<憑依>お姉ちゃんの様子がおかしい~混乱編~(前編)

”最近、お姉ちゃんの様子がおかしい”

そんな、心配の日々を送っていた妹ー。

その真相が明らかになったー
”その先”の物語ー…

お姉ちゃんの様子がおかしいの後日談デス~!
先に本編↑を見て下さいネ~!

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高峰 千里(たかみね ちさと)は、
ある不安を抱いていたー。

それは、姉・菜々花(ななか)のことー。

千里は活発なタイプの性格で、
姉の菜々花は大人しいタイプの性格ー。

よく、千里が菜々花に”お姉ちゃん!もっと元気出して!”みたいなことを
言っているー、そんな二人だったー。

しかし、最近の菜々花はなんだか様子がおかしいー。
急に明るくなり、服装も派手になりー、
別人のように感じられることが増えたのだー。

不安に感じた千里は、姉の親友である小原 克枝(おばら かつえ)から
話を聞いたり、独自に調べを進めていくうちに、
姉と同じ大学で通う学生・柿沼 紀彦(かきぬま のりひこ)と、
”ある事故”を起こしていたことを知るー。

少し前に行われた学園祭の準備中に、紀彦が脚立から転落、
下にいた菜々花にぶつかってしまい、
菜々花は無事に意識を取り戻したものの、紀彦は昏睡状態が続いているー、と。

やがてー、千里は”姉の菜々花”の中に柿沼 紀彦がいるのではないかと
そう考え始めるー。

その推理は”正解”で、姉・菜々花の中には転落して昏睡状態のままの
柿沼 紀彦が憑依した状態だったー。

しかし、紀彦に悪意はなく、
隠していたことを謝罪した上で、”元に戻るための方法”を
菜々花の妹である千里と共に探していくことにー。

その結果ーーー
姉・菜々花の親友である克枝の協力も得て、
”紀彦が菜々花に憑依してしまったときの状況を再現すること”によって、
紀彦は無事に菜々花の身体から外に出て、
菜々花は無事に正気を取り戻すことに成功したー。

がーーー
菜々花から抜けた紀彦は、
”車いすに座らせていた昏睡状態の自分の身体”ではなく、
車いすを動かしていた菜々花の妹・千里に憑依してしまいーー…
千里に憑依した紀彦ー、
正気を取り戻した千里の姉・菜々花ー、
そして菜々花の親友・克枝は
戸惑うことしかできなかったー。

「ーーー…と、とにかく、もう1回やってみるしかないでしょ」
克枝がそう言葉を口にするー。

「ーー……ーーう…うんー」
正気を取り戻した菜々花は、元通りの大人しそうな雰囲気に
戻っているー。

そんな菜々花の視線を受けながら、
今度は妹の千里に憑依してしまった紀彦は、
再び、気まずそうな表情を浮かべていたー。

「ーーーーで…でも、まさか…柿沼くんに
 身体を使われていたなんてー…」
正気を取り戻した菜々花が、今度は自分の代わりに
憑依されてしまった妹の千里の方を見つめながら言うー。

「ーー…ご、ごめんってー……
 お、俺もわざと憑依したわけじゃー」
千里の身体で、申し訳なさそうにする紀彦ー。

「ーーそうは言ってもあんたー
 菜々花の身体で、ギター買ったり、
 髪の一部を赤く染めたりー、
 結構好き放題してたよねー?

 それに、千里ちゃんから聞いたけど、
 お風呂も普通に入ってたみたいだしー?」

克枝が少し意地悪そうに笑いながら言うと、
「そ、そ、そ、それはー…ご、ごめんー」と、
千里の身体で謝罪する紀彦ー。

菜々花が、何とも言えない目で、
千里の方を見つめるー。

「ーーち、千里ちゃんにもそういう目で見られたようなー…」
千里に憑依している紀彦は戸惑った様子で髪を掻きむしるー。

菜々花の方に憑依している時には、
千里から、何だか冷たい目で見られたことを思い出すー。

「ーー…はぁ…千里ちゃんが正気に戻ったら、
 何て言われるかなぁ…」
千里はそう言葉を口にしながら、ため息をつくと、
菜々花の友達・克枝は
「ため息をつきたいのは、憑依された千里ちゃんの方でしょ」と、
ツッコミのような言葉を入れたー。

「まぁ、とにかく…
 ”また”あんたが最初に菜々花に憑依しちゃったときの条件を
 再現すれば、今度こそ元に戻れるでしょ?」

克枝はそう言いながら、
周囲を見渡すー。

克枝の父親は、昏睡状態にある”紀彦”の身体が入院している
病院の院長ー。
その父親に頼み、再び”紀彦”の身体を病院から外に運び出した克枝は、
”また”菜々花から紀彦を引きはがした時と同じ状況を
作り出すことで、今度こそ、紀彦を紀彦自身の身体に戻し、
菜々花に続いて、憑依されてしまった千里を救い出そうとしていたー。

「今度は、あんたの身体が乗ってる車いす、ここに置くから」
克枝がそう言うと、
千里の姉・菜々花は心配そうに「大丈夫かなぁ…」と呟くー。

「ーーーーははー大丈夫大丈夫ー。きっと元にー…」
千里に憑依している紀彦が苦笑いしながら言うと、
菜々花は「あ、ううんー…千里の身体が心配でー」と、
少し申し訳なさそうに言葉を口にしたー。

「ーーぐはっ!俺のことを心配してるのかと思ったー」
千里がそう言うと、
横にいた菜々花の親友・克枝は
「あははー菜々花ってば時々、毒を吐くよねー」と、
笑いながら、言葉を口にしたー。

「ーーえ…そ、そうかなー…?

 だって、千里、心配だしー」

菜々花はそれだけ言葉を口にすると、
千里に憑依している紀彦は「ま、まぁ…その気持ちは分かるよー」と、
それだけ言うと、学園祭の準備の最中に
転倒して菜々花とぶつかり、
その結果、菜々花に憑依してしまった時の状態と
同じような状態を再度作り出したー。

この前の二の舞にならないよう、今度は
昏睡状態のままの紀彦の身体を乗せた車いすは、
その場に固定して、克枝はそこから離れるー。

前回は車いすを支えていた千里に、紀彦が憑依する結果に
終わってしまい、それが今、この状況に繋がっているため、
同じことを繰り返さないようにするためだー。

「ーーー…」
不安そうに表情を歪める菜々花ー。

「ーーじゃあーーーーやってみる」
千里に憑依している紀彦が、そう言葉を口にして、
そのまま学園祭の時と同じように転落しようとするー。

がー、
その時だったー

「ー待って!!!」
菜々花の親友・克枝が突然、転落しようとする千里を止めたー。

「ーーえ…ーー」
千里が困惑の表情を浮かべると、
克枝は、車いすに乗せている紀彦自身の身体の”異変”に気付いたー。

”紀彦”の身体に繋がれている医療機器が、
紀彦の心拍数の変化を知らせていたのだー。

「ーーー…ーー…え…お、俺の身体ー、どうかしたのかー?」
千里が不安そうに言うと、
克枝は「ーーちょっと待っててー」と、そう言葉を口にすると
スマホを手に、
病院の院長であるという父親に連絡し始めたー。

「あ、パパー?
 抜け殻の身体なんだけど、心拍数に変化が出ててー」

と、克枝は少し慌てた様子で言葉を口にするー

「ーーうん、うんーわかったー
 すぐ中止してそっちに向かうねー」
克枝はそれだけ言うと、電話を切り、
菜々花と千里の方を見たー。

「ーごめん。今日は中止ー
 あんたの身体、あまり状況が良くないからー」
克枝のその言葉に、千里に憑依している紀彦は「え…」と、
不安そうに呟くー。

「ー大丈夫ー。ただ、病院の外にいると
 対応できなくなるから、
 今すぐあんたの身体を病院に戻さないと」
克枝のその言葉に、
菜々花も不安そうにしながら
「うんーじゃあ、早く病院に戻ろうー」と、
そう言葉を口にしたー。

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「ーごめんー…結局、元に戻れなくてー」

帰宅した千里はそう言葉を口にすると、
菜々花は複雑そうな表情を浮かべながら
「ーー今日は、仕方ないよー」と、それだけ言葉を口にするー。

「ーーーーー」
菜々花のソワソワした様子を見て、千里は
「え、えっと…そのー」と、そう言葉を口にするー。

そんな”どうしていいか分からない”という様子の千里に気付いたのか、
菜々花は戸惑いながら口を開くー。

「ーーー…ほ、他の男子が同じ家にいると思うとー…
 ソワソワしてー…」
とー。

「ーご、ご、ごめんー…
 か、身体は女子同士でも、や、やっぱり気になるよなー」
千里に憑依している紀彦が戸惑いながら言うー。

菜々花曰く、”男子を家に招いているようで落ち着かない”と言うのだー。

千里に憑依してしまってから既に数日ー。
菜々花はずっとこんな感じだー。

「ーー…ほ、ホントは俺が外に行ければいいんだけどー」
千里が戸惑いながら言うと、
菜々花は「ーで、でもー、そういうわけにはいかないでしょー…?」と、
困惑した様子で言うー。

千里は高校生ー。
流石に、夜、家の外に出ていくことは難しいし、
混乱を防ぐために、両親には事情を説明していないー。

両親に事情を説明しようかとも思ったけれどー、
過保護な父と、心配性の母の性格を考えると、
伝えてしまうとより厄介でややこしいことになりそうな気がしたために、
伝えることはしていなかったー。

「ーーーー…と、とにかく夜は部屋から一歩も出ないからー」
千里がそう言うと、
菜々花は、恥ずかしそうに「う、うんー」と、そう言葉を口にするー。

”男が家にいるー”と、意識してしまっているのか
菜々花はずっとこんな調子ー

「~~~あ、で、でも、夜、トイレに行きたくなったら勘弁してー」
千里が申し訳なさそうに言うと、
菜々花は少しだけイヤそうな表情を見せるー。

が、すぐに千里は「ち、千里ちゃんの身体で漏らすわけにはいかないだろ!?」と
そう事情を説明すると、
菜々花は「それは…分かってるけどー」と、そう言葉を口にしたー。

「で、できる限り我慢はするけど!
 絶対、千里ちゃんが正気に戻った時、
 トイレを我慢して漏らした何て言ったら怒られるし!」

千里が慌てた様子でそこまで言うと、
「いや、でもーー…」と、独り言を呟くようにして首を傾げるー。

菜々花に憑依してしまっていた頃の、千里の振る舞いを思い出す紀彦ー。

「どっちにしろ、怒られるかもなぁ…」
自虐的に笑う千里ー。

「とにかくー、俺は部屋にいるからー
 あまり心配しないでー。
 あ、ち、千里ちゃんの身体で変なこともしないから!
 大丈夫!」

千里はそこまで言うと、慌てた様子で
自分の部屋の方に、戻っていくー。

菜々花も戸惑ったような表情を浮かべながら、
”千里ー…大丈夫かなー…”と、心配そうに
憑依されてしまっている状態の
千里の身を案じる言葉を口にするのだったー。

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「ーーー…はぁ…」
千里の部屋に戻った、千里に憑依した紀彦は、
気まずそうな表情を浮かべていたー。

「ーー…高峰さんに憑依してる時の方が
 やりやすかったかもなぁ…」
千里はそう呟くー。

姉・高峰 菜々花に憑依してしまっている状態の時は、
今、紀彦が憑依してしまっている千里と一緒に
元に戻る方法を模索していたー。

千里の方が、明るく、素直に感情をぶつけてくるタイプだからかー、
色々文句は言われたけれど、
その分、紀彦にとっては”やりやすさ”も感じていたー。

一方、姉の菜々花は同じ大学に通う仲間ではあるものの、
元々、そこまで親しいわけでもないし、千里とは反対に
大人しいタイプで、表立って文句は言って来ないものの、
それ故に、紀彦からすると少し”やりにくさ”のようなものを
感じていたー。

「ーーまぁでも、いずれにしても俺も自分の身体に戻らないとー」
そんなことを呟きつつ、千里に憑依してしまった状態の
紀彦は、この日も千里の身体から自分の身体に戻ることは出来ず、
そのまま眠りにつくのだったー。

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数日後ー。

菜々花と、妹の千里は
菜々花の親友である克枝に呼ばれて、
病院にやってきていたー。

病院内にある現在はあまり使われていない会議室の一室に
集まった三人ー…

そこに、車いすに乗った昏睡状態の紀彦の身体も運ばれてくるー。

「ーパパに特別に手配してもらってー、
 ”病院内”で、元に戻れるか、試せることになったからー
 ここで、学園祭の時と同じ状況を再現しようと思ってー

 ここなら、柿沼くんの身体が急変しても、すぐに対応できるから」

克枝のその言葉に、
千里は、眠ったままの”自分”の身体を見つめるー。

「ー今度こそ、俺、戻れるんだよなー?」
千里に憑依している紀彦が言うと、
克枝は静かに頷きながら「そのはずだけど」と、答えたー。

学園祭の時と”同じ”条件を作り出しー、
いよいよ、千里が車いすに乗ったままの紀彦の身体に向かって
転落しようとするー

”今度こそ、俺の身体に戻れますようにー”
千里に憑依している紀彦は、そんなことを思いながら
脚立から”自分の身体”に向かってわざと落下し始めるのだったー

<後編>へ続く

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コメント

”後日談が見たい”というお声があったので
書いて見ました~~!★!

今度は、妹の方に憑依してしまった紀彦くん…!
どうなってしまうのかは、また次回のお楽しみデス~!!

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