<憑依>無罪を勝ち取れ!②~法廷~(完)

憑依されている間に数々の罪を犯してしまったー。

そんな彼女は無罪を勝ち取り、
自分に憑依していた男を見つけ出すために、
親友や弁護士と協力して、戦いに身を投じていくー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「わたしは、茜のことずっと信じてたからねー!」
親友の美咲が、
茜の元に面会に訪れてそんな言葉を口にしたー。

「うんー色々力になって貰って本当にありがとうー」
茜はそう言葉を口にするー。

弁護士の梨沙の力添えもあり、
茜は”自分が憑依された瞬間”の映像を
入手することに成功していたー。

加えて、弁護士の梨沙が
実物の憑依薬を入手、法廷でそれを証明してくれる約束もしているー。

「ーーーこれでもまだ信じてもらえるかは分からないけどー」
茜がアクリル板の向こうにいる美咲に向かって笑うー。

美咲は「でも、それだけ証拠が集まっているならー」と、
そう言葉を口にするも、
茜は「ー”憑依”されて罪を犯した例なんて今までないしー…
そういうのを証明するのは大変だって、弁護士さんも言ってたからー」と、
少し寂しそうに言葉を口にするー。

”身体”で言えば、茜が罪を犯してしまったのは
紛れもない事実ー。

けれど、”中身”で言えば、茜は何もしていないー。
茜には”男”が憑依していたのは事実だし、
茜自身も”身体を勝手に使われた被害者”と言えるー。

盗まれた車が犯行に使われた場合、
逮捕されるのは、車を盗み、それを犯行に使った人間のほうだー。
車の元の持ち主が捕まることはないし、罪に問われることはない。
何故なら、元の持ち主は被害者なのだからー。

だからー、茜もー
きっと、無罪を勝ち取ることができると信じているー。

”盗まれたわたしの身体”が犯行に使われたのなら
捕まえるべきは、”盗んだやつ”なのだー。
身体の元に持ち主のわたしが逮捕されて、
こんな目に遭って、身体を勝手に使っていた人間が
今も世の中に解き放たれている状況は絶対におかしいー

「ーーー…でもーーー」
茜は、少しだけ表情を曇らせるー。

「ー憑依されていたとは言っても、”わたし”に家族を
 奪われたりした被害者の人のことを思うと複雑かなー…」
茜はそう呟くー。

茜は悪くはないー。
でも、被害者からすれば”茜”はやっぱり憎いと思うー。

中身が違うとは言え、茜に家族の命を奪われたのだからー。

身体を支配されていたとは言えー、
そう簡単に気持ちの整理ができるものではないことは、
茜にもよく分かるー。

でもーー

「ー本当の犯人を捕まえないと、
 被害を受けた人たちも、本当の意味で前に進めないと思うからー」
茜はそう言葉を口にすると、
自分のためにも、死んだ人たちのためにも、遺族のためにも、
そして、この先ー、”同じように憑依される人が生まれないように”するためにもー、
負けるわけにはいかなかったー。

「ーーー茜、もし無罪を勝ち取ることができたらー、
 また一緒に色々遊びに行ったりしようねー」
親友の美咲のそんな言葉に、茜は優しく微笑むと
「うんー。わたしは絶対に、みんなのところに戻るからねー」と、
美咲や、美咲以外の友達のところに戻る決意を
改めて口にするー。

美咲以外の友人たちは、今は”茜”のことを信じてくれていない子も
多いけれどー、
それでも、美咲は無罪を勝ち取ればまた、元の生活に戻ることができると
そう信じていたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーーーー」

茜に憑依して、数々の罪を犯した男ー…
荒木 英輔(あらき えいすけ)は、笑みを浮かべながら
”茜”に憑依している時の自分の映像を見て、
ニヤニヤとしていたー。

「ーへへーこの女、本当に最高だったよなー
 喘ぐ声もエロかったしー」

そんな言葉を口にしながら、彼は、
憑依されている最中に”自撮り”した、茜のHな映像を見て
ニヤニヤと笑うー。

「ーーさて、とー…
 明日はあの女の”裁判”だったなー」
英輔はそう言葉を口にすると、カレンダーを見つめるー。

”憑依されていることを証明して、無罪を勝ち取ろうと”しているようだがー、
そんなことは無駄だー。

世間は”憑依”なんて信じやしないー。
それにーーー

英輔は邪悪な笑みを浮かべるとー
”今、憑依している身体”で、笑うーー。

今も、彼は”他人”の身体を奪って生活しているー。

彼にとって、憑依は快楽ー。
自分の身体でなければ、何をしても、許されるー。

憑依薬との出会いは、英輔の人生を大きく変えたー。

「ククククー…やっぱ憑依は最高だぜー」
英輔は”女”の声でそう言葉を口にすると、
自分が憑依している間の茜のHな映像を見て、
女の身体で興奮するのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

裁判が始まるー。

弁護士の梨沙と、茜は事前に最後の打ち合わせをして、
手筈通りに”憑依”されていた証明ー、
そして、”憑依薬”の実物を手に、
それを実演しようとするー。

裁判が始まりー、
茜は不安そうな表情を浮かべたまま、
検察官の質問に答えるー。

茜は「嘘のような話ですが、わたしは身体を乗っ取られていましたー」と、
今までの主張を繰り返すー。

そしてー、弁護士の梨沙は、
”憑依”に関わる重大な証拠映像をこの場でお見せしたいと、
裁判長にそう伝えたー。

茜は緊張した様子でそれを見つめるー。

”茜が憑依された瞬間の映像”ー。
それが、法廷に流れ始めるーーー

「ーーー!?」

ーーーはずだったー。

「ーーえ」
茜は思わず声を上げるー。

梨沙が裁判長に申請して、
法廷に流し始めた映像はー、
以前面会の際に梨沙が見せてくれた
”茜が憑依された瞬間”の映像ではなかったー。

”ーーわたし、”憑依されていた”ってことにするのでー
 弁護士さんも、力を貸してもらえませんかー?”

茜が悪そうな笑みを浮かべながら、そう言い放つ映像ー。

「え…なにこれー…」
呆然とする茜ー。
茜に、そんな記憶は当然ないー。

だがーー
これはーー
”茜”に男がまだ憑依している間に撮影された”自撮り”の映像ー。

弁護士の梨沙はその映像を”わたしと彼女が話した時の映像です”として
法廷に流し始めたー。

「ーー…ど、どういうことですかー!?」
茜が声を上げると、
梨沙はニヤッと笑みを浮かべたー。

”ーークククー馬鹿がー。俺の今の身体は、この女の身体なんだよー”

弁護士の梨沙はーー
”茜に憑依していた男”に憑依されていたー。

茜の見方をするフリをして、
茜を希望から絶望のどん底に叩き落とす様子を見るために、
弁護士・梨沙に憑依して茜に近付いたのだー。

「ーー彼女は、わたしにこのように依頼してきましたー。
 本来であれば、弁護人であるわたしは彼女の依頼通り
 ことを進めるべきでしたがー、
 今回はーーこのまま見過ごすことは出来ず、
 事実をありのままに、こうして報告させていただきますー」

梨沙はそう言葉を口にするー。

映像の中の”憑依された茜”は、
”わたし、可愛いですしー?世間は悲劇の主人公として
 わたしを無罪にしてくれるかもー。
 人間なんてー、馬鹿ばっかりなんだからー”と、
ゲラゲラと笑っているー

あまりにもひどい態度だー。

法廷がどよめくー。
やはり、”この女はとんでもない女だと”
茜に視線が注がれるー。

「ーーーーーー」
茜は、親友の美咲が紹介してくれたはずの弁護士・梨沙の
裏切りに心底ショックを受けるー。

そしてーー…
美咲が紹介してくれた弁護士が、敵だったということはーー
美咲もーーー

「ーーー待ってー」
その時だったー。

法廷の扉が開き、茜の親友・美咲が乱入してきたー。

「ーー美咲ーー…?」
茜が涙目で美咲の方を見ると、
美咲は「ーー茜が”憑依”されていたのは本当ですー」と、
そう言葉を口にするー。

さらにどよめく法廷ー。
部外者である美咲の乱入に、
裁判長が退廷を促すー。

がー、美咲は弁護士の梨沙を指差して言ったー。

「ーー今、その弁護士さんがー、
 茜に憑依していた男に”憑依”されていますー」
とー。

「ーーー!?」
梨沙は表情を歪めるー。

法廷がどよめく中、梨沙は「な、な、何を言っているのー?」と、
そう言葉を口にするー。

美咲は、茜の方を見つめると、
「これが、その証拠ですー」とタブレットを掲げて、
それを見せ付けたー。

そこにはーーー
弁護士の梨沙が自宅で、
”「ククククー…やっぱ憑依は最高だぜー」”と一人呟いたり、
胸を揉んだり、自分のことを”この女”と呼んだり、
茜に憑依している際の映像を自分で見ているシーンーー
それらが映し出されていたー

「ーこ、こ、こんなものー…!
 いくらでも合成でもCGでも、何でも作れるでしょ!」
梨沙がそう叫ぶー。

親友・茜の”わたしは憑依されていたの”と言う言葉を信じ、
弁護士を探すのも手伝った美咲ー。

美咲は、”憑依されている梨沙”とグルではなく、
何も知らずに梨沙に茜のことを依頼したー。

がー、後に美咲は”梨沙の様子がおかしい”ことに気付いたー。
そして、茜の代わりに梨沙と会ううちに、
話し合いと称して、梨沙の自宅兼事務所を訪れて、
その際に隠しカメラを設置して、梨沙の様子を録画したのだー。

さらにーーー

「ーーーこれが、”憑依薬”ですー」
美咲はそれを掲げたー。

裁判長が表情を歪めるー。

「ーーーこれを飲むと”他人に憑依”することができるようになりますー。
 非常にーー危険な薬です」
美咲はそう言いながら、梨沙の方を見るー。

「ーーーーっ」
梨沙は表情を歪めながら、
「そんなものーそんなもの知らない!」と、そう叫ぶー。

梨沙の自宅兼事務所を訪れた際に、美咲は”憑依薬”の手がかりを見つけ、
親友のために身の危険を顧みずに”憑依薬”を入手していたのだー。

「ーーーこれを”調べれば”分かることですー」
美咲が梨沙に向かってそう言うと、
梨沙は表情を歪めながら「ーー貴様!ーーこの俺を騙したな!」と
感情的になって声を荒げるー。

が、すぐにハッとしながら周囲を見つめると、
梨沙は「ーーー…こ、こんな外部の人間の言うことを信用しないでください」と、
法廷にいる人間たちに向かってそう言葉を口にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

後日ー

弁護士の梨沙は、茜の弁護から降りて、
そのまま行方を晦ましたー

”今の状況で梨沙を解放して「記憶がない」などと言われると
 分が悪い”と判断したのか、
男は梨沙に憑依したまま姿を消していて、
美咲から警察に提出された”憑依薬”を元に、
”参考人”として話を聞くべく、警察は梨沙を追っているー。

もちろんー、”茜”の無罪が今の時点で証明されたわけではないー。

しかし、茜にとっては非常に大きな大きな一歩と言えたー。

「ーーー…わたし、美咲のことも疑っちゃったー。
 ごめんねー」

面会にやってきた美咲にそう呟く茜ー。

弁護士の梨沙に裏切られたと知った時、
梨沙を紹介してくれた美咲も”グル”だとそう思ったのだー。

美咲は少しだけ笑いながら、
「わたしが茜でも、同じことを思ったと思うから、気にしないで」と、
そう言葉を口にしたー。

「ーー今、警察でも”憑依薬”のことを調べてるからー、
 このまま上手くいけば、茜は絶対、無罪を勝ち取れるー。
 
 だからー、諦めないでー」

美咲のその言葉に、茜は「うんー」と頷くー

ただー、茜にとっては”あること”が心配だったー。
それはー”美咲”が憑依されてしまうのではないか、と言うことー。

弁護士の梨沙に、茜に憑依していた男が憑依していたのなら、
あの日、法廷でそれを暴かれた男は、
報復として美咲に憑依しようとするのではないか、と、
そう思ったのだー。

しかし、美咲は笑ったー。

「ーー言ってなかったっけー?
 わたし、親が警察の”偉いところ”にいるからー」

とー

「ーーえっ?」
茜は少し驚きながらも「き、聞いてないよ~そんなこと」と、笑うー。

美咲はクスクスと笑うと、
「ーーお父さんに事情を説明して、今は守って貰ってるから、
 もし憑依されても大丈夫ー。
 わたしの様子がおかしくなったら、すぐにわたしごと捕まえるように
 お願いしてあるからー」と、そう説明したー。

「ーーーーそ、そっかーなんだかすごいねー」
茜はそれだけ言うと、美咲は「まだ、無罪を勝ち取れたわけじゃないけどー」と、
そう言葉を口にしてから、茜の方を見つめると穏やかに言葉を口にしたー

「ー無罪を勝ち取るその日まで、
 そして、茜に憑依した人を見つけ出すまで、頑張ろうねー」
とー

「ーーうんー」
茜は、きっと”ここから出ることができる”日が訪れるとそう信じてー
希望を抱きながら静かに頷くのだったー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

無罪を勝ち取る…ところまで描く予定ではなかったので
ここまでデス~~!★
(打ち切りエンドじゃなくて、最初からこの予定ですからネ~?笑)

お読み下さりありがとうございました~~!★!

コメント

  1. TSマニア より:

    無罪を勝ち取るまで時間かかりそうですネ!

    憑依男は憑依薬ある限り乗り換えれるから難しそうですネ(-_-;)

    自分も憑依薬も欲しいのデス(*´艸`)笑

    憑依薬飲んでお気に入りのレースクイーンの娘に憑依してセクシーな衣装着てこの時期はレースないので屋内でオートサロンなどコンパニオンのお仕事したいのデス笑

    • 無名 より:

      感想もありがとうございます~~!★!

      憑依薬を手に入れたら…
      TSマニア様もだんだんと欲望に飲み込まれて
      大変なことに…★!

      • TSマニア より:

        犯罪はしないですよ!笑

        オートサロン2日目は違うレースクイーンの娘に憑依してちゃんとお仕事するので無名さんも会いに来てくださいネ(^_-)☆

        分散するので安心してくださいネ♪♪笑

        暴走気味になるのは無名さんの優しさに甘えちゃってるからなのデス笑

        メンゴなのデスm(._.)m

        ちょっとだけサービスしちゃいます(*´艸`)笑

        エヘヘ(*´∀`)♪笑

        • 無名 より:

          わわわ~!★
          私以外の人に憑依しているTSマニア様を
          観察するのも楽しそうですネ~!

          私には遠慮なく欲望をぶつけて下さいネ~笑

          • TSマニア より:

            人前に出たらきちんと常識人に戻りますのでコンパニオンガールのちゃんと仕事しますし笑

            絶対領域ギリギリまでくらいのサービスやセクシーなポージングして無名さんに向けてウィンクするくらいなのデス(*´艸`)笑

          • 無名 より:

            わわ~!☆

            入れ替わった状態で人前でちゃんとしているTSマニア様を
            観察するのもまた楽しそうなのデス…!

          • TSマニア より:

            オートサロンのお仕事きちんとこなしたら頑張ったご褒美にレースクイーンの娘のお家にも入って

            姿見の前で1人ファッションショーして 

            姿見をベッドの前に移動してレースクイーンの娘のカラダを味わいながら気持ち良くなっちゃうのデス~\(^o^)/笑 

            わわわ~!☆(*´艸`)笑

  2. 匿名 より:

    面白い展開でした!

    良ければ茜が憑依されて体を好き勝手使われていた時の話も見たくなりますね。

    • 無名 より:

      ありがとうございます~~~!★

      「無罪を勝ち取れZERO」とか、
      書けちゃいそうですネ~!!

      前向きに考えます~~!★