<憑依>憑依するたびに縮んでいく

彼は”憑依薬”を使って
憑依能力を手に入れたー。

しかし、その憑依能力にはあまりにも大きな欠点があったー。

それは、”憑依する度に相手の寿命が縮んでいく”という、
そんな欠点だったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーへへっ♡ えへへへへっ♡
 すげぇ…」

男子高校生の増山 瑛太(ますやま えいた)は、
”憑依薬”をバイト先の先輩から譲り受けて、
それを使い、”憑依能力”を手に入れていたー。

今日も、その憑依能力を手に入れて、
クラスメイトの木森 梓(きもり あずさ)に
憑依してお楽しみの限りを尽くしている最中だったー。

「ーーはぁぁ~~♡ えへへー
 わたしは梓♡ なんてな…へへ」
梓に憑依した瑛太は、容赦なく梓の身体を弄び、
欲望の限りを尽くしていたー。

部屋を汚し、その姿を乱しても
なおも飽き足らず、さらに欲望の限りを尽くしていくー。

「~~~~~はぁ♡ はぁ…♡
 木森さんの身体ってすげぇなー」
憑依された梓はそんな言葉を口にしながら、
少しだけ笑みを浮かべると、
「木森さんの身体ーーっていうか、女の身体は最高だなー」と、
今までに憑依した数名の女子や女性教師のことを思い出しながら、
そんな言葉を口にしたー。

がー、ふと鏡を見つめると、梓は少しだけ表情を歪めたー。

梓の目が充血して、赤くなっているー。

「ーあ~~…なんかいつもこうなるんだよなー」
梓に憑依している瑛太はそんな言葉を口にしながら、
姿見で梓の目を見つめるー。

梓の目は、かなり充血して赤くなっている状態ー。
決して憑依した後に目をこすったわけではないし、
憑依した直後にはこんなに目が赤くはなかったー。

「ーーこうなると、見た目が悪いからなぁ…」
梓はそう言葉を口にすると、梓に憑依している瑛太は
「そろそろお楽しみの時間は終わりってことだなー」と、
そう言葉を続けて、梓の身体から抜け出すー。

「ーーぁ…」
梓はそのまま意識を失って倒れ込むと、
梓から離脱した瑛太は
軽く痙攣している梓を見つめながら
「楽しかったよー木森さんー」と、そう言葉を口にして
そのまま立ち去って行ったー。

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バイト先の先輩ー、堀坂 美恵(ほりさか みえ)から、
憑依薬を渡されたのは、先月のことだったー。

面白い話をいつもしてくれる女子大生の美恵が、
”こういうの、木森くん好きそうだよね?”と、
そう言葉を口にしながらくれたのが、この”憑依薬”だったー。

最初は戸惑いながらも瑛太は
その魅力に取り憑かれるようにして、
憑依薬を使い始めた。

”好きに使っていいけど、2つだけ条件があって、
 「誰にもこのことを言わないこと」
 そしてもう一つは「わたしに憑依しないこと」ー
 これだけ守ってくれる?”

美恵には、最初にそう言われているー。

”わたしは、憑依薬の存在知ってるから、
 意識が飛んだら、増山くんがわたしに憑依したって
 すぐに気づくし、絶対に憑依しちゃダメだからね?いい?”

確かにそれは美恵の言う通りだったー。
美恵に憑依したまま身体を乗っ取り続けたり、
美恵の身体で楽しんだ後に、憑依したまま命を絶たせるようなことをすれば、
”対処”する方法がないわけではない。

ただ、瑛太も人の命を奪うような憑依をするつもりはなかったし、
美恵に憑依しなくても、色々と憑依したい相手はいたために
その約束は守って、”お楽しみ”を続けていたー。

「ーーへへへへ♡ えへへへへへー」
今日は、文化祭実行委員の時に世話になった
先輩の女子生徒・石山 紅葉(いしやま もみじ)に憑依して
お楽しみの時間を堪能していた瑛太ー。

紅葉は、”癒されるような声”の持ち主で、
その声で卑猥な言葉を口にしたり、
男言葉で話したりすることに瑛太はハマっていたー。

「ーぐへへへへ この身体は俺のものだぜ…!へへへ」
紅葉の”声”でわざとそんな言葉を口にしては
ニヤニヤと笑みを浮かべる。

「わたし、痴女なの~ふへ へへへへ♡」
そんな言葉を口にしたり、
とんでもない単語を口にさせたり、
お楽しみを続ける瑛太ー。

けれど、”やはり”と言うべきだろうかー。
紅葉の目も他の子のように充血してきて、
やがて真っ赤になっていくー。

「ーーーー…どうして、しばらく憑依してると、
 こうなるんだろうなー…?」
紅葉はそう言葉を口にすると、
「ま、いいかー」と、ため息を吐き出して
そのまま”もう少しだけ”お楽しみを続けたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

毎日のように”夜”に憑依を堪能している瑛太ー。
そんな瑛太のお気に入りの子は
クラスの中でも”瑛太から見て”最も可愛い女子生徒、
桐原 美咲(きりはら みきさ)だったー。

美咲には特に頻繁に憑依していて、
憑依する度に、色々なことを楽しんでいるー。

が、最近は体調を崩して学校を休みがちになっていたー。

”俺が夜に無理をさせてるからかなー?”
瑛太はそんなことを思いつつも、
今日も美咲に憑依するー。

「へへっー」
が、美咲に憑依して立ち上がると、
”想像以上に”体調が良くないことに気付くー。

「ーー……な、何だよー
 桐原さん、結構調子悪いんだなー…」
美咲に憑依している瑛太は、そんなことを美咲の身体で呟くと、
少しの間、胸を揉んだり、
鏡の前でポーズを取ったりしていたものの、
やがて、「ーーはぁ、体調がここまで悪いと、Hな気持ちにもあまりならないな」と、
少し不満そうに呟くー。

そして、そのまま美咲の身体から抜け出すと
瑛太は小さくため息を吐き出すのだったー。

その数日後にも美咲に憑依ー、
さらには1週間空けてもう一度美咲に憑依を試したものの、
いずれも美咲の体調が回復しておらず、
むしろ、体調が”かなり悪い”状態であったため、
瑛太は美咲の身体で”おたのしみ”をするのを
どちらの日も断念していたー。

「ーあ~あ、桐原さんの身体で色々楽しみたいのになぁ」
瑛太は、この日もそんなことを呟きながら学校へと向かうー。

今日も美咲への憑依を試してみてダメだったら、
別のクラスメイト・梓に憑依するかー、などと思いつつ
教室へとたどり着くー。

がー、やってきた担任の先生は深刻そうな表情を浮かべていて、
妙に暗い顔をしたまま、口を開いたー。

「ーー今日はみんなに残念なお知らせしなくてはいけないー」
とー。

瑛太が、
クラスメイト・桐原 美咲が昨夜、息を引き取ったことを知るのは
この数秒後のことだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

聞いた話によれば、美咲の死因は”臓器不全”でー、
その原因は”不明”のようだったー。

臓器不全に陥るにはそれなりの理由がなければおかしいー。
けれども美咲は、既存の病気に当てはまるような原因は
見当たらず、最後まで”理由が分からないまま”
体調がどんどん悪くなっていき、最後には臓器不全により
命を落としたのだと言うー。

美咲本人にも、美咲の両親や周囲にも思い当たる原因はなく、
その理由は謎のままだったー。

が、瑛太には”思い当たること”があったー。
それはー、”憑依”だー。

「ーーま…まさか、俺が憑依してたからー…」
そう思った瑛太は、青ざめながら
翌日のバイトの日に、バイト先の先輩・美恵に対して
疑問を口にしたー。

「あ、あの…先輩ー。
 ”例の憑依”について聞きたいことがー」
バイト中に周囲に人がいないのを見計らって、美恵に対して
そう言葉を口にすると、
美恵は「あ、うんー。いいよ」と、バイトが終わったら話を聞いてくれる、と、
そう言葉を返してくれたー。

約束通り、バイトが終わった後に
美恵から話を聞く瑛太。

「ーー”憑依”ってー、
 ”憑依されている側”に身体の負担があったりしませんかー?」
瑛太がそう言葉を口にすると、
美恵は「え~?どうしてそう思うの?」と、笑いながら言うー。

瑛太はまさか”クラスメイトが死んでしまったから”などとは言えずに、
困惑した表情を浮かべたまま、
「ーーえ、あ、いや…あのー……憑依して楽しんでいる最中に
 憑依してる相手の”目”が妙に充血していたのが気になってー」と、
最もらしい理由を口にするー。

「あ~なるほどね…
 確かに、気になるよね」
美恵はそう言うと、少しだけ表情を曇らせてから口を開いたー。

「確かに、”身体への負担”はあるよー。
 でも、何度も何度も同じ人に憑依しなければ大丈夫。」
美恵のそんな言葉に、瑛太は青ざめる。

「ー…な、何度も憑依するとー?」
瑛太がそう確認すると、美恵は少しだけ笑ってから
言葉を続けたー。

「ーー”憑依”は、される側の寿命を縮めるのー。
 正確に言えば”少しずつ身体に負担が蓄積されていく”感じかなー。
 身体も、脳も、外部から入り込んだ別の存在に
 無理矢理突き動かされるわけだから、
 それが結構大きな負担になるのー。

 まぁ、そうじゃない”憑依薬”もあるみたいだけどー
 わたしの持っているのは、負担があるものだから、
 何度も何度も憑依してれば、その相手の寿命は縮んじゃう」

そんな言葉を全部聞き終えた瑛太は
暗い表情を浮かべながら
「そ、そうですかー…」と、そう言葉を口にすると、
美恵は「どうかしたのー?」と、不安そうに表情を歪めるー。

「ーーあーーー…いえ…」
瑛太は困惑の表情を浮かべながら首を横に振るー。

まさか、クラスメイトが死んでしまったとは言えない。
言ってしまったら、少なくとも美恵からは、
”瑛太がその子を殺したも同然”だと、そう思われてしまう。

それだけは、避けなくてはいけない。

”だ、大丈夫ー言わなければ、誰も気づかない”
瑛太は、自分に何度も何度もそう言い聞かせると、
「2回…憑依しちゃった子がいるので、大丈夫かな~って不安になって」と、
誤魔化す言葉を口にする。

すると美恵は「あははー。2回なら多少寿命は縮んでても、
死ぬのは遠い未来の話だし、気にしなくても大丈夫だと思うよ」と、
悪びれる様子もなく、そんな言葉を口にするのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーー」

翌日ー。
学校に登校した瑛太は、
死んでしまった”美咲”が座っていた座席を見つめるー。

もちろん、そこには美咲はいない。
既に、”憑依”を繰り返されたせいで寿命が縮みー、
美咲は臓器不全で死んでしまったのだからー。

”ーー俺が、殺したー”
瑛太はそう思いながら、大きく息を吐き出す。

精神的に病んでしまった瑛太は
体調を崩してしまうー。

バイト先の先輩・美恵にも言わず、
誰にも憑依のことを言わなければ誰も気付きはしないー。

美咲は”謎の臓器不全”で死んだー。
それだけのことだ。

それだけのことー…。

けれど、どうしても、どうしてもそれが気になってしまい、
瑛太の体調は日に日に悪くなっていくー。

ついに、美咲と同じように学校に行けなくなってしまった瑛太は
ベッドに横たわりながら自虐的に笑うー。

”これってー、あれかな…桐原さんの命を奪った俺への
 バツなのかなー…”

そんなことを思いながらも、
瑛太はどうすることもできずに、
只々、自分を責め続けるー。

”命を奪う”つもりはなかったー。
命まで奪うつもりはー。

ただ、憑依して、
その相手の人生を奪わない程度に遊んでー…
それだけでよかったー
それだけでよかったのにー…

「ーー俺はー…」
瑛太は目から涙をこぼす。

そして、瑛太が息を引き取ったのは
その”翌日”のことだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あ~~~あ…死んじゃった…」
瑛太のバイト先の先輩・美恵は苦笑いしながら
そう言葉を口にしたー。

瑛太が体調を崩したのは、美咲の命を奪ったことの”罰”などではなかったし、
瑛太が精神的に病んだせいでもなかったー。

瑛太も”深夜”に定期的に
バイト先の先輩・美恵に憑依されていたのだー。

美恵は”バイト先で気に入った後輩の男子”に憑依を繰り返している
危険人物で、相手の寿命が縮むことを承知の上で
死ぬまで憑依を繰り返しているー。

ただ、”わたしのせいで死んじゃう子が可哀想だから”という理由で
憑依薬を分け与えているー。

”死んじゃう前に楽しんでね”とー、言わんばかりにー。

「ーーー…また、次の男の子探そっと」
美恵はそう言葉を口にすると、不気味な笑みを浮かべながら
そのまま、夜の街の中へと姿を消したー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

憑依された側の寿命が縮んじゃう憑依薬~★!
厄介な憑依薬デス~!!

でも、瑛太くんみたいな子じゃなくて、
相手がどうなろうと気にしないタイプの憑依人さんには
あまり関係ないかもですネ…★!

お読み下さりありがとうございました~!!

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