彼女からのお願いで、
彼女と入れ替わって、彼女の身体でダイエットを続ける彼氏ー。
やがて、ダイエットの成果は順調に表れ始めてー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーホント、滅茶苦茶可愛くなったよね~!」
「うんうん!わたしもそう思うー」
クラスの女子たちが、茉莉(和人)の近くに集まっているー。
「ーあ、あははーそ、そうかなぁ~」
茉莉(和人)は苦笑いしながら、
クラスメイトたちと会話を続けているー
和人自身、どちらかと言うと地味な風貌で、
イケメンからは程遠い存在ー。
女子と積極的に絡むようなタイプではなかったために、
こんな風に他の女子に囲まれてワイワイと話しかけられる経験は
あまりしたことがなかったー。
「ーー…どうやって急にそんなに痩せたのー?
ヤバいこととかしてないよね?」
クラスメイトの女子の一人が言うと、
茉莉(和人)は「え~っとー」と、言葉を口にしながら、
ふと思うー
”入れ替わりー……は、ヤバいかもだけど、別の他のことは普通のことだからなぁ…”
そんなことを思いつつ、茉莉(和人)は口を開くー。
「食生活の見直しと、規則正しい生活と、後は運動かなぁ…
元々、いっぱい食べてたからそこを改善したのが大きいと思うけどー」と、
ダイエットに成功した理由を、そう説明したー。
入れ替わってから、必死に努力を続けてきた茉莉(和人)は、
ダイエットに見事、成功してー
ぽっちゃりとしていた茉莉の身体は、すっかりとそんな面影を感じさせない、
体形に変化していたー。
元々、茉莉が太っていた原因は”食べすぎ”であったために、
そこを急激に改善し、さらには運動、生活リズムの見直しも
行ったことで、ダイエットは短期間のうちに非常に大きな成果を出したー。
和人が思っていた通り、”男子受け”もいい見た目になったのか、
最近では、男子からもよく声を掛けられるようになっているー。
「ーー野口さん、最近ホント、可愛くなったよなー」
ふと、和人の親友である英輔が、そんな言葉を茉莉(和人)にかけて来るー。
「ーーえ?あ、う、うんーありがとうー」
茉莉(和人)は少し照れ臭そうにしながらも、
「ってーー…わたしは、和人のものだからねー!?」と、
反射的にそんな言葉を口にするー。
イケメンの英輔が、”茉莉”が可愛くなったことで、
茉莉を狙っているのではないかと、少し不安になったのだー
茉莉の身体で、自分のことを改めて”彼氏”だと強調する和人ー。
「ーははは、もちろん分かってるさー」
英輔は苦笑いすると、
「純粋に、すごい努力したんだなぁって感心しただけ」
と、そう言葉を付け加えたー。
「ーふふーそういうことなら、ありがとうー」
茉莉(和人)はそう言いながら、ゆっくりと廊下を歩くー。
”それにしても、ホント、別人みたいだよなぁ
身体も動きやすくなったしー
鏡見ると一瞬、ビビるしー”
茉莉(和人)は、ここ最近、”2度目の驚き”を体験していたー。
1回目は入れ替わった時ー。
当然、”自分以外の身体になる”というのは初めての経験だったし、
ましてや異性の身体ー。
慣れるのには相当時間がかかったー。
そして、2回目は今ー。
”茉莉”が痩せたことで、
また別の人間の身体を使っているような気がしてー、
最初に入れ替わった時と似たような、不思議な感覚を味わっていたー。、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーみんなにチヤホヤされて、嬉しそうだねー」
放課後ー。
和人(茉莉)と合流した茉莉(和人)は、
和人(茉莉)からそんな嫌味を言われたー。
「ーは、ははははー…」
茉莉(和人)は思わず苦笑いするー。
最近は、”人気者になった茉莉(和人)”を見て、
和人(茉莉)は少し拗ねたような態度を見せるようになったー。
それにーー
「ってか、俺の身体、入れ替わった時より太ってないかー!?」
茉莉(和人)がそう言うと、
和人(茉莉)は「ーえへへ…食べすぎちゃってー」と、そう言葉を口にするー。
「ーーーー…ま、まぁ、元に戻ったらすぐに痩せるからいいけどー…
せっかく茉莉の身体、こんなに痩せたんだから、元に戻ったあと、
またすぐ体重増えないように気を付けろよ?」
少し心配そうに言う茉莉(和人)ー
「ーもちろん!せっかく可愛くなったんだし、わたし、頑張る!
それにー、今、いっぱい食べてるのは
和人の身体だからだし、心配しないで!」
和人(茉莉)の言葉に、
少し不思議そうな表情を浮かべる茉莉(和人)ー
すると、和人(茉莉)は笑いながら続けたー。
「ーほら、今ならたくさん食べても、どうせ太るのは和人だし?
和人なら元に戻ったあと、すぐに痩せられるでしょー」
和人(茉莉)の、さも当然かのように言い放つそんな言葉に、
茉莉(和人)は、”相変わらずワガママっていうかー、自分勝手だなぁ”と、
内心で苦笑いしつつも、
「ーーははーまぁ、それはそうだけどー」と、表には出さずに笑ったー。
「ーーー…」
ふと、和人(茉莉)が不安そうな表情を浮かべるー。
「ーーーん?どうした?」
茉莉(和人)が言うと、
「あー、ううんー……なんかー、その、和人、身体を返してくれないんじゃないかって
最近不安になってー」と、
和人(茉莉)はそう言葉を口にしたー。
入れ替わって、痩せれば痩せるほど、”茉莉”が人気者になり、
茉莉(和人)もなんだか楽しそうにしているー
そして、ここ最近は”元に戻ったあと”の話を茉莉(和人)からあまりしなくなったことも
あって、和人(茉莉)は不安を感じていたのだー。
がー。
「ははーそれは心配ないよ。目標の体重まであと2キロだったから、
それを達成したらって思ってたしー、
このまま茉莉の身体を奪うなんてこと、俺は絶対にしないから大丈夫」
笑う茉莉(和人)ー
和人(茉莉)は「本当に?」と、心配そうにしながらも、
和人のことを信じることにして、”目標”に達したら元に戻ることを改めて約束したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そしてーーー
茉莉(和人)のダイエットは無事に目標を達成したー。
「ーさ、元に戻ろう」
茉莉(和人)は約束通りそう言葉を口にすると、
和人(茉莉)は茉莉がネットで購入した身体を入れ替える赤い糸を使ってー、
そのまま二人の身体を元に戻したー。
「ーーうぉっ!?結構肉ついたなぁ…」
自分の身体に戻った和人が思わず苦笑いするー。
「うそっ!?これがわたしの身体ー!?
夢みたいー!」
痩せた茉莉は自分の身体に戻ったにも関わらず、
まるで自分の身体ではないような感覚に陥りながら
ひたすら「ありがとう!本当にありがとう!」と、
言葉を繰り返しているー。
「ーーはははー、喜んでもらえたなら良かったよ」
和人は、少し太ってしまった自分の身体の違和感を味わいながらも、
茉莉が喜んでくれたのを見て、
”頑張ったかいがあったー”と、心の中で満足感を覚えるー。
「ーーーうん!すっごく嬉しい!本当にありがとう!」
茉莉のそんな言葉に、
ふと、”まるで別の彼女”が出来たかのような錯覚を覚えてしまった和人は
苦笑いしながら”ホント、別人みたいに変身したなぁー”と、
痩せた茉莉のことを見つめながらそんな風に思うのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーえへへーありがとうー」
「ーでしょ?可愛いでしょー」
「ー頑張って痩せてよかった~!」
茉莉は、クラスの人気者になったー。
今までは別に人気でも不人気でもなく…という感じだったものの、
痩せて可愛らしい雰囲気になったことからー、
男女問わず、茉莉の近くには友達が集まるようになったー。
「ーーえへへー…ホントに~?お世辞じゃないの~?」
茉莉は、彼氏である和人の親友・英輔に
「今のわたしのこと、可愛いと思う~?」などと自ら質問して、
英輔が照れ臭そうに「え…可愛くなったとは思うけどー」と、
言われて、ご機嫌そうにそう言葉を口にしていたー。
和人は、”すっかり有頂天だな…”と、苦笑いしながら
そんな様子を見つめるー。
けれどー、茉莉が喜んでくれて本当によかったー。
茉莉は、元に戻ってから、とても嬉しそうにしているし
また元通りに戻ってしまわないように、
それなりにしっかりと健康管理もしているらしいー。
「ーーー」
和人は、安堵のため息を吐き出しながら、
茉莉の嬉しそうな姿を微笑ましそうに見つめたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
半月後ー
「ーーえ?」
和人は、驚いた表情を浮かべるー。
「ーー今、なんてー?」
和人が思わずもう一度聞き返すと、
茉莉は少し笑いながら言葉を続けたー。
「え?だからー…和人とお別れしたいな~って」
悪びれる様子もなくそう言い放つ茉莉に
和人は「え???え???俺、何かしたかー?」と、
戸惑いの表情を浮かべるー
「ーな、何か気に障るようなことをしたならー…」
和人がそこまで言いかけると、
茉莉は苦笑いしながら言ったー。
「ーそういうのはいいのー。
和人は何も悪くないからー
でもほら、わたし、和人のおかげでダイエットに成功して
滅茶苦茶可愛くなったでしょ?」
茉莉が嬉しそうにしながら言うー
「ーーん?あ、あぁーそ、そうだなー」
和人は頷くー。
和人としては”前のぽっちゃりした茉莉”も好きではあったけれど、
それを言うと、茉莉の気分を害してしまう気がして言わなかったー。
「ーでしょでしょ!
それで、わたし、可愛くなったから
和人みたいな地味な男子だけじゃなくてー
イケメンにも振り向いてもらえるようになったの!」
茉莉が嬉しそうに言うー。
「ーーー…???」
和人は、さらに戸惑いの表情を浮かべるー。
「わたし、英輔くんと付き合うことにしたから!
ほら、英輔くんってイケメンでしょ!?
わたし、可愛くなったから
告白したらオッケーしてくれたの!!」
茉莉が笑うー。
”英輔”とは、和人の中学時代からの親友だー。
「ーーーえ…
いや、ちょっと待ってくれよー
それってどういうー?」
和人は表情を歪めるー。
がー、茉莉は全く悪びれる様子もないまま続けたー。
「ーー今までわたし、男子からほとんど相手にされなかったしーーー
告白しても断られてばっかりでー…
それで、和人みたいな地味な男子で妥協してたんだけどー…
でもほら、和人のおかげでこんなに可愛くなったし、
”今のわたしなら”って、前から好きだった英輔くんに
ダメもとで告白したら、付き合えることになったの!
英輔くんから、”いや、和人と付き合ってるだろ?”って言われたからー
”もう別れたよ!”って説明しちゃったしー
だから、すぐ別れたいの」
茉莉が嬉しそうにしながらそう呟くー。
「ーー………そ、そんな話ーー…はいそうですか、なんて言えるわけ…」
和人が不満そうに表情を歪めると、
茉莉はそれを無視して言ったー
「ーイケメンと付き合えるようになったのは
ダイエットを手伝ってくれた和人のおかげだよ!
本当にありがとう!」
とー。
全く”罪悪感”のかけらも見えない茉莉ー。
”ーーあぁ…そうだったー”
和人は、そんな茉莉を見つめながら思うー。
茉莉は、こういう子だー。
急に変なことを言い始めたりするしー
ワガママだしー、
でもーー…一緒にいて楽しかったし、
こんな自分に告白してくれた茉莉のことを
大切にしようと思ってたー。
でもーー
”可愛くなれて、イケメンに振り向いてもらえるようになったから
地味な男子と別れて、イケメンと付き合うー”
そのことを、茉莉は恐らく、何も”悪い”と思っていないー。
元々、変わった子ではあると思っていたけれどー、
なんだか、もう、面倒臭くなってしまったー。
親友の英輔も”彼女なんていらない”とか言ってたけどー
可愛い子から告白されれば、あっさり付き合うようなやつだったのだろうー。
それが、”親友の彼女”であったとしてもー。
「ーーーーーーー…わかったよー。」
和人は暗い表情でそう言葉を口にしたー。
「ーやったぁ!さっすが和人!
やっぱり和人は頼りになるなぁ~」
茉莉は笑いながらそう言うと、
「ーあ、英輔くん嫉妬するかもしれないしー、
わたしにもう連絡してこないでね!
今までホントにありがとう!」と、
やはり、全く悪びれる様子もなく、それだけ言うと立ち去って行ったー。
「ーーーー」
一人残された和人は大きくため息をつくー。
恩着せがましいことを言うつもりはないー。
けれど、あんなに一生懸命、茉莉のためにダイエットしたのにー。
茉莉が喜んでくれると思ったからこそー、
頑張ったのにー。
「ーーーまさか、こんなにあっさり捨てられるなんてー」
和人は自虐的に笑うと、雨が降り出した外の景色を見つめながら
”もう、彼女なんてどうでもいいやー。2度と作りたくない”
と、自虐的にそう言葉を口にしたー
おわり
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コメント
まさかのバッドエンドに…☆!
茉莉ちゃんに天罰を…!と、思う人が多かったら
後日談も…あるかもしれませんネ~笑
お読み下さりありがとうございました~!
コメント
茉莉は性格最悪すぎですね。
正直、こんなろくでもない彼女とは、縁が切れてむしろ良かったんじゃないですかね。
あと、いくら一時的には痩せていても、体型を維持するのにも努力が必要なのでそのうち元の状態に戻って、茉莉は振られそうな気がしますね。ただでさえ性格が最悪なので、そっちの理由で振られてもおかしくないですが。
太ったらまた代わりにダイエットしてとか、ふざけたこと言い出しそうでもありますけどね。
茉莉は本気で腹立たしいキャラなので、報いを受ける後日談はとても読みたいですね!
感想ありがとうございます~~~!☆!
茉莉はあえて、とってもイヤな感じになるように
考えたキャラクターだったので、
ちゃんとイヤな感じが伝わっていてよかったデス~!!
報いを受ける続編…!
前向きに考えます~笑☆