”成人式には出ない”
そう言い出した娘ー。
しかし、そんな娘を前に母親は、
”それなら、わたしが代わりに出たいー”と、
とんでもないことを言い出すのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
柴山家ー。
長女の柴山 奈美(しばやま なみ)は、
今年、成人式を控えていたー。
が、そんなある日、奈美はふと言葉を口にしたー
「お母さん~わたし、成人式行かないから~!」
とー。
そんな言葉を娘の奈美から聞かされた母親の琴絵(ことえ)は、
「え?行かないの?」と、そう言葉を口にしたー。
「ーうん~だって怠いしー、
仲いい子とは、成人式行かなくても普通に連絡取れるからね~」
奈美はそんな言葉を口にするー。
わざわざ、再会するつもりのない相手に会いに行くのも怠いし、
市長だか誰だか分からないケド、
そういう人の、テンプレートのようなお話を聞くのも面倒臭い、と、
そんな風に説明したー。
さらにー、可愛らしい見た目の奈美ー。
自分でもそれを自覚しているのか
”そういう集まりに行くと、面倒なのが寄って来るからー”とも、
言葉を口にしたー。
「ーえ~…そんなものなの?
わたしなんか、今からでももう一度成人式に出たいぐらいなんだけど~」
母・琴絵が笑いながら言うと、
奈美は「えぇ~!?じゃあ、お母さんがわたしの代わりに行きなよ~」
と、冗談を返すー。
それを聞いていた次女・妹の明日香(あすか)が笑いながら、
「あはは!お母さんの年じゃ無理でしょ!」と、そんな言葉を口にするー。
現在、高校3年生の明日香はショートヘアーの活発なタイプの子で、
思ったことをハッキリと口にする、そんなタイプの子だー。
その明日香に”お母さんには無理~”と、ハッキリと断言されて
ほんのちょっとだけムッとした母の琴絵ー。
けれど、そんなことで不機嫌になっても仕方がないし、
琴絵も笑いながらその言葉を流すー。
「ーま、とにかくわたしは成人式にはいかないからね!」
長女の奈美はそれだけ言うと、そのまま自分の部屋に戻っていくー。
「はいはいー」
母・琴絵はそんなことを言いながらも、内心では
”もったいないなぁー、本当にわたしが代わりに行きたいぐらい”などと
呟くー。
勿論、それを強要するつもりはないー。
娘の奈美が”成人式に行くつもりはない”というのであれば、
それはそれで個人の自由だし、
面倒だと感じるのも、行きたいと感じるのも
人によって違うことは、母・琴絵もよく理解しているー。
「ーーあはははー
でもまぁ、お姉ちゃんの気持ちも分かるかなぁー
わたしもそういうの面倒臭いしー」
妹の明日香も、そんな言葉を口にしながら
自分の部屋の方に戻っていくのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その日の夜ー。
「ーーーえ…」
特に用事があったわけではないものの、
なんとなくスマホでネットを眺めていた母の琴絵はー、
”あるもの”を見つけてしまったー。
それは、”他人に変身することができる指輪”ーー
「ーーーーー…どうせ嘘でしょ?
変身なんかできるわけないしー」
琴絵は、そんなことを思いつつも、その指輪の説明を
読み漁っていくー。
若い頃から、好奇心旺盛だった母・琴絵ー。
結婚して、二人の娘の母親となった今でも、
その好奇心旺盛なところは変わらないー。
”他人に変身できる指輪”の説明を読み終えると、
”どうせ嘘でしょ”と思いつつも、
”そうだー”と、あることを思いつくー。
幸い、”変身できる指輪”は、そんなに高いものではなく、
琴絵のパートで稼いだお金で十分に買うことができる範囲内のものだったー。
”オークションでの出品”で限定1個のようだけれども、
”いかにも嘘臭い”ためか誰も入札しておらず、
即決価格も設定されているため、その気になればすぐにでも購入できるー。
「ーーーーーーー…出品してる人、評価はいいのよねー」
母・琴絵は、出品者の評価を確認すると、
”変身なんかできるわけないけど、ダメでもみんなに迷惑を掛けちゃうわけじゃないから”と、
その指輪の購入を決断ー
”他人に変身できる指輪”を、オークションサイトで
落札するのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
成人式の日を目前に控えたその日ー。
母・琴絵は長女の奈美に対して突然、
とんでもないことを言い出したー
「ーーは…?え?今、なんてー?」
奈美が戸惑いの表情を浮かべるー。
「ーふふ、だからー、わたしが奈美の代わりに
成人式に行ってもいい?」
琴絵のそんな言葉に、???な表情を浮かべる奈美ー。
その会話を聞いていたソファーに座ってスマホをいじっていた妹・明日香は
思わず笑うー。
「ーあはははーお母さんってば~
流石に無理があるでしょー?
お姉ちゃんの姿に変装でもするのー?」
明日香のそんな言葉に、
母・琴絵は苦笑いしながらも、
真剣な表情で、奈美の方を見つめるとー、
「お願い!奈美の代わりに奈美として成人式に行きたいの!
あの空気、一生に一度しか味わえないし、
行かないなら、どうせならわたしがもう1度、成人式に出たいの!」
と、そうお願いしたー。
「ーーちょ、ちょ、ちょっと待ってお母さんー
べ、別にわたしは成人式行かないからー、
代わりに出席できるならそれでもいいけどー…
さ、さすがにお母さんー…
わたしのフリして成人式に行くのは無理があるでしょー?」
奈美は戸惑いながらそう言葉を口にするー。
しかし、母・琴絵は得意気な表情を浮かべながら言ったー。
「ー”これ”があるから大丈夫ー」
とー。
”他人に変身できる指輪”を指にはめて、
それを自慢げに娘二人に見せ付ける琴絵ー。
「ーーーーーー…何それ?」
奈美が戸惑いの表情を浮かべながら言うー。
”指輪があれば大丈夫”とはどういうことなのー?と、
奈美は思わずにいはいられないー。
すると、琴絵は
「この指輪はね~他の人の姿を見つめながら、指輪を
回転させると、その人の姿に変身できる指輪なのよー?」
と、”指輪”の力を説明したー。
がー、それを聞いた妹の明日香は大爆笑しながら
「ねぇねぇお母さん~そういうよく分からないもの買って
失敗するの、もうやめようよ~!」と、冗談めいた口調で言うー。
しかしーーー
そんな言葉を聞いた母・琴絵は目の前で次女の”明日香”の姿に
変身してみせたー。
光のようなものに包まれて、一瞬にしてその姿が変わっていくー。
すぐに、母・琴絵の容姿は、次女の明日香と全く同じ容姿になり、
”明日香”に変身したー。
「ーーひっ…!?ええええええええええええええええ!?!?」
明日香が思わず変な声を上げてしまうー。
それもそのはずー
目の前で母親の琴絵が”変身”して、
明日香からしてみれば”わたしがもう一人”という状態に
なったわけだからー
「ーーえ…す、すごいー、お、お母さん…なんだよねー?」
長女の奈美の方が、戸惑いの表情を浮かべながら
”明日香に変身した母・琴絵”に声を掛けるー。
「そうよー。
でも、姿も声も、全部”明日香”のものー
すごいでしょ?」
明日香の姿になった琴絵は、そう自慢げに言うと、
本物の明日香は、心底驚いた表情を浮かべながら
「ーうわっ…完全にわたしそのものじゃんー」と、
呆然としながら、”明日香に変身した琴絵”を見つめているー。
「ーーーそ、そんなに驚かないでよー」
苦笑いする明日香姿の母・琴絵ー。
「ーいや、驚くでしょ!すご…… どうなってるのー?」
本物の明日香がそんな言葉を口にすると、
母・琴絵は明日香の姿のまま、
「ーーこの指輪があれば、奈美の姿に変身して
奈美として成人式も出られると思うの!
だから奈美ー。お願い!」
と、そう言い放つー。
そんな言葉を聞いた奈美は、
戸惑いながらも「ま、まぁー…普通に参加するだけで変なことを
するつもりじゃなければいいけどー」と、そんな言葉を口にしたー。
「ーーーえっ!?えっ!?っていうか凄くない?
ホントにどういう仕組みになってるの?」
妹の明日香は、明日香に変身している母・琴絵を見て
心底物珍しいものを見るようにして、
じーっと見つめているー。
「えっ!?…か、顔と声だけじゃなくて
全部わたしと同じになってるの?
ちょっと脱いでみてよ!」
明日香がそんな言葉を口にすると、
姉の奈美は呆れ顔で「脱がなくていいから!」と、
そう言葉を口にしながら笑うー。
そんなこんなでー…
”娘に変身して、娘の成人式に出るー”
そんな、約束がまとまったー。
「ただいま~」
ちょうどその時、玄関の扉が開き、
父親の喜多夫(きたお)が帰宅するー。
「ーーえっ」
ちょうど、喜多夫からすれば”妻”の琴絵が
娘の明日香に変身した状態ー。
次女の明日香が”二人いる”光景を目の当たりにして
思わず喜多夫が「う、うわっ!?!?」と、声を上げると、
明日香と、明日香に変身している琴絵が
同じタイミングで「おかえり~」と、そう言葉を口にしたー。
「えっ…なんだこれ!?えっ!?!?」
父・喜多夫が戸惑いながら叫ぶー。
そんな様子に、長女の奈美は
「え~っと、これはー……」と、状況を説明しようとしてから
ため息を吐き出して
「ー何て説明していいか分からないから、お母さん、自分で説明して!」と、
そんな言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
成人式当日ー。
「ーーーーあ~~~~~…かわいい~」
母・琴絵は、長女の奈美の姿に変身して、
成人式のための準備を終えていたー。
本来、”見ることができないはずだった”
娘の成人式の装いを鏡で見つめながら、
奈美に変身した琴絵は嬉しそうにそう言葉を口にしているー。
”わたしがかわいい”と、言うよりかは
”娘のかわいい姿を見て”ドキドキしている感じだー。
「ーーー」
奈美本人は、
「なんか、わたしは成人式に行かないのに
自分の成人式姿を見るのって変な気分ー…」と、
そう言葉を口にするー。
「ーー実はお姉ちゃん、やっぱり行きたくなったとか?」
妹の明日香が隣でそう言葉を口にすると、
奈美は「ううんー全然。面倒臭いしー」と、
笑いながらそう言葉を口にしたー。
「ーーははー…それにしてもー
奈美の言う通り、変な気分だなぁ」
父親の喜多夫が苦笑いしながらそう言葉を口にするー。
今日は奈美に変身した”妻”である琴絵を
成人式の会場付近まで送っていく約束をしているー。
「その姿で奈美のフリをされたら絶対分からないもんなぁ」
父・喜多夫のそんな言葉に、
次女の明日香は「わたしは分かると思うケドなぁ~」と、
そう呟くー。
「ーーえ?わたしとお母さんの見分けつくの?」
本物の奈美がそう言うと、
明日香はニヤニヤしながら、
「子供っぽい方がお母さんが変身しているほうで、
冷めてるほうがお姉ちゃんー」と、そう言い放つー。
「ーーー別に冷めてないしー」
本物の奈美が少しだけ不満そうにすると、
喜多夫と、奈美に変身している琴絵はそんな様子を見て笑うー。
「ーーーそれで…何か注意した方がいいことはある?」
今までにも散々二人で話し合いはしているものの、
母・琴絵は再度、”奈美の姿で成人式に出る”にあたって、
気を付けるべきことを確認するー。
「う~ん、基本的なことぐらいかなー。
仲良しな子はみんな出ない子ばっかりだし、
あとはー…成人式ぐらいでしか会わない子ばかりだから
別に、ある程度会話が変でも大丈夫だと思うからー」
奈美がそう言い放つー。
奈美の周辺の仲良しな子は成人式に出ないらしく、
親友の茅原 香織(かやはら かおり)をはじめ、
成人式にはみんな出ないようだー。
”久しぶりに会う子”かつ”今後も会う予定はない”子ぐらいしか
成人式には来ないため、
前と振る舞いが違っても”久しぶりだから”で済むことだし、
その後の人生にも影響はないー。
「ーーそっか、わかったー
じゃあー、行ってくるねー」
最後の打ち合わせを終えると、
娘の奈美に変身した母・琴絵は、
そのまま意気揚々と外に向かって歩き始めたー。
「ーーお母さん楽しそうー」
妹の明日香がそう言うと、
姉の奈美は「楽しんでくれてるならよかったー」と、
それだけ言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「じゃ、また帰りに迎えに来るよー」
会場の近くまで車で、”娘の姿をした妻”を運んできた
喜多夫がそう言うと、
奈美の姿をした琴絵は「うん!ありがとう!」と
お礼の言葉を口にしたー。
そのまま、一旦車で走り去る喜多夫ー。
ワクワクしながら成人式の会場を見つめると
”奈美”に変身した琴絵ー
がーーー
「あ、奈美~~~!」
背後からそんな声がして振り返ると、
そこにはー
”成人式には出ない”はずだった
奈美の親友・茅原 香織の姿があったー
「ーーー来ちゃった♡」
”奈美”のことを良く知る奈美の親友・香織ー。
奈美に変身している琴絵は
「えっ…?」と、戸惑いの表情を浮かべるのだったー
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
娘の成人式に、変身の力を使って
娘として出席するお話デス~~~!!!
今は成人式と呼ばないところも増えてますケド、
まだ、今はこの方が伝わりやすい気がしたので
作中では”成人式”にしてます~!!!
(この先、何年も時代が進めば逆に分かりにくくなるかもですネ~笑)
続きはまた明日デス~!!

コメント