<憑依>2人とも憑依されている②~堪能~

二人とも”憑依”されている姉妹ー。

お互いに”相手も憑依されている”ことを
知らないまま、時は流れていくー…。

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「ーーねぇねぇ、お姉ちゃんー」
妹の絵里が、少し戸惑いながら
スマホを向けて来るー。

「ーーこれってー…どうやればいいんだっけー?」
絵里の困り果てたような表情に、
姉・尚美は苦笑いしながら、
「ー絵里って時々、おばあちゃんみたいなところあるよね~」と、
そう言葉を口にするー。

そう言われた絵里は、
「あははー学校でも寧々ちゃんー…あ、友達ねー。
 友達によく言われる~!」と、笑いながら答えるー。

「ーあははーそうなんだ~」
姉・尚美は笑いながら、絵里が分からなくて困っていたことを
簡単に解決してあげると、絵里は「わぁ!お姉ちゃんありがと~!」と、
そう言葉を口にするー。

”ーー…すまんなぁ…60代のおじいちゃんには難しくてな…”
絵里に憑依している淳二は、60代中盤ー。
彼にとっては、絵里に憑依してから時間が経過しても、
なかなか、スマホの操作も、他の色々なことも難しかったー。

まさか、”妹の中身”が、60代のおじいちゃんだとは思っていない
尚美は、笑いながら「どういたしまして~」と、
そう言葉を口にするー。

尚美に憑依している泰明の方は30代…。
彼にとってはスマホの操作もお手のものだったー。

「ーーー」
絵里の太腿につい視線を向けてしまう尚美ー。

それに気づいた絵里は
「ーーえ!?足に何かついてるー?」と、心配そうに言葉を口にするー

「えっ!?あ、いやー、別にー!
 可愛いスカートだな~!って思ってただけー」
姉・尚美が慌ててそう釈明すると、
絵里は「お姉ちゃんってかわいい子好きだよね~!よくそういう目で見てる」と、
そう冗談めいた口調で言うと、
姉の尚美も、さっきの絵里と同じように
「ー友達にもそれたまに言われる!」と、笑いながら言葉を口にしたー。

けれどー
二人とも、”まさか相手も憑依されている”などとは夢にも思わないー。

”憑依”なんてしているのは自分ぐらいだとそう思っているしー、
身近に”同じ状況の人間”がいるなどとは、想像もしていないー。

可愛い子が好きだったり、Hな女子は探せば実はいくらでもいるし、
スマホの操作とかが少し苦手な子も、探せば実はそれなりにいるー。

だから、二人とも、特に違和感を感じることはなかったし、
相手も自分以外の男に不用意されているとは思ってもいないー。

「ーーーふ~~~~」
部屋に戻った姉・尚美はいつものようにHなゲームを起動すると、
「えへへへへーあ~今日も加奈(かな)ちゃん可愛いなぁ」と、
ゲームの中のヒロインを見つめながらニヤニヤと笑うー。

「ーなんで加奈ちゃんってこんなに可愛いんだろ…えへへへへ」
下品な笑みを浮かべながら顔を真っ赤にする尚美ー。

「ーって、今は俺も可愛いんだったー」
鏡を見つめながら、尚美はそう言葉を口にすると、
「えへへへー」と、再び画面の方を見つめるー。

Hなゲームのヒロインのセリフを小声で音読しながら、
「この”声”だと、エロゲーがさらに楽しいぜー」と、
ニヤニヤと笑うー。

一方、隣の部屋では
メイド服に着替えた絵里が、
ニヤニヤと自分の姿を見つめるー。

「えへー何着ても似合うなぁ…えへー」
定年退職後にこんな”夢のような老後”が
待ち構えているとは思わなかったー。

メイド服姿の絵里をあらゆる角度から観察しー、
あらゆる角度から撮影していくー。

もちろん、今の絵里は自分自身ー。
絵里が嫌がることもなく、
にこにこと嬉しそうにしているーー。

「ーまぁ…大学を卒業したらまた社会人生活が
 始まっちゃうけどー…」

絵里は少しだけ苦笑いをするー。

せっかく、憑依する前に自分の身体で
散々頑張ったにも関わらず、
あと数年もすれば、再び自分は社会人に
なることになるー。

そんなことを、少しだけ苦々しく思う、絵里に憑依している淳二ー。

「いや、待てよー
 こんだけ可愛ければコスプレで稼げるかもー?」
ニヤッと笑みを浮かべると絵里は
「そういう路線で行くのもいいかもなぁ」と、
メイド服姿の自分を、再び嬉しそうに観察し始めたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あぁぁ~~~やっぱり今日の萌奈もいい!最高!」

翌日ー
大学にやってきた姉・尚美は
おしゃれな親友・萌奈の格好を見て、
今日も一人で興奮していたー。

「ーこのさりげない太腿アピール!
 あと、この色合いもー!」

興奮した様子で一人、いつもおしゃれな萌奈の
今日の格好を褒めまくる尚美ー。

「ーーあははははー…
 っていうか、尚美、わたしが何を着て来ても
 一人で張り切ってない?」

萌奈がそう言うと、尚美は「え~~…えへへー」と、
ニヤニヤするー。

「そもそも、尚美だって可愛いのにー…」
萌奈はそう言いながら、尚美を見つめるー。

尚美に憑依している泰明は、
”外”では、イマイチどんな服を着て行けばいいのか分からず、
無難な服装ばかりで、
妹の・絵里に憑依した淳二とは違い、
コスプレなどもしていないー。
あくまでも彼は、尚美の身体でHなゲームを楽しんだり、
動画を楽しんだり、自分の身体でお楽しみをしたりー、
そういった方面を中心に楽しんでいるー。

もちろん、ミニスカートを履いたり、
色々試したりはしているし、
この前も太腿アピールをしたりしていたけれど、
萌奈のおしゃれさには敵わないー。

「ーーえ…あ~~~そ、そうだよね~
 まだあまり慣れてなくてー」
尚美が苦笑いしながら言うー。

つい、”自分は30代のおじさん”という気持ちが
まだ完全には抜けず、
”女子大生って羨ましいなぁ~”みたいな
オーラが出てしまうー。

今は、自分自身もその”女子大生”だと言うのに、
ついつい、自分がそうではないような、
そんな振る舞いをしてしまうことがあるー。

「ー慣れてない?大学にー?」
萌奈が笑いながら言うと、
尚美は「あ、ううんー気にしないで」と、
そう言葉を口にするー。

「ーー尚美がわたしみたいに、おしゃれになれば
 わたしなんかよりもっともっと可愛くなると思うんだけどなぁ~」
萌奈のそんな言葉に、
尚美は照れ臭そうに笑いながら、
「そ、そうかなぁー…?」と、顔を赤らめるー。

「うんうんー絶対そうだよ!
 あ、あれだったら、今度の休み、わたしと一緒に
 尚美の服、見に行くー?」
萌奈がそう言うと、尚美は「えっ!?いいの!?」と、そう声を上げるー。

「ーうん!もちろん」
にっこりと笑う萌奈ー。

そんな萌奈を前にドキッとしながら、
尚美は「ーーやった!萌奈とデート!」と、嬉しそうに声を上げたー。

「ーちょっとちょっと!
 デートじゃないよ~~!!
 ってか、やっぱ尚美の前世、おじさんでしょ!?」

萌奈は困惑の表情を浮かべながらも、
そんな風に笑ったー

”女子大生と一緒に服を買いに行くー”
尚美に憑依している泰明からしてみれば
絶対にあり得なかったであろう体験に、尚美は嬉しそうに
微笑んだー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーー今の学校っていいよね~!
 エアコンもどこにでもついてるし~
 パソコンもあるし~~!!」

妹の絵里は、今日も高校生活を楽しんでいたー。

「ーーまたそんなこと言って~!
 絵里おばあちゃんー」
優等生な雰囲気の友達・寧々が苦笑いしながら
いつも揶揄う時に口にする呼び方で、絵里を呼ぶー。

絵里に憑依している淳二は既に60中盤ー。
彼が、”学生”だったのは40年以上も前の話であって、
それ故に、別世界のように感じるー。

「ーパソコンなんて、元々小さい頃からあったでしょー。
 エアコンも。

 いつの時代の話してるの?」

やれやれ、という様子の寧々ー。

「ーーーえ…えへへへー
 ほら、おじいちゃんおばあちゃんから
 昔はなかったって聞かされてー」
絵里がそう言うと、寧々は
「やっぱ絵里ちゃん、人生2回目でしょ?」と、
じーっと、絵里の方を見つめるー。

「ーーひぇっ!?そ、そ、そんなことないよ~!」
絵里は一瞬、ドキッとしながら、
そう声を上げるー。

”人生2回目”ーー…ではない。
淳二は死んだわけではないし、
1回目の人生が終わったわけではないー。

ただー、60代だった自分が女子高生に憑依して
こうして、高校生活を送っている状況はー…
人生2回目と言ってもいいのかもしれないー。

「それに絵里ちゃん、カラオケ行くと
 古い歌ばかり歌うしー」
寧々のその言葉に、
絵里は「そ、そ、そ、それも、おじいちゃんとおばあちゃんの影響っ!」と、
慌ててそう言葉を口にするー。

そんな絵里の反応に、寧々は思わず笑うー。

”ふ~…まぁ、この子に憑依してるなんて、誰も思わんだろうけどー…”
絵里に憑依している淳二は、そんなことを心の中で思うと、
”もしも憑依していることがバレてしまったらー?”ということを
心の中で考えるーー。

姉の尚美にも嫌われてしまうだろうしー、
そもそも”絵里から出て行って!”と、言われてしまうだろうー。
当然、親友の寧々とも今の関係性ではいられなくなるし、
憑依のことがバレたら、この絵里の中にいることもできなくなるかもしれないー。

最悪の場合、60代の自分に逆戻りになって、
しかも、”他人に憑依した”罪に問われるかもしれないー。

絵里はー、そんな”自分にとって恐ろしい結末”を頭の中で考えながら
身震いすると、
「ーってー、ネガティブなことばっかり考えちゃだめー。
 今のわたしは女子高生なんだからー」と、
自分に言い聞かせるようにして、そんな言葉を小声で口にしたー。

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帰宅した尚美と絵里は、いつものように
二人とも、それぞれの”欲望”を楽しんでいたー。

尚美はHなゲームを遊んだり、Hな動画を見たりして、
至福の時間を過ごすー。

「ーへへっ…女の身体でドキドキしながら
 見るHな動画は最高だぜー」
尚美は涎を垂らしながら、ニヤニヤとするー。

もちろん、隣の部屋にいる妹の絵里は、
姉がそんなことをしているとは夢にも思っていないー。

しかし、一方で隣の部屋にいる絵里は
今日もコスプレを楽しんでいて、
魔女のような格好をして、鏡の前で
自分の姿を見つめているー。

「ーふへへへー…
 自分の身体だったら、絶対気持ち悪いことにしか
 ならないのにー
 やっぱ、JKの身体ってすごいなぁ…ふへへ」
ニヤニヤとする絵里ー。

当然、姉の尚美は、そんなことをしているとは
夢にも思っていないー。

二人とも、相手の憑依を知らないままの
状況は続くー。

お楽しみを終えて、晩御飯の時間になる頃には、
二人とも何食わぬ顔で部屋から出てきて、
”偽りの姉妹”として、会話を交わすー。

「ーー今日も友達から、”絵里おばあちゃん”なんて
 言われちゃって~!」
笑いながら姉・尚美にそんな言葉を口にする妹の絵里ー。

「ーあはははー
 でも、確かにその子の言う通りだよ~!
 エアコンとかパソコンなんて、前から学校にあったじゃん~?」

尚美がそう言うと、
絵里は「ま、まぁー、そうなんだけど~」と、気まずそうに笑うー。

そんな会話をしても、
尚美は、絵里が憑依されているなどとは夢にも思っていないため
何の違和感も感じず、そのまま晩御飯を食べるために1階に降りていくー。

つい10分ほど前まで、Hな動画のあとに遊び始めた
Hなゲームを楽しんでいた姉の尚美ー。
けれど、家族の前ではそんな素振りを一切見せないー。

妹の絵里の方も同じー。
コスプレの服を隠すのには限度があるため、
”そういう趣味がちょっとある”ぐらいのことは家族に明かしているものの、
あそこまでニヤニヤしながら楽しんでいることは、姉の尚美も含めて
誰も知らないー。

今日も二人は、相手が憑依されているなどとは、
夢にも思わず、”いつものような1日”を送るのだったー。

二人は未だに、知らないー。
身近な相手が、憑依されているということをー。

それを知る日が”いつ”来るのかー。
それは、まだ分からないー。

③へ続く

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コメント

次回が最終回デス~!★
平和的なまま(?)なのか、何か起きるのか、
それは明日のお楽しみデス…!

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