<入れ替わり>守る者と守られる者②~怪物~

①にもどる!

怪物だらけとなって、崩壊した世界ー。

そんな世界で生き延びた二人は、
入れ替わった状態のまま、
今日を、明日を、生き抜いていくー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーー下がってろー」
朱音(仁)は険しい表情を浮かべたまま、
”子供の泣き声がした”という方向を見つめるー。

ここは、かつては賑わっていたショッピングモール。

しかし、今は荒れ果て、人の気配のない
不気味な空間となってしまっているー。

「ーーー髪が邪魔だなー」
ボソッと、文句を口にする朱音(仁)ー。

朱音と入れ替わってから、仁は度々、
朱音の長い髪を”邪魔”だと、愚痴を呟いているー。

がー、朱音の髪を切ろうとはせずに、
ずっとそのままにしていたー。

”そんなに邪魔って言うなら、切ってもいいですけどー”と、
以前、仁(朱音)はそう言ったものの、
”ー借りた身体で、勝手なことするわけにはいかないだろ”と、
そんなことを口にしていたー。

そうこうしているうちに、”奥”から
子供の泣き声が聞こえてきたー。

「ーーあれかー」
朱音(仁)が、背後にいた仁(朱音)にそう言葉を口にすると、
仁(朱音)は静かに頷くー。

「ーったくー、これ以上の子守りはごめんだぞー」
朱音(仁)はそう言いながらも、子供の泣き声がする方向へと
近付いていくー。

途中、”怪物化した”人間が2体飛び出して来たものの、
躊躇なく、そのうちの一体を朱音(仁)は葬り去るー。

そしてー、もう1体はセーラー服を着たまま怪物化した、
朱音と同じぐらいの年頃”だったと思われる”怪物だったー

朱音(仁)は、一瞬表情を歪めるも、
すぐに怪物の脚を引っかけて、マシンガンで行動不能にすると、
脚に巻き付けていたケースからナイフを取り出して、
それで、怪物の首を切り裂いて始末していくー。

宇宙からの”謎の物質”が原因での怪物化で、
”感染”するようなものではないために、
怪物化した人間を倒す際に、怪物に直接触れたりしても問題はないー。

「ーお前と、同じぐらいの歳の子だなー」
朱音(仁)がナイフをしまいながらそう言葉を口にすると、
仁(朱音)は、寂しそうに怪物化した女子高生の遺体を見つめるー。

「ーーー…”友達”に行き残りはいないのか?」
朱音(仁)が改めてそう言うと、
仁(朱音)は「わたしと一緒にいた子はみんな化け物になってー」と、
前にも説明したことを口にしたー。

とは言え、”一緒にいた子以外”の怪物化を見たわけではないー。
もしかしたら、どこかでまた会えることもあるかもしれないー。

そんなことを思っていると、
朱音(仁)は「ー泣き声はこの先だなー」と、
子供の声がする一角へと向かったー。

がーー
朱音(仁)は、表情を歪めると、
「ーー来るな」と、そう言葉を口にしたー。

「え…どうしてー?」
仁(朱音)がそう言いながら、
朱音(仁)が立っている曲がり角の先を見つめるとー、
そこにはー、巨大化した赤ん坊のようなものが
泣き声をあげていたー。

「ーうがあああああっ!」
直後、物陰から”元は母親だったらしき姿”の怪物が
朱音(仁)に襲い掛かって来たー。

「チッー」
華奢な足で、怪物を蹴り飛ばすと、
「もうちょっとー、足が太い方が戦いやすかったんだがなー」と、
そう愚痴を呟きながらー、
朱音(仁)はそのままマシンガンを、泣いている赤ん坊の
母親らしき怪物に撃ち込むー。

ようやく、沈黙した母親の怪物を見つめながら、
朱音(仁)は、巨大化した赤ん坊のほうを見つめると、
仁(朱音)は、吐きそうな顔をしながら、
「ーなにこれー…」と呟くー。

「だから来るなと言っただろうー」
朱音(仁)はため息を吐き出すー。

そこにいたのは、象ぐらいのサイズにまで巨大化した不気味な赤ん坊ー。

既に”怪物化”した赤ん坊だー。

「ーーーー」
その赤ん坊にマシンガンを向ける朱音(仁)ー

「ま、待ってー!この子はー」
仁(朱音)がそう言い放つも、
朱音(仁)は「ーダメだ。このまま放っておけば”どんな怪物”になるか分からないー」と、
そう言葉を口にするー。

その目は、冷たくー、
けれども、どこか悲しそうな目だったー。

「ーー怪物化した人間は、もう元には戻らないー。
 お前も、これまでよく見てきたはずだー」

朱音(仁)の言葉に、仁(朱音)は悲しそうな表情を浮かべると
「ーー分かってるーでもー」と、そう呟くー。

「ーー気持ちの整理はそう簡単にはつかねぇのは分かってるー。
 でも、俺たちは受け入れて生きていくしかないー」
朱音(仁)はそれだけ言うと、
「ーーそっちに行ってろー。せめて、見たくないもんは見るなー」と、
そう言葉を口にしてから、仁(朱音)が立ち去ったのを確認してから、
朱音(仁)は、マシンガンを怪物化した赤ん坊に向けて、
引き金を引くのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”ーーこうするしかなかったー”

仁は、”殺し屋”として、
次々と裏社会の依頼をこなしていたー。

全てはーー
”高額な治療費が必要な母親を助けるためー”

仁の母親は、
治療が難しい病気で、
治療をするためには海外で最先端の医療を受ける必要があったー。

しかし、そのような莫大な費用は用意することは簡単ではないー。

しかも、父親は交通事故によって仁が中学時代に既に
命を落としてしまっていて、父親を頼ることもできなかったー。

”わたしのことはいいからー、梨桜(りお)をお願いー”
そう言葉を口にした母親ー。

梨桜とは、仁の妹のことだー。

がー、仁はそんな母親のことを見捨てることは出来なかったー。

どうにかして金を稼ぐ方法はないかー。
そう考えた仁は、色々な仕事をこなした上で、
最後には”殺し屋”という道にたどり着いていたー。

”殺し屋”と言っても、仁は一般人を対象にした仕事は
絶対にしなかったー。
裏社会同士の抗争や、凶悪犯の始末、悪徳企業の関係者の始末ー、
そういった”悪人”を殺すー、そんな依頼を中心に
殺し屋として従事していたー。

”罪のない人間の命を奪いたくない”
そんな気持ちもあったし、
”ターゲットが一般人よりも危険人物の方が報酬もより高いから”
と、そんな事情もあったー。

仁は、裏社会の人間を中心に仕留めて、仕留めて、仕留めて、
仕留めまくったー。

がー、それでも、間に合わなかったー。
治療費があと少しで集まるー、そのタイミングで母親は
息を引き取ったのだー。

さらにーー

「ーーー…梨桜ー…」
妹の梨桜が、無残な姿となって発見されたー。

仁が仕事で仕留めた人間の所属していた組織による
”報復”だー。

母親を助けるために”殺し屋”をしていた仁ー。
しかし、そのせいで、妹の梨桜の命を奪われてしまったのだー。

ちょうどー、死んだ梨桜はーー
高校生だったー。

今、仁が守ろうとしている朱音と同じぐらいの歳頃だったー。

「ーー梨桜ー」
ふと、眠りについていた朱音(仁)が目を覚ますと、
「ーーーー”梨桜”さんってーー…大事な人ー?」と、
仁(朱音)が、そう言葉を口にするー。

「ーーー…ーー」
朱音(仁)は、蝋燭の光のほうを見つめながら、
”夢かー”と、妹の梨桜が死んだ日のことを思い出しつつ、
「妹だー。ちょうどお前と同じぐらいの年齢だったー」と、
そう言葉を口にするー。

「ーーーー…ー妹さんもー…怪物にー?」
仁(朱音)がそう言葉を口にすると、
朱音(仁)は「いや、その前だー」と、世界が怪物化により
崩壊する前に梨桜は死んでいたことを口にするー。

「ーーーーーーー」
朱音(仁)は、寂しそうな表情を浮かべながら、
「ー俺は、守れなかったー」と、そう言葉を吐き出すと、
仁(朱音)はどう言葉をかけていいか分からず、
戸惑いの表情を浮かべるー。

そんな反応に、朱音(仁)は、少しだけ笑うと、
「ーーまぁ、今度はヘマをしねぇから安心しろー
 お前のことは、守ってやるー」と、それだけ言葉を続けるー。

仁(朱音)は”この人はどうしてわたしを守ってくれるんだろうー”と、
ずっと思っていたものの、
何となく、その理由を理解した気がして、
「ありがとうー」と、
穏やかな口調でそう言葉を口にするー。

「ーー別に、例を言われるようなことはしてねぇよー」
朱音(仁)は少しだけ照れ臭いのか、目を合わせることなく
そう言葉を口にすると、
「ーにしても、そろそろ食料を確保しないとなー」と、
そんな言葉を口にするー。

朱音と仁の二人が主に隠れている建物には、
それなりの食料が蓄えられていて、
最近はそれを活用していたー。

がー、その食料も少しずつ減っていて、
朱音(仁)が、食料探しに回っているものの、
なかなかストックが増えるほどの食料を発見することはできなかったー。

「ーーーーー」
仁(朱音)が、歩きながら暗い表情を浮かべるー。

「ーーーー…わたしたちー」
ふと、仁(朱音)が言葉を口にするー。

「ーーわたしたち、ーもうすぐ、死ぬのかなー」
仁(朱音)が暗い表情でそう呟くと、
朱音(仁)は少し表情を曇らせながら振り返るー。

「ーー言ったろ?俺が守るってー」
朱音(仁)がそう言葉を口にすると、
仁(朱音)は「ーーうんー……でもー」と、
仁(朱音)は、車一つ通らない大通りを移動しながら、
朱音(仁)のほうを見つめるー。

「ー死ぬまでの時間、稼いでいるだけー…だよねー…」
仁(朱音)が寂しそうに言うー。

周囲を見渡す朱音(仁)ー
既に、街は廃墟ー。
人類の大半が怪物化し、何らかの理由で怪物化を免れた人々も、
怪物たちに殺されるかして、ますます数が減っているー。

「ーーそんなことはねぇー。必ずーー」
朱音(仁)は、そう言いながらも周囲を見渡すー。

人類の大半が”怪物”になったー。
既に社会機能は停止ー、
怪物の数は圧倒的で、怪物を全滅させることは
現実的ではないー。

この状況を根本的に解決するー、なんてことは出来るのだろうかー。

いやー……
世界が元通りになることなど、もうーー

「ーーーーー」
朱音(仁)が、小さく舌打ちをしていると、
仁(朱音)のとても不安そうな表情が目に入るー。

その表情は、妹の梨桜が昔、浮かべていた表情によく似ていたー。

「ーーーーそれでも、生きろー。
 それにー
 ある日急に、宇宙から変なモンが降ってきてこうなったんだー

 だったら逆に、また宇宙から変なモンが降ってきて
 急にいい方向に変わることだって、あるかもしれねぇだろ?」

朱音(仁)がそう言うと、
仁(朱音)は、少しだけ間を置いてから、
わずかに微笑むー。

「ーーー…そんな、都合の良いことー…あるわけないけどー

 でもーーー
 ーーーーーそんなことも…あったらいいなー…」

わずかに希望を取り戻すと、仁(朱音)は、
静かに頷くー。

朱音(仁)も頷くと、
やがて、”人の気配”がする建物を見つけたー。

「ーーー…まぁ、難しいと思うが、
 分けて貰える食料がないかどうか、相談してみるかー」
朱音(仁)が、そう呟くと
仁(朱音)は「乱暴はダメだよ」と、そう呟くー。

「ー分かってるー。力づくで奪おうとはしねぇよ」
朱音(仁)が、蝋燭の光が一瞬見えた建物に近付くと、
少し息を吐き出してから言ったー。

「ー今から女子高生やるから、キモイと思っても我慢してくれよ?」
とー。

「ーえ?」
仁(朱音)が首を傾げると、入口から朱音(仁)は声を上げたー。

「すみません!誰かいませんか…!?」
いつもの喋り方と違う、どこかか弱そうな喋り方で
そう言葉を口にする朱音(仁)ー

どちらかと言うと、元の朱音に似てる喋り方でそう叫ぶと、
「ーーお邪魔しま~す…」と、弱々しそうに呟くー。

「ーー」
仁(朱音)が何か言いたげに朱音(仁)を見ると、
朱音(仁)は、少し気恥しそうに”我慢しろ”とジェスチャーするー。

そしてーー
奥に進んでいくとー、
そこにはーー

「ーーえ」
仁(朱音)が驚くー。

「ーーえっ?」
奥に”人間”がいたー。

そして、その振り返った人間はー、
朱音と面識のある人物ー。

まだ”世界”が崩壊する前に、朱音が所属していた手芸部で
仲良くしていた、”後輩”の女子生徒だったー。

「あ!!!誰かと思えば先輩~~!!!
 あえて、嬉しいです!」

崩壊した世界の中でも、前と変わらない明るさで
朱音(仁)を出迎えたのはー、
手芸部の後輩・雪村 萌愛(ゆきむら もえ)ー。

「ーーーーわ、わたしも会えてうれしい~ 無事だったんだ!」
朱音(仁)は、朱音のフリをしながらそう言葉を口にすると、
萌愛は嬉しそうに「先輩が無事でよかったです!」と、
そう言葉を口にしたー

③へ続く

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コメント

平和な世界に戻りそうにない状態で、
こうして生きていくのは、
とっても辛そうですネ~…!

次回が最終回デス~!

今日もありがとうございました~~~!!

続けて③をみる!

「守る者と守られる者」目次

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