念願の憑依に成功した男ー。
しかし、彼は”憑依に向いている”人間ではなかったー。
憑依に成功した喜びを爆発させてしまい、
周囲から変な目で見られてしまう彼ー…
そんな彼の、”喜び”の物語の後日談ー…
※「喜びを隠せない」の後日談デス~!
先に本編を読んでくださいネ~!!
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40代後半の独身男・佐山 研吾(さやま けんご)ー。
清掃業者として働いていた彼は、
掃除中にバケツを倒してしまったところ、
偶然通りがかった心優しきOL・白井 彩夢(しらい あやめ)に
助けられたことで、彼女に恋心を抱いたー。
もちろん、”自分なんかが”振り向いてもらえないことは
理解しているし、その資格もないことも理解していた彼。
しかし、研吾は”憑依薬”を手に入れてしまい、
彩夢に憑依することを決意、
彩夢への憑依を成功させて、その身体と人生を奪ってしまうのだったー。
が、彩夢への憑依に成功した彼は
周囲の人目も気にせず、喜びを爆発させてしまい、
”よっしゃあああああああ!”と叫んで周囲を戸惑わせたり、
妹の萌奈(もな)と一時的に同居しているとは知らずに、
一人でガッツポーズしている場面を見られてしまったり、
失敗続きの生活を送ってしまうー。
ただ、それでもー、
周囲はまさか”彩夢が憑依されている”などとは考えずに、
度重なる大失態・失言を繰り返しても、
なんとかそれらをやり過ごしては来ていたー。
しかしー…
彩夢と同じ部署で働く40代の男性の送別会が
行われることになったその日ー、
彩夢は、ついお酒を飲みすぎてしまい、
完全に酔っ払ってしまったー。
そして、飲みすぎてしまった彩夢に憑依している研吾は
「ーーこいつの身体を乗っ取って、俺は人生逆転したんだ!」と、
その場で叫び、
さらには憑依薬のことも暴露してしまったー。
最後には「へへー、俺は清掃業者として出入りしてた佐山 研吾ですよー」とまで
言ってしまいーそのまま帰宅した彩夢。
その翌日ー
目を覚ますと、彩夢のスマホには
彩夢の発言を心配するメッセージや、
誰かからか、その話を聞いたのか、妹の萌奈からも
心配するメッセージが入っていたー。
「ーーよ、酔っ払ってたので、で、誤魔化せるかなぁ…?」
彩夢に憑依している研吾は、自虐的に笑いながらそう呟くー。
たぶん、無理な気がするー。
でも、この先、彩夢として生きていくことを決めた以上、
なんとかこの状況を乗り越えないといけないのも事実。
「ーー大丈夫だー。今までだって大丈夫だったんだー。
大丈夫だ。よし」
彩夢は、自分に言い聞かせるかのように
そう何度も繰り返すと、
そのまま意を決して会社に向かうー。
せっかく、理想の人生を手に入れたのだ。
ここで屈するわけにはいかないー。
「おはようございます!!」
彩夢は、会社に到着すると、
明るい笑顔を振りまきながら、そう挨拶をしたー。
「ー!」
上司が、困惑の表情を浮かべるも
すぐに「お、おはようー」と、少し引き気味に
そう言葉を口にしたー。
「ーーーーーー」
先日は酔って、おしゃべりになっていた
先輩の北森 麗奈(きたもり れいな)も、
困惑の眼差しを彩夢に向けているー。
「あ、あははー皆さん。そんな顔しちゃって
どうしたんですか~?」
彩夢は明るく振る舞いながらそう言葉を口にすると、
「”憑依”なんてあるわけないじゃないですか~」と、
そう言葉を口にするー。
”憑依”の単語に周囲は困惑した様子を見せると、
「き、昨日のー…そのー」と、先輩社員の一人が言葉を口にしたー。
「ーー自分のこと、清掃業者の佐山さんだってー」
そう聞いて来る先輩社員ー。
「~~~~~」
彩夢は明らかに挙動不審にキョロキョロして、
落ち着かないような表情を浮かべると、
「あ、あ、あの、あのですね。それはですねー。あのですねー」と、
意味不明な反応を示しながら、
ようやく”続き”を口にするー。
「じ、実はー、そのー恥ずかしい話なんですけど、
わたしー、そ、そういう性癖?みたいなものがありまして~~~
そのー、家では一人で
「お、俺は佐山 研吾だ~!」とか、
「わたしは北森 麗奈よ~!」とか、
そ、そういうことをやってるわけなんですよ~ハイー」
彩夢は、苦しい言い訳をしながら、さらに話を進めるー。
「佐山さん、急にいなくなっちゃったじゃないですかぁ?
だから、ほら、その、オカズにちょうどいいと思ってー。
わたしに幽霊が入り込んじゃったみたいなー。
そうー、そういうやつです。
あれです、わたしのHな気持ちを発散するための、はい。です。」
最後の方はもはや勢いだった。
しかしー…
”彩夢が本当に憑依されている”という話よりかは、
まだ、”現実らしい理由”だったからだろうかー。
周囲は「そ、そうだよなー。憑依なんてあるはずないよな」
「びっくりした~~!」などと、そんな言葉を口にしながら
笑い始めるー。
「ーえへへー皆さんの不安が解けて良かったです~!」
彩夢に憑依している研吾も、ホッとした様子で、
そう言葉を口にすると、
”周囲のみんなにどう思われたか”という緊張からか、
喉がカラカラになってしまっていることに気付き、
「ちょっと失礼します~!」と、自販機のあるコーナーへと向かうー。
まだ”始業前”の時間であるため、
別に自販機コーナーに行くことは何も問題はないし、
会社自体、”水分補給はしっかりしましょう”という方針であるため、
休憩などの時間以外であっても、
飲み物を確保しに行くことには、誰も文句は言わないー。
「ふ~~~~~~…」
彩夢に憑依している研吾は、心底安心した様子で
「よっしゃ!!!!」と、小声で言葉を口にしながら
ガッツポーズを繰り返すー。
「一時はどうなることかと思ったけど、
やっぱ、誰も”憑依”なんて現実に起きているとは思わないしなー。
あぁ、よかったー、本当によかったー。
俺の人生はこの先もバラ色だ!
よっしゃ!よっしゃ!!!よっしゃああああ!」
やはり、喜びを隠すことができない研吾ー。
彩夢の身体のまま、購入した缶コーヒーを手に、
「天は俺を見放さなかった!よっしゃ!ありがとう神様!!」などと
そう声を上げるー。
がー
「ーーーーー」
背後に気配を感じて、彩夢がバッと振り返ると、
そこにはー…先輩の麗奈の姿があったー
「ーひ…ひ…ひぇ…」
彩夢は思わず変な声を上げてしまうと、
「ーやっぱり、憑依って本当なの?」と
麗奈は困惑した表情を浮かべながら、彩夢のほうを見つめたー
「ーえ、え、え~~へへ~
そ、そんなことあるわけないじゃないですか~?
わたしはホラー、若くて可愛いOLですよ?」
彩夢が自分を自慢するかのようにそう言うと、
麗奈はじ~っと彩夢の顔を見つめるー。
「ー今、”俺の人生はバラ色だ”って言ってなかった?」
麗奈の言葉に、彩夢は
「ーい、言ってないですぅ…」と、目を逸らしながら返事をするー。
それと同時に、「そのコーヒーも、なんだかおじさん臭いし」と、
麗奈に指摘された彩夢は
「しししししし、失礼な!」と、そう声を上げると、
「こ、コーヒー飲むとおじさんなんて決まり、ど、どこにもないですからね??」
と、明らかに挙動不審な雰囲気のまま、
そんな言葉を吐き出すー。
「ーーそ、それはーそうねー」
麗奈は少し気まずそうにしながら、
彩夢は「とにかく、わたしはわたしです!憑依はー、そのー、個人的な性癖なので
気にしないでください!」と、それだけ言葉を口にすると、
その場から立ち去りながら、再び「よしっ!!よしっ!!!」と、一人で
そう声をあげ始めたー…。
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彩夢は、何とかあの日の飲み会での醜態を
”憑依は性癖”で誤魔化すことに成功し、
そのまま生活を続けていたー。
ちょうど、”行方不明”になってしまった研吾を
オカズに”俺は佐山 研吾だ~!”という
妄想を一人、家で楽しんでいたという性癖ー。
酔っ払ったことで、それを口にしてしまったのだと、
彩夢はそう説明し、なんとか
隠せない喜びから生じた”ピンチ”を脱したのだったー。
「でも、あの清掃のおじさんはどこに行っちゃったんだろうー?」
姿を消した研吾のことを心配する社員。
「ま、まぁ、ほら、アルバイトとかでもあるじゃないですかー
急に、バイトが来なくなっちゃうやつー!
き、きっと、俺、いや、佐山さんはそういう感じで
いなくなったんだと思いますー」
彩夢がそう言葉を口にすると、
「そうかなぁ…?」と首を傾げながらも、
その社員は渋々納得した様子を見せるー。
「ーーーそうですよ!絶対そうです!
ああいうおじさんはほら、急に人生に疲れて
”もう仕事とかいいや~!”ってなっちゃいそうな感じもしますし」
偏見でしかない言葉をそう口にする彩夢ー。
彩夢に憑依している研吾自身も
”元の自分”のことを悪く言っている現状に
少し悲しさを感じたものの、
とは言え、”新しい人生”のためだと、
元自分を、”仕事に疲れて急に職場に来なくなったおじさん”
扱いしていくー。
先輩の麗奈も、困惑した様子で
彩夢のほうを見つめていたものの、
「先輩~!わたしは、わたしですから!安心して下さい!」と、
その自然に気付いた彩夢がそう言葉を口にするー。
周囲は戸惑いながらも、
彩夢は彩夢だと、そう受け入れざるを得ない、という様子で
それ以上は何も言ってこなかったー。
「よしっ!!よしっ!!!上手く行った!
よっしゃあああああああ!!」
彩夢は女子トイレで懲りずにそう声を発すると、
偶然やってきた先輩の麗奈に気付いて、
「あ、あはーーあはははは~
そのー、なんか、買ってた株が爆上がりして、
えへへー」と、株など買っていないのに、
そんな意味不明な言い訳を口にするのだったー。
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彩夢としての人生を再び歩み始めた研吾。
相変わらず、ボロを出してばかりではあるものの、
何とか、それを乗り越えていく生活を続けるー。
そんな中ーー
彩夢は、自宅でコスプレをして、
鏡でその姿を堪能ー、
欲望の限りを尽くしていたー。
「よっしゃ!!へへへへへ…
あぁぁ、こんな可愛い格好を俺ができるなんてー
へへへへへっ!うへへへへへ♡」
メイド服姿で、顔を真っ赤にしながら、
その姿を堪能していく彩夢ー。
彩夢に憑依してから、喜びをつい爆発させすぎてしまって、
色々とボロを出すことも多かったし、
飲み会の時に、憑依のことを自ら暴露してしまった時には
もう”おわった…”と思ったものの、
なんとか、この生活を維持することができたー。
「ーしかし、まさか俺がこんなに可愛い身体になれるなんてなぁー…
俺が佐山 研吾だってことにはこの先も誰も気づかないだろうしー…
へへへへー」
彩夢は下品な笑みを浮かべながら、
両胸を嬉しそうに揉みながら、
欲望の限りを尽くしていくー
「へへへっ!俺が白井 彩夢 へへっ
へへへへっ!
白井 彩夢は俺のものだ!
へへっ!!
へへへへへ♡
よっしゃ!!よっしゃ!!!
人生大逆転だぜ!!
よしっ!よしっ!!よしっ!!!!」
メイド服姿のまま、彩夢が絶対に浮かべないような
下品な笑みを浮かべながらガッツポーズをする彩夢ー。
がーー
その時だったー
「ーーお姉ちゃんーやっぱり、何か変じゃない?」
と、そんな声が聞こえたー
「ーー!?!?!?!?!?!?」
メイド服姿の彩夢が飛び跳ねるようにして振り返ると、
「で、で、出たあああああああああああああ!!!」
と、悲鳴を上げるー。
「ーー出た~…じゃないよー
お姉ちゃんーわたしだよ」
萌奈が呆れ顔でそう言うと、
メイド服姿の彩夢のほうを見つめながら言ったー。
「ーーー…本当に、お姉ちゃん?」
とー。
「ーーはひっ!?も、もちろん!き、決まってるでしょ?」
彩夢がそう言うと、
萌奈はじっと彩夢のほうを見つめながら
「ーー今、”白井 彩夢”は俺のものだー…って言ってなかったー?」
と、合鍵で玄関から入って来た萌奈が、じ~っと、彩夢を見つめながら言うー。
「だ、だ、だ、だからそれはー
お、俺のいや、違うー、わたしの性癖!!!
そう、性癖なの!!!」
苦しい言い訳を叫ぶ彩夢ー。
彩夢を乗っ取った男・研吾ー。
彼の憑依が周囲に知れ渡ってしまうのはー、
もはや、時間の問題なのかもしれないー。
おわり
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コメント
「喜びを隠せない」の後日談でした~☆!
”読みたい”というコメントを頂いたので
1話完結ですが、こうして書いて見ました!!!☆
”続きを読みたい”と思って貰えるのは
嬉しいことですネ~!
お読み下さり、ありがとうございました~~!
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コメント
まさかの…まさかの…
よっしゃあ佐山さんの後日談…続きが見れるとは思ってませんでした!★(*´艸`)笑
感想ありがとうございます~~!★
突然の復活なのデス~!!笑
約1年後に復活っ!☆!★笑
このパターンもあるんですネ!★!☆笑
よっしゃあ佐山さんはあの後なんとか乗り越えてたんですネ(*´艸`)笑
自分も無名さんのカラダにこっそり憑依してコスプレを楽しんでる時に人の気配ないか気を付けますネ(^_-)☆笑
あとコスプレ楽しんで夢中になってる時に配達員さんがピンポン押して再配達にならないように無名さんの上着の位置を確認しておきますネ(^_-)☆笑
上着急いで着て配達員さんに無事に対応して安心した後に…
バニーガールのコスプレしてる時でウサ耳外すの忘れてたってならないように気を付けますネ(*´艸`)笑
デスデス~!!★
1年越しになんとか乗り越えたことが分かりましたネ~~!!笑
わわっ!うさ耳はちゃんと外すのデス!!!