<憑依>とりあえず付き合うか①~文化祭~

文化祭当日ー。

事故で他校の子に憑依してしまった親友。

親友は”今まで通り接してくれればいい”と、
そう言っていたものの…?

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文化祭当日ー。

教室に忘れ物をしてしまった二人組の男子高校生が
教室に引き返しながら、雑談をしていたー。

「ったくー、お金が無けりゃ、食いもの買えないだろー?」
呆れ顔でそう言葉を口にするのは
”財布”を教室に忘れてしまった男子生徒・小山 洋二(こやま ようじ)の、
親友・野崎 恭平(のざき きょうへい)ー。

「ーー悪い悪いー、ついうっかりしてー」
洋二がそう言葉を口にすると、
恭平は苦笑いしながら、
「ーま、お前は小さい頃からいつもそんな感じだよなー
 おかげでもう慣れたよ」と、そう言葉を口にするー。

「いやいやいや、慣れるなよ」
苦笑いしながら洋二がそう返すと、
恭平は呆れ顔で笑いながら「ほら、ついたぞ」と、
教室の前で立ち止まったー。

洋二と恭平は幼馴染同士の”親友”ー。
高校生になっても、その関係性は変わらず、
今でも何かと時間があれば一緒にいることが多いー。

「ーーっていうか、恭平は何でついて来たんだ?」
財布を教室に忘れてしまった洋二は、
少しだけ笑いながらそんな言葉を口にすると、
恭平は「ーお前の付き添いだよ。一人じゃ迷子になるかもしれないからな」と、
冗談めいた口調で言葉を返した。

「いやいやいやいや、流石にそこまで落ちぶれちゃいねぇよ」
洋二がそう言葉を口にしながら、
自分の鞄から財布を見つけ出して、
嬉しそうにそれを手にするー。

「ーーよし、用は済んだな」
洋二が財布をちゃんと回収したのを確認すると、
「じゃ、戻ろうぜ」と恭平は言葉を続ける。

「あぁ、”付き添い”ご苦労さん」
冗談めいた口調で洋二がそう言葉を返すと、
人の気配が少ない廊下を二人で移動していくー。

普段は勿論、たくさんの人で溢れているものの、
文化祭当日である今日は、このあたりで出し物をやっている
クラス・部活などがちょうどなかったため、
ほぼ無人のような状態になってしまっているー。

「ーーーB組の焼きそば、ボリュームがあって旨そうだよな」
歩きながら洋二がそう言葉を口にすると、
「ーあぁ~確かにな。でもあれ最初に食べたら満腹にならないか?」
と、恭平は1年生の”わたあめ”を先に食べることを提案するー。

「それもそうだなー。じゃあ、わたあめにするか」
洋二がそんな言葉を口にしたその時だったー。

誰もいないと思って話に夢中になっていた二人は、
廊下の曲がり角で、偶然、文化祭に遊びに来ていた他校の女子生徒と
ばったりと出くわしてしまうー。

”この辺には誰もいない”
そう思って話に夢中になっていた洋二と恭平ー。

そして、もう一方の他校の女子生徒は
友達と共に、中学時代の知り合いがいるこの学校の文化祭に
遊びに来ていたものの、途中でトイレに行きたくなり、
トイレの場所がどこか分からないまま校舎内を徘徊している状態だったー。
だんだんと我慢するのも苦しくなっていて、
慌てて走っていて、”誰かと曲がり角で出くわしてしまう”
などということは、全く想像もしていない状況だったー。

そんな一人と二人が出くわしてしまいー、
少女と、洋二と共に歩いていた恭平が
勢いよく正面衝突ー。

特に、少女の方が慌てて走っていたこともあって、
二人とも勢いよく吹き飛ぶ形で転倒してしまったー。

「お、おいっ!?恭平!?」
洋二はそう言葉を口にすると、
吹き飛ばされた二人を心配して、
まずは近くに倒れた他校の少女の方に駆け寄るー。

「お、おい、君ーー
 だ、大丈夫かー?」
そう言葉を口にするも、少女は反応しないー。

異性との縁があまりない洋二は、
少女に触れるのは気が引けて、
そのままもう一度声を掛けるも、
やはり返事がなかったために、
今度は親友の恭平に駆け寄っていくー。

「お、おいっ!恭平!!大丈夫か?」
洋二は心底慌てた様子でそう言葉を口にすると、
恭平を仰向けにして、
「おいっ!!おいっ!しっかりしろ!」と、そう叫ぶー。

見ず知らずの少女相手とは違い、
知っている相手だからだろうか。

必死にそんな言葉をかけていくー。

「く…く、くそっー…
 き、恭平ー」
意識が戻らない恭平を見て、洋二は呆然としながらも
半分パニックになったような状態で
周囲を見渡すと、
「そ、そ、そうだー。こういう時はアレすればいいんだよなー?」と、
一人で困惑した表情を浮かべながら呟くー。

そして、何を思ったのか、恭平の心臓マッサージをし始めると、
そのまま恭平の顔のほうを見つめるー。

「あ~~~くそっ!お前とキスするみたいで気持ち悪いけど、
 お前に死なれちゃ俺も困るんだよ!」
洋二はそう叫ぶと、
そのまま恭平の口に自分の口を近づけて、人工呼吸をしようとするー。

がー

「アホか!」
背後からそんな声が聞こえて、洋二は蹴り飛ばされると、
そのまま意識を失っている恭平に人工呼吸をすることなく、
前に軽く飛ばされたー。

「ーーっ… えっ…?」
背後から蹴られた洋二は
”アホか”と言ってきた声を思い出しながら
戸惑いの表情を浮かべるー。

それもそのはずー。
”女の声”でそう言われたからだー。

「!?」
困惑しながら振り返ると、
そこには、恭平にぶつかった他校の女子生徒が
呆れ顔を浮かべながら立っていたー。

「ーーー”俺”の身体、呼吸してるだろ?
 呼吸してりゃ、心臓マッサージも人工呼吸も必要ねぇよ」

そう言葉を口にする他校の女子生徒ー。

「は、はい????」
洋二は困惑した表情を浮かべながら
半分裏返った変な声を出してしまうと、
そのまま他校の女子生徒のほうを見つめながら
「あ、あの…???えっ…?」と、
”何を言っていいか分からない”と、言わんばかりの表情を浮かべたー。

すると、他校の女子生徒は髪を触りながら
「そんな顔すんなよー。俺にもよく分かんねぇんだけど、
 この子とぶつかって飛ばされた時に、
 身体から魂が抜けるような感触がしてー…
 で、気付いたらこうなってたー」と、そう言葉を口にするー。

「えっ…?えっ…?
 じ、じゃあ、恭平なのかー?」
洋二が困惑しながら言うと、
「まぁ、中身はー」と、そう頷きながら
「お前が教室に財布を忘れたから、俺が”付き添い”として
 一緒に教室まで行ってやったこととかー、
 このあと、わたあめを食べに行く予定だったこととか、
 ちゃんとわかってるぞ」と、
さっきまでの会話で出た話題を正確に口にしてみせたー。

「ーー…お、おぉう…ほ、本当に恭平…なのかー?」
洋二はそう言葉を口にすると、
チラッと倒れたままの恭平を見つめるー。

「ーーど、どうすりゃいいんだー?これ?」
洋二がそう言うと、
他校の女子生徒に憑依してしまった恭平は、
「ーこの身体から出て、そっちに戻れりゃいいけど」と、
他校の女子生徒の身体から、頑張って外に出ようとするような
仕草を何度か繰り返すー。

がー、一向にその子の身体から外に出ることは出来ずー、
「ーと、とりあえず先生呼んできてくれー
 俺は他校の子の身体だからどうにもできないし」と、
少し恥ずかしそうにそう言うと、
洋二は「わ、分かったー」と、それだけ言葉を口にして、
慌てて職員室がある方向に向かって走り始めたー。

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「ーーーーまさか、こんなことになるとはなー…」

他校の女子生徒・橋口 萌々香(はしぐち ももか)の
身体に憑依してしまった恭平は、
萌々香の身体で戸惑いの表情を浮かべつつ、
そう言葉を口にしたー。

結局、恭平の身体はあのあと、
先生たちによって病院に搬送されたものの、
外傷は全くないのに意識を取り戻さない状態で、
死んではいないものの、目を覚まさない…
そういう状況になってしまったー。

「ーーーーーー」
萌々香に憑依してしまった恭平は腕組みしながら
病室の近くで戸惑いの表情を浮かべるー。

「ま…まぁ、え、えっとー
 恭平なんだよなー…?」
一緒に病院にやって来ていた洋二がそう言うと、
萌々香は「ーーまぁなー。全部記憶もあるしー」と、
少し戸惑いの表情を浮かべながらそう言葉を口にするー。

「ーー逆に、この子の記憶は全然分かんねぇ」
萌々香は自分を指差しながらそう言うと、
洋二は「マジかー」と、それだけ言葉を口にしながら
どうしていいか分からずソワソワした様子を見せるー。

「さっきも、病院に来る前、この子の友達に話しかけられたけど、
 名前も分かんねぇから話を合わせるのが大変だったよー」
苦笑いしながらそう呟く萌々香ー。

そんな言葉にも、洋二はどこかソワソワした様子を見せているのを見て、
「ーーー? どうした?」
萌々香がそう言葉を口にすると、
洋二は「あ、いやー…」と、困惑したような表情を浮かべながら
「ーー……そ、そのー」と、気まずそうに言葉を口にしたー。

がー、萌々香と洋二がいる通路に、
萌々香に憑依している恭平にとって、”見覚えのある人物”が
やってきたー。

「母さーーー」
萌々香はそこまで言いかけて、口を閉ざすー。

そして、両親に何も話しかけることなく、
恭平が意識不明のままベッドに横たわっている病室へと駆け込んでいくー。

そうー、
恭平の母親と父親が
恭平が学校で事故によって意識不明になったと
そう聞かされて病院に駆け付けたのだー。

「ーーい、いいのかー?」
洋二は、萌々香に憑依している恭平が
両親に話しかけるのをやめたのを心配して、
そう言葉を口にすると、
「”いいのか”ってー…この身体じゃ、話しかけても
 親が混乱するだけだろ?」と、
そう説明するー。

「ーーーー」
洋二は、萌々香の上から下まで全身を見渡すと、
少し顔を赤らめた様子を見せながら
「ま…まぁ…そりゃそうかー…その姿で、
 話しかけられても、恭平の親も困るよなー」と、
困惑の表情を浮かべるー。

病室の中からは、恭平の母親や父親が
恭平に声をかけているのが聞こえるー。

その声を聞きながら
萌々香は表情を歪めると、
「行こうー」と、そう言葉を口にして歩き出すー。

「ーえっ?もういいのかー?」
洋二がそう言葉を口にすると、
萌々香は振り返るー。

「この身体じゃ、ここにいても仕方ないだろー。
 こっちも辛いだけだしー」

その言葉に、
洋二は「そ、そっかー」と、そう返しつつ、
悲しそうな表情の萌々香を見て、
中身は恭平だと思いつつもドキッとしてしまうー。

洋二は、そんな自分自身に
首を横にぶんぶんと振ると、
”何ドキドキしてんだ俺…!中身は恭平だぞ!”と、
そう自分に対して叫んで、静かにため息をつくのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーー俺のせいで、すまんー」

病院の建物の外に出て、自然に囲まれた敷地内を
歩いていた二人ー。

ふと、洋二がそんな言葉を口にしながら
頭を下げたー。

「ーーーん?いやー…」
萌々香は立ち止まると、
「まぁ、小さい頃から洋二はよくうっかりしてるし
 慣れたさー」と、そう笑うー。

その上で「謝るなら、俺より、この子にだろ」と、
そう言葉を続けるー

「俺は…まぁ、一応こうして動けてはいるわけだしー…
 でも、この子はたぶん、俺がこの身体に入っちゃったから
 眠ってるか何かしてるんだと思うからー
 俺よりこの子の方が酷い目に合ってるー。

 身体も、俺に勝手に使われてるわけだしな…」

萌々香がそう言うと、
洋二は「そ、そ、そっかー」と、そう言葉を口にするー。

そして、どこか落ち着かない様子でソワソワして見せる。

そんな様子を見て、萌々香は
「さっきから何ソワソワしてんだ?」と、そう確認すると、
洋二は「い、いや、そのー…そ、その姿だと、なんかこうー」と、
気まずそうに呟くー。

それを聞いた萌々香に憑依している恭平は
「ーははっ、馬鹿だなお前はー中身は俺なんだから
 今まで通りでいいって」と、そう言葉を口にしながら、
そのままゆっくりと歩き出すー。

そんな萌々香の後ろ姿を見つめながら
洋二は、”今まで通りでいいって言われてもなぁ…”と、
ドキドキしてしまう自分にも戸惑いながら
小さく息を吐き出すのだったー

②へ続く

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コメント

文化祭の際のちょっとしたトラブルで
他校の子に憑依した状態に…!

この先も色々起きそうですネ~!!

今日もありがとうございました~!★!

「とりあえず付き合うか」目次

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