<憑依>そこは身体の廃棄場②~捜査~

①にもどる!

憑依した対象の”脳”に重大な損傷を与えてしまう
欠点を持つ憑依薬ー。

それが出回っているこの地域では
”遊び終えた身体”を廃棄する”身体の廃棄場”を呼ばれる場所が
存在していたー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーー廃人状態の”水野 真帆”が発見されたー」

和徳と健吾の上司にあたる
課長の雨村(あめむら)課長が不満そうにそう言葉を口にすると、
「ー聞けば丹沢ー。水野 真帆を相当痛めつけたようだな?」と、
そんな言葉を続けたー。

「ーーーー…中の憑依者を引きずり出すためには
 必要なことでしたので」
和徳がそう言葉を口にしながら、”憑依されている真帆を
殴ったのは必要なことだった”と、そう釈明すると
「ーーその結果、憑依から解放された水野 真帆が
 廃人状態になったのではないかね?」と、
不満そうに雨村課長は言うー。

「いえ。”身体の廃棄場”と呼ばれるあの場所を
 新崎と共に調査しました。
 憑依された者たちは全て錯乱状態にあり、
 最近出回っている粗悪品の憑依薬が
 憑依された側の人間の脳を破壊してしまう、という話は
 どうやら本当のようです
 
 捜索願が出ている人間も何人か確認できました」

和徳はそう説明するー。

すると、雨村課長はその言葉には理解を示した上で
さらに言葉を続けるー。

「ーーしかし、では水野 真帆をあそこまで痛めつけたのに
 憑依人を逃がしたのは落ち度だったのでは?」と、
雨村課長は不満そうにそう指摘したー。

「それはー」
和徳は少しだけ表情を歪めると、
水野 真帆に憑依した憑依人を真帆の身体ごと痛めつけて
”あと一歩”のところまで追いつめていた場面を思い出すー。

しかし、あと一歩のところで若手刑事の健吾が
”丹沢さん!”と、和徳の暴力を見かねて乱入ー、
その結果、真帆に憑依していた憑依人を取り逃がすことに
なってしまっていたー。

「ーーー……」
とは言え、先輩刑事として和徳は
”新崎が邪魔したせいです”などと、
情けないことを言うつもりはなかったー。

「ーーそれは、仰る通りでー」
真帆を痛めつけたのにも関わらず、
真帆の中の憑依人を引きずり出せず、
確保することができなかった”責任”を認めると、
「ー”身体の廃棄場”を徹底的に調べて
 憑依人を一人でも捕まえ、出どころを吐かせます」と、
和徳はそう宣言するー。

若手刑事の健吾は少し申し訳なさそうに和徳の方を見つめると、
雨村課長の部屋を出てから、
口を開いたー。

「どうして、俺のせいだって言わなかったんですかー?」
とー。

その言葉に、和徳は少しだけ表情を歪めると、
「ーーいやぁ、まぁーお前はお前で俺のことを必死に
 止めようとしたー。それだけだろ?
 お前のせいにするもんじゃねぇ」と、そう言葉を口にするー。

「ーー丹沢さんー」
健吾は少しだけ嬉しそうに頷くと、
「ー俺も、憑依人の確保に全力を尽くしますー」と、
そう言葉を口にする。

和徳もまた、嬉しそうに頷くと、
「俺はまた”身体の廃棄場”を探るー。
 お前は水野 真帆が廃人状態で発見された場所に
 周辺を探ってくれ」と、そんな言葉を口にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーくそっーーー…
 あの野郎ー」

ガリガリと爪をかじりながら、
窓際の座席から、窓の外を見つめながら
その学校に通う女子生徒・恵美(めぐみ)が
不満そうに言葉を口にするー。

「ー恵美ー…?」
隣の座席にいた女子生徒が、
恵美がブツブツと呟いていることに気付いて
不思議そうな表情を浮かべると、
恵美は「あ、ううんーなんでもないー」と、
笑顔を作ってそれだけ返事をするー。

そしてーー

「ー先生ー」
少しイラついた様子で、真面目そうな雰囲気の恵美が
机を叩いて立ち上がると、
「ちょっと、体調が悪いので保健室に行ってきますー」と、
そう言葉を口にするー。

「ーー大丈夫ー?一人で行ける?」
社会科の授業中だった先生は心配そうにそう言葉を口にすると、
恵美は「ーはい」と、だけ返事をして
そのまま教室の外へ向かって歩いていくー。

「ーーー」
そんな様子に、恵美のクラスメイトの一部は
不安そうな表情を浮かべたものの、
まさか”恵美が憑依されている”などとは夢にも思わず、
不思議そうな表情を浮かべるだけだったー。

「ーーーあのクソ刑事ー…」
先日、散々ボコボコにされた”水野 真帆”に憑依していた男は、
不満そうにそう言葉を口にすると、
そのままゆっくりと廊下を歩きだすー。

”身体の廃棄場”から逃亡後ー、
止むを得ず、別の場所で真帆の身体を廃棄ー、
そのため、真帆が廃人状態になっているのは
すぐに警察に発見されてしまったものの、やむを得ないー。

そして、真帆から抜け出した彼は
すぐに”次の身体”を探し、
近くの高校に通う優等生・恵美の身体を奪ったのだったー。

当然、この恵美も、既に”脳”に重大な損傷が生じているー。
ただ、”憑依”されている状況では、
憑依者の霊体が脳の機能を補うために
表面上はあまり大きな異変は見られないー。

「ーーっ…」
強いて言うのであればーー…

「ーーー~~~」
恵美は表情を歪めると、鼻のあたりに手を触れるー。

”鼻血”が時々出て来るぐらいだろうかー。

鼻血を拭きとると、
恵美は「あの刑事に目にもの見せてやるぜー」と、
先日、自分をボコボコにした刑事・和徳のことを
頭に思い浮かべながら
ゆっくりと学校の外に向かって歩き出したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーー」

”身体の廃棄場”にやってきた和徳は
周囲を見渡すー。

相変わらず、”憑依”されて脳を破壊された
人々がその場に廃棄されているー。

”生きているけど、もう決して元には戻れない”
そんな状態でー。

拳を握りしめる和徳ー。

「必ずー…必ず”憑依薬”なんてふざけたもので
 社会を混乱させてるやつをぶちのめしてやるー…」

和徳がそれだけ言葉を口にすると、
怒りの形相を浮かべながら歩き出すー。

彼はーーー
今から8年ほど前に犯罪者に妻と娘を殺された過去を
持っているー。

その容疑者の名は、”島原 竜吾(しまばら りゅうご)”ー。
ただ、その竜吾は8年が経過した今でも見つかっていない状態だー。

それ故に、和徳は
犯罪者を強く憎んでいるー。
犯罪者を徹底的にぶちのめし、容赦しない刑事としてー、
彼はこの8年間、強引な捜査も含めて
数々の犯罪者を逮捕してきたー。

「ーーーーー」
今回も、逃がしはしないー。
絶対にー。

「ーーーまた、奴みたいな憑依人がここに”身体”を
 廃棄しに来るかもしれねぇ。
 とにかく、しばらく様子を見よう」

和徳は”次こそは”と、そう思いながら
”身体の廃棄場”で、過去に憑依された女や男らが
廃人状態となって蠢く空間で、
”身体を破棄しに来る者”がいないかどうか、
注意深く観察を始めるのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーー」
若手刑事の健吾は、
”水野 真帆”が発見された現場の近くにやってきていたー。

和徳から頼まれた通り、
廃人同然で発見された水野 真帆の発見現場に
やってきたのだー。

「ーーーーーーーー」
現場を細かく確認していく健吾ー。

その時だったー。

「ーーあの~」
背後から女の声がして、健吾が振り返るー。

「はいー?」
健吾がそう言うと、その女ー
先程、学校から抜け出したばかりの恵美は
笑みを浮かべながら言葉を口にしたー。

「ーーあの、実はこんなものを拾ったんですけどー」
恵美に憑依している男は、邪悪な笑みを浮かべるー。

あの日ー、あの憎き刑事・和徳と一緒にいた警官だー。
本人じゃないのは残念であったものの、まずは、
憎き刑事の仲間から片付けるのも悪くはないー。

恵美は笑みを浮かべながら、
隠し持ったナイフを手に、若手刑事の健吾に近付いていくー。

「ーーー拾ったものー…?
 どんなものですか?」
健吾はそれに気づかず、恵美に近付いていくと、
恵美を乗っ取っている男は、健吾が十分に近付いて来たことを
確認すると、邪悪な笑みを浮かべたー。

「ー馬鹿な刑事だぜ!!」
恵美はそう叫ぶと、隠し持っていたナイフを手に
そのまま健吾に襲い掛かったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”身体の廃棄場”で、
この前の憑依人のように、誰かが”遊び終えた身体”を
廃棄しに来ないかどうかを注意深く観察する刑事・和徳ー。

が、身を潜めているすぐ近くでは
ブリッジのポーズを取りながら徘徊している女や、
ゲラゲラと一人笑い続けている女ー、
”憑依された”者たちの末路が目に入るー。

中には”十分に遊び終えました”などと紙を
貼られたまま”廃棄”されている人間も確認できたー。

「ーふざけやがってー」
和徳はそう言葉を口にするー。

が、その背後にー
”男”が笑みを浮かべながら立っていたー。

この前、和徳に真帆の身体ごと痛めつけられた憑依人ではなく、
また別の憑依人だー。

”こいつが、あの人の言ってた刑事かー”
男は、そう言葉を口にすると邪悪な笑みを浮かべるー。

”だが、残念だったなー刑事さんよー
 どんなに怒りを燃やしてもー
 どんなに俺たち憑依人を憎んでもー
 どんなに犯罪者を憎む気持ちが強くてもー

 憑依されちまえば、全てが終わりー”

内心で男は、和徳を馬鹿にするかのような
言葉を口にすると、
”ー俺があんたに憑依して、この廃棄場にいるやつらと
 ”同じ”にしてやるぜー”と、
邪悪な笑みを浮かべるー。

そして、男は憑依能力を発動するー。
この地域で出回っている憑依薬は
”憑依するとき”も、”身体から出る時”も、
距離に制限があるー。

憑依する際には、相手にある程度近付かないといけないし、
身体から抜け出した時も、乗っ取っていた身体の近くで
実体化するー。

それ故に、先日、真帆に憑依していた憑依人も
和徳に痛めつけられながらも、必死に
真帆から抜けることを拒んでいたのだー。

真帆の身体から抜ければ、その近くで実体化してしまい、
和徳に自分の素性がバレてしまうからー。

しかも、一度憑依から抜け出すと、連続で霊体化することは出来ず、
最低でも30分近く、時間を開ける必要があり、
真帆に憑依していた男が、真帆から出て、すぐに和徳に憑依するー、ということもできなかったー。

が、今この男は、生身の状態で
和徳の背後に迫っているー。

和徳に憑依して、和徳の脳を”破壊”しようとしているのだー。

”ククー頭がイカれて、おかしくなっちまいなー”
憑依人の男は心の中でそう叫ぶと、憑依薬を飲み干して霊体になるー。

そして、和徳に向かって行くー。
が、そこに、突然女が近付いてきて、和徳に掴みかかったー。

「ーーぁおうぁあそぁぁあおえ」
意味不明な奇声を発する女ー。

「おいっ!離せ!!」
”憑依”によって脳を破壊された状態の女が
突然飛びついてきて、意味不明な言葉を発しているー。

そして、そのタイミングでー…
「ひっ…」と、
その女が、ビクンと震えたー

和徳が驚いたような表情を浮かべると同時に、
”和徳に憑依するつもりだった憑依人”も、驚いたような表情を浮かべるー。

「ーーあ…???え…???」
男は、和徳に憑依するつもりだったのが、
偶然、その直前で脳を破壊された状態の女が
意味もなく和徳につかみかかったことで、
その女に”誤憑依”してしまったのだー。

「ーーーー」
和徳は、その女の異変に気付くと、
「お前、もしかしてー」と、そう言葉を口にするー。

「ー!」
女に憑依してしまった憑依人の男は表情を歪めるー。

「ー俺に憑依しようとして、失敗したのかー?」
刑事としての鋭い勘ー。
和徳がそう言葉を口にすると、
女に憑依してしまった憑依人は
真っ青になりながら「いやー、そ、それはー」と、
そう言葉を口にするー。

和徳はすぐにその女の腕を掴むと、
「出てこい」と、そう言葉を口にするー。

「ーーぐ……」
女は表情を歪めるー。

先日、和徳にボコボコにされた真帆のことは知らないー。
が、憑依人のことを執拗に調べている刑事がいると教えられ、
その男を憑依で始末してほしいと言われていたこの憑依人は、
和徳を見て”この刑事はヤベェー”と、そう直感で感じていたー。

しかし、とは言っても、この男もすぐにこの身体から
”出る”訳には行かないー。

「ーーーうるせぇ!」
和徳の手を振り払おうとする女ー。

しかし、和徳は力強く腕を掴んだまま離さないー。

そして、言ったー。

「素直に応じないかー
 じゃあ、仕方ねぇ。
 被害者のそのお嬢ちゃんには悪いがー…」

そこまで言葉を口にすると、
和徳は、男が憑依している女に強烈な拳を叩きつけたー。

③へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

次回が最終回デス~!!

身体の廃棄場を巡る憑依の物語が
どんな結末を迎えるのか、
見届けて下さいネ~!!

今日もありがとうございました~!★!

続けて③をみる!

「そこは身体の廃棄場」目次

コメント