集まった”10人”の憑依人ー。
しかし、その憑依人たちは、
いずれも”中途半端”な能力を持つ者たちだったー。
憑依人を招集した男は、不満を感じながらも、それぞれの能力の
確認を続けていくー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
サングラスの憑依人・瀬島は、
美桜に憑依するために、美桜にキスをして
本体は倒れ込んだものの、
美桜自身が憑依されている様子はなく、
美桜も、瀬島以外の9人の憑依人も、
憑依人を招集した”銀狼”幹部候補の男・豪人も
困惑の表情を浮かべていたー。
しかし、美桜の右手が突然、
自分の胸を激しく揉み始めたー
「えっ…な、なに?右手が、勝手にー」
心底怯えたような表情を浮かべる美桜。
そうー、美桜の”右手”が勝手に動き出したのだー
美桜が顔を真っ赤にしながら、
イヤらしい手つきで自分の胸を揉む右手を見つめるー。
「ーー…クククー
少しずつ支配して楽しもうとしているのか?」
憑依人たちを招集した豪人はそう言葉を口にしつつ、
笑みを浮かべながら美桜の方を見つめるー。
だがー、右手が胸を揉んだり、
抵抗しようとする美桜の頬を軽く殴ったりするだけで
一向に”右手以外の部分”が支配されている様子が見られないー。
豪人がうんざりしたような表情を浮かべつつ、
「瀬島、とか言ったなー。早くお前の力を見せてくれ」と、
そう言葉を口にすると、
美桜の中から、煙のようなものが出て来て
倒れているサングラスの男本体にそれが戻って行ったー。
「ーーー!?
おい、手だけ操って満足したのかー?」
豪人が不満そうに言うと、
サングラスの憑依人・瀬島は起き上がって笑みを浮かべたー。
「へへー俺の憑依は”右手”しか支配できないんでなー
今ので俺の力のすべてだー」
得意気な表情でそう言い放つサングラスの憑依人・瀬島ー。
「ーー…分かった。参考になった」
豪人はそう言うと、内心で
”チッー威勢がイイだけで能力は期待外れだな”と、
心の中で毒づくと、
「ーーでは、次はお前の憑依能力を見せて貰おうかー」と、
”4人目”の憑依人に指を指したー。
「ーー私か。いいだろうー」
博士風の男がそう言葉を口にしながら頷くと、
まだ能力を披露していないツインテールの女子高生風の女が
少しだけ笑みを浮かべるー。
”どうせ大した能力じゃないんでしょ?”と言いたげにー。
眼鏡の憑依人も、少しだけ退屈そうな表情を浮かべる中、
フルフェイスヘルメットの男は微動だにしないー。
そんな様子を見つめながら、指名された博士風の憑依人・
栄田(さかえだ)は口を開いたー。
「ー”憑依能力”に求められるものは何かー。
この者たちはそれを分かっておらんー」
そう言いながら、
”憑依した相手の顔が自分のものになってしまう”
冴えないおじさん・山田と、
5分しか憑依できないバンダナ男・近藤、
そして右手しか支配できないサングラス男・瀬島たちの
方を見つめるー。
「何だとこの野郎!」
バンダナの憑依人・近藤がそう不満を口にすると、
博士風の憑依人・栄田は言ったー。
「憑依とはすなわち、相手の身体全てをしっかりと我がモノにすること。
憑依者が望めば、その身体を永久に支配できる状況にすることー。
そうであろうー?」
その言葉に豪人は「その通りー。その基礎的な部分が揃ってこそ、
我々が望む憑依人だー」と、そう言葉を口にする。
既に3人に憑依された美桜は
怯えた様子で逃げようとしているものの、
手錠に繋がれているために、
逃げ出すことは出来ないー。
「ーーーでは、私の憑依
とくとご覧に入れよう」
博士風の憑依人・栄田は笑みを浮かべながら
美桜の前に立つー。
「や、やめて下さいー」
美桜がそう言葉を口にしながら、怯えた表情で栄田の方を見つめるー。
そんな光景を見ながら、
フクロウを頭に乗せた憑依人の男は、
少しだけ目を細めるー。
「ー薄汚い服装ですわー。
身だしなみぐらいしっかりしてほしいものですわね」
人形のような美少女風の憑依人が、博士風の憑依人・栄田を見つめながら
そんな苦言を呈する。
しかし、そんな”見物人”たちの言葉など
お構いなしで研究者風の憑依人・栄田は笑みを浮かべながら
呪文のようなものを唱え始めたー。
”憑依する際に呪文が必要とはー、
あまり見ないタイプだなー”
憑依人を招集した銀狼幹部候補の男・豪人は
内心でそう思いながら、
研究者風の憑依人・栄田の方を見つめるー。
「~~~~~~~」
まるで念仏のような唱え方をしている呪文が
部屋中に響き渡るー。
「ーー無駄に美声だな」
サングラスの憑依人・瀬島が不満そうに
しながらもそう言葉を口にすると、
「まぁ、憑依してしまえば相手の身体になるわけですから
関係ないですけどねー」と、
冴えないおじさん風の憑依人・山田が笑いながら
そう指摘するー。
そうこうしているうちにも、念仏のような呪文が
続いていくー。
「ー長いなー」
バンダナの憑依人・近藤が少し不満そうに言うと、
「そうねー」と、女子高生風の憑依人もそう言葉を口にしたー。
「ーーーーー~~~~~~」
しかし、これから憑依される立場である美桜からすれば、
どんな状況であっても震えるしかないー。
そんな様子に憑依人を招集した豪人が
「ーおい、いつまでやってる?」と、そう言葉を口にするー。
が、博士風の憑依人・栄田は一旦呪文を止めると、
「ーー私の憑依は憑依を行う前に
対象者の目の前で24章15節からなる呪文を読まねばならんー。
少し待ちたまえ」と、そう言葉を口にするー。
「なんだと!?」
豪人が唖然として声を上げると、
「いったい、憑依するまでに何分かかるんだ?」と、
そう確認するー。
「ーーざっと2時間30分ほどだなー」
博士風の憑依人・栄田がそう言うと、
「もういい。分かったー」と、豪人は栄田を突き飛ばすと、
栄田はよろよろとよろめいて、その場に倒れ込むー。
「ホント、使えないやつ」
近くに突き飛ばされてきた博士風の憑依人・栄田に向かって
ツインテールの女子高生風の憑依人がそう言うと、
「ーわたしに任せてー。完全に身体を乗っ取ってみせるから」と、
そう言葉を口にしながら、笑みを浮かべるー。
「ほうー女の憑依人かー。珍しいな」
豪人がそう言うと、
ツインテールの女子高生風の憑依人は
「わたしは峯島(みねしま)ー。峯島 瑠香ー。
ま、”身体の名前は”だけど」と、そう言葉を口にしたー。
「ーーほぅ」
豪人は、その言い方を聞いて、
”既に他人の身体を使っている憑依人ってことだな”と、
そう内心で確信するー。
「ー憑依するまでに1時間とかかかったりしないだろうな?」
豪人が念のためそう確認すると、
女子高生風の憑依人・瑠香は、
「しないわー。一瞬よ。それに完全に身体も乗っ取ることができる」と、
そう言葉を口にするー。
「ーククーそれを聞いて安心した
見せてみろ」
豪人は、そう言葉を口にして
瑠香から離れると、
憑依される美桜が、怯えたような表情で瑠香を見つめるー。
そんな美桜を見つめながら、
女子高生風の憑依人・瑠香はニヤッと笑うと、
「あんたの身体、貰うねー」と、そう言葉を口にしたー。
そしてー、それと同時に、瑠香が激しく咳き込み始めて
その場でしゃがみ込んで”嘔吐”をするー。
口から出て来たのは、邪悪な色の魂ー
それが、美桜の方に入り込んでいき、怯えていた表情の美桜は
すぐに邪悪な笑みを浮かべるー。
がー、憑依人である”瑠香”の身体は
さらに嘔吐して、血を吐き出すと、
激しく痙攣し始めるー。
あまりにも恐ろしい痙攣ぶりに、
眼鏡の憑依人が目を逸らしー、
人形のような美少女風の憑依人は「悪趣味ですわー」と、
そう言葉を口にするー。
「ーーーどう?これでこの女の身体は完全にわたしのもー…」
美桜に憑依した憑依人の瑠香が自慢気にそう言葉を口にすると、
豪人は「おい、お前の身体ー、大変なことになっているようだが?」と、
そう指摘を口にするー。
「ーーあ~、それは心配いらない」
美桜の身体で、女子高生風の憑依人・瑠香はそう言葉を口にすると、
血を口から流しながら、激しく痙攣ー、
白目を剥いて青ざめている”瑠香”の身体を見つめるー。
身体中のあらゆるものを垂れ流しにするかのように、
悲惨な状態となった瑠香の身体は、
やがて動かなくなり、その場に倒れ込んだままになると、
美桜に憑依した瑠香は笑みを浮かべたー。
「ーわたしの憑依、元々使っていた身体は
抜け出した時”壊れちゃう”んだよねー。
だから、色々な身体を渡り歩いて生きて来たのー」
美桜に憑依した瑠香だった憑依人はそう言葉を口にするー。
「ーじゃあ、さっきまでのあんたもー…」
バンダナの憑依人・近藤が戸惑ったような表情を浮かべつつ
そう言葉を口にすると、
美桜に憑依した瑠香は笑みを浮かべたー。
「ーわたしの身体なわけないでしょー?
もう、何人目だったかなー?
そこに転がってる屍は、
わたしが”かわいい”と思ったから憑依して奪った身体。
生まれた時から使ってた自分の身体なんて
とっくに死んでるー」
美桜に憑依した瑠香は、心底面白そうに
そう言葉を口にすると、
「ってことで、そこのー”瑠香”も、もう死んだから、
片付けてくれる?」
と、そんな言葉を口にしたー。
”ーーー”
その様子を見つめながら、銀狼幹部候補の男・豪人は
表情を歪めるー
”なるほどなー…元々使っていた身体は
憑依するときにぶっ壊れるってわけかー…。”
豪人はそう思いつつ、
”あまりにも悲惨な死にざま”を見せた瑠香の亡骸を見つめるー。
”ーしかし、こりゃ目立ちすぎるなー。
憑依した相手を次々始末したりするのには使えるが
使いどころは限られるだろうなー”
女子高生風の憑依人・瑠香ー、
いや、その瑠香に潜んでいた憑依人のことを
そう評価すると、
豪人は「で、お前はその身体からは出られないのか?」と
そう確認するー。
すると、美桜になった瑠香は笑いながら
「出られるけど、この女はそこに転がってるゴミと同じようになるかな」
と、そう言葉を口にしたー
”ーってことは、もう美桜は死んだも同然ってことかー”
豪人は、”解放すれば美桜の身体が死ぬ”状態になった以上、
美桜はもう事実上死んだようなものだと、
そんな風に考えつつ、
「ーでは仕方ない。残りのやつらの能力も見なくてはいけないからな。
お前がそのまま憑依されろー」と、そう言葉を口にする。
「え、えぇっ!?」
美桜になった瑠香が少しイヤそうにそう叫ぶと、
ジャージ姿のイケメン・憑依人の大塚(おおつか)が前に出たー。
「では、次は俺が」
そう言葉を口にすると、大塚は早速、憑依能力を発動する。
その場で霊体になり、そのまま美桜の方に向かって行く大塚ー。
がー
「ーーおいおい、霊体になっても見えっぱなしじゃないか」
サングラスの憑依人・瀬島が呆れ顔で言うと、
瑠香に憑依された美桜は「ちょっ!?ちょっ!?」と、
まさか自分が憑依される側になるとは思っていなかったのか
そう声を上げるー。
「ーーうっ…」
瑠香に憑依された美桜に、さらにその上から憑依した
ジャージ姿のイケメン・大塚は、
美桜の身体で笑みを浮かべるー。
がー、その背後には
”大塚”自身の霊体が、通常の2倍ほどのサイズになって
目視できる形で存在してしまっていたー
「ーーーーーー」
フルフェイスヘルメットの男の憑依人がそれをじっと見つめるー。
「ーーありゃりゃー、これはダメだなー」
眼鏡の憑依人が笑うと、
憑依人たちを招集した銀狼幹部候補の豪人も、
「ーそのお前の姿を見えないようにすることはできないのか?」と、
憑依されている美桜の背後を指差すー。
「ーーはは、これはまぁ、仕方ないってことでー」
美桜の身体で、大塚はそう笑うー。
が、美桜の背後に幽霊のような状態で
見えてしまっている”大塚の霊”がとても気になる状態ー。
しかも、普通のサイズではなく、憑依前の2倍ぐらいのサイズで
霊体が見えているため、非常に目立つー。
「ーー使えんなー。次」
豪人はため息を吐き出しながらそう言葉を口にするー。
すると、残る4人のうちの一人、
頭にフクロウを乗せた男・阿波野(あわの)がゆっくりと前に出て
笑みを浮かべた…。
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
残る憑依人は4人…!
招集した彼が望むような憑依人は
その中にいるのでしょうか~?
今日もお読み下さり、ありがとうございました~!★★!

コメント