どう考えても、ハッピーエンドにならない展開ー。
そんな展開でも”強引に”捻じ曲げていく男ー。
謎の組織の男を粉砕し、
異世界のバッドエンドまでハッピーエンドに変えた彼は、
さらに、”憑依の悲劇”をハッピーエンドに変えていくー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーざんね~~~ん!!!
コイツはもう死んでま~す!
ははははははっ!」
血のついたナイフを手に、
何度も何度も、倒れている男を刺していく女ー。
倒れているのは、彼女の父親である幸人(ゆきと)ー
そして、その幸人を刺しているのは娘の愛恵(まなえ)ー
娘が父親の命を奪ったー。
そんな最悪の光景を前に
「ま…愛恵…な、な、何してんだよー!?」と、
そう叫ぶのはー、愛恵の兄・啓太(けいた)ー。
あまりの出来事を前に”信じられない”という様子で
声を上げるー。
「ーーくくくくくくー
わたし、全部全部壊したくなっちゃったのー
ひひー♡
あぁ~興奮するー」
愛恵がナイフを舐めながらそう言葉を口にするー。
当然、この”凶行”は、愛恵本人の意思ではないー。
愛恵は今、他人の身体に憑依して、その身体で
身近な人の命を殺めることを楽しむ
超危険な憑依人に憑依されていたー。
”ポゼッションキラー”の異名を持ち、
憑依人たちの間でも危険視されている人物だー。
しかし、そんなことを知らない兄・啓太は
呆然としながら
「何でこんなことしたんだよ!」と、
憑依されている妹の愛恵に向かって叫ぶー。
がー、その時だったー。
「お前の妹は今、憑依されているー。
身体を乗っ取られて、自分の意思とは関係なく
動かされている状態だー」
突然、啓太の真横に大男が立っていて
彼はそう言葉を口にしたー。
「ーひ、憑依ー…
って、えっ!?ど、どちら様ですかー?」
啓太は思わずそんな言葉を口にしてしまうー。
すると、大男は答えたー。
「ハッピーエンド主義者だ」
とー。
「ーハハハッー
なんだお前、この家族のお友達かー?
残念だったなー
コイツの父親はもう死んでるし、
この女はもう殺人犯だー。
この状況をどうハッピーエンドに変えるんだ?あ?」
憑依されている愛恵は挑発的にそう言葉を口にすると、
ハッピーエンド男は言ったー。
「ーどう考えてもハッピーエンドにならない展開でも
この俺がいればハッピーエンドになるー」
とー。
「ーあ、あのー…」
啓太は困惑した表情を浮かべるー
ハッピーエンド男は、そんな啓太のほうを見ると、
「安心しろ。少しの間、そこで見てろ」と、
そう言葉を口にすると、
そのまま倒れている啓太の父・幸人の方に近付いたー。
「ー心停止。瞳孔も開いている。
こりゃ完全に死んでるな」
ハッピーエンド男がそう言い放つと、
憑依されている愛恵は「だからそう言ってるだろ!」と、
そう声を上げるー。
しかしー
ハッピーエンド男は「大丈夫だー問題ない」とだけ答えると、
突然、銃を取り出したー。
「ーはい?」
憑依されている愛恵は一瞬、
”俺が撃たれるー”と思って身構えるー。
愛恵の兄である啓太は、初めて見る”本物の拳銃”を前に
唖然としているー。
がー、憑依されている愛恵も、
兄の啓太も、驚くのはまだ早かったー。
ハッピーエンド男は、突然その銃で自分の頭を撃ち抜くと、
その場で”即死”するのだったー。
「ーーー!?!?!?!?!?
な、な、何してたんだコイツは!?」
目の前で死んだハッピーエンド男を見て声を上げる愛恵ー。
啓太は腰が抜けるほど驚いて
その場に座り込んでいるー。
しかしー、
これもまた”ハッピーエンド”をもたらすため。
”あの世”にやってきたハッピーエンド男は、
あの世の案内人に対して頭を下げるー。
「先ほど、娘に撃たれて死んだ男が
ここに来ただろうー?
あれは”取り消し”だー」
ハッピーエンド男がそう言葉を口にすると、
「ーあなたはまだ”バッドエンド”を許せないのですかー?」と、
案内人はそう言葉を口にしたー。
「ーあぁ、”俺のような思い”をする人間は
一人でも減らしたいー。
全ての辻褄は俺が合わせるー。
さっき送られてきた男の魂を回収させてくれ」
ハッピーエンド男はそう言葉を口にすると、
あの世の案内人は「分かりましたー」と、そう頷くー。
その上で
「あなたと、その人間を現世に返せば良いのですね?」と、
案内人はそう言葉を口にしたー。
そしてーーー
むくっ、と起き上がったハッピーエンド男ー。
それを見て、
啓太と、憑依されている愛恵は
心底驚いたような表情を浮かべるー。
ハッピーエンド男は、
倒れている幸人に手をかざすとー、
確実に死んでいた幸人も無事に息を引き返すー。
「ーーな…ど、どうなってやがるー!?」
”ポゼッションキラー”に憑依されている愛恵が
そう言葉を口にすると、
「ー刺された父親は蘇生したー。
あとは、お前を追い出せば、”ハッピーエンド”だー」
と、そう言葉を口にするハッピーエンド男ー。
「ーう、うるせぇ!!!」
愛恵がナイフを手に、ハッピーエンド男に襲い掛かるー。
が、ハッピーエンド男はナイフを取り上げると、
それを自分の口に放り込んで、そのままそれをかみ砕いてしまうー
「な、なんだー…なんなんだお前ー…」
怯えた表情を浮かべる愛恵ー。
男は、愛恵から”ポゼッションキラー”を引きずり出すと、
「おい、今までに何回こういうことした?
過去の被害者たちにもハッピーエンドをもたらしに行くぞ」と、
そう言葉を口にしながら、
愛恵に憑依していた男を引きずっていくー。
「ーーーお、俺はー…」
愛恵の父・幸人が無事に意識を取り戻しー、
憑依されていた愛恵も正気を取り戻すー。
そんな光景を前に、啓太は
「良かったー…本当によかったー」と、
そう言葉を口にするのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
どう考えてもハッピーエンドにならない展開でもこの俺がいればハッピーエンドー。
彼は、これまでにどんなに困難な状況でも、
憑依の悲劇を”ハッピーエンド”に変えて来たー。
ただー…
「ーーーー」
ハッピーエンド男は、少しだけ寂しそうに”写真”を見つめるー。
そこにはー…
ハッピーエンド男の最愛の人であった、由美(ゆみ)の姿が映し出されていたー。
”由美”は、”憑依”に殺されたー。
あまりにも酷い”バッドエンド”だったー。
けれどーー
”それだけ”はどうあがいても変えられないー。
”彼自身”に関する運命は変えられないのだからー。
「ーーー由美ー」
ハッピーエンド男はそう言葉を口にすると、
写真に刻まれた”4256”という文字を見つめるー。
”4256”とは西暦だー。
彼自身は、今よりもはるか未来に生きていた人間ー。
”俺と同じ思いをする人間が一人でも減るように”
と、彼はどんなバッドエンド確定の展開であっても
それを打ち壊して来たー。
常識ではあり得ない力を持っているのはー、
彼が元々2000年以上も先の未来の住人だからー。
その力を手に、ハッピーエンド男は、
時代も、必要とあらば次元も超えて
別世界へと姿を現し、
”憑依”がもたらすバッドエンドを打ち砕いていくー。
「ーーー!」
ハッピーエンド男は、”また”憑依によるバッドエンドの気配を察知すると
ゆっくりと立ち上がるー。
もちろん、無数にある時代、無数にある世界ー、
全ての憑依に”ひとりの身体”で対応することは不可能だ。
どんなに、常識はずれの力を使うことができたとしても、
ハッピーエンド男は一人しかいないー。
だから、限界はあるー。
それでも、憑依で絶望する人間を
100から99に、99から98に、少しでも減らしていくことが
自分のような人間を一人でも減らすことに繋がるー。
そう願って、彼は今日も
どんなに絶望的なバッドエンドな展開であっても、
強引にハッピーエンドに捻じ曲げていくー。
今度の”憑依”は、
自分が元々住んでいるこの世界とは異なる異世界ー。
少し前に強引にバッドエンドを解決させた
ファンタジー系の世界とは違い、今度の世界は
自分達が住んでいる世界と多少、似ていたー。
「ーーなんだー貴様は?」
そこの”世界”を支配する男ー、
王を名乗るウィルソンという男が表情を歪めるー。
その周囲には、メイド服を着た女が複数控えているー。
「ーなるほどー…何もかも手遅れの状態ってわけかー」
ハッピーエンド男はそう言葉を口にしながら
周囲を見渡すー。
この世界は、”分裂型”の憑依能力を手に入れた男・ウィルソンによって
支配されてしまっていたー。
憑依能力を手に入れたウィルソンは、自らの魂を無限に分裂させて
他人に憑依できるようになり、全人類に憑依ー、
この世界の全てを支配してしまっていたー。
「ー全員、”俺”になったはずー…
貴様、どこに隠れていた?
そもそも何者だ?」
ウィルソンがそう言葉を口にすると、
ハッピーエンド男は即答したー。
「ハッピーエンド主義者だ」
とー。
「ーククーー…ハッピーエンド主義者??」
ウィルソンがそう言うと、
周囲のメイド服の女たちも笑い始めるー。
周囲のメイド服の女たちも、ウィルソンに憑依されていて、
欲望に満ちた笑みを浮かべているー。
「いいか?この世界の人間は今やみんな”俺”だー。
たとえ、本体であるこの俺を殺そうとも、
俺は消えないー。
分身ではなく、分裂ー…故に本体を倒しても、
俺はいくらでも存在するー」
ウィルソンのその言葉に、
ハッピーエンド男は静かに頷くー。
ウィルソンによれば、ウィルソンの分裂体に憑依された人間は
完全に”ウィルソン”となって、もう元にも戻らないのだと言うー。
「ーーまぁ、でも安心しろー
強いて言うなら、”俺にとっては”ハッピーエンドだ!
うはははは!」
この世界を支配する男・ウィルソンは笑うー。
「ーーそうかー。もうどうすることも出来ない状況と言うわけだな」
ハッピーエンド男はそう呟くー。
”憑依”を探知するにも限度があるー。
全ての惑星ー、異世界、時間を含めた憑依を全て一人で探知することは出来ないし
全てを解決することも出来ないー。
今、立っているこの世界のように”手遅れ”になってから
発見に至ることもあるー。
がーー
「ーー俺の手にかかれば、どんな展開でもハッピーエンドだー。
”あの力”はかなり負担になるからできれば使わないように
してるんだが、仕方ない」
ハッピーエンド男がそう言葉を口にすると、
近くにあった時計を見つめてから、
その時計に手をかざしたー。
「ー何をしている?」
ウィルソンがそう言葉を口にすると、
突然ー、ハッピーエンド男が手をかざした時計の針が
物凄い勢いで逆回転し始めたー。
「ーーな…何が起きてる!??!」
ウィルソンが声を上げるー。
周囲のメイドが消え、立派な豪邸が消えていくー。
気付けば周囲の風景が、寂れた裏路地に変わり、
”分裂型憑依”のための憑依薬を手にしていたウィルソンー。
「ーーあ…????」
ウィルソンは首を傾げたものの、
この光景は自分が”憑依薬を手に入れた時の光景”だと思い出すー。
「ーーな…なんだこれ…?」
ウィルソンがそう言葉を口にすると、
ハッピーエンド男は言ったー。
「ーー時間を巻き戻した。
お前が憑依薬を手に入れる瞬間までー」
その言葉に、ウィルソンが目を見開くと同時にー、
「お前を救うことはできないー。
お前の存在がバッドエンドを呼び込むからな」と、
ハッピーエンド男はそう言葉を口にした上で、
ウィルソンを葬り去ったー。
ウィルソンを葬り、この世界にハッピーエンドをもたらしたー。
それと同時に、今度は、
別の次元の宇宙の果てに存在する惑星PA-0965で”憑依”の気配を探知するー
「ククー
どこの世界も、どこの惑星も、どこの時代も、憑依塗れだな」
ハッピーエンド男はそう言葉を口にすると
自虐的に笑うー。
だがー
どう考えてもハッピーエンドにならない展開でもこの俺がいればハッピーエンドだー
男は、そう呟くと、そのまま”次”の憑依の悲劇を
ハッピーエンドに変えようと、そのまま次元を超えて移動を始めるのだったー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
チート級(?)な力を持つハッピーエンド男の
物語でした~!★!
でも、色々な世界と時代と惑星を行ったり来たりして、
忙しそうですネ~笑
お読み下さり、ありがとうございました~!!
「どう考えてもハッピーエンドにならない展開でもこの俺がいればハッピーエンドだ」目次
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