<入れ替わり>入れ替わ離婚①~問題点~

”結婚した夫婦”がお互いに同意の上、
入れ替わることができる”入れ替わり制度”がスタートしたー。

しかし、その後、
各地で”入れ替わりを原因とする離婚”が増え始めてしまうー。

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「ーー離婚はしてやるけど、身体は返さないからなー」

たった今、離婚届に名前を記入した”妻”が
不満そうにそう言葉を口にすると、
”夫”の方が、
「そんな汚らわしい身体ー、もういらないしー」と、
そう言葉を口にするー。

「ーそうかよー。
 ま、好きにしろー。俺はお前の身体で好きにさせてもらうからなー」

妻は、”男”のような口調でそう言葉を口にすると、
不機嫌そうに立ち上がるー。

夫の方も”最低ー”と、そう言葉を口にすると、
記入を終えた離婚届を妻に叩きつけるようにして、
「さっさとそれを提出してきて」と、そう言い放つー。

まるで、男のような振る舞いをする妻に、
女のような振る舞いをする夫ー。

もちろん、”元々そういう人”もいるにはいるけれどー、
二人の場合はそうではなかったー。

二人は今ー、”お互いに入れ替わっている状態”ー。

つまり、妻の中身は夫で、夫の中身は妻ー。
そんな状態だー。

2XXX年に始まった”入れ替わり制度”ー。
それを使って二人は入れ替わった夫婦だー。

”入れ替わり制度”とは、
数十年前に完成した”入れ替わり”の技術を用いて、
今から10年ほど前に導入された制度で、
”婚姻関係にある夫婦”がお互いに同意し、
書類を提出することにより、
”合法的に入れ替わることができる”というそんな制度だー。

もちろん、元に戻ることも可能で、
この制度の導入後、
”入れ替わってみたい”と、そう考える夫婦が
殺到して、一躍、人気の制度となったー。

元々、この世界では既に医療用や、
警察の捜査用など、”入れ替わりの技術”が実用的な部分で
使用されていたものの、
それはあくまでも医療関係者や警察関係者など
”限られた立場の人間”のみが使うことができる入れ替わりだったー。

しかし、10年ほど前に導入された”入れ替わり制度”では、
夫婦関係にあり、お互いが同意さえすれば、
”一般人でも”入れ替わりを経験できるということもあって、
申し込みが殺到、大人気となったのだったー。

政府側としては、
”少子高齢化”がこの時代はさらに進んでいることもあって、
なりふり構わず色々な対策をするようになっていて、
その一環が”入れ替わり制度”だったー。

入れ替わることで、夫婦間の身体の交わりが増えてー、
結果的に子供が増えるのではないかー、という
半ばヤケクソとも言える狙いをもっての、
入れ替わり制度の導入だったー。

しかしー、
たった今、その入れ替わり制度を使って入れ替わった夫婦が
”離婚届”を記入し、それをまさに提出しに行くところだったー。

妻・香苗(かなえ)と、夫・淳二(じゅんじ)は、
元々は仲良しだった夫婦ー。
が、入れ替わり制度を使って入れ替わったあとから、
香苗になった淳二は、香苗の身体で男遊びをするようになりー、
一方の、淳二になった香苗も、会社で後輩から言い寄られて
”浮気”をするようになってしまったー。

結果的に、二人の関係性はボロボロになり、
今日、こうして離婚に至ってしまったのだったー。

「ーーそんな、男を誘うような格好してて恥ずかしくないの!?」
淳二(香苗)が不満そうに言うと、
香苗(淳二)は「うるせーなー。俺の方がお前の身体を
有効活用できてるんだよー。黙ってろ」と、そう吐き捨てて
そのまま家の外に飛び出して行ったー。

淳二と香苗の夫婦はこの日、
”入れ替わりが原因の離婚”に至ったー。

そして、これは、
この香苗と淳二の夫婦だけの問題ではないー。

入れ替わり制度の導入から10年ー。
政府が望んだような、”子供が増える”などという結果にはならずー、
”入れ替わりが原因による離婚”が続出ー、
離婚した夫婦の数が、入れ替わり制度導入以降ー、
右肩上がりで上昇を始めていたー。

香苗と淳二のように”入れ替わり後の相手の振る舞い”に
嫌気がさして離婚してしまうケースもあれば、
”入れ替わって相手の身体を奪う”ことだけを目的に
結婚して、入れ替わったあとにすぐに離婚しようとする
”入れ替わり”を目的とした結婚詐欺のようなものも
横行し始めたー。

とにかく、恐ろしい勢いで離婚が増え始めー、
収拾がつかない状態になっていたー。

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「ーーーーえぇっ…?わ、別れたのかよー?」

数日後ー。

香苗(淳二)から、”離婚”したことを聞かされた淳二の友人ー、
重明(しげあき)が戸惑いの表情を浮かべながら
驚きの言葉を口にするー。

「まぁなー
 アイツだって、後輩と不倫ー…?してるくせに
 俺がこの身体で男と遊ぶことには文句言ってきてさー」

香苗(淳二)は、大学生の頃からの付き合いで、
卒業後に結婚ー、しかし、結果的に3年で離婚することになってしまったー。

「ーーー…いやぁー…なんか、残念だなぁー
 お前と香苗さんが別れるなんて思わなかったしー」
重明がそう言うと、
香苗(淳二)は「おいおいー、今は俺が”香苗さん”だぞー」と、
苦笑いしながら言うー。

「ーーーはぁ、でも、お前も香苗さんも、”そういうやつ”じゃなかっただろ?
 入れ替わったりしなきゃ、お前が男遊びなんてしなかっただろうしー、
 香苗さんも、後輩の女と不倫したりなんてしなかっただろー?」

重明が心底残念そうにそう言葉を口にすると、
「それはーそうだけどさー」と、香苗(淳二)は少しだけ表情を曇らせるー

「それと、俺はやっぱ、香苗さんは香苗さんで、
 淳二は淳二の方が良かったけどなー」
重明はなおも残念そうに続けるー。

「ははー。なんだよー。今の時代、そんな考え方は古いぜー?」
香苗(淳二)が少し苦笑いしながら言うと、
重明は「ーいやぁ、まぁ、それは分かってるけどさー」とした上で、
「ー香苗さんが香苗さんだったときはさー、そんな胸元を見せるような感じの服、
 着てなかったしー、口紅もそんな派手な感じじゃなかったしー」と、
残念そうに呟くー。

「ーーん?ぁ…あぁ、まぁなー」
香苗(淳二)は自分の胸元を見下ろしてから、少しソワソワした様子を見せると、
「それと、”お前の身体”もなー、お前がちゃんと中身だった時のほうが
 よかったよなー。今は妙にかっこつけてる感じで、違和感凄いしー」と、
そう言い放つ重明ー。

「~~~~~~…」
香苗(淳二)は少しだけ戸惑いの表情を浮かべると、
「自分の妻の身体で、そういう格好してさー、楽しいのか?」と、
重明は不思議そうに呟くー。

「ーーーいや……ーーま、まぁー…
 お、お前も女と入れ替わって見れば分かるよー
 色々したくなるんだよー。異性になるってのはー」
香苗(淳二)が言うと、
「ー俺は、相手がいないしなぁ」と、重明は笑うー。

「ーまぁ、でも、俺は結婚したとしても
 相手と入れ替わることはしないかなぁ…
 離婚になったら嫌だしー」
そう付け加える重明ー。

すると、香苗(淳二)は少し考えてから言葉を口にしたー。

「ーそうだ!俺と結婚すりゃ、
 入れ替わりできるぜー?
 お前にも女の身体の楽しさをーー」
香苗(淳二)がそう言うと、
重明は「イヤだよ!身体は香苗ちゃんでも”友達”のお前と結婚するとか無理無理!」と、
そう言葉を口にするー。

香苗(淳二)は苦笑いすると、
「んだよ~、中身に拘るなって」と、そう言葉を口にしてから、
「ーーわたし、香苗だよ?」と、香苗の口調を真似て微笑むー。

一瞬、戸惑うような表情を浮かべる重明ー。

が、すぐに「ダメだダメだ!」と、そう言葉を口にしたー。

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一方の淳二(香苗)も、離婚が成立後したあとは、
”不倫相手”とも言うべき会社の後輩ー、茉莉(まり)の元に
身を寄せていたー。

「ーえへへへー先輩がわたしを選んでくれて嬉しいですぅ」
茉莉が嬉しそうにそう言うと、
淳二(香苗)は微笑むー。

この茉莉は”入れ替わる前”から、香苗に妙に懐いていた子で
”先輩が男だったらな~”などと、口走っていたー。

香苗としては”その時点”で、茉莉と親密な関係になるつもりは
全くなかったし、茉莉のことを恋愛対象として
見ているようなこともなかったー。

もちろん、夫であった淳二と入れ替わり制度を利用して
入れ替わった直後もそうだったー。

その時点では茉莉のことを何とも思っていなかったものの、
やがて”変化”が生じたー。

香苗と入れ替わった淳二が、香苗の身体で”男遊び”を始めたからー…
ーーーではない。

それよりも前に、淳二になった香苗の中には変化が訪れていたー。

それはー、”身体が男になった”ことによる変化ー。
淳二(香苗)は、無意識のうちに、次第に茉莉を異性として
見始めるようになり、ドキドキするようになってしまっていたー。

”香苗”自身、元々無意識のうちに茉莉のことを気にしていて
あくまでも”淳二”の身体になったことはきっかけの一つに過ぎないのか、
それとも、”身体”が男になったことでそれに強い影響を受けたのか、
今となっては淳二(香苗)には分からないー。

けれど、元夫である淳二と入れ替わったりしなければ、
恐らく、こんな感情を抱くことはなかったー。

「ーーーーえへへへー先輩と結婚できるなんて嬉しいです」
後輩の茉莉は、ずっと上機嫌で結婚を急かしてくるー。

この世界ではー、”入れ替わった状態のまま離婚する”ことは
お互いが同意していれば認められていてー、
入れ替わった状態のまま離婚した場合ー、
”身体の性別”で、扱われていくことになるー。

そのため、今の淳二(香苗)が、茉莉と結婚することは
”可能”だったー。

「ーーふふー。中身が女の男でもいいの?」
淳二(香苗)は嬉しそうにそう言うと、
茉莉は「もちろん!先輩がゴリラと入れ替わったとしても、
虫と入れ替わったとしても、中身が先輩なら、わたしは何でもOKです!」と、
上機嫌そう言い放ったー。

しかしーーーー
それから2年後ー。
茉莉と結婚した淳二(香苗)は”入れ替わって見ませんか?”と茉莉から
提案されて、入れ替わりー。

その結果ー…
茉莉に淳二の身体を奪われて、
そのまま逃亡されてしまったー。

茉莉は最初からー、香苗ではなく、
香苗の夫の”淳二”の身体を手に入れることを狙っていて、
香苗になど用はなかったのだー。

茉莉の身体になった香苗は、
一人、絶望しながら”2度目の入れ替わりによる離婚”を
経験することになってしまったのだったー。

そしてー、
香苗と離婚し、香苗の身体で過ごしていた淳二は、
職場で”中身、男のくせに!”という嫌がらせを
女性社員たちから受けるようになり、
元々勤務していた会社を退職ー、
やむを得ず、バイトを始めたものの
そこの店長にも”入れ替わって離婚した人間”だと知られて
”中身、男ならいいじゃん”と身体を触られて退職したー。

入れ替わった状態のままでも、”上手く行く”人間は
この世界でもたくさんいるー。

けれど、淳二はそうなることはできなかったー。

やがて、香苗(淳二)は、
身体を使ってお金を稼ぐようになって、
元の淳二の面影も、香苗の面影も全くと言っていいほどに
なくなってしまったのだったー。

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「ーーー入れ替わりー?」
親友の浩太(由紀)から、”入れ替わり”を勧められた
千夏(ちなつ)が戸惑いの表情を浮かべるー。

「ーーそうそうー!世間じゃ”離婚に繋がる”とか
 よく言われるけど、わたしと浩太なんて
 もう入れ替わって2年だしー、
 そんなに怖がる必要ないってー」

親友の”由紀”は、夫である浩太と2年前に入れ替わってー、
今も円満な状態を続けているー。

そんな浩太(由紀)は、この日ー、
親友の千夏に対して、”入れ替わり”の良さを熱弁していたー。

「え~…でもなぁー…
 修人(しゅうと)は、嫌がりそうだけど~…」

千夏は、自分の夫である修人のことを思い出しながら言うー。

千夏と夫の修人ー、
そして千夏の親友・由紀とその夫の浩太ー。

4人は同じ大学の出身で、それぞれのことをよく知っているー。
結婚した時期もほぼ同じー。

そんな、4人の運命もまた、
”入れ替わり”によって、翻弄されようとしていたー。

②へ続く

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入れ替わりが原因の離婚が問題になっている世界の
物語デス~!!

色々なパターンの”離婚”を描いていきます~!!

続きはまた明日~!★!

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