<女体化>奪われた愛②~積極的な親友~

彼氏の親友が女体化したー。

元々、”俺が女だったら、お前の彼女になってるんだけどなぁ~”
などと言っていた親友の女体化を前に、彼はー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーと、言うわけで、栗本は今日から
 女子として扱うことになったから、
 みんな、色々戸惑うとは思うけど、宜しく頼むー」

担任の先生が、戸惑いながら
”女体化した尚樹”を、教え子たちに紹介しているー

”え~!?栗本が女子とか最悪じゃん~!”
”女子トイレも使うってこと?”
”尚樹ー…だから、尚美ちゃんだね!”
”え~?マジで女になったのかよ!”

色々な声がクラスの中に響き渡るー。

がー、
男子生徒の一人がふと、こんな言葉を口にしたー。

「栗本のやつ、自分が女だったら、
 沼田と付き合うとか言ったよな~!

 付き合っちゃえよ!」

とー。

その言葉に、
名指しされた誠吾はドキッとするー。

がー、誠吾には美鈴がいるー。
既に”彼女”がいるのだー。

「ーーーー…」
美鈴が悲しそうな表情を浮かべるー。

が、それにさらに追い打ちをかける言葉が
聞えて来たー

「へへへー当たり前だろ?
 こうなったら、誠吾の彼女になってみせるぜ!」

女体化した尚樹が、そんな言葉を口にしたのだー。

「ーー…!」
その言葉を聞いた美鈴は、心が締め付けられるような思いを
感じながら、誠吾の方を見つめるー。

少し離れた座席の誠吾も、その視線に気付いたのか
申し訳なさそうに苦笑いをすると、
”大丈夫だから”と言わんばかりに頷いたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーあはははー
 大丈夫大丈夫ー。僕には若松さんがいるんだし、
 尚くんと付き合ったりなんてしないよー」

昼休みー

廊下を歩きながらそう言葉を口にする誠吾ー。

美鈴から”さっきの言葉聞いて、不安になっちゃってー”と、
不安を吐露された誠吾は、笑いながらそう答えたー。

「ーーうんー……
 ーーごめんねー…いちいち不安になったりしてー…

 ーーわたし、沼田くんが人生で初めての彼氏だからー
 どうしても、不安になっちゃってー」

美鈴がなおも申し訳なさそうに言うー。

そんな言葉を聞いて、誠吾は苦笑いしながら
「僕だって、若松さんが人生初めての彼女だし、
 その気持ちは分かるよー」と、そう言葉を口にするー。

「ーーとにかく、僕は大丈夫だから心配しないでー
 女子になっても、尚くんは尚くんだし、
 恋愛感情っていうのかなー…?
 そういうものが生まれることはないから」

誠吾がそう言うと、美鈴は「うんー…話をしたら気持ちが楽になったー」と、
少し明るい表情を浮かべると、
そんな美鈴を見て、誠吾も安心した様子で「よかった」と、そう言葉を口にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

放課後ー

図書委員の仕事を終えて、片づけをしていた誠吾ー。

「先輩ー、この前はすみませんでした」
先日、体調不良で早退して、誠吾が図書委員の仕事を一人で
やることになってしまったことを詫びる後輩の男子ー。

「え…あははー全然大丈夫だよー
 僕だって急に調子悪くなることぐらいあるし」
誠吾が、嫌な顔一つせずにそう言葉を返すと、
その後輩の男子も安堵の表情を浮かべるー。

その時だったー

「ー誠吾~!終わったら一緒に帰ろうぜ~!」
そんな言葉を口にしながら、親友であり幼馴染の
女体化した尚樹が入って来たー。

「ーー!な、尚くーー…」
誠吾が驚いた様子で言うと、
後輩の男子は「あれー…???…」と、少し首を傾げるー。

「ーー…先輩って、若松先輩と付き合ってませんでしたっけー?」
とー。

図書室に良く通っている美鈴と、誠吾が付き合っている、ということは
図書委員内でも有名な話ー。

そんな誠吾の元に、美鈴ではなく他の”女子”が姿を現したことで
後輩の男子は戸惑っている様子だったー。

「い、いやー、あ、あの人は違ってー」
誠吾がそう言うと、女体化した尚樹は
「ーーへへへ~…”次の彼女”に立候補しちゃおうかな~」と、
そう言いながら、身体を密着させてきたー

「~~~~~~!!!」
ドキッとして顔を赤らめてしまう誠吾ー。

「ーー…ーーな、なんか見ちゃいけないものを見たような…」
後輩の男子はそれだけ言葉を口にすると、
「あ、先輩ー!俺はお邪魔そうなので、片付けは終わりましたし
 これで失礼しますね」と、そう言いつつ、足早に立ち去っていくー

「えっ!?えっ!?いや、これは違っー…」
誠吾が慌てた様子で言うー。

しかし、女体化した尚樹はニヤリと笑うと、
「ーなぁなぁ、”俺”とじゃダメかー?」と、そう言葉を口にしたー

「だ…だめって何がー!?」
誠吾が顔を赤らめながら言うと、
「ーー俺、女だったら、誠吾と付き合いたいってずっと思ってたんだよー
 前から言ってただろ?俺が女だったら彼女になりたいってー」と、
女体化した尚樹が言い放つー。

視線をキョロキョロとさせながら
困り果てた様子で、誠吾は
「ーーそ、そんなー…ぼ、僕には若松さんがー」と、そう言葉を口にするー。

がーー

突然、女体化した尚樹は、誠吾にキスをしてきたー

「ーー!?!?!?!?」
慌てて振り払う誠吾ー。

「ーな、な、な、なにをするんだよ!
 な、尚くん…!そ、そんなことー!」

誠吾が焦り切った表情で叫ぶー。

がー、女体化した尚樹は言ったー。

「ー俺だったら、キスだってなんだってしてあげられるしー、
 お前のこと、美鈴ちゃんよりもっと満足させてあげられるー

 それにーー
 お前のこと、美鈴ちゃんより何倍も知ってるー。
 
 ーーなんで、あんな女なんだよー…!
 俺じゃ、俺じゃダメなのかー!?」

女体化した尚樹が言うと、
誠吾は「ーま、ま、待ってよ!」と、声を上げるー。

「ーぼ、僕と尚くんは友達だしー、
 な、尚くんは男だろー?
 
 それに、もう僕は若松さんと付き合っているんだしー…」

誠吾の言葉に、
女体化した尚樹は、表情を曇らせるー。

「ーーー美鈴ちゃんとは別れればいいー

 すぐには無理だけど、
 誠吾が望むなら、女として振る舞うしー!
 いいだろ!?」

そんな言葉に、誠吾は「無理だよ!お、落ち着いてよ尚くん!」と、
必死に言葉を返すー。

「ー急に性別が変わっちゃって大変だと思うしー、
 不安だと思うけど、でも、必ず元に戻れると思うんだー

 僕も一緒に手伝うから、だからー」

誠吾が、女体化した尚樹を落ち着かせようと
説得の言葉を口にするー。

「ーーーーーー俺ー…
 朝、起きて女になってた一昨日ー…
 嬉しかったんだー

 これで、誠吾の彼女になれるってー。

 お前は冗談だと思ってたと思うけどー、
 俺、本気でお前のことー…
 
 でも、ほら、俺は男だったからー、
 親友で我慢してたー

 けど… けど、今は違う!
 こうして女の子になれたんだから、
 お前のこと、好きだって気持ちをもう隠す必要なんてないんだ!

 俺はーー…!お前が好きなんだ!」

女体化した尚樹のその言葉に、
誠吾は「な、尚くん…」と、戸惑いの表情を浮かべるー。

「ーーーーーで、でも、僕はー」
誠吾が、動揺しながら言葉を吐き出すと、
女体化した尚樹は言ったー。

「ーー”わたし”負けないからー」
とー。

そのまま立ち去っていく女体化した尚樹ー。

完全に”女の目”をしていた尚樹の姿がいつまでも
頭の中から消えずー、誠吾は戸惑いの表情を浮かべたまま、
一緒に帰る約束をしていた美鈴と合流したー。

美鈴は、いつものように本の話を楽しそうにしているー。

しかしー
どこか浮かない表情の誠吾に気付いた美鈴は
心配そうに「大丈夫ー…?」と、そんな言葉を口にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーーー」
女体化した尚樹に突然キスをされたことー

女体化した尚樹に負けないと言われたことー

そんなことばかりを思い出して、モヤモヤする誠吾ー。

「ーぼ、僕には若松さんがいるんだー」
誠吾は自分に言い聞かせるようにそう言葉を口にするー。

ただー、尚樹とは親友同士だし、
今でも、同じようにそう思っているー。
尚樹のことも雑に扱うことはできないし、
このままあんな風にアピールを続けられたらー

「ーーーとにかく、尚くんが男に戻れば
 こんなこと考えなくても済むし、きっと大丈夫ー」

そう思いつつ、誠吾は”突然、女体化した人間が元に戻る方法”を
ネットで調べ始めるー。

ネットで色々と眺めてみても、
アニメやら、ネット上の小説や漫画やら、そんなものしか
出て来ないー。

「ーーまぁ…それはそっかー…」
誠吾がため息をつきながらスマホの画面を見つめるー。

現実で”朝起きたら女になってました”なんて話は
聞いたことがないし、そんなことが日常的に起こっていれば、
今頃世間は大騒ぎだー。
そうなっていないということは、やはり、そんなことは
尚樹以外には起きていないー…
あるいは、起きていたとしてもごく少数なのだろうー。

”宇宙人の攻撃で女になってしまいました”
”女になる病気かも?兄弟そろって女体化してしまいました”
”変なモン喰ったら女になった”

ネット上の書き込みを見つめるー。

だが、いずれも信憑性の低い内容ばかりで、
本当とは思えなかったー。

「ーーはぁ…」
誠吾は小さくため息を吐き出すと、
そのまま疲れた様子でスマホを机の上へと置くのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー。

「ーー昨日は大丈夫だった?沼田くん、なんだか元気なかったけど」
美鈴が心配そうに言うー。

「ーーえ?あ、うんー!もう大丈夫!」
誠吾はそう返事をすると、いつものように楽しそうに美鈴と
お互いが好きな本の話をし始めるー。

あまり考え込んでいても仕方がないー
”僕がこんなだと、若松さんにも心配をかけちゃうよ”と、
自分自身にそう言い聞かせて、今日はいつものように元気に
学校へとやってきていたー。

「ーーえ~?そんな本があるんだ~?図書室に今、あるかなぁ」
本の話をしながら、美鈴がそう言葉を口にすると、
誠吾は「あ、じゃあ、今日の昼休みに確認して、貸し出し中に
なってなかったらキープしておくよ」と、そんな言葉を口にするー。

がー
その時だったー

「誠吾~~!」
背後から、別の女子の声がしたー。

「ーーえ?」
誠吾が振り返ると、そこには”女体化した尚樹”の姿があったー

「ーな、尚くん!」
誠吾がそう反応すると、女体化した尚樹は、”誠吾の彼女の前”だと言うのに
そのまま誠吾に抱き着いて「おはよ~!」と、そう言葉を口にしたー。

「ーーーーちょ、ちょっとー…ここ、通学路ー…」
美鈴は、通学路で大胆にも誠吾に抱き着いた女体化した尚樹に
苦言を口にするー。

誠吾が顔を真っ赤にしていると、
女体化した尚樹は「はい おはよ~のキス」と、
そのまま頬にキスをしたー。

「ーーな…何してるの…!?」
美鈴が唖然としながら言うと、女体化した尚樹は
振り返って、笑みを浮かべたー。

「ーー俺さ、ず~っと、昔から
 ”もしも俺が女だったら誠吾の彼女になりたい”って、
 思ってたんだよー

 もちろん、そんなこと絶対に無理だと思ってたけどさー…

 でも、その夢がかなったんだー
 今の俺は女なんだから!」

女体化した尚樹がそう言うと、
さらに言葉を続けたー

「”わたし”美鈴ちゃんには負けないからーね?」
とー。

「ーーー~~~~~」
美鈴は表情を曇らせながら「ーー…沼田くんは、わたしのか、彼氏なんだよー?」と、
戸惑いの言葉を口にするー。

しかしーー

「ー”キス”もしたことないんでしょ?
 ”わたし”はもう、したよー?キスー」
と、女体化した尚樹が挑発的に笑うー。

悔しそうな表情を浮かべながら美鈴は
「ーこ、恋人同士=キスじゃないもん!」と、そう反論すると、
女体化した尚樹は、振り返って誠吾の手をそのまま掴んだー。

「ーへへー行こうぜ誠吾~!
 あ、それとも、誠吾、いこっ!みたいな方がいいかなぁ?」

女体化した尚樹が笑いながら、手を引くー。

誠吾は戸惑いながら「えっ!?えっ!?えっ!?」と言いつつも、
性格上ー、強引に迫られるとそれを拒めず、
そのまま女体化した尚樹に引っ張られて、美鈴を置き去りにしてしまうー。

一人残された美鈴は「何なの…もうー」と、戸惑いの表情を浮かべながら
そう呟くと、不安そうに誠吾の後ろ姿を見つめたー。

③へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

奥手な彼氏が、女体化した強引な親友に
押され気味……

なんだか、不穏な感じなのデス!

続きは明日の最終回で見届けて下さいネ~!

今日もありがとうございました~!☆

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女体化<奪われた愛>

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