事故に遭い、一度は心停止した娘ー。
しかし、再び心臓が動き出し、娘は”奇跡”の復活を遂げたー。
周囲はその奇跡に喜ぶー。
それがー”憑依された衝撃によるもの”だとは、
夢にも思わずにー…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーふふふ…
ここが、この女の部屋かー」
可愛らしい雰囲気の部屋を見つめながら、
退院して帰宅した麻美が笑みを浮かべるー。
「ーーくくくくーー」
邪悪な笑みを浮かべながら自分の胸を揉み始める麻美ー。
「ーはぁぁ…♡ すっげぇな…… ふふー♡」
心底気持ちよさそうな表情を浮かべると、
嬉しそうに、味わうように、胸を揉んでいくー。
「ーこれからはーーふふ…毎日、触り放題なんてー
くくくくー夢みたいだ」
麻美は夢中になって胸を揉み続けるー。
あまりの気持ち良さに、変な声を出してしまう麻美ー。
「ーーへへへへへ…
これからたっぷりこの身体も堪能させてもらうぜー」
そう言葉を口にしながら、鏡を見つめる麻美ー。
その表情は、女子高生とは思えないぐらいに、
邪悪な欲望に染まっていたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数日後ー。
明日から学校にも復帰する予定の麻美は、
自分の胸を嬉しそうに揉みながら
気持ち良さそうに声を出していたー。
がー、その時だったー。
「ーー麻美~?いる~?」
母・真理恵の声がして、麻美はハッとして手を止めるー。
「ーあ、お、お、お母さんーどうかしたー?」
胸を揉んでいたからか、顔が真っ赤な麻美ー。
そんな麻美を見て、母・真理恵は不安そうに
「麻美ー…?だいじょうぶー?」と、
そう言葉を口にするー。
「え?う、うんー大丈夫だよー
それで、何か用ー?」
麻美がそう言葉を口にすると、
母・真理恵は「あー、ううんー。さっき、麻美宛ての荷物が届いたから」
と、そんな言葉を口にするー。
「ーーあ、うん!ありがと!」
麻美はそれだけ言葉を口にすると「開けてないよね?」と、
母・真理恵にそう確認するー。
「開けてないよー玄関のところに置いてあるからー」
真理恵がそう返事をすると、
麻美は「わかった」と、そう言いながら部屋から
外に出て行くー。
「ーーー」
一人残された母・真理恵は不安そうな表情を浮かべるー。
「今の声…麻美の声だよねー…」
不安そうな真理恵ー。
麻美の”気持ちよさそうな声”ー
もちろん、娘も年頃だし、
”そういうこと”をするのは理解はできるー。
けれどー、なんだかー…
最近は麻美が部屋で一人、何かを呟いていたり、
喘ぐような声が聞こえたりすることがあるー。
それにー…
時々、会話がおかしいし、
行動もおかしいー。
真理恵は不安に思いながら、麻美が去って行った方向を見つめるー。
一方の麻美は玄関にたどり着くと、
ニヤッと笑みを浮かべたー。
このダンボールには
”麻美の身体で着たい”ものー
”麻美の身体で楽しみたい”ものが
それぞれ入っているー。
退院して帰宅した後に、ネットで注文した
お楽しみの数々だー。
「ーーへへー”わたし”可愛いから
何でも似合いそうだもんねー」
麻美はそう言葉を口にすると、下品な笑みを浮かべながら
そのまま部屋の方に戻っていくのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーふぅー」
父・輝夫は疲れた表情を浮かべていたー。
ちょうど、勤務先の部長・上川が、
体調不良で休職となって、
新しい部長が着任したことで、
ドタバタしていたからだー。
そしてー、
”もう一つ”輝夫が疲れている理由があったー。
それは、”麻美の様子がおかしい”ことだー。
退院した初日から、何やら様子がおかしかったー。
記憶がハッキリしないような様子があって、
”大丈夫か?”と確認したところー、
”ちょっと、記憶があいまいなところがあってー”と、
麻美は苦笑いしていたー。
Dr厚谷にも相談したところ、
”事故による、一時的な記憶障害のようなものでしょう”と、
そう説明してくれたー。
事故で、麻美は頭を強く打っており、その影響が
出ているのだとー。
ただ、退院する時点で、脳にはもう異常はなく、
命に関わるようなことはなく、
今後、時間の経過で記憶はハッキリしていくはずだと、
担当医のDr厚谷はそう説明してくれたー。
しかしー、
お風呂が妙に長くなったり、
トイレに失敗したりー、
父・輝夫のことを何度か「松宮」と名字で呼んで
すぐに訂正したりー、
なんだか、おかしいー。
そんな、麻美の様子に
輝夫は強い不安を覚えていたー。
そんなある日ー…
”へへへへー…やっぱ最高だぜー”
麻美の部屋から、そんな声が聞こえたー。
「ーー…麻美…?」
深夜ー。
トイレで目を覚ました輝夫は、
麻美の部屋の前を通った際に、そんな声を聞いたのだー。
”こんな遅くに何を?”
そう思いつつ、悪いとは思いつつも耳を澄ませる輝夫ー。
”はぁ~…コイツ、ホント、メイド服似合うなぁ~”
そんな声が聞こえて来るー。
麻美とは思えないような口調ー
「ーー……?」
輝夫は表情を歪めるー。
”コイツ”という発言から、輝夫は
麻美がぬいぐるみか何かにメイド服を着せているのか、
あるいはゲームか何かをやっているのかと、そう解釈したー。
が、その口調が気になるし、
麻美は今まで夜更かしをするようなタイプじゃなかったー。
「ーー麻美ー…」
がー、深夜に娘の部屋に突然入るのも
悪い気がして、輝夫はそのままトイレへと向かうー。
まさかー
部屋の中で麻美自身がメイド服を着て、
色々なポーズを鏡の前でしながら興奮しているとは
夢にも思わずにー…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーー…娘さんの様子がおかしい?」
Dr厚谷が困惑の表情を浮かべるー。
「ーーえぇ…」
後日ー。
Dr厚谷の元を訪れた輝夫は、そう相談していたー。
夜更かしをするようになったことー、
妙に入浴の時間が長くなったことー、
時折男のような言葉遣いをすることー、
違和感の数々を口にするー。
「ーーそれと、最近、”口が寂しい”と言って
妙にガムを噛むようになったんですー。
今までガムなんて噛まなかったのにー」
輝夫がそう説明すると、
Dr厚谷は考え込むような表情を浮かべたー。
「退院後の検査でも、とりあえず異常は
見られませんでしたがー……」
そう言葉を口にした上で、
Dr厚谷は続けるー。
頭を怪我したり、病気をすると、
人間、人格が変わったり、性格面が大きく変わってしまうことがあるー、と。
また、事故で一度は死にかけたことで、
精神的に強い負担となっていて、ストレスが”行動の変化”に
現れている可能性もある、と、そうも説明したー。
検査の上では、脳に異常はないため
今の時点では、もう命の危険は去ってはいるものの、
何か影響が残っているかもしれない、とー。
「ーー…ただー…あのような事故でしたからー…
娘さんの変化も、しばらくの間は不安だとは思いますが
見守ってあげるのが良いかとー」
Dr厚谷のその言葉に、
輝夫は「ー分かりましたー」と、不安そうにしながらも、
力強く頷いたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーへへへー
まさか俺が”女子高生”なんてなー」
学校からの帰宅中ー、
麻美はニヤリと笑いながら自分の制服姿を見下ろすー。
まさか自分がセーラー服姿で
外を歩くことになるとは、夢にも思わなかったー。
それに、学校でも、
”周囲の女子”が当たり前のように麻美に話しかけて来るー。
「くくくくくー
お前ら、俺にエロイ目で見られてるってのに
全然気づいちゃいないー
この身体はホント、最高だなー」
麻美はそう呟くと、ニヤッと笑ってから電車に乗り込むー。
「ー”おっさんの隣”にわざと座るのも楽しんだよなー
おっさんの反応がさー」
麻美はそう呟くと、今日も”おじさん”が座っている場所の隣に
わざと座ると、ソワソワした様子のおじさんの反応を
楽しみながら、不気味な笑みを浮かべたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーー調子はどうだ?
どこか調子悪いところはないかー?」
数日後ー。
父・輝夫は、心配そうに娘の麻美にそう言葉を口にするー。
麻美の様子はやはりおかしいままー。
”家のこと”があまりよく分かっていないような言動を
取ることもあるしー、
何よりもー…
”ーーーー…”
輝夫は、見てしまったー。
麻美が自分の胸を揉みながら鏡の前で
ニヤニヤしていたのをー。
確かに”娘”のはずなのにー、
そこにいた娘は、まるで娘ではないようにすら
思えてしまったー。
「ーー…うんー絶好調だよ」
麻美は笑みを浮かべるー。
まるで、”事故”のことなどなかったかのように
テンションが高くご機嫌でー、
しかも、”記憶があいまいな様子”も、
気にしている素振りはないー。
何かを指摘しても、
むしろ、それを楽しんでいる様子に見えるー。
「ーーそっかー。ならよかったー」
輝夫はそう返事をしながらも、心配そうな表情を浮かべるー。
妻である真理恵には、麻美が胸を揉んでいた件は
伝えていないー。
ただでさえ、心配している真理恵にそんなことを
伝えてしまっては、もっともっと心配されてしまうー。
「ーーそれにしても、お父さんも心配性だよね~」
麻美が、ふとそんな言葉を口にしたー。
「ーわたしはもう大丈夫ー。
記憶のことも、だんだん回復していくだろうしー、
だから、心配しなくていいよー」
クスッと笑う麻美ー。
そんな麻美の表情がーー
どうしても”自分の娘”だとは思えないぐらい、
邪悪な何かに歪んでいるようにー、
そんな風に思えたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
輝夫は”ある計画”を実行に移したー。
妻である真理恵にも伝えずにー、
実行に移した計画ー。
それはーー…
”仕事に向かったフリ”をして、
家の中に潜みー、”麻美の様子”を探ることー。
こんなことはしたくはなかったー。
けれどー、どうしても、
あの事故があってからー、
一度死んで、蘇生してから、麻美の様子がおかしいー。
Dr厚谷の言う通り、事故の後遺症なのかもしれないー。
がー、何だか”そうではない”ような気がしてならなかったー。
そうではないなら、”何”なのかー
それは分からないー。
しかし、嫌な予感がして、確かめずにはいられなかったー。
妻・真理恵は土曜日はパートで夕方まで不在ー。
麻美は休みー。
父である輝夫は、普段は土曜日は休みであるものの、
今日は急な仕事が入ったとして”出かけるフリ”をして、
家に密かに戻り、身を潜めていたーー。
「ーーは~~~それにしても
”この女”の身体は最高だなー」
「ーー!?!?!?」
”計画”を実行した直後ーー
”憑依されている麻美”はあっさりとボロを出したー
”な…何を言ってー…???”
呆然とする父・輝夫ー。
身を潜めながら、麻美の様子を確認すると、
麻美は、邪悪な笑みを浮かべながら両手で自分の胸を揉みー
足を広げながら、スカートの中に手を突っ込み、
嬉しそうに笑っていたー。
「ーー事故で死にかけた身体に憑依すればー
抵抗されることなく、完全に身体を支配することができるー
ふふー…
事故じゃなくても、本人が弱っていれば
乗っ取ることはできるかもしれないなー」
麻美は、ニヤニヤしながらそう言葉を口にすると、
ゆっくりと立ち上がるー。
「ーーまさか、俺がこんなに可愛い女子高生になれるなんてなー
へへへへ」
麻美はそれだけ呟くと部屋に移動し始めるー。
呆然とする輝夫ー。
”あ……あれはーー…麻美じゃ…ないーー…?”
絶望の表情を浮かべながら輝夫はしばらく
その場から動けなかったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
”あの事故は仕組まれたものだったのかー?”
後日ー
輝夫はそう思いながら、表情を歪めるー。
あの後も、麻美の様子を確認し続けた輝夫はー、
麻美は”憑依”ー…何かに取り憑かれているような状態で、
身体を支配されていることを確信したー。
しかも、その言動から麻美が事故で負傷したチャンスに
憑依したであろうことを、輝夫は悟ったー。
麻美に”憑依”した、ということは
恐らくその”憑依した主”は、既に死んでいるか、
あるいは抜け殻のような状態にあるはずだと、
そう考える輝夫ー。
”事故を知っている”
”本体は動けない状態”
その二つの条件が揃う人物ーー
輝夫は、そう思いながら
事故を起こしたあとに自殺した、高齢男性のことを調べ始めるー。
”喜山 善一(きやま ぜんいち)”ー
70代の高齢男性で、ブレーキとアクセルを踏み間違え、
麻美を事故に巻き込んだ男だー。
その後、謝罪の言葉を口にし、最後には罪の意識から
自ら命を絶ってしまったーその人物ー。
だがー……もし、”麻美を弱らせて乗っ取るため”にー、
わざと事故を起こしていたとしたらー?
罪の意識に苛まれたフリをして、自然な形で死んだことにして、
自分の身体を捨てていたとしたらー?
「ーーーなんてやつだー…」
輝夫は歯軋りをしながら、
”俺は絶対に麻美を取り戻すー”と、
そう言葉を口にして、静かに歩き出したー。
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
次回が最終回デス~~~!☆
蘇生した娘の運命は…!?
ぜひ結末を見届けて下さいネ~!
今日もありがとうございました~~!
コメント