魔王の側近のサキュバスに身体を
入れ替えられてしまった勇者ー。
勇者は何とか、仲間たちにその危険を
伝えようとするもー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーー」
サキュバス・リリアになってしまった勇者アルヴィンは、
城下町を目指し、森を移動していたー。
ちゃんとした”道”もこのあたりにはあるものの、
そこを通れば”人間”と遭遇してしまい、
人々を怖がらせたり、場合によっては戦いになってしまったり、
犠牲者が出る可能性もあるために、
森を通るしかなかったー。
「ーーーー!」
リリア(アルヴィン)は”魔物”と遭遇して身構えるー。
がー、その魔物は何事もなかったかのように
通り過ぎていくー。
「~~~~~~…」
禍々しい模様のついた妖艶な身体を見つめるリリア(アルヴィン)ー。
”自分も魔物”だから、魔物と遭遇しても、
攻撃されないのだー。
幹部クラスの知性のある魔物たちの場合
”入れ替わり”を知っていれば攻撃してくるかもしれないー。
が、森を徘徊する下級の魔物は、
リリア(アルヴィン)を見て、リリアだと思っているのだろうー。
先程は、跪くような動きを見せる魔物とも遭遇したぐらいだー。
「ーーー…俺はー俺は…サキュバスじゃないー」
リリア(アルヴィン)は悲しそうにそう呟きながらも、
”アルヴィン(リリア)”がいるーー
仲間たちがいる城下町を目指すー。
アルヴィンになったリリアは、”魔王軍”に情報を流しているらしくー、
しかもーー先日、王宮騎士団の一つ”クローバー”が、罠にはまって
壊滅したー。
”アルヴィンになったリリア”の情報を元に、
魔王軍の拠点を攻撃したところ、奇襲に遭い、壊滅したというのだー。
「ーーくそっー…俺の身体で好き放題させてたまるかー」
リリア(アルヴィン)はそう言葉を口にするとー、
「ーーそれにしても、何でサキュバスってこんなーー
動きにくい格好してるんだー」と、不満そうにそう言葉を漏らすー。
魔王の城にも帰れず、かと言って人間のお店に入ることもできずー、
妖艶な格好のまま森を移動することになってしまった
リリア(アルヴィン)は、只々そのことを嘆くことしかできなかったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーー申し訳ありませんでしたー」
勇者・アルヴィンになったリリアは
女王・シャルロッテに謝罪の言葉を口にしていたー。
”自分の手に入れた情報”で、騎士団の一つ、通称”クローバー”が
壊滅してしまったことを謝罪していたのだー。
もちろんー、”アルヴィンになったリリア”は”わざと”ニセ情報を流して
騎士団の一つが壊滅するように仕向けたもので、
今の”アルヴィン”にとっては狙い通りのことー。
「ーいえ。今の状況はアルヴィンー。あなたの活躍あってこそのものですー。
気に病むことはありませんー」
女王シャルロッテは”今までの信頼”から、アルヴィン(リリア)を責めることなく、
そんな言葉を口にするー。
「ーありがとうございますー」
アルヴィン(リリア)は笑みを浮かべるー。
アルヴィンが積み重ねた”信頼”を、アルヴィンの身体で
次第に食いつぶしていくリリアー。
王宮を出ると、城下町の人目のつかない場所で
魔王軍の偵察・連絡手段の”魔蝙蝠”と遭遇して、
魔王デュランからの指示を受け取るー。
「ー魔王様ー騎士団の一つを壊滅させましたー。
ふふーはいー。次も手筈通りにー」
アルヴィン(リリア)が、アルヴィンの見た目に似合わぬ
妖艶な笑みを浮かべながらそう言葉を口にするー。
がーー
その現場をーー
偶然…アルヴィンの仲間であり、幼馴染のエヴァが
目撃してしまったー
「ーーあ、アルヴィンー…?」
震えながら言葉を口にするエヴァー。
「ーーー…!」
アルヴィン(リリア)が振り返るー。
「ーーい、い、い、今、誰とー…?」
エヴァは、”魔王様”と、幼馴染のアルヴィンが言っているのを聞いてしまい、
衝撃を受けていたー。
「ーーーあぁーー…ははー」
アルヴィン(リリア)は、エヴァに近付くと、
笑みを浮かべながら言ったー。
「ーー聞いちゃったんだー」
とー。
「ーーど…ど…どういうことなのー?」
涙目でアルヴィン(リリア)を見つめるエヴァ。
「ー聞いた通りだよー
”俺”はー、勇者アルヴィンは、”魔王様”と手を組んでるんだー」
アルヴィン(リリア)は笑みを浮かべながらそう言葉を口にすると、
エヴァは目から涙を溢れさせながら
「わ、わたしたちをー…みんなを騙してたの!?」と、そう声を上げるー。
「ーーーーー馬鹿な女ー」
アルヴィン(リリア)がそう言葉を口にすると、
エヴァは「ゆ…許せないー…!アルヴィン!!」と、
武器としている弓を取り出そうとするー。
しかしー…
アルヴィン(リリア)は、”勇者の剣”を手にすると、
「ーー勇者の剣で人を斬るなんてー、興奮するわー」と、
小さく囁きながら、エヴァを容赦なく斬り捨てたー
その場に倒れ込むエヴァ。
「ーー”俺”を恨みながら死ぬといいよー。エヴァ」
”アルヴィン”のフリをして、アルヴィン(リリア)がそう言葉を口にすると、
エヴァは”信じていた仲間であり、幼馴染であり、大好きなアルヴィン”に
裏切られた絶望を抱きながら、その場で目を閉じたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーー」
リリア(アルヴィン)は、なんとか城下町にたどり着いていたー。
しかしー、”この姿”では、
そのまま話を聞いてもらうことは難しいー。
「とにかく、”俺”が”俺”じゃないことを伝えないとー」
リリア(アルヴィン)は、”この格好、目立ちすぎるなー”と、
自分の妖艶な格好を見つめるー。
せめて、”町娘風”の服装が出来れば、
城下町内を移動できるようになるかもしれないー。
そう思いつつ、街を移動するー。
がーー
その時だったー。
仲間の一人・槍使いのヨゼフの姿が目に入りー、
リリア(アルヴィン)は希望に満ちた表情を浮かべるー。
「ーーヨゼフー…!」
リリア(アルヴィン)は”ヨゼフ”に信じて貰えれば
どうにかなるかもしれない、とそう思いつつ、
ヨゼフが城下町を出て、付近の丘に向かって行くのを見て、
その後をついていくー。
そしてーー
「ーーヨゼフ!」
リリア(アルヴィン)は、ヨゼフに声をかけたー。
「ーーーあ?」
ヨゼフの目は何故か血走っているー。
リリア(アルヴィン)は「ま、待ってくれ!」と、そう言葉を口にすると、
「ー今、王宮にいるアルヴィンは”敵”だー」と、そう告げるー。
「ーーーーー」
ヨゼフは槍を握りしめながら、唇を噛みしめるー。
「ーーこんな姿だけど、俺がアルヴィンなんだー。
出身の村は、ルーネ村で、お前と最初に出会ったのはー」
リリア(アルヴィン)が、ヨゼフに信じて貰おうとそう言葉を口にするー。
がーーー
”槍”が、リリア(アルヴィン)の真横を裂いたー
「ーー!?!?!?」
リリア(アルヴィン)が間一髪で外れた攻撃を前に、
呆然とすると、ヨゼフは言ったー。
「よくもエヴァを…お前ら全員ー…許せねぇ!」
とー。
仲間の”エヴァ”が死んだー。
エヴァを殺したアルヴィン(リリア)は何食わぬ顔で、
エヴァの遺体を放置ー、
その後、発見されたエヴァの遺体を前に、
涙を流して見せたー。
遺体には”魔力”で細工をして、
魔物による攻撃で死んだ風に見せたー。
アルヴィン(リリア)は、エヴァの遺体の前で涙を流しー、
「エヴァ…必ず俺は魔王を倒すからー」と涙ながらにそう言葉を口にしたー。
みんなー、アルヴィン(リリア)の演技に騙されてしまったー。
ヨゼフもそうー。
「ーーよ、よくもエヴァをってー…?
え…エヴァに何かあったのか!?」
リリア(アルヴィン)がそう叫ぶー。
が、ヨゼフは怒りを爆発させながら
槍で猛攻を仕掛けて来るー。
「や、やめろ!ヨゼフ!やめろって!」
”サキュバス”の身体でどう戦っていいのか分からないー。
しかも、そもそも”リリア”は戦闘専門ではなく、
この身体では勇者の剣も使えないし、手元にもないー。
強いはずの勇者が、狼狽えているー。
自分の身体も、自分の武器も失ったリリア(アルヴィン)に
まともに戦えるはずなどなかったー。
「ーーっ…」
ヨゼフの攻撃を何とか回避しながら、
”髪”を邪魔そうに払いのけるー
”くそっ!戦うには邪魔だなー視界が遮られるー”
リリア(アルヴィン)はそう思いつつも、
必死に攻撃を回避するー。
自分の胸にも手が触れて、苛立ちを覚えながらも、
「ー俺がアルヴィンなんだ!」と叫ぶー。
「ーふざけるな!!!許さねぇ!許さねぇ!」
槍を振るうヨゼフー。
普段から、考えるよりも身体が動くタイプとは言え、
”平時”なら、話を聞いてくれたかもしれないー。
けれど今はエヴァの死によって、それどころではなかったー。
「ーーくたばりやがれ!!」
ヨゼフが倒れ込んだリリア(アルヴィン)に向けて槍を振るうー。
がーー
リリア(アルヴィン)は咄嗟に自分の身を守ろうと、
ヨゼフの腕を掴んでしまったー
「ーーー!」
ヨゼフの腕が、リリアの魔力で”腐敗”を始めるー。
「ーーーあ…ぁ…よ、ヨゼフ!今すぐ俺から離れろ!」
”サキュバス”の魔力を上手くコントロールすることすらできない
リリア(アルヴィン)ー。
さらに、勇者の魂が何らかの作用を起こしたのか、
ほとんどの人間を触れるだけで腐敗させてしまう副次的な作用も起こしていて、
もはや、リリアになったアルヴィンは”人と触れ合うこと”もできなくなってしまっていたー。
「ぁ…ぁ…て、テメェ……」
腐食していくヨゼフが、リリア(アルヴィン)を睨みつけるー。
リリア(アルヴィン)が慌てて駆け寄ってヨゼフを助けようとするもー、
ヨゼフに触れたことで、さらにヨゼフは腐敗してーー
そのまま恨みに満ちた目を向けながら、溶けてしまうーー
「ーーーよ、ヨゼフー…!
う…うあああああああっ!」
リリア(アルヴィン)がその場で頭を抱えるー。
そしてー、エヴァも既にこの世にいないことを知ったのは
そのすぐ後のことだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
魔王城ー。
”ーー魔王様ー王宮騎士団の”ローズ”をルーメン海岸へと
誘導したわー。”
アルヴィン(リリア)からの連絡が入り、
魔王デュランは「ご苦労ー」と、そう言葉を口にするー。
そして、魔王デュランは思わず苦笑すると、
「我に歯向かっていた勇者の身体で、そのような報告をさせるとー
実に愉快だなー」と、そう言葉を口にするー。
”また何か分かったら連絡するわねー魔王様ー”
アルヴィン(リリア)は、アルヴィンの顔で妖艶に微笑むと、
そのまま連絡を終了するー。
「ー王宮騎士団の精鋭部隊、通称”ローズ”が
ルーメン海岸へとやってくるー
魔界呪術師アリス、魔界戦士ブロンー。出番だー」
魔王デュランは、入れ替わり前に既に倒された
魔界剣士デスサタンを除く3大幹部の残る二人に指示を下すー。
「ーーえへへーようやくあたしの出番ねー」
小柄な魔界呪術師アリスが笑うー。
「ーー俺の拳で剣と鎧ごと叩き割ってくれるー」
魔界戦士ブロンが自身に満ちた表情で、そう宣言するー。
二人を、”勇者の身体で罠にはめた”騎士団壊滅のために派遣すると
魔王デュランは満足そうに笑みを浮かべたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーー」
リリア(アルヴィン)は、アルヴィン(リリア)の姿を見つけて、
その様子を観察していたー。
アルヴィン(リリア)は、魔王軍に情報を流しているー。
しかも先ほど、”ローズ騎士団”が、嘘の情報に騙されて
ルーメン海岸に派遣されたー
”くそっー何とか危機を伝えないとー”
そう思ったリリア(アルヴィン)は、女王シャルロッテに接触しようとするー。
しかし、リリアの身体では、それも難しい状態だったー
「ーー俺は勇者だぞー?」
アルヴィン(リリア)が、城下町の酒場でそんな言葉を口にして、
”金を払わずに”飲食しているのを見つめるー。
”ーーふざけやがってー…絶対に許さないー…”
リリア(アルヴィン)は物陰でその様子を見つめながら
怒りの形相を浮かべるー。
”勇者”の権力を、弱き民に振りかざしている様子の
アルヴィン(リリア)ー
そんな様子を怒りに満ちた目で見守るリリア(アルヴィン)ー
そうこうしているうちに、ふと”ある光景”を、
リリア(アルヴィン)は目撃したー。
「ーーー!」
「ーールーメン海岸に向かったはずじゃなかったかしらー?」
アルヴィン(リリア)が人通りのない場所で、
魔王軍三大幹部の一人、魔界呪術師アリスと接触していたー。
「ーえへへー勇者と入れ替わったあんたの様子が気になって
寄り道したのー
それにしてもー、ホントに勇者になっててすごいねぇ」
魔界呪術師アリスがそんな言葉を口にしながら笑うー。
「ーーふふー」
アルヴィン(リリア)がご機嫌そうに笑うー。
そんな光景を物陰から見つめながらーー
リリア(アルヴィン)は、”ある作戦”を思いつくー
それはーーー
”ーー”俺”が魔王軍の幹部と接触しているこの場面をーー
他の人に目撃して貰うことができればー…”
そう思ったリリア(アルヴィン)は
咄嗟に声をあげたーーー
「ーー勇者が、魔王の手下と一緒にいるぞー!!!」
と、街の人々がいる方向に向かってー
”俺が裏切者扱いされようが構わないー
とにかく、”俺”を止めないとー”
そう、思いながらー。
③へ続く
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次回が最終回デス~~!☆
勇者さまが身体を取り戻せるのかどうかは…
明日のお楽しみデス!★
今日もお読み下さりありがとうございました~!!!

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