り”でもあったー。
「ーーそういや、加藤(かとう)たちはー?」
秀樹がそう言葉を口にすると、
「ーあ~、なんか向こうのチョコバナナ買いに行くって言ってたよー」
と、架純が歩きながらそう言葉を口にするー。
”加藤”とは、一緒に遊びに来ている友達カップルの一人、
加藤 竜聖(かとう りゅうせい)のことだー。
その彼女・村井 日葵(むらい ひまり)の二人は、
今はちょうど、お祭りの会場の反対側にあるチョコバナナのお店に
行っているようだー。
「そっかー。チョコバナナか~
俺も後で食べようかな」
秀樹はそんな言葉を口にしながら
架純と共に、色々な雑談をしながらお祭りの会場を歩くー。
がー、その途中に”そういや、そろそろトイレに行きたくなってきたな”と、
心の中でそう呟くと、
「あ、架純ー。俺、1回、トイレ行ってきていいかな?」と、
そう言葉を口にするー。
「ーーうん!分かったー
じゃあ、わたしはこの辺りでウロウロしてるね」
架純はそう言葉を口にすると、楽しそうに
近くのヨーヨーすくいを見つめ始めるー。
「ははー。戻ってきたら挑戦してみるか。
ーまた、悲惨な結果になるかもだけど」
射的の失敗で懲りたのか、
少し自信なさげな発言をする秀樹ー。
そんなやり取りをしつつ、
秀樹は”トイレ”のある方向へと向かって歩き出したー。
がーーー
ちょうどその少し前、お祭り会場では
”とんでもない”事態が起きようとしていたー。
お祭り会場の一角に存在する”焼きそば”の屋台ー。
いい加減そうな雰囲気の男が、
安く購入した大量の麺の袋を手に、
それを鉄板の上に開けようとしていたー。
「ーおい、嘉助(かすけ)ー、
なんかその麺、変じゃね?」
もう一人の男がそう言うと、
嘉助と呼ばれた男が、麺の入った袋を見つめるー。
よく見ると、麺と一緒に何かが
”蠢いて”いるようにも見えるー。
「虫みたいの入ってないか?」
もう一人の男がそう言葉を口にすると、
”嘉助”と呼ばれた男は少しだけ笑いながら
「海外の問屋から仕入れた安い麺だからなー」と、
適当な様子でそう答えるー。
「いやいやいやー。
でも、それ、何か動いてー」
もう一人の男は、なおも気まずそうに、
麺の袋の中に、麺と同じような形をした”何か”が
蠢いていることを指摘するー。
しかしー、嘉助はヘラヘラと笑うと、
「見た目は麺そっくりだし、加熱しちまえば問題ねぇよ」と、
そう言葉を口にすると、”虫”のような物体が入った状態の麺を、
そのまま鉄板に放り出してしまったー。
”焼きそばの麺”に見た目はそっくりなミミズのような虫が
鉄板の上でもがくようにピクピクと動き始める。
「ーオェッ…
俺は絶対、喰わねぇからなー?」
もう一人の男が、吐きそうな仕草をしながら
そう言葉を口にすると、
嘉助と呼ばれた男も笑いながら
「まぁ、見ちまうとグロイよな。
けど、加熱して死んでりゃ平気だろ」と、
なおも適当なことを言い始めるー。
「ーーお前…絶対、飲食に関わっちゃいけねぇ
タイプの人間だなー」
もう一人の男は心底呆れた様子でそう言葉を口にすると、
嘉助はケラケラと笑ったー。
やがてー…
嘉助が調理中の”焼きそば”に紛れ込んでいた謎の虫は
加熱されていく中で動かなくなるー。
「へへへっ!ほらな!俺の言った通りだー。
死んじまえば、焼きそばと区別もつかねぇ!」
嘉助はゲラゲラと笑いながらそう言い放つと、
もう一人の男は、心底心配そうな表情を浮かべるー。
が、既に焼きあがった焼きそばは販売を開始されてしまっていて
今更騒いでも仕方がないー。
「ーはぁ…せめて何事もないことを祈るしかねぇか」
嘉助の相棒の男は、心底不安そうな表情を浮かべたまま、
そんな言葉を呟くー。
ーが…その男の不安も空しく、
海外から仕入れた破格の”焼きそば”の中に紛れていた
”寄生虫”は、加熱されても休眠状態に陥っているだけで、
死んではいなかったー。
図らずも、”寄生虫入り”の焼きそばを販売していることに
なってしまった屋台ー。
寄生虫入りの焼きそばは一つ、また一つと売れていくー。
何も知らずにそれを食べていく人々ー。
お祭りの会場に”異変”が起きるのは、
もはや”時間の問題”でしかなかったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーふ~……これでよし、とー」
トイレを済ませた秀樹は、
スッキリとした表情を浮かべながら、
そのまま、先ほど彼女の架純と別れた場所へと
向かおうとするー。
「ヨーヨーすくい…俺、あんまり得意じゃないんだよなぁ…」
秀樹は”好き”ではあるものの、
自分がやるのは得意ではないヨーヨーすくいのことを
頭に思い浮かべながら
「けど、これ以上架純の前で無様な姿は見せられないしな…」と、
そう言葉を口にしつつ、ゆっくりと歩くー。
が、その時だったー。
トイレから少し離れた
お祭りの屋台がある場所からはまだ少し離れたこの場所で、
男が押し倒されて、上に覆いかぶされるようにしている女に
キスをされている光景が目に入ったー。
「ーー~~…
外で堂々とここまでイチャイチャできるのはすごいよなー…」
秀樹は少し苦笑いをしながら、そんな言葉を口にするー。
”俺と架純には無理だなー”と、
お互いに、外で堂々と恥ずかしさも感じずに
こういうことをするのは無理だと、内心でそう呟くー。
秀樹も、架純も、人の目は気にするタイプだー。
それに、外でここまで大胆にお楽しみをするのは、
あまり良くない気もするー、と、
少なくとも秀樹はそう思っているー。
「ーーお、おいっ!や、やめろって!き、急にどうしたんだよ!?」
「ーふふふふふーわたし、もう我慢できないー」
外でイチャイチしているカップルがそんな言葉を口にするー。
見た感じ、女の方がかなり興奮状態にある様子で、
男の方はそれを嫌がっているような、そんな様子に見えるー。
「ーーーー」
別にじーっと見ようと思っているわけではないものの、
イヤでも通り過ぎる間にそんな会話が聞こえて来てしまった
秀樹は、目を合わせないようにして、
そのままその場を通り過ぎようとするー。
”ーー…架純がこういう感じの子じゃなくてよかったー”
秀樹は内心でそんな言葉を口にするー。
彼女が異様なほど積極的で、性欲の強いタイプだと
喜ぶ彼氏も中にはいるかもしれないー。
ただ、秀樹の場合はあんまり積極的にされ過ぎてしまうと
引いてしまうタイプだし、
少なくとも外でこんな風にすることは絶対にしたくないタイプだった。
そう思いつつ、ヨーヨーすくいがある場所の近くにやって来ると、
また抱き合っているカップルを見つけたー。
二人とも激しくキスをしていて、
周囲が少し困惑の表情を浮かべているー。
そんな状況だー。
「ーーー…~~~~」
”お祭りってこんなだったかなー?”
秀樹は内心でそんなことを思いつつも、
彼女である架純の姿を探すー。
が、架純の姿が見当たらないー。
”この辺りで待ってる”という話だったものの、
周囲を見渡しても、架純の姿はそこにはなかったー。
「ーあれ…おかしいなー…」
そう思いつつ、”何か面白いところでも見つけたのかなー?”と、
そんな風に思いながら
スマホを手にするー。
”そういや、スマホがない時代って大変だよなー
こういう時ー”
秀樹は、内心でそんなことを思いつつ、
彼女の架純にメッセージを送るー。
”ー今、どの辺にいるー?
教えてくれたら合流するー”
とー。
それだけ送って、後は返事が来るか、
あるいはたまたま架純が見つかるのを待てばいいー。
「そうだー。加藤たちと合流したのかもしれないな」
一緒に遊びに来た友人カップルの二人ー。
その二人と既に合流したのかもしれないー。
そんな風に思いつつ、歩き出そうとしたその時だったー。
背後から突然、肩を叩かれた秀樹は、
架純か、それとも友人の竜聖か、
そんな風に思いつつ振り返ったー。
がー、そこにいたのはー、
見知らぬ30代ぐらいの女ー。
「へ?何か用でーー」
”何か用ですか?”と聞こうとした秀樹ー。
しかし、その女はいきなり秀樹にキスをしてきたー。
「ーー!?!?!?!?!?」
秀樹は心底驚いて、その女を振り払うと、
その女は不気味な笑みを浮かべながら言ったー。
「ーわたしと一緒に、楽しいことしましょ?」
とー。
はぁはぁと興奮したような息を漏らしている女ー。
「い、いや…え…?
な、な、何言ってるんですかー!?」
心底困惑したような声を出しながら
秀樹が後ずさるー。
しかし、その女は誘惑するようなポーズをしながら、
ーー自分の欲望を抑えきれないかのようなポーズをしつつ、
秀樹の方に近付いて来るー。
その時だったー。
「ーーた、た、高田!」
背後からそんな声が聞こえたー。
今度は秀樹が”良く知る”声だー。
「ー!」
秀樹が振り返ると、
そこには息切れした様子の親友ー、加藤 竜聖の姿があったー。
「か、か、加藤ー!?
ど、ど、どうかしたのかー!?」
秀樹がそう言葉を口にするも、
すぐに前を見て
「って、今はそんな場合じゃねぇ」と、
秀樹に迫って来る飢えた女を見つめるー。
「ーーお、俺は、あ、あなたのこと知らないので、
まず、落ち着いて下さい」
秀樹がそう言葉を口にするも、
秀樹に迫る30代の女は「ダメーーーわたし、どうにかなっちゃいそうー」と、
興奮した様子で再び秀樹にキスをしようとするー。
それと同時にー、
その女の”耳”から、”麺”と似たような形状の
謎の物体が少し姿を見せて
不気味に蠢いたー。
「ーー!?!?!?」
秀樹が驚くー。
それと同時に、背後にいた親友の竜聖が叫んだー。
「高田!ダメだ!その焼きそばみたいなやつ!!!
そいつに入られるとみんなおかしくなっちまう!!!」
とー。
「え…?」
呆然としながら、咄嗟に女を回避する秀樹ー。
楽しいはずの夏祭りは、
”欲望のお祭り”へと変貌しつつあったー…
②へ続く
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コメント
夏なので、お祭りを舞台とした寄生モノを
考えてみました~!★
こんなことになっちゃうと色々大変そうですネ~!
続きはまた明日デス~!!

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